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Natural Mystic ~ナチュラルミスティック~

There's a natural mystic blowing through the air

パッチギ!

2006-05-02 23:39:15 | 映画
(昨日の続き)さんざ飲んだくれて集会は終わりとなった。時間のある人は渋谷経由恵比寿までのデモに参加と言われたため酔い覚ましに歩いてみた。先頭の方は横断幕に鉢巻きゼッケン、シュプレヒコールと気合いが入っていたがそれ以後はずるずると引っ張られるように歩き信号調整をしている警察の誘導に従うだけ。街頭計の気温は30度であった。あまりにも暑いため歩いている途中で適当に自販機に茶を買いに行く人、コンビニにビールを買いに行く人と様々であった。

突然、隣を歩いていた見知らぬ60近そうなオヤジが声をかけてきた。
「俺の若い頃は警察は敵だったからこんな温和しいもんじゃなかったんだ...。毎週のようにあちこちに出向きお祭り騒ぎだったよ...。」
とどこか誇らしげに語っていた。どおりで気合いが入っているわけである。何となく系統は違うが、先日見た映画『パッチギ!』を思い出した。

以前、テレビ朝日のアナウンサーがこの映画を「懐かしくもあり、目をそらしがちな日本の一面である」と絶賛していた。また、番組では20代の若手の女性キャスターが「古臭さを感じさせない、すばらしい作品」とも語っていた。



井筒監督の映画は「みゆき」「のど自慢」「ゲロッパ!」位しか見たことがないが、どれもお世辞にもわざわざもう一度見たいとは思えず何故こんな作品を作るタレント監督が持て囃されるのかさっぱり理解できなかった。しかし、メディアは大絶賛。そんな疑問もあり、DVDを借りてきて見たのである。

見た感想、やっぱりなぜこの作品が騒がれるのか謎である。

単に井筒また、彼と同じような世代が自分たちの若い頃のことを思い出しそれをフィルムで残そうとしているとしか思えなかった。

BGMには諄い程フォーククルセイダーズの”イムジン河”が流れ、また見せ場となるシーンには必ず京都の鴨川が出てきた。主人公である日本人の高校生が朝鮮人の女性に想いを打ち明けるシーンでは、わざわざずぶ濡れになりながら川を渡ってくる。

朝鮮人居住区にいられなくなった主人公は川にギターを投げ捨てる。

この映画では川というものをイムジン河に喩えているという設定が単純明快で小学生でも考えつきそうな発想である。

最後に”イムジン河”をBGMに鴨川を挟んで集まった日本と朝鮮の学生達が殴り合うシーンは差詰め南北朝鮮の争いでも象徴したかったのだろうか、見ていてどうにもバカバカしささえ感じた。

「お前ら、日本のガキは、生駒トンネル、誰が掘ったか知ってるか!」
「国会議事堂の大理石、どっから持ってきて、誰が積み上げたか知ってるか!」
と朝鮮人役の男性が唸るシーンには思わず昨年行った黒部下ノ廊下や私の田舎の電力工事に強制的に連れて来られ働かされた朝鮮人労働者の話をを思い出した。これらはまた小学校の時授業でも教わった記憶がある。

私にはこの映画、どうにもあの井筒監督の世代があの世代の若い頃の事をあの世代が揃って思い出し、叫び自己完結しているだけの作品にしか取れなかった。

だいたい、登場人物の朝鮮人役が全て日本人の俳優ということが情けない。前田吟が朝鮮人役で出てきたときは流石にアホらしくなってしまった。

スクワーム SQUIRM

2006-04-13 22:49:58 | 映画
昨日の激しい雨とはうって変わり、今朝はすがすがしい朝だった。道を歩いていると長さ15cmはあろうかと思われる紐が落ちていた。しかし何となくそれが動いて見える。よく見ると長いミミズだった。

こういった生物、気持ちのいい物ではないが一匹単位では私はそれほど気にならない。しかし、このようなものが大量にいたらそれも8000万匹ものたうっていたら...。想像するだけで全身に嫌悪感が突き上げてくる。

何故、このような不気味な文章を書いているのか...。今朝見た長いミミズから、そんな映画を思い出してしまった。

ヒトがヒト以外の生物に襲われるという設定の映画はよく目にする。それが鳥であったり、鮫やタコであったり、ライオンや虎だったりする。視点を変えて宇宙や海底や地中の未知なる生物というものもある。

しかし、この映画「スクワーム」は一匹では気持ちが悪いだけのゴカイが凶暴化して群れをなして襲って来るという作品である。


【1976年 アメリカ映画】

小学中学年の夏休み、私はこの映画を「金曜ロードショー」で見てはまってしまった。あまりにもインパクトが強すぎたのだ。特にゴカイが男の顔の皮膚を突き破り皮膚の下を蠢いていくシーンには度肝を抜かれた物である。この映画を見た友達は一様にゴカイの事を英語でスクワームと勘違いしていたのだから子供には相当なインパクトがあったのだろう。今なら"R"指定が付いても良さそうな作品である。

この映画、かなり後になって知ったことであるがメインとなる特殊メイクにスター・ウォーズ、メン・イン・ブラック最近ではハリウッド版のザ・リング2で知られる大御所リック・ベイカーが手がけている作品である。余談だが彼の弟子には帝都大戦で名を馳せ、ポルターガイスト・死霊のしたたり等で知られるスクリーミング・マッド・ジョージ(本名・谷譲治)がいる。

