WaterMind PC Blog

PCとネットワークに関するニュースコラム.

ネットワーク機器の自動インストールを実現する新規格 PnP-Xの技術的側面

2005-04-30 09:59:34 | ネットワーク技術
 高速LANを実現するGbEの普及により,パソコン周辺機器や内蔵ボードに関する考え方は,大きく変わりつつある.今までパソコン本体との高速な通信を必要とするために,PCIやCardBusあるいはUSB2.0で接続するしかなかった周辺機器類を,ネットワークに直接接続すると言う動き,すなわち「パソコン周辺機器のネットワーク機器化」だ.

 ネットワーク機器ならば,LAN内のすべてのパソコンでその機器を共有できるため,個々のパソコンに周辺機器を購入しなくても済む場合も多い.また,パソコンのプリンタ共有やファイル共有の場合とは違い,共有機器の接続されたパソコンが起動しているかどうかを,使用時に気にする必要もないのもネットワーク機器の特徴だ.

 現在,そのような「パソコン周辺機器的なネットワーク機器」というと,プリンタ(プリントサーバ)やNAS(HDD),あるいはカメラ(ネットワークカメラ)といったデバイスが,読者の方々にもなじみ深いと思う.これらのネットワーク機器は,Webページによる設定用ユーザーインターフェースと,イベント通知やコマンド送信を実現するためのメール送受信機能を持つのが一般的だ(即,理解できると思うが,これらのインターフェース等は,OS依存ではない事に注意したい).

 一般的に,これらネットワーク機器をパソコンで使用するための設定は,USB接続等のパソコン周辺機器よりも面倒だ.その理由の一つは,ネットワーク機器のIPアドレスにある.ネットワーク機器にもよるが,工場出荷時にIPアドレスが「決め打ち」されている場合があり,それが接続予定のLANのネットワークアドレスと異なる場合がある.このような場合,パソコンとネットワーク機器をLANケーブルで1対1接続し,パソコン側のLANアダプタのネットワークアドレスを,ネットワーク機器のデフォルトのネットワークアドレスに合わせて設定し直し,なおかつ,ネットワーク機器のWebページを表示して,IPアドレスの設定を行わなければならない.

 最近は,ルータ等のDHCPサーバが家庭内LAN内に存在するケースも多いためか,IPアドレスが決め打ちされておらず,DHCPによる自動割当がデフォルトとなっているネットワーク機器も増えてきた.しかし,DHCPによる自動割当の場合,ユーザーによるネットワーク機器のIPアドレスが把握が難しく,設定のためには,専用のクライアントソフトをインストールし,そのソフトでLAN内を検索しなければならないこともあるだろう.

 このようなIPアドレスの問題に加えて,通信プロトコルがらみの設定もネットワーク機器にはつきものだ.例えばプリントサーバでは,パソコン側に「TCP/IPポートモニタ」を手動セッティングするケースが多い.これもパソコンに直接プリンタを接続する場合には,不要な作業だ.

 このように,現在の「パソコン周辺機器的なネットワーク機器」は,パソコンに直接接続する周辺機器とは違い,ある程度のネットワークに関する知識と,作業ための時間を必要とする.しかし,我々はこのような努力をしなくても,簡単にネットワーク機器をパソコンにインストールできるはずではなかったか?そう,あのUPnP(Universal Plug and Play)にさえ,ネットワーク機器が対応していれば…

 UPnPは,パソコン直結の周辺機器と同様に,いわゆる「Plug&Play」をネットワーク機器でも可能とする規格だったはずだ.ところが実際には,UPnPの技術ページに書かれている様々な「シナリオ」は,今でも夢物語のままになっている.もっぱら,「MSNメッセンジャーのビデオ・音声チャットのためのルータ規格」としては有名になったUPnPだが,もはやほとんどのルータがUPnPに対応している現在,ユーザはUPnPという規格の存在すら,忘れ去りつつある.

 本来のUPnPはもちろん,ルータ(Internet Gateway Device)のみに関する規格ではない.実際,UPnPの標準規格書には,下記のネットワーク機器が規格化されている.
  • ルータ:Internet Gateway Device
  • メディアサーバとクライアント:MediaServer, MediaRenderer
  • プリンタ,プリントサーバ:Printer Device, Print Basic Service
  • スキャナ:Scanner (External Activity, Feeder, Scan, Scanner)
  • 空調コントロールHVAC
  • 無線LANアクセスポイント:WLAN Access Point Device
  • 照明コントロール:Lighting Controls
  • ネットワークカメラ:Digital Security Camera
 残念ながら自分は,ルータやIP電話アダプタ以外に,これらのUPnP規格に基づいたネットワーク機器を見かけたことがない.UPnPが提唱されてから,かなりの時間が経っているにもかかわらず,UPnP規格が未だに生かされていないのは,なぜだろうか?

 実は,UPnPを利用したネットワーク機器には,いくつかの問題があったのだ.「PNP-X Implementer’s Guide」によると,次の点がパソコン直結の周辺機器とは異なる.
  • デバイス検出とドライバ・インストール
  • 設定操作用ユーザーインタフェース
  • ドライバ更新の方法
 たしかにUPnPでパソコンに発見されたネットワーク機器は,発見時,通知領域にアイコン表示されるが,その後は「マイ・ネットワーク」内の「ネットワーク プレース」として表示されるのが普通だ.ネットワーク「機器」といっても,「デバイスマネジャ」に表示されるわけではないのだ.

 おそらくこの他にも「セキュリティ問題」をあげる方もいるかもしれない.このような理由により,ポート1900と5000がファイヤーウォールによってデフォルトでブロックされたり,UPnP無効化Tipsなどが出てくるのだろう.このような逆風の中では,UPnP対応ネットワーク機器の販売は難しい.

 そんな状況下,MS主催のハードウェア開発者会議「WinHEC 2005」のレポートの中におもしろい記事を見つけた.次期Windowsの「Longhorn」で採用されるかもしれない,ネットワーク機器のインストールに関する規格だ.

 「PnP-X(Plug&Play Extensions for Network Connected Device)」は,従来のUPnPを改良したネットワーク機器をインストールするしくみだ.詳しくは,アーキテクチャーを示したスライド画像を見て欲しいが,PnP-Xは,ネットワークをPCIやUSBなどと同等に扱えるようにする上層レイヤーと,従来UPnPで「ネットワーク機器発見と機能の把握」のため使用されていたSSDP(Simple Service Discover Protocol),そしてUPnPとは異なる新たな発見技術「WS-Discovery(Web Service Discoverly)」を下層レイヤーとして持つ.このPnP-Xにより,IPネットワークはUSBやPCIバスと同等と見なされ,結果的にネットワーク機器はパソコン直結周辺機器と同様に扱うことが可能となる.先ほどのUPnPの持つ問題点が克服されるというわけだ.

 図の点線からして,「Webサービスを行うネットワーク機器」の発見技術WS-Discoveryがメインのネットワーク機器発見手法であり,UPnPSSDPは,補助的,もしくは下位互換性のためにあるようだ.PnP-Xのバージョンが上がっていけば,最終的にはUPnPのサポートも終わるのかもしれない.もっとも,次期Windows「Longhorn」までの道のりは長く,また普及にも時間がかかりそうで,あと数年はUPnPの時代(?)が続くことだろう.はたしてその間,「UPnPって,便利だな!」とユーザたちを唸らせるようなUPnP対応ネットワーク機器は発売されるのだろうか?


参考リンク:

フリーのDVDメディア計測ソフト DVDInfo Ver3.56 登場

2005-04-27 22:58:45 | DVD
 DVDメディアのエラー計測の出来る定番ソフトDVDInfoPro Ver3.56が4月27日にリリースされた.有償版と,広告表示のある無償版があり,無償版は今年6月1日まで使用可能.無償版のダウンロードはこちら

 主な変更点は…
  • Sony VAIOノート内蔵の,DW-D56A 2層対応ドライブについて,ビットセッティングを追加
  • 諸事情により,いくつかのLiteon製OEMドライブは,DVD-RAMコンパチビットをセットしていたが,セットしない場合の予備手段としてのコードを追加
  • ユーザの混乱を防ぐために,LiteonのビットセッティングのダイアログがSonyの場合にも表示されるように変更
  • 2005/6/1 までの新広告を追加
 バージョン番号が示すとおり,ほとんどのユーザーにとっては,新機能の追加はなく,単純に6月1日まで使用出来るバージョンになっただけだ.計測マニアは,直ちに更新をするように.以上連絡終わりッ!

フリーのDVD測定ソフト Nero CD-DVD Speed V3.80 登場

2005-04-26 00:24:45 | DVD
 DVDメディアのエラー計測が可能なフリーソフトのNero CD-DVD Speed の新バージョン V3.80 が,4月14日にリリースされた.ダウンロードは,こちら

 主な変更点は,次の通り…
  • データディスク作成:ISOファイルのサポートを追加
  • ビットセッティング: いくつかのAccessTek製ドライブのサポートを追加
  • HTMLで保存されるファイルに,MID(Media Identification)ATIP(Absolute Time In Pre-groove)コードを追加
  • ファイル名にMID・ATIPコードを含めるオプション(%I)を追加
  • 記録型DVDメディアのレイヤー分岐点(layer break)の検出力を改良
  • ディスク品質テスト:
    • 「データディスク作成」機能で焼かなかったDVD-R/DVD-RWメディアのレコーダ情報を追加
    • いくつかのドライブについて,品質スコアのアルゴリズムを追加

  • その他若干の改良とバグつぶし
ちょっと連絡が遅れて申し訳ない.ウイルスバスター騒動の余震がまだ続いている状態なので,本日はここまで.

