WaterMind PC Blog

PCとネットワークに関するニュースコラム.

Mac mini はサーバマシン?

2005-02-25 11:00:00 | mac
 DOS/Vパソコン歴の長いユーザーにはおなじみの,西川和久氏によるMac mini試用レポートが発表された.Mac miniのハード内容については,既に分解レポートも出ているが,今回のレポートは,インストール済みのソフトを中心に,使用感が紹介されている.

 このレポートを読んで初めて,「Mac miniを安価な省スペース静音UNIXサーバ」として購入する者が,かなりいるということを知った.これは私にとって意外な使用方法だった.Macと言うと私の場合すぐに,教授の部屋・インテリア・印刷・服飾デザインをイメージしてしまうため,「安定的なOSであるUNIXを採用した安価なサーバマシン」というイメージがこのMac miniに対しても,全くわかなかったのだ.

 実際Mac miniには,すでにWebサーバのApacheやスクリプトエンジンのPerlPHPはインストールされており,すぐにWebサーバとして使用することができそうだ.しかも通常のUNIXサーバのように,SMBでWindows側からMac miniの共有フォルダにアクセスできるため,「Windowsネットワーク(LAN)内のファイルサーバ」としてももちろん使用可能だ.

 その上Mac miniには,「OSXvnc」と呼ばれるデスクトップサーバソフトがインストールされているため,WindowsのPCをクライアントとして,Mac miniのデスクトップをリモートコントロールすることが可能.このVNCを用いれば,いわゆるヘッドレスのサーバ運用ができそうだ.ちなみにMac miniをクライアントとして,WindowsXP Professionalの提供するデスクトップサーバ機能「リモートデスクトップ」に接続して,Windowsマシンをリモートコントロールする「Remote Desktop Connection」というクライアントソフトもインストールされている.

 このように見ていくと,意外にもこのMac miniは,Windowsの(ネットワーク)環境になじむマシンだとわかる.「キーボードやモニタとして,Windowsマシンのものが使えるよ!」と宣伝していることからも明らかなように,今までのMacファンだけでなく,Windowsマシンユーザーもこの製品の購買ターゲットとなっている.西川氏の談によると,「PC一筋だった元麻布さんまでMac miniを買」ったとのことだ.確かにこのマシンは,いろいろな意味でWindowsユーザーに訴求力があるような気がする.実際,普段はMac関係のニュースには見向きもしない私がこうして記事として取り上げているぐらいだ.サーバマシンとしての体力(特に持久力)は別として,我が家のWindowsネットワークの一員に,「かわいい異端児」として参加させてあげたいと思うのは,私だけではないだろう.

ノートPCの3D能力アップグレードが可能に

2005-02-24 00:34:55 | 自作PC
 最近のPC購入予定者は,ノートパソコンを選択する場合が多いようだ.ノートパソコンが選択される理由として,まず省スペースが理由としてあげられるのは当然だ.また,モバイル仕様のノートパソコンでなくても,3kg程度の重さのノートパソコンであれば,不要時には移動して片づけることもできる.PCIスロットのような内蔵型の拡張はできないものの,PCカードスロットやUSB2.0を使用すれば,周辺機器の使用について,それほど不自由することもない.以前は苦手とされてきた3Dゲームについても,TFT液晶の応答速度の向上と MOBILITY RADEON などのノート向けの3Dチップの登場で,ある程度の3Dゲームもプレイ可能となってきた.

 しかしノートパソコンにはいくつかの弱点も存在する.例えば,液晶パネルが十分使える状態であっても,CPUやマザーボードが時代遅れになると,そのまま丸ごと放棄しなければならない場合がある.タワー型のデスクトップPCであれば,CPUやマザーボードを交換し,時代の流れにある程度追随することは可能だろう.特にビデオカードの交換は,タワー型では内蔵カードと同じ扱いであり,非常に簡単に3D能力を上げることができる.

 機種毎に異なるノートPCのマザーボードの交換は不可能であるとしても,せめてCPUの交換やビデオカードの交換は,ノートPCであっても可能ではないかと考えるユーザーも多いと思う.残念ながら実際のノートPCのCPUは,ソケットではなく,マザーに直づけされている場合も多く,交換はかなり難しい.またビデオ機能については,チップセットに内蔵されていたり,やはりビデオチップがマザーに直づけされていたりするために,交換は不可能だった.

 しかしこれからはノートPCにおいても,3D能力のアップグレードが可能になるかもしれない.nVidiaの「MXM(Mobile pci-eXpress Module)」規格がそれだ.MXM規格はPCI Expressベースのビデオインターフェイスで,この規格に準拠すれば,ノートPCでもビデオカード(MXMカード)を交換できるという,いわば「ノートPCのPCIexpress x16」的規格だ.

 22日にAOpenがAlviso(915PM)チップセット搭載ノートベアボーンにMXM規格を採用するとのニュースリリースが発表された.この規格が今後すべてのノートPCに普及するかは現時点では不明だ.またこの規格に対抗して,nVidiaのライバル会社であるATIは,AXIOM(Advanced eXpress I/O Module)という同様の規格を推進しており,両社の新たな戦いに発展しそうな気配だが,MXM規格のベアボーンの登場により,MXMが一歩リードしている形となった.

 どちらの規格が採用されるかは現時点でははっきり言えないが,MXMはオープンな規格なので,ATIが最終的にこの規格に対応する可能性もある.ノートPCでも,3D能力のアップグレードができるようになる日も近いようだ.

Wikipediaが一時オフラインに!

2005-02-23 09:17:28 | ネットワーク技術
 最近,GoogleでWebサーチをしていると,百科事典ページのWikipediaに当たることが多くなった.Wikipediaは,書き変え可能なページシステムWikiを利用した,ボランティアにより編集されたネット百科事典だ.このフリーの百科事典は,言語毎に内容が分かれており,もちろん日本語版も存在する.画像等のインタラクティブなコンテンツは少ないが,既に日本語版において10万件以上の項目が記載されており,分野によっては,相当の知識を得ることができる.通常の百科事典には掲載されていない内容も掲載されており,例えば「ガンダムシリーズ登場兵器一覧」などには,モビルスーツの「製造会社名」「ジェネレータ出力」等の詳細までマニアックに記述されている.

