ウィステリア家具工房 ブログ

東京都あきる野市にて無垢材で家具を作っているウィステリア家具工房。仕事や趣味、日常の事を写真を添えて書き綴っています。

こね鉢の修理

2017-04-27 10:00:44 | 家具・木工品の修理
ここのところ修理依頼が重なってます。

椅子を直した後はこね鉢です。

「蔵の奥から出てきた」との事、だいぶ昔の物で割れが入っています。 力を入れれば真っ二つに割れそう。

材は桐で横木取りの手彫りのこね鉢。


まずはマスキングをしてワレを埋めます。エポキシ樹脂接着剤に木粉を混ぜたパテを作り、ヒビの奥まで詰めて固めます。

糊漆を作ってワレを埋める方法も考えたのですが、時間とコストを考慮した結果、2液性エポキシにしました。



固まったら上にチギリを埋め込みます。

内側は軽く研磨、外側は無塗装だったので汚れで真っ黒。 木地が出るまでサンドペーパーをかけます。

外側と上の縁は黒漆、内側は生漆を4回塗って完成。

素朴で素敵なこね鉢だったので、あまり手を加えず、割れと欠損部を埋める程度の補修で済ませましたが、漆はしっかり塗ったのでしっとりとした艶になりました。

修理前は内側だけ塗装をして外は木地のままだったので内と外の水分差で割れが入ったと考えられます。

食品を扱うモノなので科学塗料よりも天然の漆を塗れば安全だし長持ちするでしょう。


この鉢で蕎麦をうつのでしょうか? それともうどんかな。何年前のものなのだろう? たぶんプロが作った物じゃない様な気がします。手先の器用な人が農閑期にでも彫ったのか? 大工さんが作ったのか? 軽くって大きいので昔はずいぶん活躍したのだろうなぁ~。 漆を塗りながらそんなことをいろいろ想像してました。

修理をすると、作った人の苦労がわかるし、手抜きや失敗、腕の良し悪しまでハッキリ解ってしまいます。怖いものです。

私の作品は数十年後の職人になんて言われるのか? 恥ずかしくないものを作らなきゃダメだって 修理をするたびに思うのです。





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