WaterMind PC Blog

PCとネットワークに関するニュースコラム.

記事紹介:RAID5の弱点を克服した RAID6とは?

2005-05-17 09:53:24 | 自作PC
 最近,RAIDに関する話題を,あちこちで聞くようになった.RAIDは,複数のHDDを束ねることにより,アクセス速度を向上させたり,ディスク障害に対する耐性を持たせる仕組みだ.詳しくは,以前の記事「格安RAID5カード 玄人志向 SATARAID5-LPPCI 登場」などを参考にして欲しい.

 これは,おそらく,マザーボード上のチップセットが,RAIDをサポートするのが当たり前になって来たためだろう.先日,修理交換のために購入した,マイクロATXのマザーボードECS
PM800-M2 (v1.0)は,ドスパラ静岡店で,¥5,980という安値で購入したのだが,このチップセットVIA VT8237ですら,RAID Level 0/1/0+1およびJBODをサポートしていたのには驚いた.

 もちろん,チップセットのRAIDサポートの他にも,HDDの大容量化にともない,HDDの故障によるデータの損失量が大きくなり,またシステムのダウンタイム(休止時間)の短縮が,小規模なシステムにおいても求められるようになってきたためだろう.

 現在のところ,チップセットのサポートするRAID Level は,主に0・1・0+1だが,最新のチップセット(例:nForece4 SLIICH7R)では,RAID5もサポートするようになった.RAID5は,最低3台のHDDで構成されるが,このうち1本が故障しても,その1本を交換すれば,内部のファイルを失うことなく,元通りに復元できるというしくみだ.RAID5は,HDDへの書き込み速度や,パリティ計算に伴うCPU負荷に問題があるものの,冗長性のための「使用可能空き容量」の損失を,RAID1(ミラーリング)に比べて,かなり少なくすることができる.

 ところがこのRAID5にも,弱点があるようだ.時々,2chの自作PC板「IDE/SATA RAID カードあれこれ RAID」でも激論となるのだが,「RAID5において,1台のHDDのみが障害を起こした場合でも,ディスクアレイ(RAIDのこと)が崩れる場合があるらしい」ということだ.この話の真偽は明かではないし,その原因も特定されていないようだが,機械である以上,何らかの不具合があってもおかしくはない.ただその確率は,かなり低いものと思われる.

 RAID5において最もハラハラドキドキする場面は,ディスクを交換した後のRAID再構築(リビルト)の時だろう.リビルトは,生き残ったHDD(データが存在する)と,新規に組み込まれたHDD(空のディスク)で,もう一度RAIDを再構築する作業で,10時間以上かかる場合もあるらしい.当然の事ながらリビルトは,HDDに長時間の連続的な負荷をかけることとなる.生き残ったHDDの機種・ロットが,壊れたHDDと同じであった場合,その寿命についてもほぼ同様である可能性が高い.そのためリビルトによって,生き残ったHDDの息の根を止めてしまうことがあり得るわけだ.

 今回紹介する記事は,このようなRAID5の弱点を克服したとされるRAID6に関する記事だ.

 ImpressのEnterprise Watchの記事「安価&大容量ディスクサブシステムに欠かせないデータ保護技術「RAID 6」」には,RAID5のリビルト失敗の確率について,いくつかの興味深い試算がなされている.その中で特にPC自作派が注目すべきは,ATA HDD5台によるRAID5アレイのリビルト中に起こる,データ損失の確率だ.この計算によると,なんと!リビルト10回中1回の割合でデータ損失が起こるのだという.ただし,リビルトによるデータ損失が発生する時間間隔MTTDL(Mean Time To Data Loss)は,81年ということで,自作派にはほとんど問題ないだろうこともわかった.

 ただし,安心してばかりもいられない.上記の計算は,あくまでもスペック上・理論上の計算であり,実際稼働しているHDDに関する様々なファクタが省かれている.同じ機種のHDDでも,そのアクセス頻度や設置環境などにより,当然のことながら寿命は異なるからだ.特にRAIDを組んだ場合,HDDを密集させて設置する場合が多いため,適切なHDD冷却が行われていない場合は,スペックよりも寿命が短くなる場合がある.もちろん,HDDの機種・ロット・設置環境・アクセス状況まで同じであれば,先ほど述べたように寿命もほぼ同程度と考えられるため,1台が壊れれば,他のHDDもほぼ同時に,あるいはリビルト時に壊れる可能性は十分考えられるだろう.