 その,Wikipediaが,太平洋標準時で2月21日午後2時15分ごろ,停電により一時オフラインとなったというニュースが入った.記事によると,単にオフラインになっただけでなく,百科事典の内容を保持するデータベースが壊れたため,現在データの復旧作業を行っているとのことだ.23日朝8時現在は,表示自体はほぼ可能だが,普段よりかなり反応が悪い.またまれに,ページが表示され無い場合もあり,この時何度かリロードすることによってようやく表示される場合もあった.現時点では,完全には復旧していないようだ.これからしばらくの間は,Wikipediaの使用に関して,不自由を強いられることになるかもしれない.事件の詳細についてはこちら(英語).またUSAのスラッシュドットにおけるこの事件の議論はこちら

 この記事でまず疑問に思ったのは,「全世界規模で使用されるインターネット上のサーバーが,なぜ停電で止まってしまうのか?」と言うことだ.通常のWebサーバー(ホスティング)ならば,RAIDによるハードディスク障害への対処はもちろんのこと,UPS自家発電により,停電が起こってもサービスを維持できる体制を持ってしかるべきだ.記事によるとWikipediaのホスティング先には,非常用電源があったそうだ.原因は不明だが,その非常用電源が停電時うまく作動しなかったようだ.停電から数分後,すべてのサーバーがリブートしたそうだが,これが非常用電源によるものか,通常の電源が回復したためかは記事には記載されていない.

 また上記リンクの記事から,Wikipediaが,データベースとしてMySQLを採用し,テーブルとしてトランザクション可能なInnoDBを使用していることがわかった.InnoDBは,(トランザクションにおいて)今回のような電源断も含んだ障害に対する耐久性が高いとされているが,他のMySQL(InnoDB)を使用したサイトで起こった同様な事件においては,復旧にかなりの時間がかかったようだ.はたして完全なる復旧にはどれぐらいかかるのだろう?

 今やWikipediaは,インターネット上の知識タンクとして重要なの役割を果たしている.「無料なのだから,ある程度の不自由はやむを得ない」と言えばそれまでなのだが,人々が苦労して蓄積した膨大な知識の塊が,一瞬にして消えてしまうような弱いシステム構成の上に乗っているとすれば,心許ない話だ.ここはGoogleからの申し出をとりあえず素直に受け入れ,より盤石な体制をWikipediaは取るべきなのかもしれない.

相次ぐメッセンジャーのセキュリティホール発覚

2005-02-21 23:55:13 | セキュリティ
 IMソフト(インスタント・メッセンジャー)と言えば,現在の日本では, といったソフトが代表格だろう.

 これらのソフトには,それぞれ長所と短所があり,今のところすべての面においてベストと言えるIMソフトは存在していない.その為,私のように,3つのメッセンジャーソフトを常時起動しているユーザーも少なくないと思う.

 これらのソフトにおいて,企業向けのIMソフトである「Windowsメッセンジャー」と,インターネット電話機能に特化された「Skype」については,機能が限定されおり,必要最小限の機能を持つ事務機的なソフトとなっている.これに対し,「Yahoo!メッセンジャー」と「MSNメッセンジャー」は,コンシュマー向けに作られており,今までの文字・音声・ビデオチャットの機能だけでなく,背景の共有やオンラインゲームなど様々なお楽しみ機能が追加されている.この傾向は,正式リリースとはなっていない,お試し版(ベータ版)の両メッセンジャーにおいて,特に顕著であり,「ウインクやIMキャラクタ(相手にアニメーションを送る)」「手書き文字送信」「シェイクや緊急メッセージ(相手の画面を震えさせる)」「ブログ新規記事掲載のお知らせ」「連絡先カード(名刺)」など,その機能追加は多岐にわたっている.ちなみに現在のベータ版のバージョンは,Yahoo!メッセンジャーが6.0.0.1702,MSNメッセンジャーが7.0.0425となっている.

 このようなIMソフトの機能拡充と共に問題になってきているのは,IMソフトのセキュリティホールだ.今月10日にも,MSN Messengerのセキュリティホールが問題となり,マイクロソフトはMSNメッセンジャーの強制アップデートに踏み切ったばかりだ.そして本日21日,Yahoo!メッセンジャーについてもセキュリティホールが発覚した.このセキュリティホールに対する更新は,明日22日にリリースされる模様.ちなみに自動アップデートされるかは不明.

 今回発見されたセキュリティホールは致命的なものではないと思われるが,Yahoo!メッセンジャーのユーザーは,明日以降,早急にアップデートした方がよいだろう.

参考リンク:

チルトホイールマウス サンワサプライ「グランツHS」 試用レポート4

2005-02-20 07:59:00 | ハードウエア
 実売価格3,000円程度の安価な有線光学チルトホイールマウス,サンワサプライグランツHS(レッド)」の試用レポート第4弾.今回は本体の材質及びボタンについてレポートする.

 本製品の本体は,画像を見て頂くとわかるとおり,左右ボタンと一体化した赤いトップの樹脂パーツと,サイドの黒い樹脂パーツから構成されている.赤い樹脂パーツは,スペック表による「クリアレッド」となっているが,実際にはメタリックな光沢を放つルビーに似た暗い赤となっている.製品ページの「メイン写真」では光沢のない明るい赤のように見えるが,実際にはまるで違うので,通販等で実物を確認せずに購入する場合は注意が必要だ.

 赤い樹脂パーツの表面はツルツルした光沢仕上げになっているが,一方のサイドの黒い樹脂パーツには光沢がなく,指が滑らないようにラバー表面に似た感触の仕上げになっている.左サイドに存在する2つのボタンは,赤い樹脂パーツと同様のツルツルした仕上げになっているため,サイドボタンとサイドのパーツは,親指の腹の感触で判別可能だ.

 左右ボタンは,赤い樹脂パーツと一体化されており,ボタンの重さは,この樹脂の剛性によって発生しているようだ.つまり赤い樹脂パーツは板バネの役割も果たしている.その為かもしれないが,左右ボタンのクリックは,通常のマウスよりも若干重めに感じる.クリック感やクリック音ははっきりしているので,その点は申し分ない.ただ個体差かもしれないが,右ボタンのプレス時に,ストローク初期の「遊び」の部分で,ギチギチといった「きしみ感」が感じられる.ただし素早くクリックする場合には,気にならない程度のものだ.

 左サイドの2つのボタンは,割り当てる役割にもよると思うが,私の場合,コピーとペーストに割り当てており,左ボタンクリック並みに使用頻度が高い.慣れてしまった後はおそらく,サイドボタンなしのマウスが,非常に不便に感じられるだろう.ただ長く試用してみると本製品のサイドボタンには,いくつかの問題があるのに気づく.

