自分の所有しているNintendo DSiは,事実上,携帯楽器兼DTMマシンと化している.すなわちDSソフト「大合奏!バンドブラザーズDX(略称:バンブラ)」専用機となっていると言って良い.このソフトと出会ってから,DSiはゲーム機ではなく,「自分の身体の延長=楽器」としてとらえるようになり,それまででは考えられない「愛着」をDSiに感じるようになった.バンブラとの出会いは.それまで自分が何十年間か持っていた音楽観を,全く変えてしまうほどの衝撃的な事件でもあった.
詳しいバンブラの解説は他のページに譲るが,このソフトは画面に表示された譜面を見ながら,ボタンを押して音を出し,演奏する楽器ソフトだ.譜面は楽器毎に8パートに分かれており,プレイヤーはその中の一つを演奏し,残りのパートはDSが自動演奏する.つまり「楽器のカラオケ」だ.また通常のボーカルのカラオケ機能を搭載しているため,メロディパートは演奏せず,歌うことも可能.さらに無線LANにより,各パートを担当する他のプレイヤーとともに,合奏することも可能であり,気軽にセッションを持つことができる.セッションの時に問題になる「実力差」も,バンブラの演奏操作は,その熟練度により,単純な方法(1個のボタンを使用)から複雑な方法(10個のボタンを使用)まで選択きるため,未熟なプレイヤーが演奏の足を引っ張る事が少ない.そして極めつけは作曲機能(簡易DTM)で,各パート毎に譜面を入力し,アップロードすることにより,バンブラのすべてのユーザーを対象にして曲を配信することができる(ただし審査を通過する必要がある).
私の場合は,ヘッドフォンを使用して,一人で演奏することはもとより,友人や母親とセッションしたり,耳コピによりポップスなどを打ち込み,サーバに投稿するなど,カラオケやフリー演奏(楽譜なしでの演奏)以外のバンブラの機能はフルに使用している.すでにソフトを購入してから1年以上経っているはずだが,全く飽きることなく,ちょっとした時間や気分転換が必要だと感じた時に演奏を楽しんでいる.ちなみに耳コピによる打ち込みは,莫大な時間がかかるため長期休暇時のみ.
こんな私が「Nintendo DSi LL(以下LLと略す)」の発売を知ったのは,偶然に見たTVCMからだった.その名称やTVCMから受けたLLの印象は,「お年寄りのために画面を大型化しただけのDSi」といったものだった.この軽薄短小の時代に,LLを発売する理由が他にあるだろうか?すでにDSiを持っている私にとっては,「2万円も払って,改めて購入する必要もないもの」とその場では判断し,しばらくの間,LL新発売への関心は薄れていた.ところがその後,あるきっかけから,心の片隅に妙にむずむずした何かを感じ始めた.それは,最近バンブラ譜面として配信された中島美嘉の曲「Will」のベースパートを練習していた時だった.
自分の場合,10個のボタンを使用して演奏している(操作タイプ:マスター)のだが,この曲のベースパートはかなり難しい(レベルは最高難度★10個).このような難曲の練習中は,どうしても力んでしまい,指の動きにより画面が揺れるため,譜面を目で追うことができなくなる.このため目の疲れ方が尋常ではない.さらには力みによって,DSiを支える手や指がだんだん痛くなってくる.
バンブラマスター操作では,3つのボタンの同時押し(Lボタン+Rボタン+他のボタン)が存在する.私の場合,強くLRボタンを押してしまうため,通常の持ち方では,本体の位置がカラダの方向にずれてしまう.これを防ぐため私の場合は,両手の小指を本体前方側面に立て支えているのだが,これはたいへん不自然な持ち方だ.しかもこの方法でも,だんだん本体が手のひらの中でカラダ側にずれてくると,DSiの底面隅にある足(小さな突起)が,小指と薬指の間の根本に食い込んできて,これが非常痛い.