緊急連絡!ウイルスバスターによる全国規模の不具合対処法

2005-04-23 22:05:22 | セキュリティ
 本日23日午前に,全国的な大規模電子災害が発生した.ウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」をインストールしたWindowsXP SP2パソコンの一部が, 立ち上がらなくなったり,おそろしく動作が遅くなるなどの致命的障害が発生し,事実上パソコンが使用不能になるのが,主な現象.

 原因は,本日午前にリリースされたウイルスバスター用のウイルス定義ファイルに,不具合があったため.この不具合入りウイルス定義ファイルが,ウイルスバスターの自動更新機能などにより,インターネットからダウンロードされると上記の症状が現れる模様.ちなみに現在の最新版ウイルス定義ファイル(2.596.00)においては,この不具合は解消されている.

 ウイルスバスターは,非常に多くのパソコンで採用されており,大手新聞社の業務用パソコンなどにも影響が出ている.以下引用.

【12:11】 日本経済新聞東京本社販売局でパソコンの処理スピードが遅くなったとの情報があり、確認を急いでいる。信濃毎日新聞でもパソコンにトラブルが発生している。
【12:10】 共同通信のシステム障害は、トレンドマイクロ社のウイルス対策ソフトを最新版に更新した際に発生していたことが分かった。
【12:03】 読売新聞東京本社によると、23日午前9時ごろ、同社で業務に使用しているパソコンの一部に障害が出た。新聞製作に影響はない。
【12:00】 朝日新聞大阪本社によると、23日午前、同社のコンピューター端末の一部で不具合が発生し、現在復旧作業をしている。   
【11:47】 朝日新聞によると、同社東京本社で23日午前、社内LANを使った記事編集システムに一部のパソコンから接続できなくなった。紙面発行に影響ないという。
【11:38】 JR東日本の東京、八王子、横浜支社などの社内LANシステムが23日午前8時ごろから、ダウンしていることが分かった。

WaterMindにも,今朝から数台のウイルスバスター・インストール済みパソコンの不具合の相談があり,今回のウイルスバスターの不具合は,全国的な大規模電子災害の様相を見せている.

今回の不具合の対処法は,以下の通り
  1. パソコンに電源が入っており,通常の方法で電源が切れない場合は,電源ボタンを6秒以上押して,パソコンの電源を切る.

  2. パソコン電源を投入する.

  3. すぐに「F8」キーを押し続ける.

  4. Windows 拡張オプションメニューが表示されたら,矢印キーで「セーフモード」を選択し,ENTERキーを押す.

  5. 「セーフモードで起動しています」というボックスが表示されたら,「はい」ボタンをクリック

  6. スタートボタン→「ファイル名を指定して実行」とクリック

  7. 「名前」欄に,

    • ウイルスバスター2005 の場合は C:¥Program Files¥Trend Micro¥Virus Buster 2005
    • ウイルスバスター2004 の場合は C:¥Program Files¥Trend Micro¥Virus Buster 2004

    と入力し,OKボタンをクリック

  8. 表示された画面の中の,「LPT$VPN.594」を右クリック

  9. 「削除(D)」をクリック

  10. 「削除しますか?」と尋ねられたら,「はい」ボタンをクリック

  11. スタートボタン→終了オプション→再起動とクリック

  12. パソコンが再起動し,通常のWindows画面が表示されたら,画面右下隅の時計の左隣にある「カプセルに稲妻」のマークを右クリック

  13. 「最新版にアップデート」をクリック

  14. )ダウンロードが終了すると,定義ファイルの更新が始まるので,再び画面右下隅の時計の左隣にある「カプセルに稲妻」のマークが表示されるのを待つ.

  15. スタートボタン→終了オプション→再起動とクリック

  16. 正常に動作することを確認



参考リンク



PCケース セルサス FP-402BK 

2005-04-22 03:57:16 | ハードウエア
 前の記事からずいぶん時間が経過しているが,ようやく新規記事を書くことができた.この長期インターバルは,「予想外に仕事が増えてしまったため,忙しすぎて更新できない」というのが主な理由なのだが,実はそれだけではない.ちょっとしたハプニングが発生したからだ.

 先日,自分のメインマシン(サーバ扱い)を止めて,掃除等のメンテを行ったのだが,それを最後に電源が入らなくなってしまった.長年パソコン自作を行っている者であれば,年中無休24時間動いているマシンの電源を止めることが,いかに危険なことであるかは知っているだろう.

 とりあえずATX電源検証ボードで電源をチェックしてみたが,やはり反応無し.そこでATX電源を取り出して,ばらしてみたところ,ほとんどの電解コンデンサが妊娠しており,頭頂部から液漏れしているものもあった.数年間,ほとんど無休で働いてきた電源だったので,以前から気にはなっていたのだが…

 ということで,突然,電源を購入するか,電源付き新ケースを購入するかという決断に迫られたのだが,散々悩んだあげくに,新ケースを購入することにした.現ケースは,夏場40度近くなる私の部屋において,冷却に問題があったのだ.さっそく,地元のドスパラ静岡店へ直行し,冷却効率が高く,信頼性のおける電源を内蔵した,1万円ぐらいのケースを物色した.この店,以前よりケースの品揃えが少なくなったようで,選択肢は意外に少ない.なかなか良いものが見つからず,あきらめて別の店に移動すべきかと思った矢先,一台の黒いケースが私の目にとまった.

 それはセルサスFP-402BKだった.前面は一部メッシュで吸気用8センチ角ファン×2標準搭載.そして後ろは排気用12センチ角ファン×1標準搭載.サイドパネルには,パッシブダクトを標準装備しするだけでなく,12センチ角ファンの取り付けも可能だ.電源はFORTREXの静音400Wという仕様.詳しくは上記リンクを参照されたし.

 このケースならば,私の要件をほぼ満たしている.値段も1万500円ぐらいで予算内だ.ということで,購入を決定した.幸か不幸か,展示品しかなかったため,1,000円値引きしてもらい,展示品を9,500円で購入できた.その後,雨の中,ずぶぬれになりながら,片手でこのケースを持ち,自転車で移動すること15分.ようやく自宅にたどり着いた.さすがに肩はぱんぱんに張っている.やはりスチールケースは重い!!

 帰宅後,この新ケースに,現ケース内のすべての内蔵を移植する手術に入ったのだが,これが予想外に時間がかかった.WebページにFP-402BKの詳しいレポートを載せるため,内部構造等をデジカメで撮ったり,現ケースから取り出したパーツの掃除と健康診断を行ったり,一部ケーブルの自作が必要になったりと,移植以外の作業に時間がかかったためだ.結局2台のHDDクーラーも死にかけていたことがわかり,これらも交換することになった.

 こうして,移植手術が終わり,ようやくメインマシンは復旧し,ブログを書くこともできるようになった.めでたし,めでたし…

 ということで次回は,FP-402BKの使用レポートをお伝えしたいと思う.

ネット電話ソフトSkype用周辺機器 日本で発売開始

2005-04-13 00:52:12 | ネットワーク技術
 フリーのネット電話ソフトSkypeが,いわゆるMSNメッセンジャーや,Yahoo!メッセンジャーといった,インスタント・メッセンジャーとは違い,ネット電話機能に注力したソフトであることは,以前記事にしたとおりだ.その記事の中で,いわゆるメッセンジャーソフトとは違い,Skypeにはハードウエアの展開が目立つことを書いた.本日,ウェルトーンという会社から,音質を重視したSkype用周辺機器が発売されるとのニュースが入ったので,今回はこれをご紹介する.

 ニュースソースによると,まず第1弾として,音声チャット用の「マイク/スピーカジャックタイプ ハンディフォン (WB-1001)」が発売される.このWB-1001は,汎用のハンドセットで,通常,音声チャットに用いられるヘッドセットと同様に,PCのマイク端子とヘッドフォン端子に接続して使用する.そのため,ボリュームとミュート機能以外,特別な機能は持っていないものの,音質は良いとのこと.店頭予想価格は5,200円とかなり高め.この汎用ハンドセットWB-1001自体は,いままでのヘッドセットの変形であり,機能的になんら変わりはないが,その後発売される予定の関連製品の中には,Skypeに特化した製品がある.

 まず関連製品として注目されるのが,このWB-1001用のスピーカー内蔵台座だ.このスピーカー内蔵台座はUSB接続でPCと接続され,Skypeの着信音が,この内蔵スピーカーから出力されるようになっている.また,WB-1001用(注:一般的なヘッドセットでも利用可能)のマイク端子とヘッドフォン端子もあり,通常,WB-1001はこの台座につなげておく.受話の手順は次にようになる.
  1. Skype着信音が内蔵スピーカーから鳴る
  2. 台座からWB-1001を取り上げる
  3. 台座の本体スイッチを押して,音声出力をスピーカーからWB-1001に切り替える
  4. 通話をする
 この一連の受話手順は,確かに一般の固定電話に近い.ただ詳細はわからないのだが,この説明手順だと,固定電話とは違い,WB-1001を台座から取り上げた後,2つの操作が必要になるのかもしれない.1つは,本体のボタンを押し,音声出力をスピーカーからWB-1001に切り替える操作.もう一つは,マウスでSkypeの受話ボタンをクリックする操作だ.固定電話のようにWB-1001取り上げただけで,この2つの操作はしてくれないのだろうか?いずれにしても,WB-1001と台座をセットで購入すると,1万円近くなるが,セットで購入した方が便利には違いない.

