→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
〇年を経るにつれて昼よりも夜に目覚めている。真夜中という半夜に。透次第11句集「半夜」。句集名は最終句「半夜には空へと揚がる木下闇」より。その他「一時雨それが時雨となりにけり」「語彙すべて放して死ぬや青嵐」など。
〇透次第11句集「半夜」(絵空事出帆社20210620感光)
透次第11句集「半夜」50句
501肝油缶鳴らして帰る青田道(青田道・晩夏)2020/7/18
502まだ蟬の鳴かざる空の明けにけり(蟬・晩夏)2020/7/25
503あいみょんにしてやられたり紅黄草(紅黄草・晩夏)2020/8/1
504硝子越の竿燈に音なかりけり(竿燈・初秋)2020/8/5
505山の日の山に日沈む日のをはり(山の日・初秋)2020/8/10
506網ほほづき赤橙の身を透かす(網ほほづき・初秋)2020/8/22
507元号の三つを生きて花桔梗(花桔梗・初秋)2020/8/29(2015/8/29の改作)
508黒鍵の音階で鳴く夕かなかな(夕かなかな・初秋)2020/9/5
509二十世紀梨ナイフより齧りとる(梨・三秋)2020/9/12
510三日月へ靴の空箱高く積む(三日月・仲秋)2020/9/19
511秋彼岸茶碗の水位やや古ぶ(秋彼岸・仲秋)2020/9/22
512小望月阿蘭陀積の赤煉瓦(小望月・仲秋)2020/9/30
513寒露飴に亀裂の走る舌の先(寒露・晩秋)2020/10/8
514鰯雲半ドンといふ自由な午後(鰯雲・三秋)2020/10/17
515テナガザル手を鉤にしてブラサガル(無季)2020/10/24
516書の中に他人の栞そぞろ寒(そぞろ寒・晩秋)2020/10/31
517鬼門なる微分積分文化の日(文化の日・晩秋)2020/11/3
518歌声喫茶木枯の新宿に(木枯・初冬)2020/11/14
519検温銃で眉間を撃たれ神の留守(神の留守・初冬)2020/11/21
520一時雨それが時雨となりにけり(時雨・初冬)2020/11/24
521足踏オルガン凩を漕ぎ出して(凩・初冬)2020/12/5
522電柱は金具を纏ひ寒北斗(寒北斗・三冬)2020/12/12
523小さき駅小さき聖樹に充ちたれり(聖樹・仲冬)2020/12/19
524呼びかけず呼びかけられず数ふる日(数へ日・暮)2020/12/26
525横浜の鯨の背中にて待てり(鯨・三冬)2020/12/30
526スキー脱ぎ山裾に差す日暮かな(スキー・晩冬)2021/1/9
527木理にも本流ありて細雪(細雪・晩冬)2021/1/16
528大寒の団地の管を巡る水(大寒・晩冬)2021/1/20
529春隣もう汀まで歩く距離(春隣・晩冬)2021/1/30
530梅林の真中に破れドラム缶(梅林・初春)2021/2/6
531薹のかたちにあちこちの蕗の薹(蕗の薹・初春)2021/2/13
532軍国の模型を萌の色に塗る(萌・初春)2021/2/20
533春漣海のやうなる湖に(春漣・三春)2021/2/27
534下駄箱に下駄一足も無く長閑(長閑・三春)2021/3/6
535卒業の筒の空洞隠し持つ(卒業・仲春)2021/3/13
536草餅に雨城楊枝の添へてある(草餅・仲春)2021/3/20
537迷箸宙に遊んで春の風(春の風・三春)2021/3/27
538残存湖といふ湖も温みたる(水温む・三春)2021/4/3
539打鍵音響かせてゐる花の夜(花の夜・晩春)2021/4/10
540躑躅燃ゆる真下に髑髏埋るらむ(躑躅・晩春)2021/4/17
541夕昏れて菜の花灯り極まれり(菜の花・晩春)2021/4/24
542白詰草の花冠を野に還す(白詰草・晩春)2021/4/29
543葉桜の下加速度の強まりぬ(葉桜・初夏)2021/5/8
544語彙すべて放して死ぬや青嵐(青嵐・三夏)2021/5/15
545小満や針直角に午後三時(小満・初夏)2021/5/21
546金魚群れゐて東南の隅に寄る(金魚・三夏)2021/5/29
547手の甲に雨脚の立つ芒種かな(芒種・仲夏)2021/6/5
548夏雲や水兵believe僕らの船(夏雲・三夏)2021/6/12