映画の設定ではゴカイは10万匹らしいが実際には8000万匹のゴカイの模型を使ったらしい。

ちなみにゴカイは英語でlugworm、ミミズはearthworm、このsquirmは「のたくる」「もがく」というような意味合いである。

以下、goo映画より抜粋

ジョージア州は田舎町フライクリーフ。前代未聞の集中雷雨に襲われ、高圧線は切れ、洪水や土砂崩れと、山に囲まれたこの町は今、陸の孤島と化していた。やがて、嵐の去った翌朝、ジェリー(パトリシア・ピアシー)はニューヨークより恋人のミック(ドン・スターディノ)がやってくるので、庭師ロジャー(R・A・ダウ)に車を借りて迎えに出た。やがて山道で立往生のバスにミックを見つけ、2人はそのまま車で町へ。スナックで飲もうとしたチョコレート・ソーダの中に、ミミズが1匹--始まりだった。2人は家に帰りロジャーに車を返すが、ロジャーの家が釣りエサの養殖所をやってる関係から積んであったエサ(ゴカイやミミズ10万匹)が車より消えている。ミックとジェリーは、母にたのまれて骨董屋にいくが……主人は裏庭で白骨死体と化していた。保安官が来た時には消えている死体。何かが今起こっていた。ミックとジェリー、そしてロジャーの3人が釣りに出た時も、エサの虫が腕に噛みついた。以前、ロジャーの父が、ミミズを地中に強力電波を流し異常養殖させた事があるが……。ともあれ虫の大群は静かに町を侵略していく。シャワーから虫が出て、ロジャーの父が殺されたり、大木が虫により倒れたり、ジェリーの家も虫に襲われていた。ジェリーのとりあいで争うミックとロジャー。ロジャーが階段を転げ落ちた。虫の海の中に吸い込まれて行く身体。かくして、悪夢の一夜は終った。翌朝、嘘のように晴れ上がった町は平和で美しかった。虫のはい上がって来ない天井裏に逃げ、そこから近くの大木に移り、命を落さずにすんだミックとジェリー。やがて町に高圧電線の修復作業員がやって来、町の機能はすべて出来事の前に戻った。然しながら、町はあくまでも静かで、人影すらない。あの出来事も全く知らない電気技師は、大木にすがっている2人を見つけ、大声で話しかけた。「一体どうしたんだ。この町の人は、誰も電話に出ようとしないんだぜ」。嵐は本当に去ったのだろうか?

マネキン Mannequin

2006-04-04 23:25:17 | 映画
人形が人間になるという設定の物語をたまに目にすることがある。古くはコッローディの名作『ピノキオ』、私が幼少の頃のアニメにはこれをもじった『ピッコリーノの冒険』というものがあった。また最近では人形ではなく人間に似せたロボットを題材にしたS・スピルバーグの映画『A.I』などがある。



そんな中で『マネキン』1987年というアメリカ映画ある。上述に漏れず大枠は一緒である。主人公のアーティスト青年がマネキン工場で自らが作った女性のマネキンに魂が宿るというファンタジーストーリーである。ありふれたマネキン人形がキム・キャトラル演じる人間の女性に変身するという話は分かっていながらもストーリーに引き込まれ、また単純なそれであっても楽しめる作品であった。

日曜日、いつものようにジャスコをぶらつく、立ち寄った子供服売り場で幼児のマネキン人形が並んでいた。



表情はないが横に寝かすと目を閉じるという代物であった。これが仮に映画『マネキン』のように魂が宿ってこのまま人になったとしたら、あくまで人間を元に作っただけに元がマネキンと知らなければ、姿・格好だけ見ればそれ程違和感がないかも知れない(あくまで仮定の話なので念のため)。

ところが、店内をぶらつくととんでもないマネキンを見つけた。



この写真だけでは違和感に気付きにくいかも知れない。しかし、このうちの一体の顔面部分を撮ったものが下の写真である。



まるっきりアニメ的なマネキン人形なのだ。これが人になって動き出したらかなり怖ろしいことではないのだろうか...。



以下、goo映画より『マネキン』抜粋:明るいストーリーなのでお奨めである。

現代のフィラデルフィア。あるマネキン工場で働く青年ジョナサン(アンドリュー・マッカーシー)は、自分の力を全てふりしぼって一体のマネキンを創り上げるが、アーティスト気質の彼を嫌ったオーナーは彼をクビにしてしまう。以後、あらゆる職を転々とするジョナサン。どこも彼を歓迎しない。そんなある日、通りかかったウィンドーの中に彼の創ったマネキンを発見するジョナサン。突然起こった事故から老女を救った彼は、ラッキーなことに、その老女がデパートのオーナーだったことから社員にやとわれることになった。そのデパート、プリンス・アンド・カンパニーは、近くのイルアストラというデパートに客をさらわれており、客足がさっぱりであった。ジョナサンに仕事を与えたリチャード(ジェームズ・スペイダー)は、イヤミな男で、実はイルアストラに通じているスパイだった。自分の創ったマネキンが気になっているジョナサンは、ウィンドー・ディスプレイ担当のハリウッド(メスハック・テイラー)と知り合う。マネキンに見とれていたジョナサンに、何と、そのマネキンが語りかけた。そのマネキンは、エジプトの王女でエミー(キム・キャトラル)と名のった。朝ウィンドーを見ると、エミーはマネキンに戻っていたが、素晴らしいディスプレイが施されてあった。毎晩デートを重ねるうちに、毎回見事なディスプレイができあがり、プリンス・アンド・カンパニーは繁盛し、ジョナサンは副社長の座を手にする。それを面白く思っていないイルアストラのオーナー、B・J・ワートは、リチャードにジョナサンの秘密を探るよう命じる。リチャードは、夜警のフェリックス(G・W・ベイリー)に見はりを言いつけ、フェリックスは、閉店後のデパートでジョナサンがマネキンと戯れているのを目撃した。エミーはジョナサンと2人きりの時だけ人間になれるのだ。マネキンをあやしいとにらんだB・J・ワートは、マネキンを盗んでしまう。翌朝マネキンが盗まれたことを知らされたジョナサンは、ハリウッドと共にB・J・ワートに殴りかかり、ベルトコンベアーにのせられてゴミ処理機の中に落とされそうになっているエミーを見つけた。彼女を救おうとするジョナサン。たちはだかる警備員たち……。たくさんのマネキンの中からエミーだけを引き上げることに成功するジョナサン。人目にふれるとマネキンになってしまうはずのエミーは、何と人間に戻り、ジョナサンは彼女にキスをするのだった。

ドゥ・ザ・ライト・シング Do The Right Thing

2006-03-17 23:47:52 | 映画
"ドゥ・ザ・ライト・シング"1989年のアメリカ映画である。この映画が今年度アカデミー賞受賞式の頃CATVでやっていた。録画していたため昨夜改めて見た。

これは私が初めて見たミニシアター系のロードショー作品である。銀座のシネシャンテで見た。最後に大暴動が起きるという展開はあるもののストーリーらしいドラマはなく、ニューヨークのスラムの日常を描いた作品である。



実はこの作品当時、物議を醸し出した。アカデミー賞にはこの作品から助演男優賞にダニー・アイエロ、オリジナル脚本賞に監督を兼ねたスパイク・リーがそれぞれノミネートされるもいずれも受賞はなかった。しかし、式典の最中に別な賞のプレゼンテーターで登場したハリウッド女優キム・ベイシンガーが突然叫きだした。「何故この作品に賞をあげないの。」これが作品賞にノミネートされていない事への抗議も兼ねてのことであった。会場は拍手喝采と大ブーイングの入り交じった状態になった。

結局、作品賞を受賞したのは『ドライビング・ミス・デイジー』

この映画 "ドゥ・ザ・ライト・シング" の作中で時々流れる黒人ラップグループ『パブリック・エネミー』は彼らのセカンドアルバム"It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back"の"Party for Your Right to Fight"でこの授賞式の模様を痛烈に皮肉っている。


※ 残念ながらこのアルバムは既に日本での正規販売は終了しているらしい。輸入盤なら入手可か?