疲れるのは目や指だけではない.意外なことと思われるかもしれないが胸や耳も疲れる.胸はDSi本体が操作によってできるだけ揺れないように,脇を締め,両手で横から挟むように持つため,大胸筋に力を入れているためだ.また耳かけヘッドフォンを使用しているため,耳たぶもかなり痛くなってしまう.
このような状態でベースパートの通し練習と部分練習を繰り返していると,やはり一段落つく毎にかなりの疲労感を感じてしまう.そんなときにふと思った.「もしもあのLLで演奏したらどうなんだろう?」
以前はDS Liteでバンブラ演奏をしていたのだが,DSi発売をきっかけにバンブラをDSiに移行した時に非常に驚いた.DSiではDS LiteよりABXYボタンの高さが低くなり,「こすり」奏法(指の腹で連続的にボタンをこすって高速に演奏する方法)が,やりやすくなっていたのだ.十字キーも高さが低くなり,同じく,こすり演奏しやすくなった上に,十字キー特有の「ぐらつき」が減少していた.もちろんDSi最大の特徴であるやや大きくなった画面により,楽譜はDS Liteよりも見やすくなっていた.しかもDS Liteではつるつるだった底面が,DSiでは滑り止め加工になっていて,感触も良くなった上に,手が汗ばんできても滑らなくなった.音量調節はDS Liteのアナログ的なボリュームから,デジタル的なサイドボタンとなり,フリー演奏時に素早く的確に音量を操作できるようにもなっていた.
私にとってこれらの職人芸的改良は,DS Liteの改良と言うより,バンブラのための改良,さらに言えば楽器としての改良にすら思えたのだ.もしやこれらの改良がLLに対しても施されているのではないか?仮に改良されていなかったとしても,最もバンブラ演奏に向いているとされている初代DSに近い大きさを持つLLならば,少なくとも演奏しやすいのではないか?そして何より確実言えることは,目には優しいはずではないか!これは!
この最後の「目に優しいDS = DSi LL」という部分が決め手となり,LLに対する評価が一気に変わり,発売当日にLLを購入した.通常,製品の初期ロットは購入しないというのが私のポリシーだが,LLは例外的扱いとなった.実際,DSでバンブラ演奏をやり始めてから,視力は確実に落ちており,健康面の不安があったのは事実だ.
結論から言うと,バンブラ楽器としてのLLは,DSiよりも優れていると思う.特に画面が大きくなった効果は絶大だ.演奏していても目が疲れない上に,画面が揺れてしまった場合でも,DSiよりも譜面を追うことが楽になった.またDSiよりも本体を目から離すことができるようになったため,演奏姿勢も以前より良くなった気がする.
演奏ではないが,バンブラ作曲を行ったことがあるユーザーは,長時間小さな画面を見続けなければならず,非常に苦痛やストレスを感じていたはずだ.私自身もバンブラ作曲時に,これだけ作曲が苦痛ならば,思い切ってバンブラから,PCのDTMソフトに移行してしまおうかという誘惑に何度も駆られた.DTMソフトならば,PCの大画面のモニタとマウスで操作ができ,さらにはバンブラ作曲上の様々な制限もないからだ.LLの大画面は,このバンブラ作曲作業上の苦痛をかなり解消してくれるものと期待している.
バンブラの画面デザインは,ペンでタップするよりも,指で直接画面に触れることを想定していると思われる個所が多い.例えば「戻る」ボタンの位置は,明らかに右手親指で直接触れることを前提としている.しかしながらバンブラ画面操作のすべてが,指による操作を前提としているわけではない.例えば曲検索におけるキーボード画面がそれだ.指で押せないわけでもないが,DSiの画面ではボタンが小さいため指での入力は困難だった.
LLの大画面ではありがたいことに,このキーボードボタンも大きく表示されるため,指での操作が可能となった.小さな事ではあるが,煩わしいペン操作がなくなったのはうれしい限りだ.
ただしLLの画面も弱点はある.例えばDSiに比べて,やや粒状感(ざらつき)があり,白地の画面になった場合に特に目立つようだ.さらにDSiよりも輝度がやや低く,全体的に少々黄色が強くなっている.バンブラの場合,黒地の画面が多く,また色はほとんど演奏に関係しないため,大した問題とは言えないだろう.