549白墨の一本立つや夏燈台(夏燈台・三夏)2021/6/14
550半夜には空へと揚がる木下闇(木下闇・三夏)2021/6/20
(透次第11句集「半夜」50句)
→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
〇第12句集
〇透次第12句集「虚空」50句
透次第12句集「虚空」50句
551かぶと虫ほどの色合まで磨く(かぶと虫・三夏)2021/7/3
552ビルの片蔭に重機の休みをり(片蔭・晩夏)2021/7/10
553付録で膨れ冒険王七月号(七月号・初夏)2021/7/17
554サンダーバード2号が好きでソーダ水(ソーダ水・三夏)2021/7/21
555箒草回転草になりたさう(箒草・晩夏)2021/7/31
556ビアホール椅子悉く上げてある(ビアホール・三夏)2021/8/4
557樹幹より半身で見る流燈会(流燈会・初秋)2021/8/14
558ポンポン船盥を廻る秋暑なり(秋暑・初秋)2021/8/21
559車前草や旅に擦減る革鞄(車前草・仲秋)2021/8/28
560明るさ残る夜学舎の始業ベル(夜学・三秋)2021/9/4
561三角牛乳秋天へ尖りけり(秋天・三秋)2021/9/11
562カーテンに昼の纏はる貝割菜(貝割菜・仲秋)2021/9/18
563倒れゐし秋桜浮力失はず(秋桜・仲秋)2021/9/25
564分銅の冷ゆる白銀抓みけり(冷ゆ・仲秋)2021/10/2
565礼服で寄る錦秋の旧校舎(錦秋・三秋)2021/10/9
566踏切に切られ刈田の一本径(刈田・晩秋)2021/10/16
567煙草火の先より潰へ後の月(後の月・晩秋)2021/10/18
568洋行といふもの未だラ・フランス(ラ・フランス・三秋)2021/10/30
569芒剪れば鬣のごと猛りたる(芒・三秋)2021/11/3
570下座にて送別の鍋つかさどる(鍋・三冬)2021/11/7
571嘴紅く横浜の百合鷗(百合鷗・三冬)2021/11/20
572推敲の初案へ還る枯葉の句(枯葉・三冬)2021/11/27
573石階を冬雲の影走りけり(冬雲・三冬)2021/12/4
574漱石を百円で買ふ師走かな(師走・暮)2021/12/11
575樏の己が足跡踏み帰る(樏・三冬)2021/12/18
576年深き振鈴伏せて置きにけり(年深し・暮)2021/12/25
577揮発性の手を擦り合はす冬陽中(冬陽・三冬)2021/12/26
578雪空となり暫くは降り出さず(雪空・晩冬)2022/1/8
579小正月暁鼠に夜明けたり(小正月・新年)2022/1/15
580大切なもの載せてくる箱の橇(箱の橇・晩冬)2022/1/22
581掌に溶かす氷柱の乱反射(氷柱・晩冬)2022/1/29
582消し屑を小指で払ふ寒の明け(寒の明け・初春)2022/2/5
583梟の首据はりゐて廻りけり(梟・三冬)2022/2/9
584銀鼠の雪平鍋や春の雷(春の雷・三春)2022/2/14
585梅蕾咲かせぬ因子秘めてをり(梅蕾・初春)2022/2/21
586中野~立川 啓蟄の直線路(啓蟄・仲春)2022/3/5
587八の字に光りの降りる春の沖(春の沖・三春)2022/3/8
588入彼岸大きく重く羅紗鋏(入彼岸・仲春)2022/3/19
589駐在は中肉中背チューリップ(チューリップ・晩春)2022/3/26
590花冷の紙の四隅に打つ画鋲(花冷・晩春)2022/4/2
591海市遥か眠りの中に民がゐる(海市・晩春)2022/4/9
592花屑ごと汲み揚げてゐる水車(花屑・晩春)2022/4/16
593子糠雨虚空に烟る穀雨かな(穀雨・晩春)2022/4/20
594国道を逸れ県道の花海棠(花海棠・晩春)2022/4/30
595アスパラガス鍋の直径より長し(アスパラガス・晩春)2022/5/7
596新緑の冷たさほどの痺れあり(新緑・初夏)2022/5/14
597町田~橋本 小満の直線路(小満・初夏)2022/5/21
598本食に焦色つけて夏始(夏始・初夏)2022/5/28
599水田より高きを走る単線路(水田・初夏)2022/5/29
