高樹のぶ子のSIAブログ
井上ひさしさん
井上ひさしさんが、旅立たれた。
わたしの誕生日に。
桜が散るように。
いくつかの文学賞の選考で、ご一緒しました。最近では大佛次郎賞でした。
たばこをやめて欲しかった。
けれど井上さんは、ご自分の人生を全うされたのだと思う。
近しい編集者から聞いた、いくつものエピソードが蘇ってきます。
日本の作家は、ある意味で運命のように、「純文学系」と「大衆文学系」に
分けられてしまう。芥川賞と直木賞という、大きな登竜門があるからで、
この功罪はいろいろあるとして、そのいずれにも目が利く読み手であり、
希有な存在だったと思います。
両分野に、画然とした区別などないのは当たりまえで、そうした先入観を持たずに
読み、判断できる選考委員として、文学関係者は頼りにしていました。
大きな存在でした。
井上ひさしさんの文学活動が、ここで閉じられるだけでなく、未来の文学を
選び作り出す人を失った。この先、どうなるのか。
私のベランダの花全部を送ります。
高樹のぶ子
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )
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と語った井上麻矢さん。
花言葉「誠実」、井上ひさしさんにピッタリですね。
「いまは体育館より広いところで、みんな勝手なことをやっている時代なんです。そこで誰かが面白いことを言ったときに、勝手なことをやっていた人が、一瞬パッと見て<あ、そうか>と笑って、また勝手なことをやりますね。みんなの目を一瞬でもひきつけるのは、笑いによってしかできない。叫び声やお説教ではこっちを向かせることはできない」
氏は社会批判性の強い作品を残していますが、シリアスな表現より、笑いという手法を使っています。
<難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことをまじめに>という氏の座右の銘を徹底した人でした。
また、宮田毬栄「追憶の作家たち」<書くことによってのみ慰謝を受けた人が松本清張だったと思う>という清張論を読んで、氏はこれほど端的に清張さんの本質を穿った評言を知りませんと言っている。
まさに井上氏自身が<書くことのみに慰謝を受けた人>
だった。氏は70歳を越えてからも<ムサシ><ロマンス>などの秀作を書き続けたのです。
惜しい人を亡くしました。
テレビ番組のひょっこり瓢箪島しか知らない僕でしたが、
新鮮でこれは好い番組だなと思いました。
年表を調べると僕が高三から大学生時代の放送で、'69年に打ち切られていますから、
残念ながら団塊ジュニア達は子供時代に見て育っていないのですね。
井上ひさしさんの印象は「何でこの人はこんなに人に優しいのだろう」と、
いつも少々呆れ返りながら見聞きしていました。
幼少から成人する迄の辛酸体験や、
良識的な修道院の孤児収容施設で育ったは、よく覚えてませんでしたが、
猛烈で苛酷なお母上の人生は、ご本人からラジオで面白おかしく聴いています。
何れにせよ心の振幅の大きな人だったから、
文学に於いて秀作が書けたのだろうと思います。
僕などからは凄く遠い人だっただけに、
もう後10年位は存在していて欲しい人で残念です。
井上ひさしさんの、ご冥福をお祈り致します。
とても残念です。
頑張って闘病されていたし聞きました。
同じ癌で戦っている母もショックだったようです。
ただただご冥福をお祈りするばかりです。
頑張ってください!