昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

「還ってきたレロレロ姫」(12)三鷹市(5)

2016-09-28 02:48:23 | 還ってきたレロレロ姫
「94年並みの渇水懸念?」
 
 父親が新聞をはらりとめくりながら呟いた。
 一瞬、三島くんは母親の言葉を受けて、補足する意味で言ったのかと思った。
 しかし、彼が母親のように「自然界の仕打ち」などという情緒的な意味で言うはずがない。 
 父親は市会議員をしている。
「利根川水系では取水制限か・・・」
 ため息をつくように言った。
 やっぱりそうだ。
 行政に携わるお役目柄の懸念を述べたに過ぎない。

 でも三島くんは「自然にも意志がある」という石田愛の言葉に今でも絡めとられている。
 必要なところに雨が降らないで、必要ない所にこれでもか、これでもかと降る。これじゃまるで理不尽な意図的なものが働いていると、母親でなくても思わざるを得ない。
 
 ・・・おい、おい、お前おかしいんじゃないか? そんな情緒的な捉え方をするなんて・・・
 ・・・キミはもう高校生だろう? お父さんのように論理的、科学的な見方ができないのか?・・・
  
 三島くんの中に住みついているもう一人の三島くんが顔を出した。

 地球の内部とか、気象的な大気の流れ、気温の高低、地形的な特徴などを検証すれば、災害は地域的に偏ったかたちで起こり得る。
 
 
 それが科学的な見方というものだ。

 しかし、三島くんは石田愛に会って以来、どうしても母親と同様、「自然もに意志があるのでは?」という情緒的な捉え方をしてしまう癖がついてしまったようだ。

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 
 飲食もできる本屋?
 
 しかも名作に出てくる料理を頼める。
 
 
 
 本屋さんもいろいろ考えているんだ!

 
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「還ってきたレロレロ姫」(11)三鷹市(4)

2016-09-27 03:48:10 | 還ってきたレロレロ姫
「また、熊本に豪雨だって・・・」
       
 夕食時、テレビを見ながら三島くんのお母さんがつぶやいた。
 続いて母親が言う言葉は三島くんには想像できた。
 いつも快活で明るい彼女が、いったん箸でつまんだきゅうりの漬物を口にしないでご飯の上に置くと、眉間に皺を寄せて、彼が予想した通りの言葉を眉を顰め呟くように吐き出した。
「かわいそうに・・・。この間さんざん地震に痛めつけられた所がなぜまた責められなければならないの?」
 まるで三島くんの所為でもあるかのように彼を睨んで言った。

 たしかに4月14日に発祥した熊本地震は前例がないほど数多くの、1千以上もの余震・・・同じ震源地から生じるのではないので余震ではなく、誘発地震と言ったほうがいいそうだが・・・、次から次へと起きるたいへんな数の地震に、熊本地方の人たちは打ちのめされているのに、
 さらにまた豪雨が襲ってきたのだ。
 同じところに何故自然災害が集中するのかということには、母でなくても釈然としない。

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 
 安倍首相の、「未来、未来」と連呼した所信表明演説に出てきた「未来の架け橋」とは?
 
 
 
 熊本の白糸台地にある「通潤橋」なのです。


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三鷹通信(162)三鷹国際交流フェスティバル

2016-09-26 04:25:54 | 三鷹通信
 昨日は朝から晩まで忙しい1日でした。
 朝10時、井の頭公園西園へ。
 
 ・・・やってる。やってる、開会早々たいへんな人だかり。
 なんかくじ引きをやってる。
 そして各国の売店。
 
 
 
 
 
 イタリアの紹介だろうか?
 おっ! 我々の仲間「ミニミニ雑談会」の連中がいた!
 いい場所を朝早くから今月担当のSさんが確保してくれたんだ。・・・ご馳走がいっぱい・・・
 会話も弾んでる。
 そばのステージでは各国の人たちが催し物を。
 
 残念ながら途中で対座。三鷹駅へ向かう。
 ボクと入れ違いに参加されたTさんの素晴らしい写真を拝借。
 第224回三鷹三田会麻雀分科会、今回は来年からの新幹事が運営する第1回目だ。
 3人の新幹事が頑張っている!
 ボクの幹事長役も今年で無事退役できそうだ。
 