この映画がきっかけでアメリカ黒人社会に一躍アカデミー賞への批判の声が沸き上がったといわれている。また大きな視点で見た場合、3年後に発生し、アメリカ中に飛び火したロス暴動の一因となったという評論家もいる程である。

何故かネット検索してもその辺りの一連の事件は日本のサイトでは殆どヒットしなかった。

以下、goo映画より抜粋(はっきり言ってよくわかりません)

その年一番の暑さの日、“サルス・フェーマス・ピッツェリア"のオーナー、サル(ダニー・アイエロ)は、その日も暢気なヴィト(リチャード・エドソン)と、人種差別主義者のピノ(ジョン・タテューロ)のふたりの息子と共に、近所の黒人たちにピザを売っていた。店員のムーキー(スパイク・リー)は、仕事の暇をみつけては恋人のティナ(ロージー・ペレズ)と会っている。酔っぱらいだが愛想のいいダー・メイヤー(オシー・デイヴィス)は、町の母的存在のマザー・シスター(ルビー・ディー)の気をひこうとするが、彼女は相手にしない。町にはウィー・ラブ・ラジオのDJミスター・セニョール・ラブ・ダディー(サム・ジャクソン)の声に乗せて音楽が流れている。黒人自覚提唱者のバギン・アウト(ジャンカルロ・エスポジート)は、ピッツェリアにイタリア系のスターの写真しか飾られていないのを見て、黒人スターの写真を飾れ、とサルに抗議するが、聞き届けられずボイコットで仕返ししようとする。またサルは、巨大なビート・ボックを持って店にやって来たレディオ・ラヒーム(ビル・ナン)との間にも一悶着起こしていた。やがて1日も終わりを迎えようとしている日暮れ時、ピッツェリアにバギン・アウトとレディオ・ラヒームが乗り込んできて、つばぜりあいが始まる。そしてサルがレディオ・ラヒームのビート・ボックを叩き壊したことでその波紋が広がろうとしている時、やってきた警官のひとりがレディオ・ラヒームを羽がいじめにし、窒息死させてしまう。こうしてピッツェリアは黒人たちの一大暴動の舞台となり、火の海と化してゆく--。一夜あけ翌朝、給料を取りに来たムーキーとサルとの間には、奇妙な和解が生まれるのだった。

※ 余談だが、映画鑑賞中隣に座った白人女性の香水がメチャメチャきつく、鼻にティッシュを突っ込んでみた記憶が蘇った(笑)

ザ・ハーダーゼイカム

2006-02-17 23:08:46 | 映画
職場に私宛の小包が届いた。送り主はスペースシャワーネットワークとある。全く心当たりがない。
内容物の欄にDVDと書いてあるのを見て納得した。開けてみると確かにDVD5枚。また丸筒ポスターらしきものが入っていた。もしや、『ロッカーズ』のポスターかと思い喜び勇んで開けてみると東京スカパラダイスオーケストラ・谷中敦のサイン入りのスカパラのポスターが付いていた。どうも映画のコメンテーターをした人物らしいがこんなポスターを貰っても処分に困るだけである。

以前、ケーブルテレビの放送でスペースシャワーTVの映画「ロッカーズ」を見た。そのとき、番組は音楽映画のリクエストをしていて、応募をしてくれた人には抽選でマクセルの生DVD5枚パックをくれるとのことだった。

こんな抽選はどうでも良かったのだがどうしても見たい作品が一作あった。ジャマイカ初の劇場用映画(1973年作)レゲエシンガー、ジミー・クリフ主演の「ハーダー・ゼイカム」である。



「ロッカーズ」程ゆるゆるではなく、またコメディー性もなく、どちらかというと社会派の要素の強い作品であるが全編にレゲエが流れ各シーンがそれぞれにゆるゆるにもかかわらずやはり格好いいという不思議な作品である。学生の頃、吉祥寺のバウスシアターのリバイバルで見た。その後ビデオも出たらしいが現時点で在庫切れ。DVDの発売も耳にしない。しかし、サントラCDは現在もジミークリフの名前で手に入るという作品である。

これが見たくてリクエストしたのだがスペースシャワーネットワークのHPで確認したところそっちは外れたようである。またの機会を探したい。

以下 rundownより抜粋
サイケなペイントのはげかけたボロっちいバスに乗って田舎からキングストンに出てきたアイバン(ジミー・クリフ)の姿から始まる。
そこで流れる曲は『ユー・キャン・ゲット・イット』。ジミー・クリフの代表的なナンバーの一つだ。

母親の伝手を頼って教会に身を寄せたアイバンは非人間的な牧師に馬車馬のようにコキ使われていた。
そんな日々が流れるうちに、牧師の娘と恋仲になり、歌手になるためにレコード会社のプロデューサに自分を売り込む。

そして、やっとの事でレコーディング。もちろんアイバンが歌うのは、この映画のタイトルでもある『ザ・ハーダー・ゼイ・カム』。
しかし、腹黒いプロデューサに騙されたアイバンには何も残らなかった。

教会に帰れば牧師にイビられ、先輩にもイビられる。ついにキレたアイバンは先輩の顔を何度もナイフで切りつける。

それが原因で警察に追われる事となったアイバン。そんな彼をラジオが次々と取り上げ、彼の曲はヒットチャートを登り続ける。
そして、警察に追い詰められたアイバンは革命の嵐吹き荒れるキューバに亡命を決意するが...

