WaterMind PC Blog

PCとネットワークに関するニュースコラム.

GmailでSMTP経由のメール送信ができなくなる不具合終了?

2008-06-06 14:50:28 | ネットワークサービス

 前の記事に書いた「watermind.pc@gmail.com」において,メールソフト「秀丸メール」を使用したSMTP経由でのメール送信ができないという不具合は,本日6日午前中に,Google側の対応により終息した.ただし,その他の比較的マイナーなメーラーにおいても,この不具合が解決したかどうかは未確認.

 ここで念のためにはっきりさせておくが,今回のこの不具合は,Google側のspammer対策の行き過ぎが原因であり,「秀丸メール」側に何の落ち度もない.今回の不具合に関して私は,秀丸メールのサポートフォーラム経由で,「秀丸メール」作者の秀まるお氏に連絡を取り,氏にGmail不具合回避策を考えていただいた.秀まるお氏には,お手数をおかけしたが,改めてここで感謝の意を述べたい.ありがとうございました<(_ _)>

 ちなみに,秀まるお氏の回避策はちょっとした驚きがあった.それはなんと,送信時にx-mailerヘッダを書き換えて,秀丸メール以外からのメーラーから送信されたように見せかけるというものだった.「他のヘッダーはともかく,x-mailerヘッダーだけは,固定されていて変更不能」と,私は勝手に思い込んでいたのだ.原因がわかった時点で,この対策をとっていれば,貴重な時間を無駄にすることはなかったはずだ.残念.何はともあれ,こうして私は,「秀丸メール」の持つ柔軟性に,改めて舌を巻いた次第である.

 最後に一言…

 Gmailが,電子メールの新しい時代を切り開いたのは間違いないと思う.SPFDomainKeysDKIM といった送信認証技術をマルチに応用した,その強力なanti-spam能力は,私がGmailをメインのメールアドレスとして採用した理由の1つでもある.

 しかし,Gmailが招待制から一般公開に移行した後,おそらくGoogleは,spammerたちとの激しい交戦状態に陥ったのだと想像される.特につい先日報道された,/.Jの記事:「GmailのCAPTCHAが破られている」「Gmailへのメール転送で注意。ドメイン全体が拒否される可能性」等を読むと,Googleとspammerとの戦いは,激しさを増しているようにも思える.この戦いの中で,Googleは今回の不具合原因であるx-mailerフィルタリングも含めて,何度か荒っぽい対策を採用したことがあるようだ.

 spam・spammer対策コストが上昇する中で,Googleがいわゆる「大量破壊兵器」を使用したくなる気持ちは理解できる.が,その使い方を間違えれば,無料であるGmailをメインのメールアドレスにまで採用したヘビーユーザたちの失望は,当方もなく大きいものとなる.その失望は,おそらく「Gmail」というブランドそのものにまで傷をつけてしまうだろう.Googleには,慎重なspam・spammer対策を希望したい.

 ただこのような不具合が起こっても,Googleには伝家の宝刀があることを忘れてはならない.Gmailロゴから未だに消えない「BETA」の4文字を…


GmailでSMTP経由のメール送信ができなくなる不具合

2008-06-06 04:31:44 | ネットワークサービス

注:6月6日午前に,この問題は解決しました.

 6月5日22:07現在,私がメールアドレスとして使用している「watermind.pc@gmail.com」において,メールソフト「秀丸メール」を使用したSMTP経由でのメール送信ができない.POPによる受信は可能.またGmailのWebメールページからは,送信できる模様.

 ネット検索してみると,私以外でも6月1日あたりから,メール送信できなくなったユーザーが世界的にいるようだ. 現象も全く同じ.それは不吉な前触れから始まった…

 Gmailをメインのメールアドレスにしてから,もう1年以上が経つが,今まではなんの問題なく送受信できていた.ところが昨日,WebページでGmailを確認しようとした時に,奇妙な現象が起こった.突然,メールアカウントのログインページに飛ばされたのだ.しかもそれは見慣れたGmailのログインページではなかった.なんとCAPTCHA(画像認証文字)がついていたのだ.

 このようなログインページは初めて見たのだが,おそらく単純にセッションがタイムアウトしたのだろうと思い,軽い気持ちでCAPTCHAを入力し,ログインした.しかし…それが地獄の始まりだった.

 その後,メールソフトからメール送信を行うと,すべての送信メールに対して,下記内容のメールが帰ってくるようになったのだ.

This is an automatically generated Delivery Status Notification

Delivery to the following recipient failed permanently:

    送信先メールアドレス

Technical details of permanent failure:
PERM_FAILURE: Message rejected.  See
http://mail.google.com/support/bin/answer.py?answer=69585
for more information.

 もちろん,これはリターンメールなので送信先にメールは届いていない.つまり,メールソフトからのメール送信が,全くできなくなってしまったのだ.ただし,Webページからは送信ができるので,完全に送信できなくなったわけではない.

 上記リターンメール本文のリンクページを読むと,spammer(迷惑メール送信者)に認定されているため,サーバレベルで送信が拒否されているらしい.