 



 
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「還ってきたレロレロ姫」(10)三鷹市(3)

2016-09-25 03:54:16 | 還ってきたレロレロ姫
 つまり「人間は自然をコントロールする能力があると自負しているが、自然は人間がコントロールできるような代物ではない。
 
 そんな傲慢な考え方をするところに間違いが生じることを人間はわかっていない!」と彼女は力説した。
 テレビの「異才発見」に出演したときも、その説得力は司会者もゲストの大学教授も舌を巻くほどだった。

 石田愛はまさにスーパー少女だった。
 知能の面でだけでなく身体的な面でも。
 
 走ることにかけては、体育の東山先生に言わすと、オリンピックにも出場できるほどのスゴイ能力を持っていた。

 そんな彼女と三島くんは三鷹駅の跨線橋で一度だけデートした。
 
 あの時のことが胸を締めつけられるように思い出される。

 そして石田愛は、当時完成間近だった東京スカイツリーの展望台から満月の夜姿を消したと報道された。
 
 かぐや姫の再来だったのかと、日本だけでなく世界中の話題になった。
 たしかに彼女は存在したのだ。
 しかし、三島くんには今もって彼女の存在が幻想だったのではという思いがぬぐいきれない。

 ─続く─       

 <好奇心コーナー>
 

 猫が獲物を狙う(岩合さんの猫)

 何かいるぞ
 
 捕まえた。
 ネズミだろうか?



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「還ってきたレロレロ姫」(9)三鷹市(2)

2016-09-24 05:05:35 | 還ってきたレロレロ姫
「警告だと捉えようとしないから災害の規模もだんだん大きくせざるを得ないんです!」
 
 さらに彼女はダメを押すように付け加えた。
「石田の言うことを聞いていると、何か自然が意志をもって人類に災害をもたらしているかのような言い方だけど・・・」
 先生は反駁した。
「そうです。自然には意志があるんです!」
        
「じゃあ、自然に意志があるのだとしたら、なぜ世界で最も自然を愛している日本にこんな苛酷な被害をもたらすようなことをするんですか!」
 いつもは子どもたちに優しい後藤先生が、ついに大人に対するような口調で詰問するように言った。
「自然を愛している日本は、自然の恵みを素直に受けて自然と共生する考え方に立つべきなんです!」
 
「ところがこのところそうでない考え方に与しているのが問題なんです!」
「そうでない考え方に与している?」

 先生は目を見張って問いただした。

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 
 先日、Fサロンにお招きした慶應義塾大学工学部長島昭名誉教授から、慶應義塾が農業に関わっていたという貴重なお話をいただいた。
 フランスの農政を勉強した池本三喜夫氏の著作「農業列島」に小泉信三先生と農学部創設という件があるというのだ。
 そして、鐘紡の資金も得て昭和30年ごろ完成の農科大学を目指したが、いろいろな事情が絡んで頓挫した。
 しかし、その意志は「育林活動」へと今に継がれている。
 
 
 
 
 長島名誉教授は締めくくられた。
「農林業は国の基盤、人のこころを支えている。実学は現実の人間社会に根付いた学問であるならば、その根本は自然との対応に行きつくであろう。池本氏だけでなく、慶應と塾員への期待は大きい」と。


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「還ってきたレロレロ姫」(8)三鷹市(1)

2016-09-23 03:44:18 | 還ってきたレロレロ姫
 ・・・彼女の存在が幻想そのものだったんだ・・・
 
 三島くんは改めて口に出してみた。

 あの東日本大震災が発祥した年、小学五年生の時、石田愛は転校してきた。
 三島くんたちは、ホームルームの時間にその被害のすごさについて語り合った。
 
 何しろ地震だけでなく大津波で東北地方一帯が根こそぎ洗い流されてしまったのだ。
 
 おまけに福島の原発までもが壊滅的な被害を受けた。
 そのため周辺の人たちは放射能の影響で避難せざるを得ないというダブル、いやトリプルの被害を受けた。
 日本の歴史、いや世界の歴史の中でも稀有な大震災だった。

