多くのメジャーなPCニュース系サイトで取り上げられたように,本日7日,コンシュマー向けインスタントメッセージングソフトの代表格「MSNメッセンジャー7.0正式版(Build7.0.0777)」がリリースされた.既に先行公開されていた「MSNメッセンジャー7.0お試し版(ベータ版)」よりも,様々な機能が追加されている.
ベータ版からの主な変更点は…
さて新機能の使い方や紹介は,他のサイトやオンラインヘルプに任せるとして,我々は新機能の技術的側面,特に「ビデオ会話」についてを見ていこう.
新機能「ビデオ会話」は,従来の「ビデオチャット」とは全く似て非なるもので,ロジクールが新たに開発したアーキテクチャーを採用した,より高品位な「TV電話」を実現した機能だ.
「ビデオ会話」機能の特徴としては…
ただし,本バージョンでも「ビデオチャット」機能は残されている.今後,「ビデオチャット」の用途は
おそらく,この3番目のケースで「相手は受信できないのに,送信だけはできる」と想定されているのは,「ビデオ会話」において,「受信がサーバー経由,送信がP2P」で行われるためと想像される.通常,ファイヤーウォールが遮るのは,インターネット側からの接続(インバウンド)であり,インターネット側への接続(アウトバウンド)は遮断されない.つまり「ビデオ会話中継サーバ」の役割は,この受信に関するファイヤーウォール問題を解決することであり,「ビデオ会話」の送信部には何ら携わっていないと推測される.ちなみに従来の「ビデオチャット」は,ルーターのUPnP機能によって,ファイヤーウォール越しであってもP2P接続のみでも送受信していた(ファイヤーウォールに自動的に穴を開けていた).「「ビデオ会話」機能は,MSNメッセンジャーの音声・ビデオチャットに必須とされていた,「双方のルーターがUPnPに対応していなければならない」という条件を消滅させる事に成功したのだ.なお,音声チャットに関しても,本バージョンからP2Pで通信できない場合は,サーバ経由になるとのことだ.
さて,ここらでまとめてみよう.MSNメッセンジャーの音声・ビデオ機能には次のものがある.
比較のため,Yahoo!メッセンジャー6.0の音声・ビデオ機能についてもあげておこう.
MSNメッセンジャー7.0正式版の新機能「ビデオ会話」「新音声チャット」の登場により,Yahoo!メッセンジャーに比べて劣っていた,MSNメッセンジャーの音声・ビデオ機能の接続性の問題は,ほぼ解決された.その上,音声と映像のシンクロ問題も解決したこのMSNメッセンジャー7.0正式版の「ビデオ会話」は,PCによるインターネット経由「TV電話」の中で,最も優れたものになるかもしれない.ただし,その他の多くの機能や操作性については,まだまだYahoo!メッセンジャーに勝っているとは思えない(特に音声・ビデオ・カンファレンス機能は欲しい).しかもちょいと気になるのはYahoo!メッセンジャーの映像機能も,ロジクールの技術を採用している点だ.今後Yahoo!メッセンジャーが,「ビデオ会話」機能と同等の機能を採用する可能性がないわけではない.そして,接続性の良さや高品質音声チャットで知られるネット電話ソフトSkypeも,今後はビデオ機能を持つようになるのかもしれない.これからも,これらのソフトが良い競争を繰り広げて,消費者にメリットをもたらしてもらいたいものだ.
…とは言うものの,3つもIM系ソフトを常時立ち上げておくのは,メモリ的画面的にちょいとつらいなァ.
参考リンク
ベータ版からの主な変更点は…
- メンバーを300人まで追加できる
- 「ビデオ会話」機能の追加(「ビデオチャット」ではない.詳細は後述)
- サーバー経由での音声チャット
- 写真共有機能の無料化
- メンバーの今聞いている音楽のタイトル表示及びMSNミュージックとの連携
- 表示メッセージ機能の追加
- MSNスペースのマイスペースへの移動ボタン追加
- メンバリストの各メンバ状態アイコンの代わりに,メンバ画像を表示
- 「ウインク」のアニメ変更,及び有償提供
- 「シェイク」の時間を短くした
- 文字や背景,表示アイコンをD&Dで設定可能
- コンテンツパックの提供:カスタマイズされた絵文字,背景,表示アイコン,ウインクのセット(現在は提供されていない)
- サインインする前の状態のデフォルト化
- Passport にサインインするときに一覧に表示される名前の編集
- 有料のビデオコールを申し込んで高品質のビデオ機能と音声機能を利用する
- ダイナミック表示アイコン(アバター機能)の有償提供
- musicmix: 特定のメンバの間で音楽をリストに投稿したり,他のメンバが投稿した音楽を聴く
- 携帯端末等のSMS(ショートメッセージ・サービス)へのIM送受信
- SPOT対応腕時計「MSN Direct Watch」へのIM送信
さて新機能の使い方や紹介は,他のサイトやオンラインヘルプに任せるとして,我々は新機能の技術的側面,特に「ビデオ会話」についてを見ていこう.