 次に発売予定の製品は,上記の製品よりも,ずっと固定電話に近いものだ.「Skype対応USBハンディフォン (WB-2001)」は,一見すると「ディスプレイのない有線携帯電話」といった感じの製品だ.様々なキーを持ち,PCを一切操作せず,WB-2001単体でSkype電話をかけたり,受けたりすることができる.WB-2001には,携帯電話のような液晶画面はないが,その代わりにPC画面を使用する.十字キーを使用して,PC画面に表示されたSkypeのコンタクトリストから,かけたい相手を選択し,電話をかけることもできるようだ.店頭予想価格は8,400円とのこと.値段からすると,先ほどの,「WB-1001と台座セット」よりも安くて高機能なので,こちらがお薦めになるだろう.

 WB-2001の上位機種である「Skype対応USBハンディフォン(64MBフラッシュ内蔵) (WB-2501)」は,WB-2001にフラッシュメモリを内蔵させた機種だ,このフラッシュメモリにはSkype本体とその関係ソフトが入っており,WB-2501をPCに刺すだけで,Skypeがインストールされ,使用出来るようになるようだ.本体は小型で,バッテリー駆動ではないため,常に持ち歩き,一種の携帯電話のように使用出来るのがポイントなのだろう.

 ニュースソースを見ると,この他に「無線ハンディフォン」や,「USBスピーカフォン(インターフォンタイプ)」なども予定されているようだ.それらの中でちょっと気になるのが,「一般の電話機をIP電話端末として利用するためのUSBコンバータ」だ.これについては,詳細はわからないが,おそらく固定電話機と接続するためのモジュラージャックと,パソコンに接続するためのUSB端子を持ち,Skypeが着信すると,固定電話機を鳴らすようになっているのだろう.もちろん固定電話機の受話器を取れば,通常の電話と同様にすぐに会話が始められるはずだ.ただ電話をかけるときの操作はどのようにやるのだろう?相手が電話番号を持っているのであれば,通常の電話と同様に,電話番号をプッシュすればいいのだろうが…それともコンタクトリストのメンバに割り当てることができる,「短縮番号」をプッシュするのだろうか?

 いずれにしても,Skypeとこれらの機器を組み合わせれば,通常の電話感覚で,ネット電話が使用出来るに違いない.特にWB-2001には期待したいところだが,8,400円という値段はちょっと高価に感じる.デザインからしてビジネス用なのかもしれないが,単なるヘッドセットならば500円ぐらいからあるのだから.

コンパクト・メカニカルキーボード SMK-90JPU(PRO)試用レポート3 - キーカスタマイズ編

2005-04-11 16:35:45 | ハードウエア
 今回は先日掲載した記事,コンパクトタイプのメカニカルスイッチ採用キーボード,Strong Man(SMK)SMK-90JPU(PRO)の試用レポートの第3弾だ.前回,SMK-90JPU(PRO)には,双子のようにそっくりな異母兄弟(SIGMA(Cool Builders)CBMK90IV)がいることをお伝えした.この2つの製品は,見た目には,全く同じだが,採用されているキースイッチ,キー配列,PCとの接続方法,さらには価格に違いがある.この比較の中で,SMK-90JPU(PRO)のキー配列(特にBSキーの横のスリープキー)の問題が,CBMK90IVにはないことを指摘した.

 その後,記事についた某M氏のコメントなどに喚起されて,キーカスタマイズソフトにより,SMK-90JPU(PRO)のキー配列を,CBMK90IV化することを思い立った.今回の第3弾は,SMK-90JPU(PRO)のキーカスタマイズについて,レポートする.

 まず手始めに簡単に,キーカスタマイズ・ソフトについて触れておこう.キーカスタマイズ・ソフトは,特殊なキーボード・デバイスドライバを含むソフトで,キーの配列を自由に再配置できるソフトのことだ.コンパクトキーボードなどを使用する場合や,Ctrlキーをよく使用するユーザーが「左CtrlキーとCapdLockキーを入れ替えたい」場合などによく用いられる.

 フリーのキーカスタマイズ・ソフトとしては,シェアウエアからフリーウエアに替わった「猫まねき」と,オープンソースの「窓使いの憂鬱」などが代表格となっている.この両者にはそれぞれ特徴があり,どちらが適切かどうかは,ユーザ毎に異なると思う.

 「猫まねき」は,基本的にはPS2キーボード専用のキーカスタマイズソフトだ.USBキーボードに対しては使用出来ないものの,GUIで簡単にキーカスタマイズができる.先ほど述べた「左CtrlキーとCapsキーを入れ替え」については,既にオプションとして準備されており,チェックボックスにチェックを入れるだけで実現可能だ.その他の代表的なキーの入れ替えについても,同様にオプションで設定できる.さらには,「テキスト入力代行」機能を持ち,この機能を使えば,いわゆる「定型文」を設定して,簡単な操作で入力することができる.

 これに対して,「窓使いの憂鬱」は,(Linux風に)キー配列定義ファイルをテキストエディタで編集して,キー配列を再定義するが,非常に柔軟な設定ができるのが特徴だ.例えば,Ctrlキーなどのモディファイヤキーを定義できたり,1つのキー押しで,2つキーを続けて押したように定義することができる.さらに最新版では,USBキーボードにも対応した.ただし,現在正式公開されているバージョン3.28は,WindowsXPに正式対応しておらず,私の環境では,途中でキー入力ができなくなるなどの不具合がでた.バージョン3.29以降にWindowsXPに正式対応したようだが,不具合があり公開停止となり,現在テスト版置き場に置かれている.事情はわからないが,すでにバージョン3.30の開発が進んでいるようで,最新版のスナップショットの日付は,2005年4月8日になっており,複雑な様相を見せている.

 「窓使いの憂鬱」の最新2chスレ「窓使いの憂鬱 4」の2004年6月4日付テンプレによれば

Q. 最新版を探してるんだけど、公式サイトに行っても3.28しかないけど?
A. XP正式対応バージョンである3.29を公開したところ、
3.28で正常動作していた人でうまく動かなくなった人がいたので公開停止にした。
が、3.29で正常動作している人もたくさんいる。ちなみに3.29の場所は
http://mayu.sourceforge.net/test/

Q. で、結局どのバージョンを入れればいい?
A. 的確に答えられる人はいない。参考までに、前スレ746さんの書き込み。
> XPで使う場合、mayu-3.29-nt.exe + mayud_1_13.sysで不具合無ければOK.で、
> 不具合が出たらmayu-3.29-nt.exe付属のmayud.sysに戻す、
> それでも駄目なら諦める、って事っぽい。
とのこと.なおバージョン3.30から「Windows9x/Me/NT4.0 非対応」になったので注意.

 ということで,代表的なソフト2つを試用してみたのだが,本格的な機能を持つ「窓使いの憂鬱」については,本当に憂鬱になりそうな気がしたので,とりあえず「猫まねき」を常用することとした.「猫まねき」のカスタマイズ設定は非常に簡単で,目的であった「CBMK90IV化」については,すぐに設定できた.ついでに「左CtrlキーとCapsキーを入れ替え」も設定したのだが,やはり入れ替えた方が遙かに便利な事がわかった.この2つのキーの入れ替えは,かつてはプログラマを中心に「死活問題」と呼ばれ,「プログラマ御用達コンパクト・キーボードならば,HHK」という鉄の掟をも産み出した.今日では,これらのキーカスタマイズソフトをインストールしさえすれば,ほとんどのキーボードでこの問題は解決される.プログラマの胃潰瘍罹患率を下げた作者たちの努力には,敬意を表したい.ちなみに私の環境では,「猫まねき」のメモリ使用量は4~9MBぐらいで,リソースもそれほど消費しないようだ.

 ところで「CBMK90IV化」計画は,これで終わったわけではない.実は「猫まねき」常駐後にも,解決されていない問題があったのだ.それは「スリープキー」だ.確かに「猫まねき」に設定したとおり,「スリープキー」押しによって,「Home」が押されたことになるのだが,「Windows終了オプション」も表示されたしまうのだ.これでは一番の問題が解決されていないことになる…

 ところがこの問題は,意外にもあっけなく解決した.そもそも自分は「Sleep(節電モードへ)」「Wake(節電モードから復帰)」「Power(電源投入)」キーとは無縁に過ごしてきたため,これらのキーの仕組みや出自について,全く知らなかった.調べてみれば,これらのキーには「ACPIキー」という立派な名前が付けられており,スキャンコード(押したキーを判別するために定義されたコード)も割り当てられている.つまり,「A」キーや「ENTER」キーと同じ,「単なるキー」であり,それ以上でもそれ以下でもない.パソコン本体の電源ボタンのように,キーボードとは違う回路で信号をPCに送っているわけではないのだ.もちろん「ミュート」キー,「ボリュームアップ」キー,「ボリュームダウン」キーといった,いわゆる「オーディオコントロールキー」ついても同様で,やはりスキャンコードが割り当てられている.