 RAID6は,2台のHDDが同時に壊れても,障害から復旧可能なRAIDの一種だ.構成するHDDの最低台数は4台で,内HDD2台分にパリティが格納される.RAID5の場合,パリティは1つだけ計算され,HDD1台分の容量がそのパリティ格納のために,空き容量から差し引かれるが,RAID6では,パリティは2つ計算・格納されるため,HDD2台分の容量が,全体の容量から差し引かれることになる(くわしくはこちら).また上記記事にも書かれているとおり,RAID6のパリティ計算は複雑らしく,専用のプロセッサが必要になる場合もあるようだ.

 このように考えてみると,比較的使用するHDD台数の少ないPCにおけるRAIDとしては,RAID6よりも,RAID1(ミラーリング)の方が,アクセス速度・コスト・フォールトトレランスと言った面において,メリットが大きいかもしれない.ただし,フルタワーケースにHDDをフル装填して,自宅ファイルサーバを構築している強者の場合,すでにRAID6対応のRAIDカード(注:PCI-X用)も発売されているため,RAID6によるディスクアレイ構築も一考には値するだろう.

感動の統計解析ソフト R とは?

2005-05-10 08:31:17 | ソフト
感動の統計解析ソフト R とは?

 自分は大学で心理学を専攻していた関係で,統計学をかじったことがある.また,レポートを書くために,簡単な統計処理のプログラムを,当時所有していたMZ-80KPASCAL言語(オプションで購入したSP-4001)で組んだこともあった.さらには,その統計処理のグラフ化を行い,それをNECのパソコン用小型カラー・プロッタ・プリンタPC-6022で描画するために,PPIのIntel8255と言う石を用いて,パラレルインターフェースをはんだごてで自作したり,プロットコマンドを直接プリンタに送り込むプログラムを記述したりもしていた.

 だがご存じのように,当時のマイコン(パソコンとは呼ばれていなかった)はあまりにも非力であり,本格的な統計処理は,大学のメインフレーム(HITAC)に任せるしかなかった.あまりにも涼しすぎる計算機センターの端末室と,自分の定位置であった実験室がかなり遠かったため,実験室のPC-9801VM2からΣ計画の一環で導入された専用モデム経由で,メインフレームに接続する端末プログラムをBASICで作成し,実験室で贅沢にも(?)TSSしていた.実験終了後,SASの統計処理スクリプト(理由ありの100回以上のANOVA)と,実験データをその自作プログラムでメインフレームに流し込み,センターの巨大ロボットの頭部に似た轟音ラインプリンタに出力させる.自分はENTERキーのPUSHとともに,実験室から計算センターへダッシュ.独特のにおいがするプリンタ室につくと,プリンタの裏側の窓をのぞき込みながら,自分の100ページに近い出力の順番を待つのだ.はたして実験群とコントロール群に有意な差はあるのか?ちょっとドキドキ,わくわくの瞬間だった.

 その後,実験データの多変量解析(特にクラスタ分析や重回帰分析)なども行い,そのたびにSASの実力を思い知らされたのだが,8年通った大学を卒業すると,これらの知識はみな無用なものとなっていった.

 ところがついこの間,パソコン用の最も優れた,最も安い統計処理ソフトを選定する必要に迫られた.MS-EXCELさえあれば,たいていのことでは不自由しないはずなのだが,様々な統計分析に,本格的に対応したソフトとなるとやはり自分の場合,SPSSか,SASぐらいしか思い浮かばなかった.しかし,SASにしろ,SPSSにしろ,個人が購入するにはあまりにも値段が高すぎる.ということで,フリーの本格的統計ソフト探してみると,なんと!あるではないか!

 ということで,今回はフリーで,オープンソースの統計処理ソフトの「R」をご紹介().このソフトは,「r-project.org」により開発が続けられており,現在の最新バージョンは「R version 2.1.0」.オープンソースなので,例によってUnix・Linux上で主に使用されているが,Windows,MacOSでも使用可能.ある程度の日本語化もされている.統計手法としては「線形・非線形モデル,古典的統計検定,時系列解析,判別分析,クラスタリング」などをサポートし,さらにはグラフィックスも提供する.かつて「自宅パソコンで,SAS」を夢見ていた自分にとっては,まさに夢が現実になる時がやってきたのだ!しかも無料で!