 それでも世界中から温かい励ましや支援が寄せられ、日本中の人たちは『絆』という言葉に象徴される、人類の新しい価値を見いだした。
 
 そんな思いを三島くんたちは語り合った。
「キミはどう思ったかな?」
 話し合いがひと区切りしたところで、後藤先生は矛先を転校してきたばかりの石田愛に向けた。
「自然災害は、自然界から人類への警告と取るべきなのです!」
 
 彼女は涼やかな目でみんなを見渡すと言った。
 穏やかな口調だったが、みんなで共通の思いを確かめ合って、納得して絹のように滑らかに織り上げた教室の空気を、鋭利なナイフでスパッと切り裂くような内容だった。
「・・・」
 予想外の言葉にみんな凍りついた。
 後藤先生までもが・・・。

 ─続く─
      
 <好奇心コーナー>
 昨夜、接ぎ木した鉢植えの「月下美人」が咲きました。
 夜8時、
 
 そして、10時には満開となって、スバラシイ香りを放っています。
 
 でも一夜限りでしぼんでしまうのです。





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「還ってきたレロレロ姫」(7)熊本市街(2)

2016-09-22 04:43:34 | 還ってきたレロレロ姫
「ほら、ここだ」
 宮司は道端の縁石に沿って静かに車を止めた。
 
 熊本市の中央、ちょっとした前庭もある7階建ての素敵なマンションだ。
 その最上階が彼の居室になっている。

「わたしが小さい頃住んでいたマンションに似ている・・・」
 女の子はマンションの前に立つと、全体を見回しながら懐かしそうに言った。    
「マンションに住んでいたの? どこの?」
 宮司はこの時とばかり彼女に面と向かって訊いた。
「東京よ・・・」
 そう言うと彼を振り切るようにエレベーターの方に向かった。
 
「一番上なのよね?」
 確認する前に彼女はボタンを押していた。
「東京も広いけど・・・」
 エレベーターに乗り込むと宮司は追及するように訊いた。
「三鷹・・・」
 彼女は次々と変わる標識を見上げながら言って、7階で「開く」のボタンを押した。
「三鷹か? 東京でも比較的自然災害を受けにくい所だ・・・」
 
 彼は自宅のカギを開けながらつぶやいた。
 
「なぜ知っているの?」
「なんとなくね。このところ九州に自然災害が集中しているから、いろいろ研究しているんだ。南海トラフ巨大地震とか、首都圏直下型地震とかね・・・」
 
 
「ふ~ん」
 彼女は感心したように宮司を見つめた。
 
「それで、三鷹からどうやってここに来たの?」
 彼は先ず彼女に問いただすべきはそこだ、というように怖い顔をした。
「三鷹は小さい頃住んでいたところ!」
 彼女は突き放すように言って窓際へ向かった。
「じゃあ、今はどこに住んでいるの?」
「ここにいるじゃない!」
 彼女は振り向くと宮司をバカにしたような目で見た。
「ここ?」
「お願い! 当分はここに住まわせていただけないかしら?」
 彼女はとつぜん態度を変えて、彼に初めて丁寧な言い方をした。
「それはいいけど、キミのこといろいろ聞かせてもらわないと・・・」
「言ってもいいけど、信じてもらえそうにないし・・・」
 彼女はそう言うと、窓の外を眺めた。
「信じてもらえない?」

 ─続く─   

 <好奇心コーナー>
 
 「月と猫」(岩合さんのネコ)

 


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「還ってきたレロレロ姫」(6)熊本市街(1)

2016-09-21 04:55:41 | 還ってきたレロレロ姫
「ともかくウチのマンションへ行こう・・・」
 宮司は車を走らせた。
「あっ、熊本城が見えた・・・。地震で壊れたんでしょう?」
 女の子が窓の外を見ながら言った。
「このところ、熊本は自然災害の集中砲火で大変だったんだ。地震で重要文化遺産の熊本城は壊れるし・・・」
 
「その後、大雨で、この辺も冠水して大変だったんだ・・・」
 
「なんで熊本ばっかり・・・」
 宮司らしくもなく、思わず子どもに愚痴をもらした。

 ・・・クマモトばかりじゃないだろ! ジゴウジトクダ・・・
「えっ?」
 宮司は彼女の顔を見たが、声が小さくて何と言ったか聞き取れなかった。
  
 たしかに宮司ではないが、熊本市は2度も大きな地震に襲われた後、数え切れないほどの余震に襲われ、さらに追い打ちをかけられるように大雨が何度も襲ってきた。

 ─続く─
 
 <好奇心コーナー>
 

 今年の夏は九州ばかりか北海道まで台風がやってきた。
 さらに16号はダメを押すかのように列島を縦断した。
 

 
 