 全く余談ではあるが,USB(HID)キーボードのキー定義(UsagePageとID)を見ると,見たことも聞いたこともないキーが大量に定義されていた.おそらくPCのキーボードにはなく,他のワークステーションや端末等の入力デバイスに存在するキーなど,網羅的に含めたためだろう.ちなみにHID定義のファンクションキーには,「F24」キーまで定義されていた.これらのHID定義キーの大部分には,PS2のスキャンコードが定義されている.詳しくは「USB HIDからPS/2スキャンコードへの変換表」を参照のこと(注:この表にはオーディオコントロールキーのPS2スキャンコードは定義されていないようだ).おそらくHIDの定義が先にあり,それらのHID定義キーを,PS2キーボードからも使用出来るように,それぞれのHID定義キーに対応したスキャンコードを「後追い定義」したのだろう(未確認).つまり本来USBキーボードでなければ使用出来なかったキーを,PS2キーボードでも(OSが対応さえしていれば)使用出来るわけだ.やろうとおもえば「窓使いの憂鬱」を使って,それら,HID定義ドキュメントの中でしかお目にかかれない「幻のキー」を使用することが出来そうだ.

 話はそれたが,ACPIキーは,今は懐かしいPCハード仕様「PC2001システムデザインガイド」のVer.0.7で,標準キーとして採用されたらしい.当然OSが立ち上がっていない電源断時に,「Power」キーは使用されるので,これらACPIキーのスキャンコードはACPI内で定義されており,スタンバイ電力で動いているACPI BIOSによって監視されているはずだ.そしてOS起動後の電源管理は,BIOSからOSに移管されるため,ACPIキーもOSによって監視される.おそらくノートパソコンによく見られる「スリープボタン」も,形はずいぶん違うが,実は単なるキーボードの「キー」にすぎないのだろう.だとすると…

 答えはもうおわかりだろう.スタートボタン→コントロールパネル→「電源オプション」→「詳細設定」タブとクリックし,「コンピュータのスリープボタンを押したとき」で「何もしない」を選択すれば,「スリープキー」を押しても,終了オプションは表示されない.これでようやく,事件は解決した.青空!

 …と・こ・ろ・が.疑問が残る読者もいるに違いない.もしスリープキーのスキャンコードを見て,OSが電源制御するのであれば,「猫まねき」によって,別のキーのスキャンコードは変更されているのに,なぜその別のキーとスリープキーの,2つが押されたような挙動を示すのであろうか?

 この謎の答えはWindowsのキー入力処理の中にある.OS起動中,キーボードは,キーが押された時(Make)と,押されたキーを放した時(Break)に,それぞれに対応したスキャンコードを,OSのキーボード・デバイスドライバに渡す.デバイスドライバは,スキャンコード(押したキーのコード)を仮想キーコード(押されたキーに対応する文字や機能のコード)に変換し,OSに渡す.「猫まねき」はデバイスドライバの一部になりすまし,内部でスキャンコードを横取りし,それを別のスキャンコードにすり替えてしまうことで,キー配列の再定義を実現しているようだ.ただし,そのすり替えを行う前に,本物のデバイスドライバがスキャンコードを見ていて,何らかのアクションを起こしている場合には,手の出しようがない.ACPIキーはまさに,それに該当する.ちなみにACPIキーの機能には,仮想キーコードは割り当てられていない.

 ということで,途中からずいぶんと技術的な話になってしまったが,当初の計画通り「SMK-90JPU(PRO)CBMK90IV化」は成功し,「左CtrlキーとCapsキーを入れ替え」というオマケも付いた.これでSMK-90JPU(PRO)試用レポートも,ようやく終わることができそうだ.SMK-90JPU(PRO)は現在,ドスパラで入手可能(注:ドスパラページでは「PS2」と記載されているが,実際にはUSBキーボードで,USB→PS2変換アダプタが付属する).

HDDレス・デスクトップ HP t5710 Thin Client 登場

2005-04-10 04:38:48 | ハードウエア
 「シン・クライアント(Thin Client)」といえば,HDDが内蔵されておらず,リモート・デスクトップ・サーバ(ターミナルサーバプレゼンテーションサーバ)に接続し,それに対する単純な入出力機能しか持たない低価格なクライアント端末と言うイメージが私にはある.いわば,「ゲームコントローラの代わりに,キーボードとマウスをくっつけた,高解像度表示のネットワーク機能付きテレビゲーム機」とでも言ったイメージだ.私は時々,Win98SEマシンから,WindowsXP PROにリモートデスクで接続し,操作を行うことがあるが,別段不自由を感じない.ちなみにこのWin98SEマシンは,233MhzのCPUと64MBのメモリしか持っていない.それゆえ,「シン・クライアントは安いはず」と,常々思っているのだが,実際はそうはいかない.

 以前の記事「HDDレスのノート型端末 FLORA Se210 登場」で紹介した端末も,最低価格が26万円であり,私のイメージするハードウエアとしてのシン・クライアントからはほど遠い.

 ところが7日に,私のイメージするシン・クライアントに,非常に近いマシンの発売が発表された.HPの「HP t5710 Thin Client」がそれだ.主なスペックは…
  • OS:Microsoft Windows XP Embedded Service Pack 2
  • CPU: Transmeta Crusoe 800MHz
  • フラッシュメモリ: 512MB
  • メモリ:512MB DDR SDRAM
  • ビデオチップ: ATI Radeon 7000M(メインから16MBシェア)
  • インタフェース:RS-232C,パラレル,USB2.0×4,PS/2×1,アナログRGB,マイク,ヘッドフォン,LAN(100BASE-T)
  • スロット: PCIスロット×1(PCIスロット拡張キットによる)
  • 付属品: 109Aキーボード(PS2),スクロールマウス(PS2)
  • 大きさ・重量: W100×D195×H230mm,約1.39kg
  • 消費電力: 最大40W
  • 付属ソフト:
 ご覧の通り,HDDも,光学ドライブもない.写真を見ると光学ドライブのドアに見える部分が正面にあるが,ただの飾りだ.このような省略のためか,デスクトップ端末としては,本体容積が相当小さく,見た目は「太めのモバイルノート」と言った風体だ.これは私のイメージしていた「テレビゲーム機」にかなり近い.しかもレガシーなインターフェースを削れば,Mac miniよりも,もっと小型化できそうだ.

 「HP t5710 Thin Client」のOSやその設定はフラッシュに保存されるため,OSの更新にも対応可能.これらのハードウエアの省略や,省電力CPUであるTransmeta(涙)Crusoe800MHzを使用しているためか,消費電力は最大でも40Wと最近のPCと比べて,これまたかなり小さい.熱発生も少ないため,ファンは内蔵されておらず,ある意味では「究極の節電・無音・小型デスクトップマシン」とも言える.

 さらにご存じのようにシン・クライアントの特徴の一つとしては,「セキュリティの確保のしやすさ」がある.「HP t5710 Thin Client」は,セキュリティ機能として,
  • 本体が盗まれないためのセキュリティロック(ケーブルはオプション)
  • USBメモリ等にファイルをコピーさせないための「USBストレージセキュリティオプション」
  • フラッシュメモリの内容を管理者以外に書き換えられないようにするための「エンハンスド・ライト・フィルタ(EWF)」
を持っている.USBやパラレル・シリアルインターフェースを持っているため,プリントアウトによる個人情報盗難が気になるが,おそらく管理者によるプリントアウト無効化が可能なのだろう.

 問題の価格だが,¥60,900と決して安いとは言えない.事実,この値段ならばOS付のPCが購入できてしまう.しかも,見えないコストとして,サーバマシンのハードウエア料金(最も安いエントリー向けサーバのHPの例),サーバ・ライセンス料金,クライアント・ライセンス料金(CAL)(例:HPのWebショップならば,Windows Server 2003 Standard Edition(5CAL)で¥80,000,サーバなし5CALのみなら¥31,500)が別途かかることになる.これらはサーバに接続するシン・クライアントの台数で割り算されるが,サーバOSのライセンス料金を台数で割った単価(上記の例ならば,¥80,000÷5クライアント=¥16,000)は,だいたいWindowsXPの価格に近いので,OSにかかる経費から見ると,「¥60,900」は,PCで言えば「OS無しのマシン価格(但し,サーバ機分価格を含まない)」と見なしていいだろう.

 試しに,1台当たりのサーバコスト(ハードとOSのみ)を試算してみた.「P4-3.2Ghz, 512MB, RAID5(ホットプラグ対応SATA80GB*3), FDDなし,保守無し」と,ぎりぎりまで能力を絞るカスタマイズを施した,HPの最も安いエントリー向けサーバProLiant ML110 G2に,Windows Server 2003 Standard Edition(5CAL)をインストールした場合,税込み価格は¥235,200となった.これを単純に5クライアントで割ると,1台当たりのサーバコストは,¥47,040となる.

 ここまで「見えないコスト」について見てきたが,「見えないコスト削減」も同時に発生しているのを忘れてはならない.PCを所有する場合よりも,いわゆる,TCOが,より少なくなるからだ.それを価格に反映させたとするのであれば,1台当たりのサーバ経費ぐらいは,差し引くことができるのかもしれない.ここら辺は実に微妙で,運用実績のない「HP t5710 Thin Client」においては,未知数と言える.

 いずれにしてもシン・クライアントのハード本体価格として,「HP t5710 Thin Client」は,今までで一番安いのではないかと思う.レガシーなインターフェースが削り,大量生産が可能ならば,まだ価格は安くできそうだ.そうなれば,一般家庭においても「シン・クライアント&ネット家電&ホームサーバ」が浸透する可能性が無いわけではない.「さらば!PC!」と言うわけだ.

 今までこの手のコンセプトのマシンは,何度も登場しては消えていった.JavaStation(詳しくはこちら),OracleのNCなどがその代表格だが,今回のシン・クライアントには「セキュリティ確保義務」「個人情報保護法」という強力な助っ人がいる.まずは,HPのお手並み拝見と行きたい.