 ちなみに,統計処理ソフト「R」と,SPSSや,SASとの違いについては,こちら

 メインマシンに最新バージョンのRをインストールし,起動してみると,日本語メニューを持つMDIのWindowの中に,コンソール窓が開く.その中に,日本語メッセージが表示されているようだが,文字化けしていたため,「編集」メニューの「Rguiプリファレンス」のフォント設定に,日本語フォントを設定し,「保存」ボタンをクリックすると,文字化けが解消された.「demo()と入力すれば,デモが見られる」とのことなので,早速コンソールに「demo()」と入力.すると,別のWindowが開き,いくつかのデモについての英語の概説がなされていた.そこでとりあえず「demo(graphics)」と入力し,グラフ表示のデモを見てみた.

 「Type <return> to start :」と表示されたので,ENTERキーを押すと,グラフ用のWindowが開き,そのWindowをクリックすると,デモが始まった.コンソールに,グラフ表示のためのRスクリプトが表示されると同時に,様々なグラフが次々に表示されていった.グラフ表示のためのRスクリプトの行数は,最大20行,最小5行ぐらいで,非常に簡潔な表現でグラフ表示ができそうだ.例えば,ダミーデータを生成し,それを「箱ひげ図」でプロットするデモのRスクリプトは以下の通り(生成された図は,ブログ画像参照).
par(bg="cornsilk")
n <- 10
g <- gl(n, 100, n*100)
x <- rnorm(n*100) + sqrt(as.numeric(g))
boxplot(split(x,g), col="lavender", notch=TRUE)
title(main="Notched Boxplots", xlab="Group", font.main=4, font.lab=1)

各行を解説してみると…


1)par(bg="cornsilk")

par():

図の表示パラメータ(オプション)をセットする.

この例では,図の背景を「コーンシルク」としている.

bgは「Background」のこと.

2)n <- 10

変数nを10とする.

代入式は「<-」となる.

これは←を意味している.

ちなみに既に本物のデータがあれば,この2)~4)までは不要となる.


3)g <- gl(n, 100, n*100)

n個の水準(Level,ANOVA用語,グループ)を持ち,その水準値を100回繰り返す,1000個(n×100)の数列を生成し,gに代入する.

gl():

設定した要因(Factor,水準の集まり,ANOVA用語)を生成する.

「A,B,C」などの名義水準を持つ要因も生成できる.

この例では,数値を水準ととして生成している.

4)x <- rnorm(n*100) + sqrt(as.numeric(g))

プロット対象のダミー観測値(Observations)を生成する.

ダミー観測値はその水準を数値化し,その平方根を
標準正規分布からのランダムサンプルに加算したもの.

したがって,水準10の観測値群は,水準1の観測値群の値よりも,10の平方根分,値が高め傾向になっている.

rnorm(n*100):

平均=0,分散=1の標準正規分布から,1000個(n×100)の観測値をランダムに得る.


as.numeric(g):

gは水準(グループ名)であり,数値ではないため,それを数値に変換し,計算できる対象としている.

いわゆる「型変換(キャスト)」.


sqrt():

平方根をとる.

5)boxplot(split(x,g), col="lavender", notch=TRUE)

箱ひげ図をプロットする.

split(x,g):

ダミー観測値群xのデータを,要因gの水準に分類する.

xの1番目の観測値を,gの第1番目の水準に分類し,以下同様.


boxplot():

箱ひげ図をプロットする.

colはcolorのことで,この例では箱内部をラベンダーで彩色する.

notchは「箱のくびれ」のことで,TRUE(真)を指定すると箱に中央値のところで,くびれができる.

6)title(main="Notched Boxplots", xlab="Group", font.main=4, font.lab=1)

図のタイトルや軸名及びそれぞれのフォントの大きさを指定する.

title():

タイトル:「Notched Boxplots」,フォントサイズ4
X軸名:「Group」,フォントサイズ1

xlabは「x label」のこと.