ホテル・ルワンダ

2006-01-21 23:58:34 | 映画
久々に渋谷まで出かけた。今現在この映画が上映されているのは日本ではこの渋谷にある定員75名のミニシアターのみである。この作品は国内の配給各社が日本ではヒットしないと見込み、公開を差し控えた。しかし公開を求める市民団体が署名活動を実施し、先週14日から単館ロードショーとして公開されている。



映画は1994年の100日間に100万人の大虐殺が行われたアフリカ・ルワンダで、1,268人の命を救った男の実話である。100万人といえば東京23区を主として大部分の政令指定都市の人口がそれにあたる。

大雪に見舞われた今日、次回上映1時間30分前にもかかわらず、入場制限がかかり、整理券を配る状態になっていた。幸い立ち見ではなく座って見ることが出来た。

内容は当然のようにメッセージ性の強い作品であった。テーマとなる民族紛争をというのは世界のニュースで時折耳にするがここまで凄まじいものだと言うことを恥ずかしながら初めて知り、見ていて恐怖さえ感じた。大陸に出るとその国の中での民族間の違い、またそれに端を発したトラブルというものを時折耳にし、また実際に目にしたこともあるが、日本という四方を海に囲まれた国においてはアイヌ・琉球・日本という民族区分があるにせよ"民族"というものを意識したことは私自身ないに等しい。

ストーリーはルワンダ国内のフツ族によるツチ族の虐殺という内容だが、民族の区別というのが見た目では全く分からないのだ。虐殺に来たフツ族が、おびえる人々に公的な身分証明書の提示を求め、それにフツ族とスタンプが押してあれば逃れられるという具合なのだ。

簡単に書くと、日本を出身地で『東日本民族』と『西日本民族』に分けたとする。首都東京でそのいずれかの地方の出身民族が雑多に入り交じって生活していて、その中で突如東日本民族が西日本民族の虐殺を始めたというような展開である。同じ言葉や肌の色を持つもの同士、全く区別が付かない。そのため密告や民族を記したリストを下に突然東日本民族が決起し、西日本民族の虐殺を始めるのだ。

劇中では当然のように国連軍が介入するが、彼らが救出するのはルワンダ国内にいるジャーナリストを始めとする外国人のみ。治安維持軍も基本的には現地難民の保護は行わないという姿勢。日本国内では殆ど報じられることがなかった事実である。

幸い、日本国内での拡大上映も徐々に決まっているという。是非一覧頂きたい作品である。


以下
【goo 映画 より抜粋】

フツ族とツチ族の間で続いていた内戦が終息、和平協定が結ばれようとしていた1994年、ルワンダの首都キガリ。外資系高級ホテル、ミル・コリンの支配人ポールは、近くフツ族の民兵によるツチ族の虐殺が始まるという噂を耳にする。やがてフツ族大統領暗殺の報道がなされ、フツ族が武器を片手にツチ族を襲撃し始めた。フツ族のポールは、ツチ族の妻・タティアナと息子たち、そして隣人たちを守るため、ホテルに匿うのだが……。

2005年度アカデミー賞で、主演男優賞など3部門にノミネートされた話題作。“アフリカのオスカー・シンドラー”とも言うべき人物を、ドン・チードルが忘れられない名演技で見せてくれる。94年に中央アフリカのルワンダでの民族間抗争が大虐殺に発展し、3ヵ月あまりの間に100万人もの人々が殺された事実にもとづいた話だが、こうした内戦、虐殺の現実はルワンダだけではない、多くのアフリカの貧しい国に起こっている、または起こりえるということに、観た人は改めて気付くことだろう。そして“無関心”が大きな罪であることを。




小児病院

2006-01-12 20:59:46 | 映画
年末から子供が小児病院に入院した。大部屋に空きが無く個室のため24時間態勢で誰かが付き添わなければならない。初日は嫁が泊まったものの付き添いのベッドはベンチ程の大きさで横幅が60cm程度。寝返りさえも打てなくほとんど眠れないとのことだった。私の特技であるがどんな体勢でも熟睡できる。また家事の関係でも私が泊まった方が効率が良い。それ以後毎晩私が泊まることとなった。

18時の夕食が終わると間もなく、子供は寝てしまう。付き添いとはいっても病室では食事も出来ないし、当然のように酒も飲めない。唯一の娯楽は病室にあるテレビデオである。久々にゆっくり本を読んだり持ち込んだiPodで音楽を聴いたり、またレンタルビデオも見れると割り切って連日の泊まり込みに臨んだ。

子供が寝付くと年末のテレビもつまらないので音楽を静かにかけ久々にゆっくり本を読む。23時、子供は相変わらず熟睡している。特に眠くないのでレンタルしてきたビデオを見ることにする。病室の読書灯を消すと病棟はナースステーションを除き非常灯のみである。また音楽を止めると数々の医療機器が発する電子音、そして何よりも他の病室から聞こえる「マァマ!マァマ!マァマ...!」「おかーさん!おかーさん!」と連呼する子供の声や泣き声、更に「ウウウ...アアアア」「痛いのぉ、痛いのぉ」「うぎゃえん...びよわぁぁぁ....」複数の奇怪な声がわき上がり何とも似合いすぎている。

取り出したビデオはハリウッドをも震撼させたというジャパニーズホラー『呪怨』である。薄暗がりの中、巡回の看護師さんに見られて驚かれないように画面の向きを変えて隠すようにして見入る。薄気味悪さは格別である。話が進み真っ白の顔をした子供が現れたシーンはさすがにこの状況にマッチしすぎて妙な緊張感が漂った。途中、トイレに行こうと病室をでたとき、廊下の向こうの薄明かりに白い病衣をまとった子供が立っていたのにはあまりにもリアリティがありすぎて一瞬体が硬直した。



二夜目は古典洋画ホラーの傑作『オーメン』。しかし、何度も見た作品のためか、また小児病院の雰囲気には合わず、緊張感が漂わなかった。



三夜目はジャパニーズホラーに戻り、『仄暗い水の底から』劇中のぼろっちいアパートの薄暗さがこの古い病棟に妙に似ていて臨場感に溢れ非常に楽しめた。しかし、ラストに出てくる子供の姿が幽霊と言うよりお化けや妖怪に近くあまりにもせこ過ぎて呆れてしまった。