ネット電話ソフト Skype 1.2.0.41 登場

2005-04-09 07:23:03 | ネットワーク技術
 このブログで時々取り上げているネット電話ソフトの「Skype日本語版」が,バージョン「1.2.0.41」にバージョンアップした.9日6:00AM現在,旧バージョンのSkypeが立ち上がっていて,なおかつ「アップデートを自動的に確認する」に設定されていても,自動更新はされない.また「ヘルプ」メニューの「アップデートの確認」をクリックしても,「新バージョンは存在しない」と書かれたWebページが表示されてしまう.このため新バージョンに更新するためには,手動で新バージョンをダウンロードし,インストールする必要がある.ダウンロードはこちら

 変更点は…
  1. 各言語版の翻訳を改善
  2. プロキシ経由の(文字)チャットと通話の接続性を向上
  3. プロキシ経由でのログインを改善
  4. 「セントラル・コンタクトリスト」を改善
  5. SkypeIn(通常の電話機からの着信)でかかってきた電話がボイスメールサービスに転送されるときに,慣例上の応答メッセージが再生される
  6. エコー・キャンセレーション機能により,DTMFトーンが阻害されないように,DTMFトーンが鳴る時には,200ミリ秒の間マイクをミュートする
  7. セットアップ中,登録先のディレクトリへ,アバタ(コンタクトリスト内のメンバの顔写真)を書き込むのに失敗する場合があったが,これを修正
  8. バージョン1.1,あるいはそれよりより古いバージョンと,バージョンと1.2の間での通話(calls,あるいは呼出音)ができないことがまれにあったが,その場合,双方で音がしない,あるいはノイズが流れるだけだったが,その不具合を修正
  9. いくつかのケースでは,チャット全体が再シンクロ(resynced)されていたが,その不具合を修正(ちょっと意味不明)
 ちなみに私と同様に,本バージョンの変更点を,英語から日本語訳した「ライブドア版の更新履歴」では,5番目を「スカイプインでボイスメールを再生したときに流れるウェルカムメッセージをカスタマイズ可能に変更」としているが,原文は

"if a SkypeIn call is sent to voicemail, custom(慣例の) greeting is played"

であり,"customized greeting"ではないし,また「ボイスメールが再生される」とは,どこにも書かれていない.どちらが正しいかは,皆さんでご判断下さい.以上,連絡終わりッ!


参考リンク

新登場!MSNメッセンジャー7.0正式版 - 「ビデオ会話」の技術的側面

2005-04-08 05:44:51 | ネットワーク技術
 多くのメジャーなPCニュース系サイトで取り上げられたように,本日7日,コンシュマー向けインスタントメッセージングソフトの代表格「MSNメッセンジャー7.0正式版(Build7.0.0777)」がリリースされた.既に先行公開されていた「MSNメッセンジャー7.0お試し版(ベータ版)」よりも,様々な機能が追加されている.

 ベータ版からの主な変更点は…
  • メンバーを300人まで追加できる
  • ビデオ会話」機能の追加(「ビデオチャット」ではない.詳細は後述)
  • サーバー経由での音声チャット
  • 写真共有機能の無料化
  • メンバーの今聞いている音楽のタイトル表示及びMSNミュージックとの連携
  • 表示メッセージ機能の追加
  • MSNスペースのマイスペースへの移動ボタン追加
  • メンバリストの各メンバ状態アイコンの代わりに,メンバ画像を表示
  • 「ウインク」のアニメ変更,及び有償提供
  • 「シェイク」の時間を短くした
  • 文字や背景,表示アイコンをD&Dで設定可能
  • コンテンツパックの提供:カスタマイズされた絵文字,背景,表示アイコン,ウインクのセット(現在は提供されていない)
  • サインインする前の状態のデフォルト化
  • Passport にサインインするときに一覧に表示される名前の編集
 この他に現在,日本でサポートされていない新機能としては
  • 有料のビデオコールを申し込んで高品質のビデオ機能と音声機能を利用する
  • ダイナミック表示アイコン(アバター機能)の有償提供
  • musicmix: 特定のメンバの間で音楽をリストに投稿したり,他のメンバが投稿した音楽を聴く
  • 携帯端末等のSMS(ショートメッセージ・サービス)へのIM送受信
  • SPOT対応腕時計「MSN Direct Watch」へのIM送信
 これらの新機能の中で,特に私が気に入ったものは「表示メッセージ」機能だ.自分としては今まで,MSNメッセンジャーの「状態」の詳細をメンバに知らせるため,「WaterMind@修理中」と言った風に表示名を変えて対処してきた.今回の新機能「表示メッセージ」を使えば,表示名は変えずに表示メッセージだけ打ち直せば,「状態」の詳細をメンバに知らせることができる.但し,Yahoo!メッセンジャーのように,以前に入力した表示メッセージの履歴から,表示メッセージを選択することはできない.この点は早く改善して欲しいと思う.

 さて新機能の使い方や紹介は,他のサイトやオンラインヘルプに任せるとして,我々は新機能の技術的側面,特に「ビデオ会話」についてを見ていこう.

 新機能「ビデオ会話」は,従来の「ビデオチャット」とは全く似て非なるもので,ロジクールが新たに開発したアーキテクチャーを採用した,より高品位な「TV電話」を実現した機能だ.

 「ビデオ会話」機能の特徴としては…
  • ブロードバンドに対応
  • 接続性の改善:サーバー経由通信であるため,従来,ファイヤーウォールのためにビデオチャットできなかった環境でも,できる可能性が大きくなった.
  • 解像度の拡張による画像の不鮮明さ排除
  • ビデオ画像の全画面表示
  • 音声とビデオのずれを補正したスムーズな映像
  • 他のオペレーティング システムを使用しているメンバとの接続をサポート
 従来採用されてきた,UPnP対応ルーター経由のナローバンドでP2Pで通信する「ビデオチャット」の場合,音声と映像はそれぞれ独立した機能であったため,音声と映像がシンクロしない場合があった(注:私の推測).今回の「ビデオ会話」では,音声と映像はミックスして,同時に1つのストリームにビデオ・エンコードされるため,このような問題は発生しない(注:具体的な技術の詳細は,公開されていないので推測)

 ただし,本バージョンでも「ビデオチャット」機能は残されている.今後,「ビデオチャット」の用途は
  1. 自分または相手が,ナローバンド(ダイヤルアップ接続)の場合
  2. 相手が MSN Messenger 7.0 をインストールしていない場合
  3. 相手がビデオ会話を受信できない地域にいる場合
と行ったケースで,「ビデオ会話」が十分に,あるいは全く機能しない場合に用いられることになる.ちなみに,3番目のケースは,おそらく,ビデオ会話中継サーバが設置されていない地域だと思われる.ではなぜ「受信できない」ではないのか?

 おそらく,この3番目のケースで「相手は受信できないのに,送信だけはできる」と想定されているのは,「ビデオ会話」において,「受信がサーバー経由,送信がP2P」で行われるためと想像される.通常,ファイヤーウォールが遮るのは,インターネット側からの接続(インバウンド)であり,インターネット側への接続(アウトバウンド)は遮断されない.つまり「ビデオ会話中継サーバ」の役割は,この受信に関するファイヤーウォール問題を解決することであり,「ビデオ会話」の送信部には何ら携わっていないと推測される.ちなみに従来の「ビデオチャット」は,ルーターのUPnP機能によって,ファイヤーウォール越しであってもP2P接続のみでも送受信していた(ファイヤーウォールに自動的に穴を開けていた).「「ビデオ会話」機能は,MSNメッセンジャーの音声・ビデオチャットに必須とされていた,「双方のルーターがUPnPに対応していなければならない」という条件を消滅させる事に成功したのだ.なお,音声チャットに関しても,本バージョンからP2Pで通信できない場合は,サーバ経由になるとのことだ.

 さて,ここらでまとめてみよう.MSNメッセンジャーの音声・ビデオ機能には次のものがある.
  • 旧バージョン音声チャット:音声のみ,P2P接続,UPnP対応ルータ必須,Win9x系も使用可
  • 新バージョン音声チャット:音声のみ,P2P接続またはサーバ接続,UPnP対応ルータ不要,Win9x系も使用可
  • WebCam:映像のみ,サーバ経由,UPnP対応ルータ不要,Win9x系でも使用可
  • ビデオチャット:音声&映像,P2P接続,UPnP対応ルータ必須,WinXP同士のみ
  • ビデオ会話:音声&映像,送信:P2P接続,受信:サーバ経由,Win9x系でも使用可


 比較のため,Yahoo!メッセンジャー6.0の音声・ビデオ機能についてもあげておこう.
  • ボイス機能:音声のみ,サーバ経由,UPnP対応ルータ不要,Win9x系も使用可
  • ビデオ機能(通常モード):映像のみ,サーバ経由,UPnP対応ルータ不要,Win9x系でも使用可
  • ビデオ機能(拡張ビデオモード):映像のみ,P2P接続,ファイヤーウォール設定必要,Win9x系でも使用可
 見て頂ければわかるが,Yahoo!メッセンジャーは,音声チャットやビデオチャットの品質よりも,接続性を重視している.これに対して,ライバルのMSNメッセンジャーは,接続性よりも音声チャットやビデオチャットの品質を重視してきた.