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「還ってきたレロレロ姫」(5)中華料理店(2)

2016-09-20 05:14:24 | 還ってきたレロレロ姫
「はい、おまちどうさま」
 女将は湯気の上がっているラーメンを女の子の前に置いたが、目はジロジロと遠慮なしに彼女に注がれている。
 女の子はそんな目を一切気にしないで箸を割ると、麺をすくった。
 そのまま宮司に笑顔を向け、後は一気に麺を口に運んだ。
 
 ・・・ズルズル・・・
 勢いよくすする姿を二人の大人が凝視している。
 女の子はあっという間に食べ切った。
「美味しかった! わたしチュルチュルが大好きなんだ・・・」
「チュルチュル?」
 満足そうな笑顔を向けられて、宮司も女将も思わず同じ言葉を反復した。
「小さい頃はチュルチュルしか食べられなかったんだ・・・」
 
 思わずその意味することを問いかけようとした大人を制して彼女は立ち上がった。
「さあ、行きましょうか」
 あっけにとられた顔の宮司の手を取ると彼女は引っ張った。
 
「じゃあ、また・・・」
 同じように座って女の子の食べっぷりに見とれていた女将に声をかけると、宮司は女の子に引きずられるように店を出た。
 
 取り残された女将は、突風が店の中を通り過ぎて行ったかのように唖然としていた。

 ─続く─       

 <好奇心コーナー>
 
 小池百合子都知事は、リオ・パラリンピックのフラッグを無事引き継いだ。
 
 FNN世論調査によると、小池都知事の働きぶりは今のところ86%と評価されているそうだ。特に女性には90%を超える評価を得ているという。
 伏魔殿、東京都の問題点を明らかにしたという点で評価されたのだが、本番はこれからだ。
 
 問題をいかに迅速に片づけるかという政治的手腕にかかっている。


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「還ってきたレロレロ姫」(4)中華料理店(1)

2016-09-19 06:02:57 | 還ってきたレロレロ姫
 登校するのだろうか、前方を歩く子どもたちをハンドルを捌いて避けながら表通りへ出た。
 ・・・この娘(こ)は彼らとまったく異なる・・・
 宮司は心の中でつぶやいた。
「何が食べたい?」
「何でもいい。・・・ラーメンとか」
 ラーメンか。
 彼は中華料理店の前に車を止めた。
 
 ちょうど店を開くために女将が暖簾をかけているところだった。
「ラーメン、できるかな」
 宮司に声をかけられた女将は、それには答えないで、彼に寄り添っている女の子に目を留めた。
 
「あら、どこのお嬢さん?」
 ・・・宮司と美しいお嬢さん! 何、この組み合わせ?・・・
 何をさておいても女将が解き明かしたいことだった。
「うん、わたしの知り合いだよ」
「知り合い?」
 宮司は独身だから彼の子どもではない。
 何人か彼の知り合いを知っているが、こんなカワイイ女の子と関係のありそうなのはいない。
 女将さんは眉をひそめた。
「わたしの学生時代の友達からしばらく預かるよう頼まれたんだ」
 宮司はとっさに彼女との関係を構築した。
 そして、とりあえずはこれでいいだろう? という顔で女の子を見た。
 
 女の子はニコニコと笑っている。彼女もその線で了解したという笑顔だ。
「ともかくラーメンをひとつ頼むよ」
「えっ? ひとつ? 宮司さんのはいいの?」
「わたしはいいんだ。朝飯を食べたばかりだし・・・」
 女将さんは納得できない顔で奥にひっこんだ。

「おじさんのお友達の子どもってわけね」
 彼女は小さくうなずくと宮司にウインクした。
 ・・・おい、おい、そんな関係を了承していいの? お嬢さん! 中年の宮司だって言ったって、独身の男だぜ! 心配だな・・・

 ─続く─      

 <好奇心コーナー>
 
 百日紅が満開です!

 
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