 読んで頂ければわかるとおり,Rのスクリプトは,非常にすっきりとした記述ができる.すでに私の場合,統計解析ソフトを使う機会は今後ないと思われるが,実験や品質管理(QCC)等で統計的解析や図示が必要な場合に,「R」は大いに役立ってくれるだろう.オープンソース・コミュニティーの面々には,心からの賛辞を送りたい.

 今時の理系学生や心理学の学生たちは,自宅パソコンで実験データの統計解析ができるのかと思うと,ほんとうにうらやましい限りだ.

「自分の学生時代に,それができていたら…」

 かつて心理学の大学院をめざし,その後挫折した私なのだが,彼らのめぐまれた境遇に,未だジェラシーを感じてしまうのだった.<完>

ネットワークカメラ Corega CG-NCPT試用レポート

2005-05-06 13:26:46 | ハードウエア
 ネットワークカメラをご存じだろうか?

 簡単に言えば,ネットワークに直付けするビデオカメラのことだ.ネットワークカメラを使用すれば,カメラ映像をパソコンのモニタで確認しながら,ハードディスクに録画することができる.さらには遠隔地のパソコンやケイタイより,インターネット経由で,カメラ映像や静止画を見ることも可能だ.録画したビデオファイル・静止画像ファイルは,ソフトで編集したり,DVD-R等にバックアップすることも可能なため,最近では,柔軟性のある「監視カメラ」「防犯カメラ」として利用される場合が多い.その利用目的を意識して,カメラ被写界に何かが動いた場合,静止画を自動撮影し,指定アドレスにメール送信する機能をもつ機種もある.

 もちろんパソコンにUSB接続する,いわゆる「PCカメラ」を使用した場合でも,そのPCカメラに付属するユーティリティや,ListCamWindowsMediaエンコーダー等の優秀なフリーソフトにより,ほぼ同等の機能を提供できる場合もある.但しその場合は,パソコンを立ち上げておく必要があるのは言うまでもない.またUSBケーブルの制限により,PCカメラは接続しているパソコンから,長い距離を取って設置することができない.これに対して,ネットワークカメラはLANケーブル,もしくは無線LANによってネットワークに直接接続するため,距離についての制限は比較的少ない.したがって,屋外対応ネットワークカメラを屋外に設置する場合でも,録画・モニタ用パソコンの設置位置については,かなりの自由度がある.しかもネットワークカメラに対する電源供給については,PoEアダプタによって,LANケーブル経由で給電できる機種もあり,屋外における電源確保の問題も解決しやすい.

 しかしネットワークカメラにも問題点はある.それは価格だ.30万画素程度のPCカメラ(CMOSセンサ)であれば,3,000円ぐらいで購入することが可能だろう.ネットワークカメラの場合,カメラ内部にOSやWebサーバが組み込まれているため,PCカメラよりもどうしても高くなる.一番安い有線ネットワークカメラの代表格で,私も数台所有している30万画素の Corega CG-NCMNでも,実売14,000円ほどする.しかし,PCカメラに対するアドバンテージや性能を考慮すれば,この値段はやむを得ないと言えよう.

 ネットワークカメラの購入に当たっては,いくつかの注意すべきスペックがある.具体的に上げてみると…
  • 屋外対応か,室内専用か?
  • ネットワークへの接続が無線か,有線か?
  • センサー画素数
  • センサーはCCDか,CMOSか?
  • センサーの大きさ:1/3インチか,1/4インチか?
  • 最低照度:ナイトビジョンモードありか?
  • 選択可能な解像度とそれぞれのフレームレート及び画質
  • 最接近撮影距離
  • 光学ズームが可能か?
  • レンズ交換可能か?
  • オートフォーカスか,固定焦点か?
  • パン・チルト(首振り)対応及びその速度
  • 被写体自動追尾は可能か?
  • 最大同時接続可能ユーザー数
  • 被写界内に動体検知エリアを設定可能か?
  • マイク内蔵か?
  • スピーカ内蔵か?(音声双方向通信が可能か?)
  • アナログビデオ出力可能か?
  • 外部センサー入力端子ありか?
  • 外部出力端子ありか?
  • 自動時刻調節(NTP)対応か?
  • FTPアップロード対応か?
  • メール送信機能ありか?
  • PoEアダプタ対応か?
  • 録画形式:ビデオファイルか,連続静止画像か?
  • IPv6対応か?
  • メモリカードスロットありか?
  • 最大同時モニタリング可能カメラ数
  • 補助ライト付きか?
  • 人感センサ付きか?
  • A.O.S.S.対応か?
  • 在宅・留守切替スイッチ付きか?
  • 通信はSSL対応か?