 MSNメッセンジャー7.0正式版の新機能「ビデオ会話」「新音声チャット」の登場により,Yahoo!メッセンジャーに比べて劣っていた,MSNメッセンジャーの音声・ビデオ機能の接続性の問題は,ほぼ解決された.その上,音声と映像のシンクロ問題も解決したこのMSNメッセンジャー7.0正式版の「ビデオ会話」は,PCによるインターネット経由「TV電話」の中で,最も優れたものになるかもしれない.ただし,その他の多くの機能や操作性については,まだまだYahoo!メッセンジャーに勝っているとは思えない(特に音声・ビデオ・カンファレンス機能は欲しい).しかもちょいと気になるのはYahoo!メッセンジャーの映像機能も,ロジクールの技術を採用している点だ.今後Yahoo!メッセンジャーが,「ビデオ会話」機能と同等の機能を採用する可能性がないわけではない.そして,接続性の良さや高品質音声チャットで知られるネット電話ソフトSkypeも,今後はビデオ機能を持つようになるのかもしれない.これからも,これらのソフトが良い競争を繰り広げて,消費者にメリットをもたらしてもらいたいものだ.

 …とは言うものの,3つもIM系ソフトを常時立ち上げておくのは,メモリ的画面的にちょいとつらいなァ.


参考リンク

コンパクト・メカニカルキーボード SMK-90JPU(PRO)試用レポート2

2005-04-06 02:32:39 | ハードウエア
 今回は先日掲載した記事,コンパクトタイプのメカニカルスイッチ採用キーボード,Strong Man(SMK)SMK-90JPU(PRO)の試用レポートの第2弾だ.予定では,第2弾はやる予定はなかったのだが,本日コンプマート静岡店にて見かけた,あるキーボードがきっかけで,続編をお送りすることにあいなった.

 さて,そのきっかけとなったキーボードだが,SIGMA(Cool Builders)CBMK90IVという製品だ.このキーボードの詳細な写真を見て頂くとわかるのだが,この製品は,私が購入したSMK-90JPU(PRO)と瓜二つなのだ.店頭で偶然見つけたのだが,あまりにも似ていたので,手にとって調べてみると,微妙な差異がわかってきた.

 その違いの一つは,キーの配列だ.SMK-90JPU(PRO)では,ENTERキーの横に3つのボリュームキーと,さらにバックスペースの横にスリープキーを配置している.先日の記事の中でも指摘したように,ENTERキーの横には,PageUpキーなどを配置し,現在のようにFn併用キーとしない方が使いやすいと思う.またBSキーの横に,スリープキーがあると,BSキーを押し間違えて,スリープキーを押してしまう時に,いちいち終了オプションが出てきてしまう.これらの配置上の弱点は,CBMK90IVでは見られない.私の希望通り,見事にBSキーの横にHomeキー,ENTERキーの横には,PageUp,PageDown,Endキーが縦に並び,Fn併用キーではなくなっている.ちなみにScrollLockキーは,なぜかF10キーのFn併用キーとなっている.

 次の違いは微妙なのだが,打鍵感や打鍵音が異なっているように感じた.CBMK90IVの方が,打鍵音が小さく,クリック感も小さいようなのだ.心なしか,ストロークも短めに思える.これらは,実際に比較してみたわけではなく,感触の記憶に頼っているので,なんとも言えないのだが…

 最後の違いは,CBMK90IVの販売価格だ.現在のCBMK90IVの販売価格は,キーボード通販のShopUで7,119円,有名なPC-SUCCESSが最安値4,977円,私が現物を確認したコンプマート静岡店で5,400円(?)ぐらいだったと思う.その他の店の販売価格はgoo コンピュータITmedia ショッピング.これに対し,SMK-90JPU(PRO)の販売価格は,ドスパラでしか売っていないようで3,480円.私の場合は週末セールで2,970円.この価格差は,いったいなんだろう?そしてなぜこれほどまでに,この2つは似ているのか?

 その答えの一つは,CBMK90IVの裏面にあった.エンブレム(?)の部分は,記憶では「Cool Builders」になっていたと思うが,その下にQCグループを示すためのシールが貼ってあった.そこには,あの「SMK」の文字が!

 すなわち,CBMK90IVも実は,SMK-90JPU(PRO)と同じStrong Man(SMK)の製品であり,SIGMA(Cool Builders)にOEMしている製品だったのだ.これならば似ていて当たり前だ.

 残りの2つの謎,すなわち打鍵感・打鍵音の違い,価格の違いについては,CBMK90IV詳細な写真と,SMK-90JPU(PRO)のキートップを取り除き,キースイッチを調査したことにより,ようやく理解できた.CBMK90IV詳細写真の中には,実際にキートップをはずし,キースイッチの軸を見せているものがある.その軸の色は黒で,いわゆるALPS製の黒軸キースイッチであることがわかる.この写真では確認できないが,おそらくキースイッチの表面に「ALPS」の刻印が見られるはずだ.それに対して,我がSMK-90JPU(PRO)のキートップを,「キートップ引き抜き工具」で取り外してみると,中から現れたのは,なんとクリーム色(ベージュ)の軸だった!実際のの様子は,本記事の最初の画像の右端下を見て欲しい.画像を見てすぐにわかるが,軸の形がALPS製に酷似している.ところが,あの「ALPS」の刻印は,その表面のどこにもなかった.すわなちこのキースイッチは,偽ALPSキースイッチである可能性がある.打鍵感や打鍵音の違い,さらには価格の違いは,この採用しているキースイッチの差であったと推測できるわけだ.

 これと同様のキースイッチは,Atessa(Astro)SCORPION AKB-109JU詳細写真にも見られるようだ.AtessaCLEAR/106Jが,やはりStrong Man(SMK)SMK-106JのOEM製品らしい事から,おそらくこのSCORPION AKB-109JUも同社のOEM製品なのだろう.だとすると,Strong Man(SMK)のキーボードには,高品位と言われているALPS製スイッチを採用した製品と,それに酷似したスイッチを採用したコストダウン・バージョンの製品があるのかもしれない.

 双子の兄弟に見えたCBMK90IVSMK-90JPU(PRO)だったが,それはあくまでも外見だけで,実は異母兄弟だったといったところだろうか?いずれにしても,この二つのキーボードのどちらを選択するか迷っている購入予定者は,上記の違いを頭に入れて,できたら実機を試し打ちした上で決定した方がいいだろう.

 耐久性にはやや不安が残るが,現在私の使用しているSMK-90JPU(PRO)に,キー配列と厚さ以外の不満は今のところない.キーボードも消耗品と考えるのであれば,高価なCBMK90IVを選択せず,安価なSMK-90JPU(PRO)を選択しても,決して損はしないだろう.

WOL対応の無線LANルーターとは?

2005-04-05 10:10:55 | ネットワーク技術
 既にパソコンも「一家に1台の時代」は終わりつつあり,「一人に一台」が当たり前に成りつつある.Personal Computer,すなわち,「個人専用コンピュータ」であるパソコンも,ようやく本来の姿に近づいてきたわけだ.もちろん「一人に1台」を達成しているお宅では,家のあちこちに配置されたPCが,すべてネットワークによって結ばれ,1つのホームLANを形成しているはずだ.

 家庭のネットワークにつながれている機器は,何もPCだけではない.ゲーム機,HDDレコーダといった家電や,さらにはプリントサーバ,NAS(ファイルサーバ),ネットワークカメラ等の機器群などが,このホームLANに参加している場合も珍しくなくなった.これらの機器に加えて,ネットワークを支えるADSLモデム,ルーター,HUB,無線LANアクセスポイントなどのことも考えると,すべてのPCやネットワーク機器を一括管理し,また何らかのトラブルが発生した時に対処してくれる「家庭内ネットワーク(機器)管理者」が必要になってくるだろう.そしてその役回りは,普通の家庭では,お父さんであったり,息子さんであったりする.

 このようなホームLANの環境下で家庭内の各PCのメンテを行う場合には,「家庭内ネットワーク(機器)管理者」が,管理対象のPCのある場所まで出向いて,そのPCを直接操作することが通常だろう.しかしやってみた方はわかるだろうが,この「出向メンテ」は,意外にも大変な作業だ.場合によっては,何度も自分のPCとメンテ対象のPCの間を,行ったり来たりする事態もあり得る.それが1階のPCと3階のPCの間だとしたら,ダイエットにはいいかもしれないが,お父さんの休日の仕事としてはお気の毒だ.

 もちろん,正しくLANが構築されており,なおかつ,ファイヤーウォール設定などのネットワーク関係の知識が管理者にあれば,このような肉体労働をする必要は,なくなりはしないが,大幅に少なくなる.ネットワーク経由のリモート・メンテナンス,すなわち自分のPCから,LAN内の他のPCをリモートコントロールし,メンテを行えばいいからだ.この手のリモート・メンテナンス機能では,WindowsXP Proの機能である「リモートデスクトップ」機能がよく知られている.リモートデスクトップを使えば,自分のPC(Win98やWindowsXP Homeからでも可)にメンテ対象のPCの画面を表示し,自分のPCのマウスやキーボードで,メンテ対象のPCをリモート操作できる.

 もちろん一般家庭のPCの場合,OSがWindowsXP Proではなく,WindowsXP Homeの場合が多いだろう.その場合でも,無料のVNCソフトを利用すれば,リモートデスクトップより機能は落ちるが,ほぼ同様に相手の画面を見ながら,自分のマウス・キーボードで,相手のマシンをコントロールできる.さらにルーターの設定を行えば,インターネット経由で遠隔地からでも,自宅のPCのリモート操作をすることも可能だ.

 ただこのリモート操作にも,ちょっとした問題がある.それは操作対象のPCに電源が入っていなければ(正確に言えば「Windowsが立ち上がっていなければ」),リモート操作ができないからだ.電源を入れるために,わざわざ操作対象PCのある場所まで出向くのは本末転倒と言える.もちろん家人に(内線)電話を入れて,電源を入れてもらうことも可能だろうが,それが不可能なケースも多々あるだろう.