 まずサイドボタン4(前方のボタン)が前すぎると言うこと.私の右手の場合,人差し指と中指をそれぞれ左右ボタンの上に置いた場合,親指はサイドボタン5(後方のボタン)の中心に来る.このため,サイドボタン4をクリックためには,手全体を浮かして,前に移動する必要があった.当然クリック後には,手を位置を元に戻さなければならない.これは非常にストレスを感じさせる行為だ.私の人差し指と中指は,一般人より長めのためこのようになってしまうのかもしれないが,指の長い人は要注意だ.

 両方のサイドボタンが軽すぎるのも問題だ.あまりにも軽いため,誤ってクリックしてしまったことが何度かあった.またクリック音は左右ボタンと比べるとやや小さく,ストロークも浅いため,クリック感も乏しい.そのため状況によっては,誤ってサイドボタンをクリックしたことに,気づけない場合もあるかもしれない.

 もう一つ苦言を呈すれば,両方のサイドボタンの境が,親指の腹で判定しづらい事が上げられる.実際にはこの両方のサイドボタンの真ん中当たりに,細い隙間が存在し,そこから意図的デザインなのかもしれないが,LEDの光がこぼれ出ている.ところがその隙間があまりにも細いために,その上を親指の腹でこすっても,境がないように感じられてしまう.それぞれのサイドボタンには起伏があり,それも一つの「目印」となりそうに思うが,サイドボタンが軽いために,ちょっと探っただけででも,クリックしてしまう場合があった.

 このように本製品のサイドボタンについては,改良すべき点が多いように思う.後継製品では,改良を望みたい.

 最後にホイールについて言及しておく.ホイールは白い半透明のシリコンゴムのような材質でできており,滑り止めになっている.ホイールの幅は約7ミリほどあり,人差し指との密着度も適度で回しやすい.

 ホイールの回転には,「ポクポク」といったノッチ感がある.この「ポクポク」のおかげで,ホイールの回転事実が,指にフィードバックされるので,誤ってホイールを回してしまったことに気づくことができる.またノッチは,ホイールクリック時などにホイールが不用意に回ることを防ぐ役目も担っている.某有名マウスは,ノッチ感がないので有名だが,ここらへんは好みの分かれるところだろう.

 ホイールボタンはその性質上,ある程度の重さが必要となるが,本製品ではホイールボタンの重さが適度にあり,ホイールを回していても,誤ってホイールクリックしてしまう事は今まで一度もなかった.ストロークは短めであるが,クリック感ははっきりと感じられ問題はない.

 この重めのクリック,短めのストローク,はっきりとしたクリック感は,ホイールチルトでも同じだ.某有名マウスはチルトするためには,ホイールをかなり傾ける必要がある.これに対して本製品は,「チルト(傾ける)」と言うよりも,「ホイールのサイドクリック」といった感じだ.ただし,やはり個体差かもしれないが,私の個体では,左チルトは大きなクリック音(箱鳴りしている?)とクリック感があるが,右チルトに関しては無音に近く,クリック感も左チルトほどはない.しかし,別段使用に関し,私自身は支障は感じていない.

 ということで今回はここまで.次回は,マウスユーティリティを中心として,ソフト面について解説する予定.

ついにキター!NTT Docomo,PHS終了決定

2005-02-17 21:28:30 | PHS
 PHSファンやPHS廃人たちにはショッキングなニュースが,17日飛び込んできた.NTT Docomoが,2~3年後にPHSサービスを終了するとのこと.NTT DocomoのPHSサービスは,既に数年前,新機種開発を停止しており,事実上,PHSユーザー,特に音声端末として使用しているユーザーを飼い殺しにしてきた.当然この措置は,PHSユーザーの「自然死(PHS端末死亡と共に,昇天し,ケイタイユーザーに生まれ変わる)」を促進する.おそらくDocomoの段取りとしては,既存PHSユーザーからの苦情が出ないように,まずこの「自然死」によって,PHSユーザーのケイタイへの移行を穏やかに進めていき,それでも生き残ったしぶといPHSユーザーについては,ユーザー数がある程度減ったところで,サービス停止を発表し,一気に掃討すると言う段取りだったと思われるが,ついにその時がやって来たようだ.

 おそらく現在のDocomoのPHSユーザーは,1)安い音声端末として(全ユーザーの約2割),または2)モバイル環境におけるインターネット接続方法(@FreeDなど.全ユーザーの約8割)として,使用していることと思う.特に定額制インターネット接続(@FreeD)については,2003年4月1日にサービスを開始したばかりであり,サービス終了は現ユーザーにはショッキングかもしれない.

 ただし,もちろんこれですべてのPHSサービスが終わるわけではない.私もユーザーの一人であるWillcomは,@FreeDと同様の定額制のインターネット接続(AIR-EDGE,Max:32kbps)はもちろんのこと,DocomoのPHSにはなかった4x(Max:128kbps)や8x(Max:256kbps)といった高速常時接続も提供している.従って,現在DocomoのPHSユーザーの大半を占めると思われるデータ通信主体のユーザーは,このWillcomのサービスに移行すればほとんど問題はないだろう.ただし,残りの「格安の音声端末」として利用しているユーザーについては,ケイタイへ移行できるかどうかは微妙だ.DocomoのPHSサービスには,「プラン135(月額基本料金:1,350円)」と言う格安コースが存在する.Willcomの場合は,子供向けの「安心だフォン」を除けば,「昼得コース(月額基本料金:1,980円)」が最も安いコースとなる.料金にシビアなユーザー層が想定されるため,この月額600円の価格上昇は,大きなバリアとなるかもしれない.

 負の遺産と呼ばれる「ISDN」を利用しているPHSは,公衆無線LANが発達し,本格的なユビキダス時代を迎えれば,完全にその公衆サービスを停止するだろう(注:病院などの構内使用では,しばらく生き残る可能性はある).だが「マイクロセル」方式というPHSのコンセプトや資産(基地局)の一部は,ユビキダス時代(モバイル環境での常時接続)に入っても受け継がれる可能性は十分ある.PHS資産の維持には,未だ価値があると言うことだ.高速ユビキダス時代までのつなぎとして,今後もPHS=Willcomにはがんばってもらいたい.(ADSLユーザーには,ご迷惑をおかけするが…)

追 記:

 本日17日の午後,NTT DocomoはPHSサービス停止報道を否定した模様.以前のPHS新機種開発停止の時もDocomoはその報道否定を行ったが,結局その報道に間違いはなかった.いずれにしてもDocomo PHSユーザーに動揺を与えたのは事実であり,仮に報道否定しても,Docomo PHSのユーザー数は,今後ますます減ることになるだろう.情報を意図的にリークし,それを否定することで,さらにPHSユーザーを減らし,PHSサービス停止の足固めをしたという,うがった見方ができなくもないが…(ソースが日経なのでそれはないかな?)


