Twitter(
@watermindpc)を始めてから,ブログを書くことが少なくなってしまった.自分の場合,比較的長い文章でも,Twitterで書いてしまう癖があるためだが,世界規模だったブログサービス
Windows Live Spaces が終了し,WordPress.com に移行するところを見ると,ブログサービスもいろいろとたいへんらしい.
ブログ継続には努力が必要となる.ブログはまとまった文章や画像付きとなる場合が多く,思いつきで書くわけにはいかない.ある程度の推敲も必要となるため,1つの記事作成にかかるコストが大きい.そのためブログの継続には,モチベーションの維持が必要となるのだが,アフィリエート・アクセス数・コメント・トラックバックによる報賞が,記事作成コストに見合わない場合もある.よって自然消滅していくブログは多い.
Twitterの良いところは,その軽さにある.140文字の制限は,くだけた表現・省略表現・他人にはわからない独り言といった,
本来ならば極めて限定された空間で行われるべき発言を,インターネットという衆人環視状況下でも許すという文化を作り上げた.Twitterの軽さの本質は,この発言内容の軽さにある.発言内容の軽さは,読み手側の読みコストも減らすことに成功した.つまり流し読みを可能としたのだ.ふんわりと空に浮いているかのようなTwitterの鳥のキャラは,正にこの「軽さ」をシンボライズしたものと言える.
このようにして Twitter は,いままでブログが取りこぼしてきた,軽いパーソナルな情報を拾い上げる標準的ツールの地位を確立した.が,Twitterが一般ユーザーに認知されるようになってくると,その役割も変わらざるを得なくなってきた.
Twitterには,
- Webサイトやブログといった情報提示
- メールやIM(インスタント・メッセンジャー)といったコミュニケーションツール
- メーリングリストやメルマガといった同報通信
- RSSのような更新通知付きブックマーク
- FaceBookやmixiといったSNS
の側面がある.
またTwitter自身はその機能を限局しているため,他社サービスとの連携が最初から考慮されている.
これらの特徴は,従来のサービスをTwitterの付帯サービスの地位におとしめ,また同時に,新興のサービスをTwitterの中に吸収していく事を可能にした.結果,かつてYahoo!等のポータルサイトがそうだったように,Twitterはすべてのネットサービスの入り口となる可能性をはらんできたのだ.しかもTwitterでは,ポータルサイトでは提示できなかった極めてパーソナルな情報をも,他の一般情報とともに一元的に提示可能となっている.これはネットプレゼンスが必要な企業にとって見過ごすことのできない事態だ.
Twitter企業アカウントの主な顧客向けの役割は,次のようになる.
- 今まで取りこぼしてきた顧客の意見を吸い上げる情報収集(特にキーワード検索)
- 顧客との,より深いコミュニケーションとその公開
- 企業の現状を発言することによる透明性の確保
- 新着情報やサイト・ブログ更新等の告知
- 上記活動に伴って発生した情報の共有・公開
これらを実現するためには,企業側が適切なTwitterアカウントを取得し,そのアカウントを顧客に認知させ,フォローしてもらう必要がある.メールアドレスと異なり,
Twitterのアカウントは顧客に認知されるだけでなく,フォローされなければならないところがポイントだ.さらにTwitterでは簡単にフォローを止めることが可能であるため,
顧客にフォロー状態を維持してもらう努力も必要となる.
企業Twitterアカウントの認知徹底については,ほぼサイトアドレスやメールアドレスと同じだ.メールの署名やWebサイト・紙媒体にアカウントを提示し,さらに
twinavi等のディレクトリサイトにアカウントを登録する.Webサイトの場合は,最低でもそのアカウントのタイムラインへのリンクをおいた方がよいだろう.余裕があれば本ブログのように,ツイート内容を表示するガジェットをWebサイトに埋め込んでも良いかもしれない.
顧客にフォローさせる方法に関しては,基本的にはWebサイトならば,リンクでタイムラインへ導けば簡単だ.紙媒体の場合は,QRコードを印刷し,簡単にアカウントのタイムラインに誘導することが望ましいだろう.
一番難しいのがフォローの維持だ.このフォローを維持させるためには,顧客のニーズに合わせて,ツイートの発言頻度や内容を調整する必要がある.発言頻度が多いとうるさく感じられるが,発言頻度が少ないと読み飛ばされてしまう可能性がある.また発言内容が常に軽いとフォローを止めてしまう可能性もあるが,重要情報だけツイートしていると親近感や透明性の確保が難しい.そのため一企業で,複数のTwitterアカウントを準備し,ユーザーの用途別に運用する必要が出てくるかもしれない.またクーポン的なものやタイムサービス的な情報を,定期的にツイートするのも効果的かもしれない.いずれにしてもフォロー維持に関しては,試行錯誤が必要となるだろう.
最後に最も重要なのは,Twitterそのものを顧客に知ってもらうことだ.Twitterは,TVやニュースでも取り上げられることが多くなったが,まだケータイ文化に慣れ親しんだ若者が主要ユーザーだ.顧客に中高年が多く含まれと想定される場合,Twitterの簡便性を認知してもらい,日常的に使う情報ツールとして使っていただく必要がある.そのためにはまず,企業アカウントをフォローすると得られる具体的なメリット(特典や値引き等)をアピールすると同時に,Twitterの簡単な導入方法や使い方をWebサイトなどに掲示するとよいだろう.
いずれにしても,
Twitterの持つ「軽さ」は,企業にとって致命的なダメージを与える場合も考えられる.企業Twitterアカウントの責任者は,それを肝に銘じ,Twitterをうまく活用して欲しい.
参考資料:
TwitterやFacebookなどで企業はどうしたらアンフォローされないか