その後、我が子供は大部屋に移動となったため泊まり込みの必要は無くなったが、貴重なお遊びが出来た。やはり、場の雰囲気というものは独特の心理的な影響を与えてくれる。

余談だが、我が子供は無事退院した。

下妻物語

2006-01-03 20:29:45 | 映画
一昨年ヒットしたアイドル映画に『下妻物語』という作品がある。ストーリーはともかく田舎のヤンキー文化の描写は素晴らしく、かなり楽しめた。

その中で主演の深田恭子が助演の派手な格好をしたヤンキー役の土屋アンナに聞くシーンがある。
「そういう服って何処で売ってるの?」
「...ジャスコだよ」



確かに、ジャスコには一体誰がこんなものを身につけるんだ?と思わせるようなものが多々置いてある。

夕方から近所にあるそのジャスコに買い物に出た。各コーナーで初売りの値引きや福袋が展示されていたが元旦のためか週末よりは客が少なく、ゆっくり廻れた。メンズカジュアルのコーナーに次のようなものが紳士用と明示され5,000円で販売されていた。



繰り返す。子供服やヤング・ウーマンズカジュアルではなく、メンズカジュアル売り場にである。画像では確認しにくいが黒のスウェットの上下にもしっかりミッキーマウスの刺繍が施されていた。成人男性を対象にしたものであろうが、こんなものを着るのは一体どんな輩なのだろう。言うまでもないヤンキーである。自宅のみで着るのは一向に構わないが、この手の輩はこの格好でサンダルを突っかけ、近所のコンビニに出現し、中古車情報雑誌あたりを立ち読みしている。それだけならまだしも内装にデコレーションを施し、マフラーを取り換えた中古のアリスト・クラウン・インフィニティといった定番のマシンに乗り左足をあぐら座りにし、右手右足だけで街道を走りコンビニに乗り付けるのだ。20代ならまだカワイゲもあるが30・40代になり恰幅が良くなり貫禄がついて来ると妙に滑稽である。

以前、近所の飲み屋に現れた40代と思しきそういった人と何となく話していて、ついでにからかい半分で訊いてみたことがある。
「いやぁ、それにしても随分可愛いの着てますねぇ...。」
相手は照れながらこういった。
「恥ずかしいんだけど子供が喜ぶんだよねぇ。家にいるときだけ着てればいいんだけど、なにぶん楽な格好なもんでついつい(着替えるのが)面倒でこのまま表に出ちまうんだよねぇ...。」

確かにこのミッキーマウスの段ボール箱を欲しがる子供はいるであろうが、この服を着て近所をうろつく我がオヤジを見て子供が喜んでいるのは今のうちだけであろう。数年もすれば子供はそんなオヤジと外出したがらなくなるのは明白である。

それにしてもこのようなものをイオンの福袋と題し売り出すジャスコの発想には頭が下がるばかりである。

キングコング

2005-12-14 23:07:26 | 映画
キングコングが正月映画で上映されるそうだ。私が小学校低学年のとき見た映画である。あのときもリメイク版だったが子供心に裏切られたと思った作品である。
なにせ前評判がもの凄かった。当時、評論家の故・淀川長治氏が映画紹介のテレビ番組『淀川長治・映画の部屋』で絶賛していた記憶が今でも蘇る。

【1976年公開の映画キングコングのポスター】

しかし映画評論家の声よりも何よりもこのポスターを見ればウルトラマンや仮面ライダーに憧れる子供の心が奪われないわけがない!

飛び交うアメリカの戦闘機を鷲づかみにしてニューヨークの高層ビルを股にかけて暴れる姿は映画館まで行かなければ観れないという限定付き。
その年の夏、私は生まれて初めての映画を父親に連れられて観にいった、第二次大戦を題材にしたアメリカ映画『ミッドウェイ』である。英語は勿論字幕すら読めなかったがスクリーンに映し出された空母に立ち向かう戦闘機のシーンは圧巻でアメリカ映画って凄い!と子供心を震え立たせる作品であった。

【1976年公開の映画ミッドウェイのポスター】

そんな期待を持ったまま兄貴達に連れられてこのアメリカ映画キングコングを観に行ったのだ。

ストーリーは英語も字幕も分からない幼少の私にも理解できる程至ってシンプルで、南海の島で原住民に神と恐れられていたキングコングがアメリカ人に発見され、ニューヨークに連れてこられ見せ物にされるという物だった。

しかし、怒りが頂点に達したコングは檻を破り、連れてきた主催者を踏みつぶし夜の高層ビル(確か世界貿易センタービルだったと思う)を登り始めた。やがて暗闇の中からヘリコプターが数機現れコングにミサイルを撃ち込み。闇の中をコングが落ちていった。

ここまで観て私はコングが復活して朝が来てまたビルに登りヘリを叩き落とし、更にポスターのように援軍に来たジェット戦闘機を鷲づかみにするものと期待していた。しかし、ビルから落ちたコングはそのまま行き途絶え、映画は終わってしまった。

子供心に、あのポスターは一体何だったのか??全てが嘘だったのか??映画とはこういった物なのか??
ひどく打ち拉がれた記憶がある。

今回、ストーリーも予告も詳しくは知らないが、客を裏切るような宣伝だけは勘弁して欲しい。

※ 記憶が確かなら淀川長治氏の解説で初代キングコングはエンパイアステートビル。この2代目は世界貿易センタービルに登ったはずである。

Rockers(ロッカーズ)

2005-11-28 22:38:45 | 映画
昨日、暇に任せてCATVの映画検索をかけていたら偶然『Rocers(ロッカーズ)』というのが引っかかった。普段は音楽専門のチャンネル『スペース・シャワーTV』である。まさかと思い詳細を確認すると(1978年・アメリカ)とある。思わず録画して今日見てしまった。

この映画は私が初めて観たジャマイカを舞台にした延々とBGMにレゲエが流れ続けるゆるゆるの映画である。

とにかくオープニングからぶっ飛んでいる。ジャマイカの田舎と思われる村の酋長とおぼしき人物が後ろで村人が奏でるゆるゆるのレゲエの音楽に合わせてマリファナと思しき巨大なパイプを吸い、煙をボカボカ吐いている。そして朦朧とした顔で突然世界平和と愛を語り出す...。

初めて見たときはよく分からず見ている途中で寝てしまった。

ところが十数年前ボブ・マーリィーに魅せられレゲエを聴くようになったとき渋谷のパルコでのリバイバル上映を観てカルチャーショックを受けた。しかし、あまりにもマニアックな作品のためその後もレンタルビデオ屋で見ることも無く存在自体すっかり忘れてしまっていた物である。2002年にレイトショーリバイバルに伴いDVDも発売されたらしいがあっという間に生産完了になってしまったとのこと。このような経過から考えてもいかにもラスタ的である。