 またしても,前置きが長くなったが,今回,たいへん安価なパン&チルト対応ネットワークカメラCoregaCG-NCPTを試用する機会があったので,それについてレポートをしてみたい.特に私のように,パン&チルト非対応のCorega CG-NCMNのユーザーにとっては,CG-NCMNにパン&チルトを付けただけの製品なのか,それとも全く別物なのかは気になるところだろう.

 CG-NCPTの第1の特徴は,その価格だろう.パン&チルト付きネットワークカメラとしては破格の,実売2万6千円程度に価格が抑えられている.またそのパン&チルトの可動範囲が非常に大きいのも,この製品の特徴の一つだ.製品ページによると「業界最大の視野角」らしい.

 実際に,パン&チルトを動かしてみると,ステッピング・モーターを使用しているらしく,デジタル的に一定の角度単位で素早く動く.自動的に首を左右に一往復振ってくれるスキャン機能や,ワンクリックでカメラの方向を最初の位置に戻すホーム機能などの便利な機能も持っている.また一定の撮影方向を記憶させ,後で素早く呼び出すことのできるプリセット機能もあるが,この機能はクライアントソフトでは使用出来ず,JAVAアプレットによるWebベースのビデオ表示の時のみ有効になるようで,この辺は改良を望みたい.

 ちなみにクライアントソフトは,Corega CG-NCMN用のクライアントソフトをバージョンアップし,パン&チルトに対応させたものだ.したがって,CG-NCMNCG-NCPTが混在するネットワーク環境でも,一つのクライアントソフトでモニタリングできる.このクライアントソフトでは,最大4台のCorega製ネットワークカメラをサポート可能だ.その場合,CG-NCPTに切り替えたときのみ,「パン&チルト用4方向矢印ボタン」「スキャンボタン」「Homeボタン」が表示される.4台同時のモニタリングや録画も,もちろん可能だ.

 またWebベースでのカメラ映像表示も,CG-NCMNとは異なっている.パン&チルト機能をサポートするための,「4方向ボタン」「Homeボタン」「スキャンボタン」が存在するのは,クライアントソフトと同じだが,それ以外に
  • デジタルズームボタン:x1, x2, x3, x4
  • 水平移動量選択ボックス:1~10
  • 垂直移動量選択ボックス:1~10
  • プリセット位置選択ボックス:24個までプリセット可能
  • プリセット保存名入力ボックス
  • プリセット位置登録ボタン
  • プリセット位置削除ボタン
  • プリセット位置への移動ボタン
  • スキャン停止ボタン
 があり,クライアントソフトよりも機能が高くなっている.またCG-NCMNにはなかったが,IEのステータスバーにフレームレート(1秒間のコマ数)がリアルタイム表示されるようになった.

 次に,Webベースのセットアップ画面を見てみると,これもCG-NCMNとは微妙に異なっている.まず最初に表示されるセットアップのページに,「ユーザ登録」「Q&A」「製品情報」のリンクが追加された.さらに,ビデオ設定の解像度に「320 x 240」「640 x 480」の他に,「160 x 120」が選択可能となった.またCG-NCMNには不要だった,垂直・水平のミラー表示設定も加わった.この他に,CG-NCMNではクライアントソフトのみで可能だった「ファーム更新」メニューや,諸設定をファイルに保存するメニューも新たに設けられた.

 このように,CG-NCPTには,CG-NCMNと比較して,数多くの改良や機能追加がなされているのを見てきたわけだが,実は最も重要な違いについては,まだ述べていない.その最も大きな違いとは,ズバリ!,カメラとしてのスペックだ.

 両製品のWebページの「カメラ部仕様」「ビデオ部仕様」を見比べてみて欲しい.センサーの大きさ(インチ数)が違う事に気づくだろう.つまりこの両製品はそれぞれ全く違うCMOSセンサーを使用しているのだ.そのため,画質がかなり異なる.もちろんCG-NCPTの方が,ノイズが少なく,発色も自然で,ボケも少ない.通常,1/3インチセンサーの方が,1/4インチセンサーよりも,きれいな画像となるはずなのだが,センサーの世代が違うのか,今回は逆の結果なっている.