ABXYボタンについては,若干DSiよりも高くなったように思う(以下,やりこんだDSiとの比較であるために,正確には不明).そのためキーのストロークも長くなっていると思われる.キーの重さも,LLのほうがDSiよりもやや重い感じなので,LLの方が誤ってボタンを押すことは少なくなるが,発声させるためには,DSiよりもしっかりボタンを押す必要があるかもしれない.これらはこすり奏法等に影響があると思われるが,どちらが演奏しやすいのかはまだ判断できない(曲によって,演奏しやすさが異なる可能性あり).
また押し込みきった時のボタンの高さもDSiよりも若干高くなっているようで,押し込み時にボタンの輪郭が指にはっきり感じられる.DSiでは押し込みきった時に,ボタン輪郭があいまいになるが,隣のボタンとの位置関係を把握するためには,LLのほうがよいのかもしれない.キーの大きさ・膨らみ具合・表面加工・各キーの間隔などはDSiと変わらないように思う.
十字キーについては,DSiとほぼ同じだが,LLではキーを離した時に「ポコッ」という比較的大きな音がする.筐体が大きいので,中で共鳴しているのかもしれないが,やや気になる点ではある.ヘッドフォンをして演奏しているのであれば,もちろん問題はない.クリック感はDSiよりもやや強いので,キーが入ったかどうかはDSiよりもわかりやすいかもしれない.
音量のサイドボタンは,他所でも書かれているとおり,DSiよりも高くなり,上げと下げボタンが離れたため,明らかに操作はし易くなった.
LRボタンについては,DSiよりもクリック感やクリック音が小さくなり,キーも軽くなったように思う.バンブラではRキーをオクターブを上げるために押し続けることが多いが,キーが軽くなったことにより,押し続けても指の疲れが少ないかもしれない.また曲によっては半音を下げるLキーをABXYボタン並みに使用する部分を持つ場合もあるが,キーが軽くなったことにより,疲労の少ない高速な打鍵が可能になったように思う.
劇的に変わったのは本体の持ち方だ.前述のLRキーが軽くなったことと,本体のホールド感が向上したことによりに,LRキーを押しても,本体がカラダ側にずれることが少なくなった.これにより,小指を本体前方側面に立てる必要はなくなった.
奥行きが深くなったため,DSiのようにLRキーをすべて覆うように指はかからなくなった.自分の場合はLRボタンの半分ぐらいを覆う程度だが,演奏に支障は感じられない.
自分の持ち方では,LL本体前面の角は薬指の根元あたりにくる.角のあたる位置は,DSiとほぼ同じなのだが,LLの角はDSiよりもゆるやかに湾曲しているため,長時間あたっていても,あまり痛くならないようだ.しかもあの,削り取ってしまおうかと思ったほど痛かったDSi底面の足が,LLでは大きく低く丸い足に変更されていた.
重さについては,確かにDSiよりもかなり重い.が,この重さは本体位置のホールドの安定感にもつながっているように思う.長時間演奏には影響がないとは言えないだろうが,短時間の演奏であれば,ほとんど問題はないだろう(ただしユーザーが子供の場合,手に対して本体が大きく,また重いため,演奏に支障が出る可能性はある).
最後にスピーカーだが,これも他所で言及されているように音質が若干向上している.DSiでは,音がややこもった感じがしていたが,LLではそのような感じはなく,クリアな感じがする.ただし音量に関しては,どちらも同程度のようだ.