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ジャマイカでドラマーとして活動している主人公リロイ・ホースマウスは妻と3人の子供を抱え、音楽だけでは生活できず、レコードの配達販売を始めることに。そのために借金して中古のオートバイを買った主人公は街で一番のセールスマンを目指すが、何者かに商売道具のオートバイを盗まれてしまう!だがふとしたきっかけで、盗んだのが雇われ先のナイトクラブのマネージャーだと知った主人公は仲間と共にオートバイを取り返しにいくが・・・。

1978年に制作された伝説のレゲエ・ムービーが復活した。オール・ジャマイカロケで、レゲエのファンなら垂涎もののミュージシャンたちがラスタマンの日常を演じ、全編にピーター・トッシュ、バニー・ウェイラー等のご機嫌な音楽が流れる。アドヴェンチャーものとしても愉快で、純朴な男たちが繰り広げるコメディとしても楽しめる。

以上goo 映画"ロッカーズ"より抜粋
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バイクを盗まれた主人公が
「なんてこった。バイクが盗まれた。赤いライオンのマークのバイクを見なかったか?」
とぜんぜん緊張感なく途方に暮れジャマイカのスラムをウロウロする姿はバカバカしくも情けない..。

ストーリーはあまり気にしないで酒でも飲みながらBGMがてら何となく見るにはオススメかも知れない。

真夜中の弥次さん喜多さん(逆輸入版)

2005-11-26 20:50:11 | 映画
先日ネットオークションで落札した『真夜中の弥次さん喜多さん』のDVDが航空便で届いた。パッケージと送り先から察するに販売者が中国のHMV上海店で購入したようである。



『真夜中的弥次先生喜多先生』というタイトルが何ともシュールである。写真ではわかりにくいが原作『レりゆがり寿』というのもすごい。おそらく日本語版から訳する際漢字はともかく『し』を『レ』に『あ』も似たような『ゆ』を当てたのだろう。同様に出演者の『研ナオユ(コ)』も笑える。

再生してみて驚いた。先日レンタル店で借りてきたものと全く同じで日本語ベースであり特典映像まで付いていた。字幕の選択に英語と中国語があったので上海の人達はそれで楽しむのだろう。

送料込み1,500円の中国販売分であったが、まさにお買い得であった。

それにしてもこの作品、海外受けはどうなのだろうか?アーサー王はわかるにしても日本のスーパー銭湯や三途の川の場面などは理解できないような気もするが...。

真夜中の弥次さん喜多さん

2005-11-13 23:13:06 | 映画
お伊勢を目指せ!時代劇の常識をブチ破る奇想天外な冒険!
ディープに愛し合う、ワイルドで男らしい弥次さん(長瀬智也)とヤク中の喜多さん(中村七之助)は“リヤル(現実)”を探してお伊勢さまを目指す“てめぇ探しの旅”に出発。しかし、行く手には笑いをとらないと通れない関所、歌い踊る主人のいる茶屋、アーサー王のとろろ汁屋など奇天烈な関門が・・・。果たして二人の旅はどこにたどり着くのだろうか!?

以上 Amazon.co.jp レビューより抜粋



朝日新聞夕刊連載中『地球防衛家の人々』の作者しりあがり寿原作の漫画の映画化作品である。
この漫画家、1コマ・4コマ漫画はシュールで笑えるのだが、長編ものははっきり言ってつまらない。以前この『真夜中の弥次さん喜多さん』も読んではみたがご多分に漏れなかった。

それでも先週末DVDを借りてきた。主演の二人がアイドルと歌舞伎役者のため、ストーリーが明快でドラマ性があるのではと思ったからである。

結果、124分があっという間だった。一場面一場面がいちいち笑える。まるで延々と展開するしりあがり寿独特の4コマ漫画を見せられている気分だった。時代劇にもかかわらず弥次さんがいちいち口にする「さんでー・まんでー・てやんでぃ!」の台詞が、また突然登場するハーレーダビッドソンやアーサー王がしりあがり寿の漫画に漂うシュール(不条理さ)を醸しだし、それが笑えるのだ。特にアーサー王(中村勘三郎)のとろろ汁屋の場面では嫁も気持ちが悪いといいながらも笑い転げていた。
気分的にはデビッド・フィンチャーのファイトクラブを見終わった後の満足感だった。日本映画にしてはかなりのレベルではないかと思う。


【アーサー王役の中村勘三郎・頭にかぶった新聞紙で折ったカブトがなかなかいい】

しかし、Amazon.co.jpのレビューは「つまらない」「期待はずれ」の酷評が大部分であった。基本的なことだがこの手の作品はストーリーを追っていったらさっぱりわからなくなる。まして原作の『東海道中膝栗毛』のもじりだと考えたらこのように悲惨な結果になるのは明白である。

見終わった後チェックしたネットオークションで送料込み1,500円即決でこのDVDが出品されているにもかかわらず、入札がないのには驚いた(即決で落札してしまった)。

話の終わり方から見てまだ続編が作れそうである。単館ロードショーでかまわないので是非続編を期待したい。

シンデレラマン

2005-10-08 22:46:43 | 映画
仕事がキャンセルとなり突然休みとなった。雨模様とはいえ家でごろごろするのも折角の休みが勿体ない。昼飯がてら街へ出た。
映画街でふと不思議なタイトル”シンデレラマン”看板が目につく。
噂には聞いていたがボクシングのストーリーという以外全く知らない。看板のコピーがもの凄い「家族の幸せだけを願っていたら、いつの間にか”アメリカの希望”になっていた・・・。-これは、そんな父親の物語です。」「心で語り継がれる《奇跡の実話》」
時間を見ると丁度はじまるところだった。本年度アカデミー賞最有力との文字に惹かれながら館内に入る。



1930年代・世界恐慌時代のアメリカの実話という事だったが主人公ラッセル・クロウが演じるジム・ブラドックというボクサーに関する知識が全くなかったため最後まで展開が読めず非常に楽しめた。

ストーリーは単純明快。前途有望なボクサーが試合中に利き腕を骨折し引退。世は大恐慌時代。仕事は全くなく、家族5人をかかえ生活は成り行かず、国から生活保護を受ける始末。そんなおり、ヘビー級タイトルマッチの前座で1回のみの咬ませ犬役の試合が急遽回ってくる...。という話である。