HDDレスのノート型端末 FLORA Se210 登場

2005-02-16 09:38:02 | ハードウエア
 私はかつて,モバイルのノートパソコンを持ち歩き,喫茶店やファーストフード,果ては通勤の電車の中で,プログラムを作っていたことがある.このモバイル・プログラミングは,今思えば,割と快適だったが,困ったことがあった.それはトイレである.トイレに行く時に,ノートパソコンもいっしょに持って行くのが「すじ」なのだろうが,さすがに面倒だ.かといって,置いていけば,当然盗まれる可能性があるので,用を足していても気が気ではない.ただ当時,私のノートPCにはプログラムのソースのみが入っていた.そのため仮に盗まれたとしても,経済的には痛いが,FDに保存してあるバックアップをリストアすれば,プログラミングは続行できたので,さほど支障はなかっただろう.しかもプログラムは汎用性のないものだったので,犯人がソースを盗用したり,改変して使用する可能性はほとんどなかったのだ.

 しかし,今のモバイルノートの中には,顧客データベース等の大量の個人情報が入っている可能性がある.もちろんこれら重要情報の入ったモバイルノートについては,
  • 起動に関しては,USBキー・パスワード・バイオメトリックス認証を必要とする.
  • ファイルシステムとしてFATではなく,セキュリティの確保できるNTFSを採用する.
  • スクリーンセーバを活用し,解除にはパスワードを必要とするよう設定する.
  • 重要なファイルについては,バックアップを取り,パスワード・暗号化を施す.
などの最低限の対策は行っていると思う.

 しかし仮に,これらの対策を施してあったとして,モバイルノートを盗まれた場合,何らかのセキュリティホールを応用したり,ソーシャル・エンジニアリング等により,HDDに格納されている個人情報が引き出される可能性は否定できない.

 ユビキダス時代が現実のものとなりつつある現在,インターネットを巨大なHDDと見れば,モバイルノートにHDDを搭載する必然はなくなる.HDDレスのモバイルノートならば,このようなセキュリティ上の問題が少なくなるだけでなく,ノート自体をより小型化でき,製造コストが下げられ,バッテリーをより長持ちさせることもできるだろう.このようなHDDレスのノートに,何らかの理由でHDDが必要ならば,PCカードタイプのHDDやUSB外付けHDDを使用することもできるはずだ.

 シグマリオンIIIを除く最近の「HDDレスのノート型端末」と言えば,「Smart Display」が思いだされる.Windows CE.NETをOSとして採用していたこのSmart Displayが成功していれば,WindowsSerever 2003などのデスクトップサーバのクライアントノートとして改良され,今頃は定着していたのかもしれない.しかし実際には,このSmart Displayは大失敗に終わり,その後「HDDレスのノート型端末」については音沙汰がなくなった.

 ところが本日15日久々に,「HDDレスのノート端末」の新作が登場したとのニュースが入った.日立のFLORA Se210がそれだ.今回の「HDDレスのノート端末」FLORA Se210は,今までと異なり,OSとして組込用WindowsXPのWindows XP Embbededを採用しているWindows XP Embbededは,HDDを持たないPOS端末・ATM・STB(セットトップボックス)等に対して,PCで使用されているWindowsXPに近い機能と環境を提供するOSだ.このOSはWindows CE.NETのようなリアルタイムOSではなく,CPUもWindowsXPと同様にx86系に限られるが,Win32プログラミングモデルに基づいており,WindowsXP用アプリやその開発環境との親和性が高い.Windows CE.NETWindows XP Embbededの違いの詳細は,こちらを参照のこと.

 FLORA Se210の主なスペックは次の通り
  • CPU:Intel CeleronM 超低電圧版 373(1GHz)
  • メモリ:256MB
  • 画面:12.1型TFTカラーXGA,CRT(D-sub 15pin)
  • OS:Windows XP Embedded
  • 拡張スロット:PCカード TypeⅡx1 CardBus(指定通信カードのみ)
  • メモリカード: SD/MMC/メモリースティックx1(使用制限あり)
  • USB&IEEE1394:USB2.0x3(使用制限あり),IEEE1394x1(使用制限あり)
  • サイズ:275(W)×233(D)×23~30.7mm
  • 重量:約1.3kg

 モバイル環境におけるFLORA Se210の使用は,バイオメトリックス認証の後に、内部に組み込まれている日立製の通信ソフトにより,無線LANアダプタやPHSと言ったデバイスを使って,インターネットに接続することから始まる.次に,インターネット経由(VPN)で社内のデスクトップサーバ(プレゼンテーションサーバ)に接続し,サーバの提供するデスクトップを表示する.FLORA Se210のキーボードやパッドで,表示されたサーバー内部のデスクトップを,リモートコントロールすると言うわけで,コンセプト自体はXP Proの「リモートデスクトップ」や「VNC」と同じだ.ちなみに,FLORA Se210には,USBメモリ等の外部記憶へのファイル保存が制限されており,事実上,デスクトップサーバ上のファイルを,これら外部記憶にコピーできない.このような制限ももちろん,セキュリティを高めるためだ.

 日立ではFLORA Se210の単体販売は予定されておらず,日立オリジナルの通信ソフト(サーバ側も含む)やそのライセンス等といっしょに販売されるようだ.価格は1ユーザー当たり,最低26万円から.この価格設定から推測するとFLORA Se210が仮に単体発売されたとしても,価格はHDDを持つノートPC並みとなることが予想される.このようにFLORA Se210は,企業向けの高価なノート端末ではあるが,ユビキダス時代のモバイルハードウエアとして,非常に興味深い特徴を持っている.コンシュマー向けのカスタマイズド・バージョンなど,今後の展開に期待したい.

改定!:「WiMAX IP携帯電話で通話料定額」への道

2005-02-14 20:41:26 | mobile
注:2005/2/12に書いたものですが,2005/2/14に加筆しました.
 
 「IP携帯電話で通話料定額」と聞くと,あの2chでも「祭り」となったmobdem事件を思い出される方が多いと思う.このmobdem事件以降,さすがに「通話料定額の携帯電話」というキャッチフレーズの詐欺行為は聞かなくなった.しかしご存じの通り,すでに固定電話のIP電話化はかなりのピッチで進んでおり,私の周りでもYahoo!のB.B.Phoneや,NTTのIP電話サービス等の固定IP電話のユーザーは多くなった.このように「電話のIP化」によるメリット,例えば「同じIP電話会社間ならば通話料無料」といったメリットが一般消費者に浸透するにつれ,当然の事ながら,「携帯電話のIP化」に対する期待も一般消費者間で高まってきていると思う.