 今まで一度もこのような現象はなかったので,おそらく,Gmailのspammer認定基準が,最近になって変更されたための不具合なのだろう.Gmailのspammer認定基準(一部推定)は

  • 送信者のIPアドレス一貫性
  • 送信メールのFromヘッダーの一貫性
  • 送信メール本文の内容
  • 受信者による迷惑メールボタンクリック数
  • メール送信数(1日500通?)
  • 送信者のリターンメール受信数(送信アドレスを無作為生成している可能性)
  • cc/bccの指定アドレス数(メーリングリストは,Googleグループの使用を推奨)

があげられる.

  私の場合,確かに,すべての送信メールBccに,バックアップ用のメールアドレスを指定していた.また某社のメール配信サービスを管理する都合上,一日に10通ぐらいのリターンメールが,メールを送信していないにもかかわらず,届くことがある.Gmailでは,送信メール数に1日あたり500通という上限があるらしいが,もちろん,送信に関して,私は一日500通も送信はしていない.ただし,携帯への転送設定は行っているので,1送信メール毎に

  1. BCC指定:バックアップメールアドレス
  2. Gmail設定:携帯への転送
  3. To指定:送信先

の最低3カ所に送られる事になる.もちろんto/cc/bccのいずれかに,複数のメールアドレス(2から4個ぐらい)を指定する場合もある.

 送信元のIPアドレスがブラックリストに登録された可能性もあったので,念のために,IPアドレスを変化させてみたが,結果は同じだった.万策尽きたか…

 その後,2chの「Gmail By Google Part30」を読んでいたところ,私と同じ現象に悩んでいる同士を発見した.そして私は,彼らのこの短い会話の中に,今回のトラブルに関する重要な情報を発見した.以下引用…

100 97 sage New! 2008/06/06(金) 00:37:10
>>99
それはないw
こっちはZERO3のnPOPQで問題が発生。
ZERO3用のQmail3,Poutlookでは問題無し
送信メールのヘッダーをウェブでみる限りX-mailerがnPOPぐらいしか違いが無いように思えるのだが訳わからん?_?
おまけにGoogleヘルプも日本語訳がないから大変w

 なんと同じ不具合を起こしているGmailアカウントでも,メーラーによって送信できたり,できなかったりするらしいのだ.なるほど!ここで謎が解けた.先ほど書いたspammer認定基準には,もう一つ基準が存在したのだ.

  • 送信に使用したメーラーの名称:X-mailerヘッダー

 試しに,普段使用しているメーラー「秀丸メール」ではなく,「Windows Live メール」に,同じGmailアカウントを設定し,送受信を行ってみると…

 …送信できてしまった!なんということだ!「秀丸メール」は,spammer御用達のメーラーなのか?秀さん!

 秀丸メールから送信した場合のヘッダーは以下の通り.

From: WaterMind <watermind.pc@gmail.com>
To: watermind@watermind.org
Subject: =?iso-2022-jp?B?GyRCJUYlOSVIGyhC?=
Date: Fri, 06 Jun 2008 02:59:21 +0900
MIME-Version: 1.0
Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp
Content-Transfer-Encoding: 7bit
Message-Id: <8CC8C735E21043watermind.pc@gmail.com>
X-Mailer: HidemaruMail 5.05

Windows Live メールから送信した場合のヘッダーは以下の通り.

From: "WaterMind" <watermind.pc@gmail.com>
To: <watermind@watermind.org>
Subject: test
Date: Fri, 6 Jun 2008 03:03:10 +0900
Message-ID: <A5827F75BC6A45C781F1DE756283A510@WMVISTA>
MIME-Version: 1.0
Content-Type: text/plain;
 format=flowed;
 charset="iso-2022-jp";
 reply-type=original
Content-Transfer-Encoding: 7bit
X-Priority: 3
X-MSMail-Priority: Normal
Importance: Normal
X-Mailer: Microsoft Windows Live Mail 12.0.1606
X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V12.0.1606

 x-mailerヘッダー以外をspammer認定基準としている可能性も否定できないが,確かにspammerが特殊なメーラーを使用している可能性はある.Googleは,Outlook等のメジャーなメーラーをホワイトリストに登録し,それ以外のメーラー使用者は,spammerとして認定しているのかもしれない.だとすれば,それはあまりにひどい仕打ちだ.軽快で小回りのきく「秀丸メール」は,今や私にとって,「しっくりと手になじんだペン」であり,他のメーラに移行するつもりは毛頭ないからだ.

 Googleは直ちに,「秀丸メール」によるGmailアカウントの使用を認めるべきだ.もちろんすでに私は,Googleのお問い合わせフォームから,上記ヘッダーを投稿している.また「秀丸メール」の作者で著名な秀まるお氏も,既に状況を把握しており,動いているようだ.ただ世界的なシェアではマイナーではあるが(国内でもマイナーか…)「秀丸メール」をGoogleに認めさせるためには,秀丸メールユーザーの団結が要求されるのかもしれない.