実に長々と書いたが,自分のようにDSをバンブラ楽器として使用しているユーザーは,できたら試奏したうえで,早急にLLを購入したほうがよいと思う.これは特に眼の健康のためにお勧めする.DSが2台になってもったいないと思われるユーザも多いかもしれないが,1台目のDSが無駄になるわけでもない.LLを家での練習用やセッション本番用に使用し,DSiは普段持ち歩き,時間が空いた時に素早く取り出して,軽く練習する等の使い分けができると思うからだ.最後に言い訳がましいが…
「本レポートは個人的感想であり,客観的資料に基づいたレポートではありません.また本レポートは一個人の購入したLLに関するものであり,すべてのLLに当てはまらない可能性があります.ご注意ください.」
詳しいバンブラの解説は他のページに譲るが,このソフトは画面に表示された譜面を見ながら,ボタンを押して音を出し,演奏する楽器ソフトだ.譜面は楽器毎に8パートに分かれており,プレイヤーはその中の一つを演奏し,残りのパートはDSが自動演奏する.つまり「楽器のカラオケ」だ.また通常のボーカルのカラオケ機能を搭載しているため,メロディパートは演奏せず,歌うことも可能.さらに無線LANにより,各パートを担当する他のプレイヤーとともに,合奏することも可能であり,気軽にセッションを持つことができる.セッションの時に問題になる「実力差」も,バンブラの演奏操作は,その熟練度により,単純な方法(1個のボタンを使用)から複雑な方法(10個のボタンを使用)まで選択きるため,未熟なプレイヤーが演奏の足を引っ張る事が少ない.そして極めつけは作曲機能(簡易DTM)で,各パート毎に譜面を入力し,アップロードすることにより,バンブラのすべてのユーザーを対象にして曲を配信することができる(ただし審査を通過する必要がある).
私の場合は,ヘッドフォンを使用して,一人で演奏することはもとより,友人や母親とセッションしたり,耳コピによりポップスなどを打ち込み,サーバに投稿するなど,カラオケやフリー演奏(楽譜なしでの演奏)以外のバンブラの機能はフルに使用している.すでにソフトを購入してから1年以上経っているはずだが,全く飽きることなく,ちょっとした時間や気分転換が必要だと感じた時に演奏を楽しんでいる.ちなみに耳コピによる打ち込みは,莫大な時間がかかるため長期休暇時のみ.
こんな私が「Nintendo DSi LL(以下LLと略す)」の発売を知ったのは,偶然に見たTVCMからだった.その名称やTVCMから受けたLLの印象は,「お年寄りのために画面を大型化しただけのDSi」といったものだった.この軽薄短小の時代に,LLを発売する理由が他にあるだろうか?すでにDSiを持っている私にとっては,「2万円も払って,改めて購入する必要もないもの」とその場では判断し,しばらくの間,LL新発売への関心は薄れていた.ところがその後,あるきっかけから,心の片隅に妙にむずむずした何かを感じ始めた.それは,最近バンブラ譜面として配信された中島美嘉の曲「Will」のベースパートを練習していた時だった.
自分の場合,10個のボタンを使用して演奏している(操作タイプ:マスター)のだが,この曲のベースパートはかなり難しい(レベルは最高難度★10個).このような難曲の練習中は,どうしても力んでしまい,指の動きにより画面が揺れるため,譜面を目で追うことができなくなる.このため目の疲れ方が尋常ではない.さらには力みによって,DSiを支える手や指がだんだん痛くなってくる.
バンブラマスター操作では,3つのボタンの同時押し(Lボタン+Rボタン+他のボタン)が存在する.私の場合,強くLRボタンを押してしまうため,通常の持ち方では,本体の位置がカラダの方向にずれてしまう.これを防ぐため私の場合は,両手の小指を本体前方側面に立て支えているのだが,これはたいへん不自然な持ち方だ.しかもこの方法でも,だんだん本体が手のひらの中でカラダ側にずれてくると,DSiの底面隅にある足(小さな突起)が,小指と薬指の間の根本に食い込んできて,これが非常痛い.
疲れるのは目や指だけではない.意外なことと思われるかもしれないが胸や耳も疲れる.胸はDSi本体が操作によってできるだけ揺れないように,脇を締め,両手で横から挟むように持つため,大胸筋に力を入れているためだ.また耳かけヘッドフォンを使用しているため,耳たぶもかなり痛くなってしまう.
