昨日(6月17日)、61回目の誕生日を迎えた大人気声優の山寺宏一さん。それに関連して、昨日の『ディズニー小噺』では、やまちゃんがディズニー映画で吹き替えを務めたキャラクターを紹介。今日はその中から、やまちゃんの声優力が最も発揮されていたキャラクターを発表する(あくまで個人の感想です)。
そのキャラクターとは、『美女と野獣』(1991)のビーストだ。意外なチョイスかもしれないが、ビーストは高い演技力がなければ、アフレコを務めるのが難しいキャラクターだ。
そのキャラクターとは、『美女と野獣』(1991)のビーストだ。意外なチョイスかもしれないが、ビーストは高い演技力がなければ、アフレコを務めるのが難しいキャラクターだ。
<ビースト>
ビーストの声は、野獣時と人間時の2種類に分けられる。さらに野獣時は、ベルを助ける前と後で声が変わっているため、実質ビーストの声は3種類に分けられるのだ。1つのキャラクターの1つの声を演じるだけでも難しいが、3つの声となると、高度な演技力が必要になる。
ではビーストの3つの声は、どのように違うのか。最初は、野獣の姿でベルを助ける前の声について説明。ベルを助ける前のビーストは、元来の傲慢な性格に加え、野獣に変えられたことで暗く、怒りやすくなった。そのため、ビーストの声は低く野太いものとなり、口調は高圧的で常に怒っている感じだった。
続いては、野獣の姿でベルを助けた後の声。野獣はベルを助けた後、彼女に心を許し、ベルと一緒に城の中で過ごすことになった。そうしていくうちに野獣は、人間らしい感情と優しさを取り戻していき、さらにベルに心を通わすようになり、人を愛することの大切さを知っていった。その時のビーストの声は、野獣であるため低く野太いものだが、若干高くなっている。また、口調は温厚な性格へと変わったこともあり、柔らかいものになっていた。
そして最後は、人間時の声。ビーストが人間になって声を出す時間は約1分ほどだが、それでもしっかりと聞くことが出来る。人間になったビーストは野獣時と比べ、高く透き通った声となっており、口調はベルを助けた後の時と同じく柔らかいもので、さらに人間に戻れたことへの喜びからか生き生きとした感じになっていた。
ここまでビーストの3種類の声を説明してきたが、野獣時と人間時ならまだ変えやすいと思うが(それでも素人じゃ出来ないと思う)、野獣時の声の変化は至難の業だ。声の高さを若干変えて、高圧的な口調から物腰やわらかなものへと変え、それによってビーストの心情の変化を表すのは、ベテラン声優だけでなければ難しいことだ。
しかしやまちゃんは、声優デビューから6年という早さで、ベテラン声優が成しえることを出来たのだ。ビーストは、やまちゃんが高いポテンシャルを持つ声優であることを証明させたキャラクターだった。
『美女と野獣』の吹き替えで演技力の高さを見せたやまちゃんだが、翌年公開の『アラジン』(1992)で、陽気でおしゃべりなランプの精霊・ジーニーを演じたことにより、「山寺宏一=おしゃべりで陽気なキャラクターの声優」というイメージが付いたと思われる。
その後のディズニー作品でも、『ムーラン』(1998)のムーシューや『トレジャー・プラネット』(2002)のベンといった陽気でおしゃべりなキャラクターを多く演じたのだ。そういったキャラクターが出来たのは、東北学院大学で落語研究会に所属していたことが関わっていると思う。落語をのしゃべり方を通じてマシンガントークを身につけたのではないだろうか。
また、落語は1人で何役もこなすため、その経験がビーストの声の変化に繋がったのかもしれない。いずれにせよ、『美女と野獣』のビーストは、やまちゃんが本当に上手い声優であることを知れるキャラクターであった。
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