 さらに「ビデオ部仕様」を見比べてみて欲しい.CG-NCPTの方が,フレームレートが微妙に高くなっているのがわかる.これはセンサーが違うためなのか,搭載しているプロセッサの処理能力がちがうためなのかよくわからないが,両機種で同じ場所を同じ距離から撮影し,映像を比較してみると,あきらかにCG-NCPTの方が,フレームレートが高く感じる.

 このように,CG-NCPTは,単にCG-NCMNにパン&チルト機能を付けたものではなく,CG-NCMNのネットワークカメラとしての機能に改良を施した,事実上の「上位機種」となっている.現在はファームバージョンが1.00で,ファームの熟成やクライアントソフトの改良などは,これからだと思われる.実際,Webベースでカメラ設定を行った後,保存ボタンを押した際に,カメラが応答しなくなることもあった.カメラの電源を切り,再投入することで元に戻るが,このような不具合も新ファームが登場すれば解決されるのだろう.

 いずれにしても,CG-NCPTが,大変コストパフォーマンスの良いネットワークカメラであることは間違いない.今後は,屋外用や光学ズーム対応版などの登場にも期待したい.

格安RAID5カード 玄人志向 SATARAID5-LPPCI 登場

2005-05-04 00:31:00 | 自作PC
 HDDが消耗品であることは,パソコン歴の長い読者の方々ならば,よくご存じだろう.またHDDが熱により,寿命が短くなるという常識も,最近の外付けHDDのセールスポイントの一つである「熱対策の説明」によって,一般パソコンユーザーにも浸透しつつあるように思う.HDDの寿命を少しでも長くするために,HDDクーラーを使用したり,フロントファンの風が当たるベイにHDDを配置したり,S.M.A.R.TとHDD温度のモニタリングソフトでHDDを監視するなどの工夫をしたとしても,やはりHDDは壊れるときは壊れる.その為,重要なファイルのバックアップは必ず行っておくのも,これまた常識中の常識だろう.

 しかし,仮にOSをインストールしたHDDが壊れた場合,バックアップにより重要なファイルは救われたとしても,HDDを交換し,OSを再インストールするのはかなりの手間だ.しかも,最近のHDDは容量が大きいため,大量のフリーソフトやユーティリティも,再インストールしなければならないケースも多いと思う.しかもそれらのソフトの設定には,ソフトの持つバグ等を回避するために,職人的な技が施されている場合があり,それらの設定を再び行うこととなると,これは肉体だけでなく,精神的な負担も大きい.

 HDDは消耗品であり,いつ壊れてもおかしくはない.それはHDDの宿命であり,構造上おそらく永遠に変えることができないと思われる.ならば,HDDが例え壊れても,HDD内のOSや設定やファイルに影響が及ばないフォールトトレラントな仕組みはないものだろうか?

 近年の中級(?)以上のマザーボードにはRAIDを構成できる製品が多い.チップセットがRAID機能を持たない場合でも,RAIDコントローラをオンボードで搭載しているマザーボードもある.RAIDの詳細については,リンク先を読んで頂きたい.

 たいていのマザーボードの持つRAID機能は,RAID0(ストライピング),RAID1(ミラーリング),RAID0+1(ストライピング&ミラーリング)となっている.RAID1(最低HDD2台)もしくはRAID0+1(最低HDD4台)でHDDを構成すれば,HDDが1台壊れても,そのHDDを交換し,RAIDの再構築を行えば,何事もないようにシステムは復活するはずだ.

 ただし,RAID1には弱点がある.それはHDDを2台購入しても,1台分の容量しか使用出来ない点だ.最近はHDDが安くなってきたため,1台分の容量でも納得できるユーザーも多いと思うが,資金不足が常態のPC自作者にとっては,この出資は痛い.

 RAIDについて知識を持っている読者ならば,「RAID5があるじゃないか!」と指摘されることだろう.確かにRAID5ならば,HDD3台構成で,ディスク容量が2/3となり,RAID1よりも,容量が稼げる.障害時もHDDリムーバブルケースにHDDが収納されていれば,ホットスワップできる場合もあるだろう.