 「携帯電話のIP化」と言えば,上記のmobdem事件以前に,鷹山(ようざん)という会社が名乗りを上げ,当時話題となった.「莫大なインフラ投資を必要とするであろうこの事業を,名もない(失礼!)一企業が,やり遂げるられるのか?」といった疑問が周囲からすぐにわき起こったが,その後鷹山は,モバイル通信事業の基礎ともなる「(PHS)基地局の確保」のため,潰れかけていたPHS事業「アステル東京」を買収し,対外的にこの事業に対する姿勢を示した.鷹山の予定では,PHSのISDN網を光ファイバー等に切替え,2003年秋にIP携帯電話事業をスタートする予定だったが,結局,それには至らず,その後音沙汰が無くなった(注:あったのかもしれないが,聞こえなかった).

 このような状態に陥ったのは,景気やインフラ投資の問題だけでなく,技術的な問題もあったからだと思う.現在のパソコン用無線LANの規格であるIEEE 802.11b等を利用した携帯IP端末などは,三菱子会社である「アイピートーク」などから発表され,数年前から存在するが,未だ現在の携帯電話にはほど遠く,コスト的にも安くはない.このように現在のIP携帯電話が使いにくいのは,元々屋内での使用を想定したIEEE 802.11b等を使用している上に,汎用のプロトコルではなく,独自のプロトコルを採用したためだ.このような制限のために,現在のIP携帯電話は,もっぱら,「内線携帯電話」として企業内で使用されている.言うまでもなく独自規格では,標準規格もしくはデファクトスタンダードに成らない限り,コストダウンは難しい.

 そんな状況下,ひさびさに鷹山=IP携帯電話に関するニュースが入ってきた.鷹山が,WiMAXを採用したIP携帯電話サービスを今年12月よりスタートさせるというのだ.しかも,固定IP電話と同様に,加入者同士の通話は無料で,月額料金は,なんと定額の3,000円!とのこと.詳細はこちら

 「WiMAX」とは,リンク先を読んで頂くとわかるが,今までのホットスポットとは全く異なり,1台のアンテナで半径6~10km(IEEE 802.16-2004)をカバーし、最大で75Mbpsの通信が可能にする大規模な無線LAN(W-MAN)のインフラ規格だ.WiMAXは,さらに細かい分類があり,アンテナ固定(FWA:Fixed Wireless Access)が前提となる「802.16-2004(802.16aと802.16dをまとめたもの)」と,モバイル端末向けのアンテナ移動が可能な「802.16e(基地局から半径2~4kmをカバーし、移動中通信速度は20Mbps程度)」に分かれる.詳しい情報は,IntelのWiMAXページ@ITの記事「2005年のワイヤレスの行方を占う」AirspanWiMAX Forum等を参照のこと.

 今回鷹山がサービス前のフィールドテストで採用するのは,前者の802.16-2004であり,別に設けられた固定APと無線で結ぶ.IP携帯端末は,その固定APとWi-Fi無線LANの801.11x(注:xの部分は不明)で接続する.つまりWiMAXは親局であり,IP携帯端末は直接親局と接続するのではなく,子局である固定APにWi-Fi接続されるわけだ.まとめると,今回の鷹山のIP携帯電話サービスは,WiMAXとWi-Fiのハイブリッド通信技術によるものだと言ってよい.詳しくは,こちらの図参照.以前から,WiMAX都市などの人口密集地には向かないと言われてきたが,それはWiMAXで直接接続する場合だった.今回のように,Wi-Fiとのハイブリッドの場合は,おそらくWiMAX親局とWi-FiのAPをうまく配置すれば,問題ないようにも思う.また使用されるWiMAX基地局も,都市部での使用のためにチューンされた基地局(「MicroMax」,後述)が採用されており,WiMAXの弱点をカバーしている.

 ただし,このハイブリッド方式にはいくつかの謎が残る.そもそもIP携帯電話を実現するためならば,現在所有しているアステルのISDN網をすべて光ファイバーに変え,PHSのCSをWi-FiのAPに変えてしまえば,技術的な問題はあるにしろ,,WiMAXを使わなくてもサービスが開始できそうにも思う.つまりWiMAXを採用する理由は,設備投資コストが安くなることぐらいしか思いつかないが,本当にそれがFAなのだろうか?また鷹山の資料(PDF)の中には,屋外の通信において「下り802.16(WiMAX),上り802.11(Wi-Fi)」という奇妙な記述も見られる.これは何を意味するのか?さらには今回使用される基地局が,単なる802.16-2004基地局ではないのも気になる.この基地局は「MicroMax」と呼ばれるAirspan社製のもので,5GHz帯を使用,802.16-2004規格よりも狭い半径4kmをカバーし,やはり802.16-2004よりも遅い50Mbpsの帯域幅を持つ.おそらく,都市部などの人口密集地で使用するために,セル(基地局のカバー半径)を小さくし,このようなスペックになったのだろう.つまりこの「MicroMax」基地局は,WiMAXとの互換性はあるものの,純粋なWiMAX基地局ではない.もしかすると,策定中の802.16eを先取りした拡張がなされ,端末のセル間移動に対応しているのかもしれないが,「MicroMax」に関しては情報がない.鷹山には,できるだけ早急に,さらに詳しい技術資料を提供してもらいたい.

 いずれにしても現在WiMAXは,携帯電話メーカーのNokiaがそのフォーラムから撤退したり,現行の携帯電話インフラを使い回せる高速無線通信規格HSDPAといった対抗規格を,ボーダフォンやdocomo,さらにはイーアクセスが採用したり,順風満帆ではないものの,確実に勢力を広げてきている.鷹山は,これらの標準規格(+α)を採用し,ついに現行の携帯電話に匹敵する,使い放題のIP携帯電話サービスを開始するわけだ.

 但しいきなり,現行の携帯電話並みのサービスが,今年の12月から開始されるはずもない.おそらく都内の,それもかなり狭いエリアでサービス開始となるのは当然のことだろう.その後レベルを現在の携帯電話並みに上げるためには,まず通話エリアを確保するために,WiMAX基地局及びAPを現行携帯電話会社並みに建設していく必要がある.すでにPHS事業の買収によって,ある程度の基地用地や電信柱は確保されているものと思われるが,いずれにしても,かなりの体力が会社に求められる.さらに端末についても,現在,海外製の試作端末しか発表されていないようだ.以前のIP携帯電話で問題だった,電力消費の激しい無線LANアダプタによるバッテリ消費問題も解決されているかどうか不明だ.そして最大の問題は,本当に5GHz帯の使用許可がこの日本でおりるのかということだ.