このような状態でベースパートの通し練習と部分練習を繰り返していると,やはり一段落つく毎にかなりの疲労感を感じてしまう.そんなときにふと思った.「もしもあのLLで演奏したらどうなんだろう?」
以前はDS Liteでバンブラ演奏をしていたのだが,DSi発売をきっかけにバンブラをDSiに移行した時に非常に驚いた.DSiではDS LiteよりABXYボタンの高さが低くなり,「こすり」奏法(指の腹で連続的にボタンをこすって高速に演奏する方法)が,やりやすくなっていたのだ.十字キーも高さが低くなり,同じく,こすり演奏しやすくなった上に,十字キー特有の「ぐらつき」が減少していた.もちろんDSi最大の特徴であるやや大きくなった画面により,楽譜はDS Liteよりも見やすくなっていた.しかもDS Liteではつるつるだった底面が,DSiでは滑り止め加工になっていて,感触も良くなった上に,手が汗ばんできても滑らなくなった.音量調節はDS Liteのアナログ的なボリュームから,デジタル的なサイドボタンとなり,フリー演奏時に素早く的確に音量を操作できるようにもなっていた.
私にとってこれらの職人芸的改良は,DS Liteの改良と言うより,バンブラのための改良,さらに言えば楽器としての改良にすら思えたのだ.もしやこれらの改良がLLに対しても施されているのではないか?仮に改良されていなかったとしても,最もバンブラ演奏に向いているとされている初代DSに近い大きさを持つLLならば,少なくとも演奏しやすいのではないか?そして何より確実言えることは,目には優しいはずではないか!これは!
この最後の「目に優しいDS = DSi LL」という部分が決め手となり,LLに対する評価が一気に変わり,発売当日にLLを購入した.通常,製品の初期ロットは購入しないというのが私のポリシーだが,LLは例外的扱いとなった.実際,DSでバンブラ演奏をやり始めてから,視力は確実に落ちており,健康面の不安があったのは事実だ.
結論から言うと,バンブラ楽器としてのLLは,DSiよりも優れていると思う.特に画面が大きくなった効果は絶大だ.演奏していても目が疲れない上に,画面が揺れてしまった場合でも,DSiよりも譜面を追うことが楽になった.またDSiよりも本体を目から離すことができるようになったため,演奏姿勢も以前より良くなった気がする.
演奏ではないが,バンブラ作曲を行ったことがあるユーザーは,長時間小さな画面を見続けなければならず,非常に苦痛やストレスを感じていたはずだ.私自身もバンブラ作曲時に,これだけ作曲が苦痛ならば,思い切ってバンブラから,PCのDTMソフトに移行してしまおうかという誘惑に何度も駆られた.DTMソフトならば,PCの大画面のモニタとマウスで操作ができ,さらにはバンブラ作曲上の様々な制限もないからだ.LLの大画面は,このバンブラ作曲作業上の苦痛をかなり解消してくれるものと期待している.
バンブラの画面デザインは,ペンでタップするよりも,指で直接画面に触れることを想定していると思われる個所が多い.例えば「戻る」ボタンの位置は,明らかに右手親指で直接触れることを前提としている.しかしながらバンブラ画面操作のすべてが,指による操作を前提としているわけではない.例えば曲検索におけるキーボード画面がそれだ.指で押せないわけでもないが,DSiの画面ではボタンが小さいため指での入力は困難だった.
LLの大画面ではありがたいことに,このキーボードボタンも大きく表示されるため,指での操作が可能となった.小さな事ではあるが,煩わしいペン操作がなくなったのはうれしい限りだ.
ただしLLの画面も弱点はある.例えばDSiに比べて,やや粒状感(ざらつき)があり,白地の画面になった場合に特に目立つようだ.さらにDSiよりも輝度がやや低く,全体的に少々黄色が強くなっている.バンブラの場合,黒地の画面が多く,また色はほとんど演奏に関係しないため,大した問題とは言えないだろう.