映画の最後には館内のあちこちですすり泣きの音が聞こえた。
最後の対戦相手を極端に嫌なヤツに仕立てたのは問題があると思うが144分という時間を感じさせなかった。

アカデミー賞が取れるかどうかは疑問だが間違いなく1,800円の価値はあり充分に楽しめた。本当に久々にオススメ出来る満足行く作品であった。

※ 決してお涙ちょうだいのコテコテの物語ではなくそんなシーンもほとんどない

それにしても映画の宣伝コピーとは何とセンスがないものなのだろう...。この映画のタイトルとこのポスターとコピーではよほど暇じゃないと見ようとは思わないだろう。

もっとも今日の私はよっぽど暇だったのだが...。

ハーレーダビッドソン&マルボロマン

2005-08-30 18:18:03 | 映画
主演ミッキー・ロークとドン・ジョンソンの91年のハリウッド映画である。
ストーリーさえもほとんど忘れてしまったこの作品であるが、今回この作品のタイトルを思い出す出来事があった。

最終日、苫小牧に夕方17:00までに到着すれば良かった。札幌からは約60km、普通に走って1時間ちょっとである。10:00、マエダさんと別れたはいいが、時間の潰しようが無く、暇に任せて60kmほど離れた支笏湖へ向かう。何故かここは今まで行ったことが無い場所だった。走り出して程なくガス欠が起き、リザーブとなる。空荷だとそれでも80kmは軽く走る。人口の多い道南、しかも観光地、一気に支笏湖まで走ってもガソリンスタンドくらいはあるだろうと踏んだ。しかし、これが大きな間違いだった。真駒内を過ぎると一気に住宅は無くなり、道路も急坂が多くなった。きついカーブを20kg弱のフルパッキングで延々と登る。峠を過ぎどうにか湖畔までの坂を下る。湖に出ればすぐ街だろう。と思ったが、ようやく辿り着いた湖畔には何もなかった。遙か対岸に街が見えたためそちらに向けて周遊道路を進んで間もなく、とうとうエンジンが止まってしまった。
やむなく全ての荷物を道端に下ろし、バイクを地面ぎりぎりまで左に倒す。こうすることにより、タンクの右側にわずかに残っているガソリンをキャブレターに繋がる左側に流し込んだ。運が良ければ10km程度は走るはずである。

こんな事をしていたら後ろから走って来たハーレーが停まってくれた。50歳代の渋く決めたライダーに事情を話すと、対岸のスタンドまでなら乗せていってくれるとの有り難い仰せだった。ハーレーには乗ったことがなかったため、乗せて貰う。
流石に馬力が違い、加速でかかるGは気持ちの良いものがあった。10km程走り、ガソリンスタンドが見つかると私をおろし、ハーレーのライダーは右手を軽く挙げ会釈をすると颯爽と去っていった。

スタンドには1リットルのオイル缶しかなかったがこれにガソリンを積めて貰い、ハーレーで来た道に沿って歩き出した。支笏湖には路線バスもタクシーも無かったからだ。私を追い抜いて行こうとする車に向かって手を挙げると程なく地元ナンバーのワンボックスが停まってくれた。事情を話すと作業服を着た40代の運ちゃんはあっさり乗せてくれた。演歌をがんがんにかけた車中、「この辺は道南でも珍しくスタンドが無い所なんだ。俺も1度ガス欠をやったし、車の故障にあって、知らない人に乗せて貰ったこともあるんだ。困ったときはお互い様だよ。」といってタバコを取り出した。そのタバコはマルボロだった。

程なく、バイクに到着。運ちゃんは片手をあげて軽くクラクションを鳴らすと颯爽と去っていった。

給油を終え、空荷でスタンドまで走り、完全給油。その後、荷物を積みに戻り、合計40分程度のロスで済んだ。

偶然にもハーレーダビッドソン&マルボロマンのお世話になったのである。

大逆転 TRADING PLACES

2005-08-01 13:02:24 | 映画
先物取引の浮き沈みを描いた"エディ・マーフィー"と"ダン・エイクロイド"のコメディ映画のタイトルである。

8月1日が来るたびに思い出すことがある。
バブルははじけたがまだ経済に余力があった十数年前のこと。大学4年だったにもかかわらず就職活動もしなかった私は授業が減ったのを良いことに、バイトで金を稼ぎ遊びまくっていた。
その年の3月に突然、下宿にリクルート社から就職案内がドカンと届いたのを皮切りに、毎日のように郵便受けには企業から大量のDMが届いていた。5月になると友人のなかには内々定を決めた者もちらほら出てきた。そんな折、DMを見ると"会社説明会交通費一律3,000円支給"という企業があった。札幌に本社を持つ会社の営業とのこと。名前から察すると貿易会社としか思えないが、パンフレットをよく見ると"大蔵省の許可を受けた金融(通貨、金利)先物取引業"とあった。会場は学校の近くの一流ホテル。授業の合間に3,000円の小遣いが貰えるのと一体どんな学生が受験するのかという興味も手伝って、ハガキを送り説明会の予約を取り付ける。

当日、行ってみて驚いた。受験者何と500人以上。しかも男ばかり。その場で交通費を渡された。会場で対応に当たっていた社員は一様に人当たりが良く親切そうな印象の人達ばかりであった。しかし会社説明を訊くと胡散臭さが漂い始めた。一般的な業績・採用等の説明はあったモノの肝心の先物取引の営業とはどう言ったモノなのかという説明は全く無かった。

後日、試験日の案内が届く。会場の変更もないため交通費目当てで受験。面接では貿易会社と勘違いしていないか。基本的にはどんな仕事か知っているのかと聞かれた。全くあべこべである。更に、両親はこの仕事に就くことには反対していないか。とまで聞かれた。外面あわせでニコニコしていたらとんとん拍子で都合3回の最終選考まで残り、何の苦労もなく内々定通知書が届いた。その案内には8月1日、札幌本社にて内定説明を行うので出席下さいとのことだった。

この時代、就職協定というモノが存在し、企業はこの日に表向きに求人を一斉開始。そのため、この日以降でないと、正式な形での求人。そして内定に至っては10月1日まで出せなかった。だから、多くの企業がこうした"拘束"と呼ばれる形で人材が他企業に流出しないよう、何かしらの行事で学生を縛り付けていた。