 このようにWiMAXによるIP携帯電話で,携帯電話に取って代われるほどのサービスを行うためには,様々な障害が山積している.フィールドテストはクリアできるだろうが,本サービス開始後,これらの障害を鷹山一社と提携一社(BELL NET)だけで,すべて乗り越えられるのだろうか?また,競合他社が,この動きを黙って見ているのだろうか?

 いずれにしても「WiMAX IP携帯電話で通話料定額」への道は,まさに「鷹」の住む険しい「山」道だとは言えるだろう.

AirH'' Phone AH-K3001Vの新ファームVer1.7 登場

2005-02-11 05:47:58 | PHS
 私は携帯電話を一度も所有したことがない.もっぱら,音声端末として使用しているのはPHSだ.

 以前の記事にも書いたとおり,数年間NTT Docomo のPHSを使用したが,つい最近,ヒット商品ともなったAirH'' Phone AH-K3001V(旧DDIポケット,現WillcomのPHS端末) に切り替えた.静岡市在住の私は,このPHSで何ら不便を感じたことがない.特に,AirH'' Phone に切り替えてからは,今まで届かなかった建物の奥にも電波が届くようになり,より便利になった.最も私の場合,もっぱら音声端末としてよりも,モバイルのメール端末として使用する場合が圧倒的だ.AirH'' Phone には,月額料金500円でメールがやり放題になるオプションがある.このオプションのおかげで,結果的には,それまでのNTT DocomのPHSよりも,月額使用料金が安くなった.ということで,電話番号は変更となったが,端末性能,電波状態,使用料金とすべての面で以前よりも良くなり,この移行は結果的には大正解だった.

 以前使用していたDocomoの641Sfと比べるまでもなく,携帯端末としてのAH-K3001Vには,フルブラウザのOperaの搭載を始め,おそらく現行のPHS機種では最高の機能を持っていると思われる.ただ不満がないわけではない.時計アラームの不具合や,バッテリの持ちの悪さ,わずか1MBしかないメモリ容量,そしてたまに発生するフリーズ.これらについては,新機種では改善されると思うが,ソフト的不具合については,ファーム更新で対処してもらいたいところだ.

 2月2日,このAH-K3001Vの新ファームVer1.7がメーカーの京セラからリリースされた.ダウンロードはこちら.更新内容は
  • 株式会社ウィルコムへの社名変更に伴う画面表示の変更
  • 内部ブラウザでのブラウジング時にPhoneTo機能を利用し通話している時、Operaキーを押すと直前に見ていたインターネット画面に切替わるよう変更.
  • 保護メールを含んだメールを削除するとき、削除ダイアログのデフォルト位置を「削除を中止」に変更
とのこと.

 不具合は治っていないようだが,これについては後ほど確認したい.なおファーム更新には,20分以上かかる場合がある.当然この間,通話は出来ないので,更新のタイミングには要注意.私は今回の更新が初めてだが,「7」「8」「9」ボタンを押しながら電源ボタンを押すことで,ファーム書き換えモードに変わることには,ちょいと驚いた.もう少し,楽な操作でも問題ないような気もするのだが…

NEC製のDELL的PC ValueOne 登場

2005-02-09 11:33:59 | ハードウエア
 企業向けのPCブランドと言えば,真っ先に思い出されるのが世界的なPCメーカーの一つであるDELLだろう.DELL製PCならば,比較的コストパフォーマンスが良く,オンラインで簡単にカスタマイズして通販購入できる.コンシュマー向けPCによく見られる凝ったAV機能やお楽しみ系ソフトといった,会社に不要な機能やソフトもインストールされていない.また特に企業向けPCでは重要視されるサポートも,自分の経験から言えば,比較的親切で柔軟に対応してくれるようだ.さらに最近のDELL製PCは音も静かになっており,オフィス環境にはもってこいと言える.

 ただし詳細には触れないが,現在のDELLPCにも様々な問題点があり,常に企業向けPCのベストバイとは言えない.やはりPC購入の際は,DELL以外の企業向けPCも含めて比較検討し,その企業や導入規模に最適なPCを選定すべきだろう.その際,特にスペック表に記載されていない項目(ケース内のエアフロー,HDDのメーカー,ファンのベアリング,各パーツの固定方法等々)について,できるだけ実機で確認することをお薦めする.企業向けPCのブランドは,ほぼDELLと同じ,カスタマイズ可能なオンライン直販のスタイルを採用しており,PCの構成もほぼDELL同様だ.このため,どうしてもスペック表のみで見比べてしまうと,同価格帯の機種がすべて同じ性能に見え,ついつい価格の違いだけに目がいってしまいがちだ.しかしながら,価格のみで機種を決定することは,同一機種を大量導入する可能性の高い企業向けPCの選定においては,あまりにも危険すぎる.できたら,導入候補PCを1台ずつ購入し,ハード的ソフト的にチェックしたいところだ.

 さてDELL以外の企業向けPCの大手と言えば,HPEPSON DirectNEC Directがあげられる.この中で特にHPは,DELLの事実上のライバルであり,つい最近まで激しい価格競争を繰り広げ,「シェアNo.1」の座をDELLと争ってきた.しかし,つい最近HPが「マーケットシェアよりも収益性を優先させる」と宣言したことで,この戦いも一応の決着がつきそうだ.また以前の記事で触れたようにEPSON Directは,非常に作り込まれたPCを販売しており,知る人ぞ知る中堅PCブランドとなっている.ところが,これら直販メーカーの中でNEC Directについては,水冷PC等の話題性のある機種はあるものの,他の直販メーカーと比べて価格が高めであり,これといったカラーをはっきりと打ち出せずにいた.

 その微妙な立場にあったNEC Directが,ついに低価格路線のデスクトップPCを発売するというニュースが,2月8日入ってきた.この低価格デスクトップPCは,「ValueOne」という新しいブランド名が付けられている.ご存じの通り,NECのデスクトップPCのブランドは「ValueStar」であり,NEC Directのみで販売されている直販デスクトップPCにも「ValueStar Gタイプ」というブランド名が使用されてきた.今回発表された低価格デスクトップPCは,このブランド名を捨て,新ブランド名を採用し,ゼロから出発することになるが,この意義は大変大きい.仮に,「ValueOne」が失敗したとしても,「ValueStar」には傷が付かないからだ.逆に言えばこの「ValueOne」は,今までNECブランドとしてやりたくても出来なかったことを,大胆にやっていくという決意の表れのように思う.なお,この「ValueOne」は直販だけでなく,店頭でもNECブランドで発売される.おそらくeMachines(GATEWAY)やSOTECといった店頭販売を行う低価格PCブランドの持つシェアも,標的としているのだろう.