 RAID5というと,今までは高価なRAIDカードが必須というイメージがあるが,最近では,マザーボードにオンボードで搭載されているRAIDコントローラが,RAID5をサポートしている場合もある.例えば,SiliconImageSil3114などは,その代表格だ.

 ただし,RAID5にも弱点はある.それは書き込み速度だ.パリティ(XOR)演算を書き込み時に行うために,どうしてもHDDを単体で使用した場合の書き込み速度よりも遅くなる.高級なRAIDカードは,このパリティ演算を高速に行う専用プロセッサが搭載されている(ハードウエアRAID)が,オンボードのRAIDコントローラや安価なRAIDカードの場合,パソコンのCPUがこの演算を肩代わりするため(ソフトウエアRAID),CPUに負荷がかかると共に,書き込み速度はCPUの演算能力次第ということになる.ちなみに,高価な専用プロセッサを搭載せず,パソコンのCPUの力を借りながら演算する安価な演算チップを搭載したRAIDカードも存在する.このようにしてみていけば,オンボードRAIDコントローラがRAID5をサポートするようになった理由が,CPUの演算能力の向上にあることが理解できるだろう.

 ということで,前置きが長くなったが,玄人志向より,RAID5をサポートしたSATA接続HDD用RAIDカード「SATARAID5-LPPCI」が発売された.価格は,Cleverlyで¥4,168となっている.このPCI内蔵RAIDカードは,SATA接続のHDDを4台接続可能で,RAIDコントローラとして先ほど紹介したSiliconImageSil3114を採用している.またロープロファイル用のブラケットも付属する.Sil3114自体は,RAID機能を持っていないようであり,RAID機能はソフト(SoftRAID5?)によって提供されるようだ.さらにSil3114に関するページによると,HDD3台によるRAID5構成が可能であり,またこのRAID5構成を起動ドライブとすることも可能のようだ.

 SATARAID5-LPPCIは,ソフトウエアRAIDを採用しており,書き込み速度はあまり期待できず,またCPUへの負荷も大きいと思われるが,それなりのCPUを持ち,なおかつ,書き込み速度を気にしないのであれば,非常に安価なRAID5ソリューションとなるだろう.新たにフォールトトレラントなマシンを組みたいPC自作者ならば,発売間もないこのRAID5カードに人柱(?)として挑戦するのもいいかもしれない.


 ★★ 参考リンク

 

PCケース セルサス FP-402BK試用レポート1 ~購入予定者へ~

2005-05-03 07:29:16 | 自作PC
 先日の記事で説明したとおり,電源故障のためメインマシンのPCケースを,セルサスFP-402BKに交換した.今回は,このケースの試用レポートの第1弾だが,特にFP-402BKの購入予定者のために,いくつかのについての情報を提供しておく.

 まずFP-402BKには,以下の色違いのバージョンが存在する. それぞれの入手性は不明だが,購入予定者にとっては,選択肢が多いほうがよいだろう.

 次にFP-402BKのファンについてだが,標準搭載されている400W電源,FORTREXFP-400WNは,吸気と排気の2台の静音タイプ8cm角ファンを持つ.また標準搭載ケースファン(フロント12cm角×1,フロント8cm角×2)も静音仕様のようだ.私の場合,静音よりも冷却力重視のため,これら3つのケースファンは,より高速なファンと交換し,なおかつ,PCIスロットにシステムファン×1とサイドパネルに12cm角ファンを追加している.このファン交換の詳細は次回にレポートする予定だ.

 さて次の情報は,このPCケースの購入を予定の読者には,最も重要な情報となるかもしれない.本製品FP-402BKは,前バージョンであるセルサスFP-401BKの左サイドパネルに,パッシブダクトとPCIエアーダクト(注:名称だけで,「PCIエアーダクト」にはダクトはついておらず,単なるエアーインテーク)をつけた改良版だ.この前バージョンは,2003年10月6日発売のようだが,実は全く別のメーカーが,FP-401BKと瓜二つのケースを,2004年1月16日に発売している.

 そのメーカーとは,あのCPUクーラーでおなじみのCooler Masterだ.Cooler MasterPreatorianシリーズ PAC-T01-EK(Black)英語ページ詳しい英語レビュー)は,まさにFP-401BKをアルミケース化(アルミ肉厚2.0mm,ヘアライン処理らしい)したPCケースだ.詳しいスペックは,上記リンク,もしくはこちらをご覧頂きたい.