学校へ行く間の小遣い稼ぎに受験した私にとって8月1日に無料で北海道旅行に行けるなんて瓢箪から駒。まさに幸運の一言だった。

当日、羽田空港集合。その後札幌移動。
移動中、一緒になった学生と話して驚いた、先物取引という言葉自体に馴染みがないらしく、一体どのような商品を扱うのかさえ分からない人達ばかりだった。
その後、参加者と話して分かったことだが大概はどんな仕事なのかよく分からないまま就職活動をして内々定を貰っていた。一様に遊びや学校生活に忙しく(大学4年で学校生活が忙しいという輩はだいたいが卒業がギリギリという人達である)、ろくに就職活動をしていない人達で何故か体育会系のサークルに所属する人が多かった。つまり、参加者は皆、取りあえずは真面目にその企業に就職しようと考えている人達ばかりであった。そんな雰囲気の中、就職する気など全くなく、単なる小遣い稼ぎと冷やかしが受験動機の私は複雑な罪悪感にさいなまれ、なるべく学生や社員に接しないように心がけた。

案内された本社は札幌大通公園の一等地。一階が銀行の建物の3~5階部であった。ビルの名前から察するに銀行の持ち物で貸しビルの店子である。
集まった学生は各支社から総勢150名。予定されていたにもかかわらず、会議室には入れないということで急遽、近くの一流ホテルにて説明会。本社の施設見学はうやむやとなった。更に社長の挨拶は急用のため明日の昼食時まで延期とのことだった。

札幌まで呼んでの説明会の中身とは何のことはない、各自にお約束の3,000円の交通費と二日分の日当を支給し、内定同意書という紙切れと切手付の封筒を渡され、帰宅後、署名捺印の上、返送してくれとのことだった。

さんざん良い思いをさせ、恩を着せて内定の同意を得ようという策がいかにも私の知るところの先物取引の営業の技らしく、ある意味感心させられた。

その後、札幌ビール園に移動。夕食会となった。あろうことか私の隣に座ったのは人事部長。周りの学生は機嫌を取ろうと色々話しかけていた。この状況で目立たぬよう気を遣っている自分が馬鹿馬鹿しくなり、どうせ下手な期待を持たせて断った際揉めるよりも少しでも嫌われていた方がまだ向こうも安心するのでは??と誠に勝手な論理で考え遊んでやろうと言う気になった。

学生A:いや~、札幌の一等地にビルを構えるなんて素晴らしいですね。

部長:いやいや、でも便利な場所だよ。

私:ビルの名前からすると、自社ビルではなくて貸しビルですよね。あんな一等地じゃ家賃の支払だけでも大変ですよね。

部長:...。通勤はどこの支社でも寮から30分かからないから楽だよ。

私:...ということは残業しても帰宅の気遣いが要らないってことですよね?

部長:...。焼き肉がうまいだろう。ここで食べるとビールも出来たてが一番だといつも思うよ。

学生B:羊の肉って初めてですよ。美味しいですねぇ。

私:値段は格安でうまいですが普通、家では食べませんよね。家の中で焼いたら油は飛ぶし、この臭さが2~3日抜けなくて大変になりますよね。

部長:......。

学生C:有給休暇とか取れるんですか。

部長:もちろんだよ。うちはゴールデンウィークは確実に最低1週間は休みになるからね。みんなあちこち遊びに行ってるよ。

私:ゴールデンウィークは有休使わなくても祝日と土・日で放っておいてもそこそこ休みになるんじゃないですか?

部長:......。

そんなアホな会話の後、ビンゴゲームとなり私は三越の包装紙につつまれた手のひらサイズの景品を貰った。

その後、私が言葉を慎んだせいか、上機嫌になった部長はたんまりと会社の好業績を語りお開きとなった。

学生のみの2次会。皆一様に入職する気でいっぱいだった。しかし、どんな仕事なのか、相変わらずわかっているものは誰もいなかった。

翌日は朝から市内観光。大倉山で記念撮影をする際、撮った写真を来年の募集のパンフレットに使うというので、私は一番前で特に目立つようにアホなポーズを取った。昼はすすき野の寿司屋で会食となった。やはり、社長は急用のため姿を現さず、代わりに人事部長の挨拶だった。「出来たら皆さんを札幌まで呼んでこれだけの事をして下さった社長宛に礼状を書いて下さい、そして10月1日の内定式にまた札幌で会いましょう。」と語っていた。

新千歳空港にて解放後、空港内の書店にて四季報を探す。思った通り離職率30.4%この数値は異常な高さだった。

早いほうが良いと思い羽田到着後、早速電話。以下受けた人事部長との会話

部長:お礼の連絡をくれたのは君が一番だよ。わざわざ有り難う!

私:色々お気遣いありがとうございました。お礼もあるのですが、折り入ってお伝えしたいことがございまして...。

部長:なんだい?

私:恐縮ですが内定を辞退させて頂きたくて...。

部長:....っえ??

私:申し上げにくいんですが昨夜の話を伺い、ちょっと続けていくのは私には無理そうですので..。

部長は在り来たりの言葉で思いとどまらせようとした。しかし、こちら側が姿勢を変えずにいると苛立った声でこう切り出した。

部長:他の企業から声がかかってるのかい?それとも不安要素はどんなことなんだい!?

押し問答になりそうだし、埒があかないので意を決してまくし立てた。

「あの後、四季報を見ましたが、離職率がかなり異常です。また昨夜の話ですが会社の業績が非常に安定して延びているのに何故本社が貸しビルなのでしょうか。それに予定されていたにもかかわらず、社長が一度も顔を出せない程大事な用件が立て続けに入ると言う事もよく考えれば異常です。」更に続けようとすると、部長は声を荒げこう言葉を遮った「じゃあ、そうするか!内定取り消しだ!!」

多少罪悪感も残ったが一件落着。企業相手ならともかく一般消費者を相手に先物取引の営業を行い、会社の利益優先で食って行こうなどという気持ちはさらさら無かった。

学校の就職課で知ったが、前年私の大学からは4人内定を貰い、1人が就職。3ヶ月でやめたそうだ。断った3名は、札幌までは行かずに辞退したとのこと。

余談だが、景品で貰った三越の包みはラジオ付目覚まし時計。今でも毎朝容赦なく私を叩き起こす。