 直販の「ValueOne Gタイプ MT」の詳細は,下記の参照リンクを参考にして欲しい.最小構成は
  • 価格:56,070円
  • CPU:CeleronD 335(2.80GHz)
  • チップセット:Intel 845GV
  • HDD:40GB U-ATA(80GBは+1,050)
  • メモリ:256MB(PC2700)
  • 光学ドライブ:CD-ROM(CD-R/DVDコンボドライブは+1,050)
  • OS:WindowsXP Home SP2
  • マウス:PS2ホイール付ボールマウス
  • キーボード:PS2フルキーボード(ワンタッチスタートボタン付き)
  • LAN:100BASE-TX/10BASE-T
  • USB:前面1,背面4
となっている.

 このスペックでこの価格は,NECブランドとしては,かなり安い設定だ.ただし,この機種のケースはマイクロタワーとなっており,それなりの設置スペースを必要とする.おそらく機種名の「MT」はマイクロタワーの意味なのだろう.スモールファクタを採用せず,マイクロタワーを採用したことにより,ある程度のコストダウンは可能になるのだろうが,それだけでコスト削減は難しいはずだ.やはり,内部の構成やパーツが気になるところだ.HDDのメーカーは?マザーボードはどこのOEMなのか?PCケースの剛性は?と疑問がつきない.さすがにマザーは自社製ではないと思うが….これらの疑問は,実機が出荷されれば,やがて明らかになってくるだろう.

 私個人としては,今までのNECブランドのPCは,スペック表に現れにくい性能,例えばHDD冷却を含めたエアフロー設計や静音性への配慮などが見られ,かなり気にいっている.またサポートも他社に比べて良い印象があり,その面への信頼も厚い.それ故,初心者のPCにも購入には,まずNECをお薦めしてきた.ただし,今度の「ValueOne」に関しては,そういうわけにはいかないだろう.果たして,NECブランドとして,おきて破りの「安かろう悪かろう」をやったのか?それとも,eMachinesのように,図体はでかいが作りはしっかりしている低価格デスクトップPCなのか?今後出てくるであろう「ValueOne」の試用レポートに注目し,「星(Star)」と「1(One)」の違いについて見極めていきたい.

 参考リンク:

チルトホイールマウス サンワサプライ「グランツHS」 試用レポート3

2005-02-08 04:09:55 | ハードウエア
 サンワサプライの有線光学チルトホイールマウスの新製品「グランツHS(レッド)」の試用レポートの第3弾.今回は本製品の本体の形状ついて詳説する.基本的なスペックについては,リンク先のメーカーのページを見てもらいたい.

 本製品の形状は,いわゆるエルゴノミクス・デザインであり,左右非対称になっている.エルゴノミクス・デザインのマウスの場合,通常は,右利き専用となる.本製品もやはり,左利きのユーザーにはむかないが,ドライバには,右ボタンと左ボタンを入れ替えるオプションは存在するので,ムリすれば使用可能ではあるだろう.

 本体のサイズは,レギュラーマウスとしてはかなり大きめで,幅72mm,長さ120mm,高さ45mmとなっている.このサイズだと,手の小さい子供や女性には,使いにくいかもしれない.家族でパソコン(マウス)を共有している場合,この点は要注意だ.また男性の中には,手のひらに汗をかきやすい方もいると思うが,本製品では,通常の大きさのレギュラーマウスに比べると,手のひらのかなりの部分がマウスと密着する事になる.そのため,夏場などに手が汗ばみやすいユーザーには,不向きかもしれない.

 画像を見た方は気がつかれたと思うが,本製品の形状は,有名なブランドマウスであるマイクロソフトのIntelliMouse Explorerにそっくりだ.見比べてみると,単に全体的な形状だけではなく,黒いサイドのパーツ形状や,手のひらの当たるトップパーツの形状,ロゴやサイドボタンの位置や,サイドボタン形状まで,酷似しているのがわかる.サンワサプライとしては,安価なIntelliMouse Explorerクローンとして,提供したかったのかもしれない.

 以前の記事にも書いたように,本製品のようなエルゴノミクス・デザインのマウスは,ユーザーの「手を選ぶ」ように思う.本製品も購入時には,できるだけ店頭で大きさや感触を確認した方が良いだろう.

 …ということで,今回はここまで.次回は,本体の材質や各ボタンについてレポートする予定.

DVD計測ソフト DVDInfo Ver3.50 登場

2005-02-05 23:15:56 | DVD
 DVDメディアのエラー計測の出来る定番ソフト DVDInfoPro Ver3.50が2月2日にリリースされた.有償版と,広告表示のある無償版があり,無償版は今年3月1日まで使用可能.無償版のダウンロードはこちら

 主な変更点は…
  • AOpen DUW1608によるPi/Po スキャンの追加.これはAOpenの協力により可能となった.今後もAOpenのドライブは追加される予定.
  • BENQドライブのPi/Po スキャンにおけるLBAのバグ修正.
  • "features and profiles"にDVD-R DLのための2つの項目を追加
  • 「本物の」DVD-R DLの検出結果を,「drive info」画面に追加.但し,いくつかのブランドは,独自の値を使用しているため,検出できない可能性がある).
  • Pioneer DVR-109との互換性を追加
  • ユーザーからレポートされたバグを修正
  • 広告に関するいくつかの変更
とのこと.

 なお,古いバージョンのDVDInfoProに存在していた「バージョンアップのお知らせ機能」は,この新バージョン3.50をうまく発見できない場合がある.その場合は,こちらよりダウンロードし,手動にてバージョンアップされたし.以上,連絡終わり!

原点回帰の mac mini

2005-02-04 10:29:36 | mac
 1984年の初代macの登場は,あまりにも衝撃的だった.それは当時日本で主流だった国産マシンとは,全く次元も,ベクトルも異なる,未来からやってきたスーパーマシンだった.PCの歴史を変えたこの一台は,ハード面や,ソフト面,またマン・マシンインターフェース面から言っても,美しく神秘的,知的で上品なのだが,人を拒絶することなく,ペット的なかわいらしさやユーモアを兼ね備えており,使用者が触れたくなるように設計されていた(ただ弱点として,動作がちょっとスローだったように記憶している).おそらく当時このマシンを購入した者は,20年経った今でも,捨てずに大切に保存していることと思う.

