さよに文字を教え始めてからしばらく……
ピンク影:「さて、今日はなにを食ってくかなぁ。
そういえば、私、この街に何をしにきたんだっけ。まぁ、いいか」
ピンク影は完全に目的を見失っていた。
そんなある日。
街の人:「さよちゃんがあんたのこと探してたみたいよ?」
街のがき:「さよが探してたぜ」
ピンク影:「なんだなんだ。文字を教えてやった途端、街の人とコミュニケーション取りまくりか」
さよ:「あうー」
ピンク影:「うおっ!お前、いつの間に私の家に!?」
さよ:「あうー」
ちらっと机の上の書置きに目配せする娘。
ピンク影:「なんだ。また『ぐ』が大きいのか?違うな。祭り?」
ピンク影:「天風祭りというのが近いうちにあるのか。それに行きたいと」
大きく頷く、さよ。
ピンク影:「まぁ、いいだろう。私もたまには息抜きしないとな」
※ピンク影は常時、息抜き状態です。
そしてやってきた天風祭り。
たくさんの夜店が並び、お囃子が鳴り響く中、ピンク影は
たかられていた。
しかし……
ピンク影:「わかったわかった。好きなのを買いなさい。どうせししょーの金だし」
ししょーの金なので、わりとどーでもよかった。
三馬鹿の一人:「ん?なんだうちの団子がほしいのか?金もってんだろうな」
三馬鹿の一人:「ほう、結構、持ってるじゃねーか。じゃあ、好きなのを持っていきな」
三馬鹿の一人:「お題は二両だぜ。くっくっく」
ピンク影:「団子が2両(現在のだいたい20万円)とか、ぼったくりってレベルじゃねーぞ!」
三馬鹿:「お前は、あのときの侍!」
ピンク影:「いや、忍者ですけど」
三馬鹿:「どっちでもいい!払うもんは払ってもらうぜ」
ピンク影:「さよ。ちょっと待ってなさい。
私はちょっとこいつらと話しをしてくる」
三馬鹿:「話だぁ!?」
ピンク影:「そうだ。商売(物理)について穏便(物理)に大人の(物理)話をしようじゃないか(物理)」
三馬鹿:「何個、(物理)をつけるんだよ!
ようするに力ずくってことだろうが!」
ピンク影:「誰もそんなこと言ってないだろう。大人の話し合い(物理)だよ」
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ピンク影:「実に有意義な話し合いだったな。分かり合うって素晴らしいな。
なぁ、おい」
三馬鹿:「ち、ちくしょう……」
ピンク影:「さよ。好きなのを持っていっていいぞ。金は私が2文ほど払っておくから」
さよ:「あうー」
ピンク影:「お?」
ピンク影:「私の分も持ってきてくれたのか」
ピンク影:「えらいぞ。その優しさと相手を思いやる心。お前は忍者の素質があるかもしれん」
三馬鹿:「だったら、お前は一番、忍者にむいてないだろうが!がっくーん☆」
ピンク影:「どこの山田みたいなやられかたしやがって」
ピンク影:「今度は団子だけじゃなくて、屋台の金も取って来るんだぞ?」
この平和な日々がいつまでも続くと思っていた……。
しかし、翌日、事態は思わぬ方向に動き始める。