ABXYボタンについては,若干DSiよりも高くなったように思う(以下,やりこんだDSiとの比較であるために,正確には不明).そのためキーのストロークも長くなっていると思われる.キーの重さも,LLのほうがDSiよりもやや重い感じなので,LLの方が誤ってボタンを押すことは少なくなるが,発声させるためには,DSiよりもしっかりボタンを押す必要があるかもしれない.これらはこすり奏法等に影響があると思われるが,どちらが演奏しやすいのかはまだ判断できない(曲によって,演奏しやすさが異なる可能性あり).
また押し込みきった時のボタンの高さもDSiよりも若干高くなっているようで,押し込み時にボタンの輪郭が指にはっきり感じられる.DSiでは押し込みきった時に,ボタン輪郭があいまいになるが,隣のボタンとの位置関係を把握するためには,LLのほうがよいのかもしれない.キーの大きさ・膨らみ具合・表面加工・各キーの間隔などはDSiと変わらないように思う.
十字キーについては,DSiとほぼ同じだが,LLではキーを離した時に「ポコッ」という比較的大きな音がする.筐体が大きいので,中で共鳴しているのかもしれないが,やや気になる点ではある.ヘッドフォンをして演奏しているのであれば,もちろん問題はない.クリック感はDSiよりもやや強いので,キーが入ったかどうかはDSiよりもわかりやすいかもしれない.
音量のサイドボタンは,他所でも書かれているとおり,DSiよりも高くなり,上げと下げボタンが離れたため,明らかに操作はし易くなった.
LRボタンについては,DSiよりもクリック感やクリック音が小さくなり,キーも軽くなったように思う.バンブラではRキーをオクターブを上げるために押し続けることが多いが,キーが軽くなったことにより,押し続けても指の疲れが少ないかもしれない.また曲によっては半音を下げるLキーをABXYボタン並みに使用する部分を持つ場合もあるが,キーが軽くなったことにより,疲労の少ない高速な打鍵が可能になったように思う.
劇的に変わったのは本体の持ち方だ.前述のLRキーが軽くなったことと,本体のホールド感が向上したことによりに,LRキーを押しても,本体がカラダ側にずれることが少なくなった.これにより,小指を本体前方側面に立てる必要はなくなった.
奥行きが深くなったため,DSiのようにLRキーをすべて覆うように指はかからなくなった.自分の場合はLRボタンの半分ぐらいを覆う程度だが,演奏に支障は感じられない.
自分の持ち方では,LL本体前面の角は薬指の根元あたりにくる.角のあたる位置は,DSiとほぼ同じなのだが,LLの角はDSiよりもゆるやかに湾曲しているため,長時間あたっていても,あまり痛くならないようだ.しかもあの,削り取ってしまおうかと思ったほど痛かったDSi底面の足が,LLでは大きく低く丸い足に変更されていた.
重さについては,確かにDSiよりもかなり重い.が,この重さは本体位置のホールドの安定感にもつながっているように思う.長時間演奏には影響がないとは言えないだろうが,短時間の演奏であれば,ほとんど問題はないだろう(ただしユーザーが子供の場合,手に対して本体が大きく,また重いため,演奏に支障が出る可能性はある).
最後にスピーカーだが,これも他所で言及されているように音質が若干向上している.DSiでは,音がややこもった感じがしていたが,LLではそのような感じはなく,クリアな感じがする.ただし音量に関しては,どちらも同程度のようだ.
実に長々と書いたが,自分のようにDSをバンブラ楽器として使用しているユーザーは,できたら試奏したうえで,早急にLLを購入したほうがよいと思う.これは特に眼の健康のためにお勧めする.DSが2台になってもったいないと思われるユーザも多いかもしれないが,1台目のDSが無駄になるわけでもない.LLを家での練習用やセッション本番用に使用し,DSiは普段持ち歩き,時間が空いた時に素早く取り出して,軽く練習する等の使い分けができると思うからだ.最後に言い訳がましいが…
「本レポートは個人的感想であり,客観的資料に基づいたレポートではありません.また本レポートは一個人の購入したLLに関するものであり,すべてのLLに当てはまらない可能性があります.ご注意ください.」