 その初代macを彷彿とさせるマシンが,ついにAppleから登場した.mac miniだ.この新macには2つの特徴がある.その第1は価格だ.モニタやキーボードは付属しないものの,58,590円に抑えられており,今までで最も安価なmacと言えるだろう.この点は初代macとは正反対の印象だ.初代macは,ワークステーションの香りの漂う,高級マシンでもあった.

 もう一つの特徴は,やはりデザインだ.シンプルで落ち着いた外観からは,初代macの持っていた神秘性や,品の良さが感じられる.mac miniがデザイン重視で設計されていることは,よく使用する電源ボタンをわざわざ背面に隠している事からも明らかだ.

 mac miniのケースの色は白と銀で構成されており,1998年に登場した初代iMacのように,ポップな未来のオモチャ的な印象はない.どちらかと言えば銀の食器のように,上品で,清潔感が強く,重みを感じる.このような配色になったのは,mac miniの驚くべきサイズとのバランスを取るためだろう.mac miniは,その名の通り,DVDジャケットサイズと言っていいほど小さく,パソコンと言うより,パソコン周辺機器に近い.mac miniの色合いは,「自分は小さいけれど,周辺機器とは違いのだよ」と主張しているようにも見える.そしてこの小ささが,初代macの持っていた,あの「かわいらしさ」にもつながっていると思う.

 mac miniは,もちろん初代macのように,歴史に残る一台とはなれないだろう.また実際に,このmacが当たるかどうかも,今のところわからない.ただ,PCデザインには,まだいくつもの道があることを示してくれた意義は大きいと思う.初代macで見せつけてくれたApple魂は,まだまだ死んではいないようだ.

参考リンク:

チルトホイールマウス サンワサプライ「グランツHS」 試用レポート2

2005-02-03 09:01:16 | ハードウエア
 サンワサプライの有線光学チルトホイールマウスの新製品「グランツHS(レッド)」の試用レポートの第2弾.今回は本製品のケーブルについて詳説する.基本的なスペックについては,リンク先のメーカーのページを見てもらいたい.

 意外かもしれないが有線マウスにとって,ケーブルの品質は非常に重要だ.ケーブルの善し悪しは,マウスの性能を決定するばかりではなく,その寿命にさえも関係するからだ.本製品のマウスケーブルは,従来のマウスと比較して細目の物が採用されている.太めのケーブルを採用したマウスでは,マウスを動かしていると,ケーブルの一部がマウスと共に動いてしまう.そのためケーブルが物の間にはまったり,あるいは物体を引き倒してしまう場合があった.またマウスを動かしたときに感覚される不愉快な「ケーブルのテンション」は,ケーブルが太くて重いほど大きくなる.さらには,太いケーブルでは,ケーブル自体が曲がりにくいため,マウスの直前には通常,ある程度のケーブルスペースを必要とした.つまりケーブルがマウスの動きや配置に制限を与えていたわけで,これらの問題を解決したのが,いわゆる無線マウスだ.

 本製品のように細いケーブルを採用したマウスでは,このような制限や問題が発生しにくいと言える.ただケーブルを細くしてしまうと,ケーブルが切れやすくなると同時に,使用環境によってはノイズを拾い誤動作する可能性が高くなる.本製品では細いマウスケーブルの持つ,これらの諸問題に対する解答を提示している.

 まずノイズ対策として,ケーブル末端のプラグの直前にフェライトコアがつけられており,ノイズの流入を抑えている.またケーブルの強度を高めるために,ケーブルの表面は薄いビニールのネットのようなものに覆われている.このネットのために,本製品のケーブルは独特の光沢を放っており,おそらくそれを考慮した上で,マウス本体の色や光沢もデザインされたのだろう.

 ケーブルの表面はこのネットのために,細かくでこぼこしているのだが,このでこぼこのおかげで,マウスを動かしているときにケーブルが仮に何かに引っかかっても,摩擦が少なく,するすると動いてくれる.無線マウスと同等とまではいかないものの,ケーブルの存在をそれほど意識しないで済むわけだ.

 ケーブルの末端はUSBになっており,付属の変換プラグを付ければ,PS2マウスにもなる.奇妙なことに,このケーブル末端にはUSBコネクタキャップがついている.「携帯時にノートパソコンなどを傷つけないコネクタキャップ」とのことだが,これだけの大きさのマウスをモバイル的に持ち運びするとは考えにくい.逆に,デスクトップPCに常時接続しておく場合は,このキャップが他のケーブルの抜き差しのじゃまになる可能性もある.とりあえず,このキャップはケーブルから着脱可能となっていたので,私はさっそく取り外してしまった.キャップは,おまけのつもりなのだろうか?いずれにしても,ケーブルにここまでこだわった有線マウスも珍しいように思う.

 ということで,本日はここまで.次回は,マウス本体について詳説する予定.

パイオニア DVDドライブ DVR-A09-J(-BK/-SV)に不具合

2005-02-02 10:24:41 | 自作PC
 パイオニアのDVDデュアルドライブと言えば,その静音性と高品質な焼きで有名だが,その最新機種DVR-A09-J(-BK/-SV)に不具合が発見された.DVD+RWメディアの焼きにおいて,正常に焼きが終了しない可能性があるのだそうだ.この不具合は,ファームのバージョンが1.05より前の場合に起こるとのこと.ちなみに,現在の最新ファームのバージョンは1.09.この機種のユーザーは,ファームのバージョンを確認した上で,最新ファームに更新すべきか決定した方がよいだろう.

 ちょっと気になってはいたのだが,最近新発売されるDVDライタは,性能が思ったようにでなかったり,不具合があったりする場合が多いような気がする.このような不具合や問題は,メーカー側からの新ファーム提供によって,解決されるのが普通だ.しかしちょっと考えてみると,このような「逃げ道」の存在が,「ファームが未熟なままでも製品を出荷してよい」という,安易な道をも提供しているのではないだろうか?

 最近はDVDライタの競争が激しく,「できるだけ早く新製品を出荷し,先手を取りたい」というメーカー側の気持ちはわからなくもない.しかし,ユーザーのことを本当に考えるならば,ファームをもう少し熟成させてから,出荷をすべきではないだろうか?ファームの更新は,失敗すれば即修理扱いになるのが通常だ.故に,ファームの更新による不具合対処は,明らかにユーザー側にストレスを強いるものとなる.ましてやファームがバージョンアップされた事実を知らなかったり,そもそもファームとは何かということすら,ちんぷんかんぷんのユーザーも多いと思う.メーカー側は,Windowsの自動更新のような自動ファーム更新の導入や,新製品の出荷時期について,ユーザーの立場に立って,検討すべき時期だと私は思う.