600走り梅雨封書を〆て忘れ初む(走り梅雨・初夏)2022/6/5
→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
〇第13句集「暁闇」50句
〇鎌田透次第13句集「暁闇」50句
透次第13句集「暁闇」50句
601飯饐てかはたれ時の風動く(飯饐る・三夏)2022/6/18
602蚊遣火やひばりの齢疾うに越ゆ(蚊遣火・三夏)2022/6/24
603オルレアに青水無月の浮力あり(青水無月・晩夏)2022/7/2
604夏の月流す覚悟の質屋出て(夏の月・三夏)2022/7/8
605雨の蟬蝙蝠傘の裏面に(蟬・晩夏)2022/7/14
606浮袋萎みの兆す午後三時(浮袋・晩夏)2022/7/19
607緑青の樹皮揺るぎなき七月よ(七月・晩夏)2022/7/30
608旗は風に縛られてをり朝曇(朝曇・晩夏)2022/8/5
609雲間の俄かに閉じぬ浦上忌(浦上忌・初秋)2022/8/9
610磐座の窪みに渇く秋の水(秋の水・三秋)2022/8/20
611一枚の濃き鳶色の秋景色(秋景色・三秋)2022/8/27
612魂去りてより茄子紺の濃くなりぬ(茄子の馬・初秋)2022/8/29
613燦燦と壁紙だけのXmas(Xmas・仲冬)2022/12/24
614白マスク外せずに季語から外す(白マスク・三冬)2022/12/29
615水豚の初湯吃水線揺れず(初湯・新年)2023/1/7
616窓に雪人流見つつ黙食す(雪・晩冬)2023/1/14
617悴むや肱の直角ふたつ張り(悴む・晩冬)2023/1/21
618雪女上り框を超へて來る(雪女・晩冬)2023/1/28
619陽へ高く掲げ日光写真焼く(日光写真・三冬)2023/1/30
620焼売は蒸されて売られ紀元節(紀元節・初春)2023/2/11
621梅林の相模灘へと傾きぬ(梅林・三春)2023/2/18
622夕刊が来る暮れかぬる明るさに(暮れかぬる・三春)2023/2/25
623灯るらん隠者は春の夕暮れに(春の暮・三春)2023/3/4
624春昼や『移民の歌』の欠伸して(春昼・三春)2023/3/10
625小刻みに眠りを足して春の暁(春の暁・三春)2023/3/18
626駅弁の紙紐解く花の下(花・晩春)2023/3/25
627琺瑯に白を煮詰めるさくら時(さくら時・晩春)2023/4/1
628片側に花屑の寄る水溜り(花屑・晩春)2023/4/7
629暁闇へ指折り鳴らす啄木忌(啄木忌・晩春)2023/4/13
630塗箸の剥げて春光滲み込むや(春光・三春)2023/4/22
631春愁といふ夕闇に蹴躓く(春愁・三春)2023/4/28
632シューズ鳴く体育館の青葉冷(青葉冷・三夏)2023/4/28
633姫女苑荒地といふも静けさよ(姫女苑・三夏)2023/5/13
634蠅帳を被せて山の風を呼ぶ(蠅帳・三夏)2023/4/28
635黒板に一揆の文字や走り梅雨(走り梅雨・初夏)2023/5/27
636持ち寄るなかに鍬形も混じりけり(鍬形・三夏)2023/6/3
637ろくぐわつを木枠の中に培ひて(ろくぐわつ・仲夏)2023/6/10
638過ぎゆくや菖蒲の谷の日暮方(菖蒲・仲夏)2023/6/17
639東京へは何度も行つて行つたきり(無季)「マイ・ペース」森田貢忌(2022.6.18)2023/6/18
640梅雨曇る空膨らませ土鳩鳴く(梅雨曇・仲夏)2023/7/1
641僕達の巣窟(アジト)最も夕焼て(夕焼・晩夏)2023/7/8
642右の海馬に冷されし馬がゐる(冷やし馬・晩夏)2023/7/15
643金魚藻の色にビリジアンを選る(金魚藻・三夏)2023/7/22
644今闌や雨間の蟬時雨(蟬時雨・晩夏)2023/7/29
645青葉騒こけしの視線乱れざる(青葉騒・三夏)2023/8/4
646街道に小旋風の立つ秋旱(秋旱・三秋)2023/8/12
647寒蟬鳴く観戦中の感染か(寒蟬鳴く・初秋)2023/8/19
648半円の花火半身帰宅せり(花火・初秋)2023/8/26
649掌中の狗尾草に這ふ力(狗尾草・初秋)2023/9/2
650土瀝青湿りて光る白露かな(白露・仲秋)2023/9/8