 ところがこの問題を解決する機能が,かなり多くのパソコンにはある.それが「WOL(Wake Up On LAN)」機能だ.この機能が有効になっているパソコンならば,たとえそのパソコンの電源が切れていたり,スタンバイ(節電)状態に入っていたとしても,他のLAN上の機器から特殊なパケット(マジックパケット)を送り込めば,そのパソコンを起動させることができる.ちなみに最近のLANアダプタの中には,マジックパケット受信以外にも,リンクアップと同時に起動させる「Wake Up On Link」や,単なるユニキャストパケット受信で起動する「Wake Up On Directed Packet」など,様々なイベントによって,パソコンを起動させることのできる機種もある.

 現在発売されているパソコンの多くが,このWOL機能を持っているが,実際にこのWOL機能を有効にするためには,いくつかの条件がある.その条件とは…
  • LANアダプタがWOLに対応している
  • マザーボードがWOLに対応している(WOL端子を持つか,PCI Rev2.2以降で PMEに対応している)
  • マザーボードのPCIがRev2.2未満の場合,WOL端子がマザーボード上にある場合,LANアダプタとWOL端子がWOLケーブルで接続されている
  • 電源の5Vスタンバイ(待機電力)の容量は,0.6~0.75A以上必要
  • BIOS設定でWOLが有効になっている.マザーボードのPCIがRev2.2以降の場合,PMEも有効にする必要がある.
  • WindowsのLANアダプタのドライバ設定で,WOLが有効になっている
  • LANアダプタのPME信号のタイプ(High PulseやActive High)が,マザーボードに合致している


 ちなみに.DELLHPなどの企業向けのPCは,専門管理者により,リモートメンテを行う可能性が高いので,ほぼ間違いなくWOLに対応している.

 というわけで,ここまでがWOLについての概説だが,今回はWOLがらみのユニークなルーターを紹介する.

 BuffaloのVPN対応無線LANルータWZR-RS-G54がそれだ.VPNと聞くと企業向けのつまらないルーターのように思えるが,このルータは,他のアクセスポイント等からの電波干渉を防止する「Autoチャンネル機能」や,有害サイトの閲覧をブロックする「BUFFALOコンテンツフィルタ」など,さまざまなユニークな機能を持っている.その中の一つが,WOLパケット送信機能だ.つまりこのルーターからWOLマジックパケットを送信し,WOL対応の電源の切れたパソコンの,電源を入れると言う機能だ.この機能を使用すれば,家の中のすべてのPCの電源が切れていても,ルーターの電源が入っており,なおかつ,インターネット側からルーターのWebページ(ネットワークサービスメニュー)が表示できれば,このページを使って,家中のPCの電源を入れ,さらにリモートデスクトップやVNCソフトを使って,リモートメンテが可能となる.これを自宅のルーターとすれば,単身赴任先のお父さんでも,深夜,すやすや眠っている娘さんを起こすことなく,娘さんのパソコンに電源を入れ,メンテすることができるというわけだ.コンシュマー・SOHO向けのルーターで,このような機能を持っているものは,この機種だけではないだろうか?

 この機種は,スペック上のスループットも良いが,無線LANルーターとしては,これらの機能の分,価格がやや高めになる.また,最近はやりの無線LANの高速化機能が,buffaloオリジナルの「フレームバーストEX」と言う点がちょっと気にはなった.後は,ファームの熟成度だが,これは実機がないので判断できない.ちなみに2chでは,この機種から無線LAN機能を取り除いたとされるBHR-4RVが評判の良い機種と言うことで,「ブロードバンドルーターのおすすめを教えて 18」のテンプレに記載されていた.

 確かに,このお父さんのようなケースはまれだろうが,他にもいろいろな用途がこのルータには考えられる.特に,自宅サーバを24時間運用したくないものの,遠隔地から自宅PCにアクセスしたいユーザーや,サーバのない小規模なLANのリモート管理者にとって,この製品は食指を動かされることだろう… えっ!?それって,俺のこと?


 参考リンク:

コンパクト・メカニカルキーボード SMK-90JPU(PRO)試用レポート

2005-04-03 15:36:39 | ハードウエア
 連載中の記事,『チルトホイールマウス サンワサプライ「グランツHS」 試用レポート』の最初の記事で説明したように,キーボードとマウス選びは非常に難しい.特に,効率の良い,素早い,正確なキー入力が求められる,キーボード入力を生業としているユーザーにとっては,キーボード選びは死活問題でもある.従って,そのようなユーザーの場合,職人がその道具を選ぶように,慎重に自分にあったキーボードを選びたいところだ.ところが,実際に販売されているキーボード製品は多種多様であり,おそらくマウス以上にその選択は難しいと思われる.

 キーボードを購入するに当たって,注目したいスペックは…
  • キーボードの大きさ: フルキーボード,コンパクト
  • PCとの接続方法: 無線,USB,PS2,USB←→PS2アダプタありか
  • ケーブル: ストレート,カール,無線,ケーブルをキーボード背面に埋め込めるか
  • キー数: 省略されているキーがあるか,テンキーはあるか
  • 言語: 日本語,英語,その他外国語
  • キー配列: 特に漢字キー,Ctrlキー,Fnキー,カーソルキーの位置
  • キーの大きさ: 特にENTERキー,BSキー,ファンクションキー
  • キースイッチ: メンブレン,メカニカル,静電容量
  • スイッチメーカー: Alps,Cherry
  • キー形状: フラット,ステップ,ステップ・スカルプチャー,シリンドリカル・ステップ・スカルプチャー
  • FとJキーの示し方: キー形状,ディンプル
  • アクチュエータ: バネ(板,コイル),ラバードーム
  • キーストローク安定化機構: パンタグラフ,その他のメカ
  • キーストローク長: 深め,浅い
  • キーピッチ: 狭い,広い
  • キーの重さ: 重い,軽い
  • キートップ刻印: レーザー,シルク,摩耗に強いか?
  • キートップ表面: 指の滑りやすいさ
  • キーボードの傾き: ゼロディグリーチルト
  • キーボードの厚さ: 薄い,厚い
  • パームレスト: 広い,狭い,なし
  • シャーシ材質: 樹脂製,金属製
  • キーボードの重量: 鋼板入り,基盤のみ
  • 打鍵感: タクタイル,クリック,ノンクリック(リニア)
  • 打鍵音: 静音,騒音(メカニカル,疑似メカニカル)
  • ホットキー: 特に電源キー
  • スタンド: あり,なし,折れやすくないか?
  • USB HUBの数: USBキーボードの場合のみ
  • 付属ユーティリティ: ワンタッチキーの設定用他
  • ポインティングデバイス: タッチパッド,その他
  • 配色やデザイン
と言ったところだろうか.

 私の場合,テンキーは使用しないので,いつも購入対象はコンパクト・キーボードなのだが,未だに「これだ!」という製品に出会えていない.おそらく,その理由は,キーボード購入の予算が取れないためだろう.予算さえあれば,定番であるHKKのLite2日本語配列モデルでほぼ決まりだと思われるが,なかなか手が出ない.他社の低価格コンパクトキーボードの場合,ほとんどがメンブレンスイッチで,ストロークの非常に短い製品が多い.しかも,ノートパソコンと同様のフラットなものが多く,クリック感に乏しいため,高速な入力が難しい.

 自分の理想のコンパクトキーボードのイメージは,メカニカルスイッチを採用し,フルキーボード内の使用頻度の低いキーをできるだけ省略した,キーピッチがフルキーボードと同等の製品だ.定番であるHKKのLite2日本語配列モデルは,メンブレンスイッチではあるが,ほぼこの要件を満たしている.問題は値段だ…

 ところがつい先日,ドスパラ静岡店の週末セールに,Strong ManSMK-90JPU(PRO)という,メカニカル・コンパクトキーボードが,2,970円で売りに出された.これは安いと思い,早速購入し,使用してみた.今回はその試用レポートだ.

 SMK-90JPU(PRO)の詳しいスペックについては,上記リンクを見て欲しいが,基本的にはメカニカルスイッチを採用した,USB接続の日本語90キーボードだ.アダプタが付属しているので,PS2接続も可能.ちなみにUSB HUBは内蔵されていない.キーピッチは,ほぼフルキーボードと同じで,ENTERキーも2段を使用した大きなもので,押しやすい.打鍵音は,まさにメカニカルといった感じで「カチャカチャ」と大音量.この音量だと,静かなオフィスでは使用不可能だが,強い打鍵感(クリック感)と相まって,そのキーが打ち込めたかどうかが,確実にユーザーへフィードバックされる.ストローク長も長めで,深くキーを押すことが要求されるが,キーはそれほど重くない.また鉄板が入っているようで,キーボードの重量が,コンパクト型にしては1.1kgと重い.しかし,この重みのおかげで,他の軽めのコンパクトキーボードよりも,キーボード自体が打鍵に対して安定しているように思う.上記リンクのスペック表に,わざわざ重量を記しているのは,この重さのメリットを主張したいためだろう.

 キー配置やキー省略についても,一部を除いて,それほどのイレギュラーはない.F11,F12キーが,それぞれF1,F2キーに割り当てられ,Fnキーと併用する必要があるが,使用上問題はないだろう.カーソルキーは,他の一部コンパクトキーボード(例えばHKKのLite2日本語配列モデル)に見られるように,右下に1段下げられて配置されておらず,他のキーと一緒に並んでいる.このため,カーソルキーの位置が,ブラインド・タッチで判定しづらいかもしれない.