新機能「ビデオ会話」は,従来の「ビデオチャット」とは全く似て非なるもので,ロジクールが新たに開発したアーキテクチャーを採用した,より高品位な「TV電話」を実現した機能だ.
「ビデオ会話」機能の特徴としては…
- ブロードバンドに対応
- 接続性の改善:サーバー経由通信であるため,従来,ファイヤーウォールのためにビデオチャットできなかった環境でも,できる可能性が大きくなった.
- 解像度の拡張による画像の不鮮明さ排除
- ビデオ画像の全画面表示
- 音声とビデオのずれを補正したスムーズな映像
- 他のオペレーティング システムを使用しているメンバとの接続をサポート
ただし,本バージョンでも「ビデオチャット」機能は残されている.今後,「ビデオチャット」の用途は
- 自分または相手が,ナローバンド(ダイヤルアップ接続)の場合
- 相手が MSN Messenger 7.0 をインストールしていない場合
- 相手がビデオ会話を受信できない地域にいる場合
おそらく,この3番目のケースで「相手は受信できないのに,送信だけはできる」と想定されているのは,「ビデオ会話」において,「受信がサーバー経由,送信がP2P」で行われるためと想像される.通常,ファイヤーウォールが遮るのは,インターネット側からの接続(インバウンド)であり,インターネット側への接続(アウトバウンド)は遮断されない.つまり「ビデオ会話中継サーバ」の役割は,この受信に関するファイヤーウォール問題を解決することであり,「ビデオ会話」の送信部には何ら携わっていないと推測される.ちなみに従来の「ビデオチャット」は,ルーターのUPnP機能によって,ファイヤーウォール越しであってもP2P接続のみでも送受信していた(ファイヤーウォールに自動的に穴を開けていた).「「ビデオ会話」機能は,MSNメッセンジャーの音声・ビデオチャットに必須とされていた,「双方のルーターがUPnPに対応していなければならない」という条件を消滅させる事に成功したのだ.なお,音声チャットに関しても,本バージョンからP2Pで通信できない場合は,サーバ経由になるとのことだ.
さて,ここらでまとめてみよう.MSNメッセンジャーの音声・ビデオ機能には次のものがある.
- 旧バージョン音声チャット:音声のみ,P2P接続,UPnP対応ルータ必須,Win9x系も使用可
- 新バージョン音声チャット:音声のみ,P2P接続またはサーバ接続,UPnP対応ルータ不要,Win9x系も使用可
- WebCam:映像のみ,サーバ経由,UPnP対応ルータ不要,Win9x系でも使用可
- ビデオチャット:音声&映像,P2P接続,UPnP対応ルータ必須,WinXP同士のみ
- ビデオ会話:音声&映像,送信:P2P接続,受信:サーバ経由,Win9x系でも使用可
比較のため,Yahoo!メッセンジャー6.0の音声・ビデオ機能についてもあげておこう.
- ボイス機能:音声のみ,サーバ経由,UPnP対応ルータ不要,Win9x系も使用可
- ビデオ機能(通常モード):映像のみ,サーバ経由,UPnP対応ルータ不要,Win9x系でも使用可
- ビデオ機能(拡張ビデオモード):映像のみ,P2P接続,ファイヤーウォール設定必要,Win9x系でも使用可
MSNメッセンジャー7.0正式版の新機能「ビデオ会話」「新音声チャット」の登場により,Yahoo!メッセンジャーに比べて劣っていた,MSNメッセンジャーの音声・ビデオ機能の接続性の問題は,ほぼ解決された.その上,音声と映像のシンクロ問題も解決したこのMSNメッセンジャー7.0正式版の「ビデオ会話」は,PCによるインターネット経由「TV電話」の中で,最も優れたものになるかもしれない.ただし,その他の多くの機能や操作性については,まだまだYahoo!メッセンジャーに勝っているとは思えない(特に音声・ビデオ・カンファレンス機能は欲しい).しかもちょいと気になるのはYahoo!メッセンジャーの映像機能も,ロジクールの技術を採用している点だ.今後Yahoo!メッセンジャーが,「ビデオ会話」機能と同等の機能を採用する可能性がないわけではない.そして,接続性の良さや高品質音声チャットで知られるネット電話ソフトSkypeも,今後はビデオ機能を持つようになるのかもしれない.これからも,これらのソフトが良い競争を繰り広げて,消費者にメリットをもたらしてもらいたいものだ.
…とは言うものの,3つもIM系ソフトを常時立ち上げておくのは,メモリ的画面的にちょいとつらいなァ.
参考リンク