 FP-401BKPAC-T01-EK(Black)の最も大きな違いは,今述べたとおり材質の違い,すなわち「スチールケースか,アルミケースか」の違いではあるが,その違いは当然の事ながら価格に反映される.電源非搭載のPAC-T01-EK(Black)の「価格.com」の最安値は,現在のところ,税込で18,274円となっている.私は電源搭載,パッシブダクト付のFP-402BKを9,500円で手に入れている.

 このFP-401BKPAC-T01-EK(Black)の違いは,もちろんそれだけにはとどまらない.

 ケースファンについて見てみよう.パッシブダクトがなく,リアファンも8cm角でFP-401BKの12cm角よりも小さいPAC-T01-EK(Black)だが,トップパネルの真ん中に,FP-401BKには存在しない排気用8cm角ファンが標準搭載されており,排気能力を高めている.またPAC-T01-EK(Black)のすべてのケースファンの前後には,ファンガードが取り付けられており,安全性と通気性を両立させている.FP-402BKの場合,ファンガードは一切ついておらず,またリアファンの排気口も,バックパネルにメッシュ状に穴を開けたタイプのもので,PAC-T01-EK(Black)のように,バックパネルを丸くくりぬいたものではない(参考リンク).12cm角ファンは,より小口径なファンと比較した場合,静圧が低いため,できたら「くりぬき&ファンガード」にして欲しいところだ.ちなみに,FP-402BKの12cm角ファンは,静音タイプではなく,静圧タイプのフィン形状だった.

 次にメンテ性の違いについてみてみる.FP-401BKでは未確認だが,FP-402BKの場合,マザーボードトレイ(ベース)の取り外しができない.これに対し,PAC-T01-EK(Black)では,PCIカードを取り付けたまま,マザーボードトレイを取り外すことができるため,メンテ性もよく,組み立ても楽だ.

 前面ポートの位置も大きく違う.PAC-T01-EK(Black)では,前面ポートを吸気メッシュの左横に配置しているが,FP-402BKでは,フロントカバーの左側面に配置している.おそらくデザイン上の要請で側面配置になったと思われるが,やはり使いよいとは言えない.その上,PAC-T01-EK(Black)では,アルミ製のポートドアを開くと,ドアが内部に引っ込むため,開けっ放しでもドアがじゃまにならないのだが,FP-402BKでは,ドアが引っ込まず,ケースの設置場所によってはドアが開けにくかったり,開けたドアじゃまだったりするだろう.

 最後に,これは好みが分かれるところだが,フロントパネルにも微妙な違いがある.材質や前面ポートの位置前述の通りだが,その他にも,PAC-T01-EK(Black)のフロントパネルには角があるのだが,FP-402BKでは,角が面取されている.さらにフロントパネル上のLEDの大きさも異なる.PAC-T01-EK(Black)のLEDは大変小さく,言ってみれば「点」なのだが,FP-402BKのLEDは,かなり大きく,言ってみれば「ランプ」に近い.しかもパワーLEDの色がブルーの上に,その輝度が大変高く,暗い部屋ではちょっとしたレーザーポインタのように,2メートルぐらい前方の壁すら,うっすら青く光らせるほどだ.それに対して同じ大きさのHDDアクセスLEDについては,全く逆で,暗い部屋においてもその点滅が確認しにくいぐらいに暗い.これは意匠なのだろうか?

 このように,PAC-T01-EK(Black)FP-401BKFP-402BKの違いを見てきたが,一番最初に述べたように,PAC-T01-EK(Black)は,FP-401BKFP-402BKのアルミバージョンと見なしてほぼ間違いない.したがって,FP-402BKの購入予定者は,予算が許すのであれば,PAC-T01-EK(Black)の購入も視野に入れるべきだろう.ただPAC-T01-EK(Black)については,ネジ穴の位置について,微妙な報告がいくつか上がっている事には注意したい.

 ということで,本日はここまで.次回の試用レポートは,「ケースファン交換編」の予定.こうご期待!

 ちなみにクリアパネル付サイドパネルも,オプションで購入できるところもおもしろいデショ?>CoolerMasterのM氏