 キー配列の中で他のコンパクトキーボードに見られない,SMK-90JPU(PRO)オリジナルのキー配置としては,ENTERキーの右横の3つのボリューム調節キーと,BSキーの右横のスリープキーがあげられる.通常のコンパクトキーボードでは,このENTERキーの横に,PageUpあるいはPageDownキーといった,フルキーボードにおける,テンキーと通常キーの間に挟まれたキー群を配置するのが一般的だ.SMK-90JPU(PRO)では,これらのキー群は,こちらもコンパクトキーボードでしばしば採用されている,カーソルキーとFnキーの併用となっている.

 この特殊なキー配置で特に問題になりそうなのは,スリープキーだ.私の場合,BSキーを押し間違えて,スリープキーを押してしまう事が何度かあった.但しスリープには突入せず,終了オプションが表示されるだけだったの,キャンセルして,事なきを得ている.このスリープキーについては,Fn併用キーとすべきではないだろうか? また,私自身は滅多に使用しないWindowsキーと右メニューキーも本製品には配置されているが,できたらFILCOFKB89Jのように,それらは完全に省略し,他の使用頻度の高いキーを,Fn併用キーとせずに配置して欲しかった.ちなみに余談ではあるが,このFKB89Jでは,HKKのLite2日本語配列モデルと同様に,右CTRLキーとCapsLockキーが入れ替わっており,CTRLキーを多用するプログラマ等のユーザーには,使いやすい配置を採っている.

 もう一つ難点を言えば,キーボードが厚いことだ.この厚さだと,スタンドを立てても,手のひらを付けたまま打つのは少々難しい.基本的には手のひらを浮かせて,打鍵するタイプのキーボードであることは間違いない.最近は,打鍵時の手首の角度をできるだけ少なくする,薄型キーボード(例えば,ゼロディグリーチルト)が流行っているようだ.この薄型キーボードの場合,手首の上げ角を抑えることによって,パームレストに手のひらを付けながら打つことができ,結果的に疲労や手首の故障を少なくすることができる.ただし,本製品のようにストロークの長いメカニカルスイッチを採用したキーにすれば,必然的にキーボードは厚くならざるを得ない.従って,この厚さについては,やむを得ないようにも思う.

 ということで,やはり本製品も私にとって理想のキーボードではないものの,コストパフォーマンスの良い,非常に満足度の高いキーボードで,おそらくいままで使用してきたキーボードの中で言うのであればベストだろう.今のところ,タイピングは以前よりも遙かに快適だ.ただこのカチャカチャ音とクリック感に慣れてしまうと,他のメンブレン・キーボードが物足りなく感じられるてしまうのは,やむを得ないといったところだろうか…

 キーボード関連参考リンク: 

フリーの迷惑メール振分ソフトPOPFile Tips:コーパスの保守

2005-04-01 17:25:34 | ソフト
 インターネットの電子メール受信において,今最も問題になっているのは,迷惑メール(SPAM)だろう.ウイルスメールについては,最近,パソコン初心者に対しても周知徹底されている上に,メーカー製パソコンのほとんどに,アンチウイルスソフトの体験版(注:ここが「落とし穴」でもある)がプリインストールされているため,以前よりもウイルスがらみのトラブルは減ってきたようにも思う.一方,SPAMメールについては,ようやく最近になって,アンチウイルスソフトが,「迷惑メール判別」をサポートするようになってきた.さらに「鶴亀メール」のような一部のメールソフトには,迷惑メール振り分け機能があらかじめ内蔵されており,以前よりもエンドユーザーがSPAMメール対策を講じやすくなってきた.現在,インターネット上にメールアドレスを公開しているユーザーの場合,一日あたり200通以上のSPAMメールが届く場合もあり,そのようなユーザーにとって迷惑メールの判別振り分けは,もはや不可避となっている.

 現在存在する迷惑メール対策ソフトのしくみは,だいたい次のようなものだ.
  1. メールソフトがメールを受信する前に,迷惑メール対策ソフトがメールを受信する.
  2. 受信メールの本文やタイトルなどから,迷惑メールと判断された場合は,メールのヘッダーやタイトルに一定の文字列(例えば「MEIWAKU」)が追加する.
  3. 処理が終わると,メールソフトに受信したメールを渡す.
  4. メールソフトは,迷惑メール対策ソフトの付加した文字列を判断対象とする振り分けルールを使って,迷惑メールを受信トレイから取り除く

 上記の処理で最も重要なのは,やはり迷惑メールの判別そのものだ.この判別方法には,大きく分けて2つの方法がある.まず,迷惑ワード及びドメイン名の辞書登録による判別だ.これはユーザーあるいはソフト開発会社によって,迷惑メールに含まれると思われる単語やドメイン名を辞書に登録する.迷惑メール対策ソフトは,その辞書をひきながら受信メールをスキャンし,メール本文・タイトル・送信元等に,辞書登録された単語やドメイン名が含まれていた場合,それを迷惑メールと判定する方法だ.特にソフト開発会社によって,この辞書が提供されている場合は,ユーザーは定期的にその辞書をインターネット経由で更新するだけでよい.また誤って,迷惑メールとして判断されてしまった場合は,受け取りたいメールにユニークな単語やメールアドレスを登録しておけば,再び誤って迷惑メールとして判定されることはない.ただしこれらの方法には,様々な問題点がある.

 まず,ユーザーが辞書登録する場合,迷惑ワードやアドレスの登録そのものが面倒であることは,すぐわかるだろう.一方のインターネット経由で辞書の提供を受ける場合でも,問題がないわけではない.提供される辞書の登録内容が,すべてのユーザーに当てはまるとは限らないからだ.あるユーザーにとっては迷惑ワードであっても,別のユーザーにとってはそうでないケースは十分あり得る.そのため,このようにインターネット経由で迷惑ワード辞書の提供を受ける場合でも,今度は逆に,受け取りたいメールに含まれる単語等を登録する作業が必要となる.これもまた面倒な作業だ.

 もう一つの迷惑メール判別方法は,統計・確率を応用する方法だ.これは一種の学習型判別で,迷惑メールか,そうでないかを,迷惑メール判別ソフトにユーザーが教えていくやり方だ.判別ソフトは,ユーザーの判断とメールの内容を関連づけて次第に学習していき,最終的には,ユーザーの判断を仰がなくても,自律的に迷惑メールの判別ができるようになる.この方法の問題点は,一番最初にある程度のトレーニング期間が必要となることだ.ソフトの使い始めには,しばらくの間,ユーザーがメールを判断し,判別ソフトに指示する必要があるわけだ.ただし,前者の方法のように,迷惑ワードまで指定する必要はなく,単純にメールが迷惑メールか,そうでないかを指示するだけなので,数は多くてもそれほどの手間ではないように思う.

 私は現在,メールソフトとして「鶴亀メール」を使用しているが,それに内蔵されている迷惑メール振り分け機能は使用せず,POPFileというフリーの学習型迷惑メール判別ソフトを使用している.このソフトでは,Googleも採用していると言われる「ベイズの定理」という確率論に基づいており,学習後の判別精度はたいへん高い.POPFileには,Webベースのインターフェースがあり,現在の振り分け精度を確率で表示できるのだが,私の場合,約2万通のメール受信において,約99.2%の判別精度となっている.この精度のおかげで,私に届いたメールに関しては,ほぼ全自動で,迷惑メールが振り分けられている.

 というわけで,POPFileは私にとって,なくてはならないソフトの一つなのだが,最近ちょっとした事件があった.久々に振り分けを間違っていたので,それを学習させようと,POPFileのWebベースのユーザーインターフェースを開こうとしたところ,POPFileが固まってしまったのだ.その後,いろいろ調査してみてところ,コーパス(言語資料体.個別言語・一作家のテキストや発話を大規模または網羅的に集めたもの.一種の辞書)の崩れが,原因であることがわかった.ハードディスクの空き容量が無くなった時があったので,その時にコーパスへの書き込みができず,崩れたのだろう.

 POPFileにはスクリプト言語Perl小型データベースSQLiteが内部に使用されており,学習した内容(迷惑ワード)は,このSQLiteのデータベースに蓄積している.このデータベースが崩れると,Webベースのインターフェースが表示できなくなるのはもちろんのこと,判別自体も正常にできなくなる可能性がある.

 このようなコーパスの崩れへの対処は,POPFileのマニュアルの「コーパスの破損」に詳しく掲載されているので参考にして欲しい.対処は次の手順で行う.
  1. コマンドプロンプトから,SQLiteを立ち上げる.
  2. SQLiteにコマンドを送り,データベースの整合性をチェックさせる
  3. 破損が確認された場合は,次のどちらか対処法を採る.

    • データベースのバックアップをリストアする
    • 現在の壊れたデータベースの内容をテキストファイルに出力し,それをデータベースに取り込む
 私の場合は,前者の方法で回復させたが,もちろん後者でもかまわないと思う.後者の方が,学習内容の損失が少なくて済むかもしれない.

 いずれにしても,POPFileのユーザーは,ハードディスク同様に,コーパスの整合性チェックを定期的に行い,正常であればデータベースのバックアップを取った方がよいだろう.そうすれば,貴重な学習記録をすっかり失い,また「1から学習のやり直し」という最悪の事態は,免れるかもしれない.せっかく大事に育てた辞書が亡くなるのは,やっぱり寂しい(?)ものだから…ね.