軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

暴虐のからくり人形楽団 / 谷山浩子×ROLLY (THE 卍) |

2013-11-05 02:00:00 | 音楽
谷山浩子 : Vocal
ROLLY : Guitar, Vocal
佐藤研二 : Bass
高橋"ロジャー"和久 : Drums 

1.ウミガメスープ
2.ハサミトギを追いかけて
3.意味なしアリス
4.人魚は歩けない
5.手品師の心臓
6.歯ぎしりがとまらない
7.KARA - KURI
8.楽園のリンゴ売り
9.しっぽのきもち
10.からくり人形楽団ソレントへ
11.ある楽団員の回想
12.王国
13.あやつり人形
14.キャンディーヌ
15.不眠の力
2013

ある意味衝撃です、谷山浩子とローリー寺西率いるThe卍・・・超強力リズム隊を擁したハードロック・トリオとのコラボ・・・まあ、谷山浩子お姉様が何かに影響を受けるはずもないので、バックのサポートを楽しむ作品と言う事なのでしょう。選曲が秀逸です。

1曲目 元曲は「翼」に入っているようですが、未聴です。疾走するハードなリズム隊の上を浩子お姉様の少女の様なボーカルが滔滔と流れる大河の如く、アコーディオンのホノボノとした音色とハードロックのナンバーとの違和感が面白い。後半アコーディオンは変拍子を連発・・・・ほう。

2曲目 007のテーマっぽいイントロと、ローリーの電車のアナウンスから導かれる名曲「ハサミトギを追いかけて」。ローリーとテーマをユニゾン、サビの部分はローリーがソロで熱唱。間奏はシアトリカルなローリーの紹介から導かれる高橋"ロジャー"和久のドラムソロ。曲を牽引するテンションの異様に高いベースと全体としてチープな歌謡曲風のアレンジが面白いですね。

3曲目 これも名曲「意味なしアリス」元曲と余り変わらない雰囲気ですが、図太いベースと泣きのギター、そしてローリーの巫山戯気味の野太いバッキング・ボーカルが効果的。間奏のギターは意外と普通・・・合いの手の様なローリーのボーカルが聞き所の迷曲となっています、興味深いですよ。

4曲目 フィンランドに入っていた曲ですが、原曲も妙なデジタル・ロック調の味付けでしたが、この曲は硬質なメタル・チューンで彩られています。テンションの高いうねりまくるベースとタイトなドラム、時折のたうち回るギターとローリーのバック・ボーカルの妙、これは面白い、ハード・メタル・歌謡ロック風の名曲として降臨いたしました。パチパチパチパチ!!

5曲目 元曲の軍隊行進曲風の雰囲気を踏襲しつつ、ブラスアレンジとローリーの合いの手ボーカルが光っています。ネチッとしたローリーの「よーく見てくださいね」と言う言葉が脳裏にこびり付きます。元曲の不気味な雰囲気を増幅させた様な作りが素晴らしいですね。

6曲目 これはオリジナル曲、コミカルな楽曲にローリーと浩子姐御の作詞ですが、歌詞の内容は普通のアニメ世界の不思議ちゃん。谷山ワールド程の深遠さとシュールさはありません。まあ・・・まあ・・

7曲目 ローリーの作詞・作曲。オルゴール風の音色に奥行きのある不気味な効果音。ゴブリン的な雰囲気は谷山ワールドに近いのですが、歌詞に捻りがないのが少し弱いかな。雰囲気は良いのですよ。

8曲目 「漂流楽団」に入っていた曲、ストリートオルガン風ワルツっぽい元曲の雰囲気は同じです。図太いベースと時折吠えるギター、セカンドボーカルを担当するローリーの外連味タップリの酔っぱらった様な歌い方が素晴らしい。効果音とエコーを駆使した雰囲気作りがまたヘロヘロの夢心地で素晴らしい。元曲の不気味さを効果的に生かしたアレンジが絶品。

9曲目 この曲は意外、オコチャマ向けの名曲「しっぽのきもち」をどのように料理するのか・・・・結果として大笑いです。何時にも増して超極太のベースが邪魔なぐらい五月蝿く、野太いオッサン声のローリーのバックボーカルがオコチャマ声の浩子ちゃんに襲いかかる。ギターパート前の「ギター」と言うローリーの抑揚のない声が大笑いです。馬鹿ですねぇ!この人達!!(最高の褒め言葉です)

10曲目 ローリーオリジナル、西部劇風、荒野に響き渡る雄叫び、歌詞は単調に繰り返すだけ、最後に「ソレント」と言うキーワードで次の曲に繋ぎます。単調ながら良く聞くと笑ってしまうアレンジが満載。

11曲目 オリジナル、カモメの鳴き声、波の音、とても幻想的なイントロ、ローリーの語りに浩子姐御の語りが絡みつき、最後に「なぜだろう何も覚えていない」のあとボソッと「俺も」とリズム隊のどちらかが呟く。馬鹿だなぁ・・・・

12曲目 悲しく重厚な荘厳さが秀でる名曲ですが、原曲を踏襲したテンポと雰囲気、全編で轟音を響かせるベース、間奏の外連味タップりのギターパートが実にマリアージュ。少し感動してしまいますね。ラストのローリーのボーカルも味わい深い。

13曲目 初期谷山浩子の名(迷)曲群の中の1曲、橋本一子先生と出会う以前、まだ暗黒のカオスの中で這いずり回り蠢いていた頃の曲ですね。元曲はこの世の物とは思えない程の途轍もなく不気味なボーカルでした、凶悪な地縛霊が100匹ぐらい纏わり付いている様な・・・うっ・・これ以上は止しましょう。このバージョンはシャンソン風ローリーの熱唱となっています。シアトリカルで盛り上がりますが、所詮ローリーはただの人間、魔界の住人谷山浩子御姉様の足下にも・・・・・うううっっっ・・息が・・・

14曲目 原曲はチープなオルガンが心地よいレゲエ風ナンバー、かなり凝った感じのアレンジでしたが、ハードでドラマチックなロック・ナンバーっぽいイントロから、レゲエ風のテーマへ。ローリーのアホっぽい「デーオ」と言う合いの手が笑えます。強力リズム隊が曲の雰囲気を支配していますねぇ、間奏のボーカルユニゾンも中々。ハードなアレンジが心地よい名曲。

15曲目 ピアノの弾き語り風のシットリと悲しみが漂う元曲と殆ど変わりのないテーマ、間奏の狂気のヴァイオリンパートをローリーがギターの弓弾きで再現(できてはいませんが)。後半のボーカルユニゾンから泣きのギターが噎び泣く辺りは盛り上がりますねぇ。元曲が持っていた90年代前半の作品に特有であった、どうしようもない孤独感と無機質感、広大な宇宙の中に一人っきりで取り残された様な焦燥感は少し薄れていますが、良い感じで後熟マリアージュされています。

最初通して聞いた時には「浩子お姉様の世界はそのままだなぁ、ただの別アレンジの作品的なのかな」と軽く感じていましたが、しっかりと聞き込むとそのアレンジの妙、そして谷山浩子姐御に対するローリーの憧れ・尊敬が曲全体から滲み出てきます。これは久々に大傑作に出会いましたねぇ!!聞くほどにのめり込んでしまいます。

もっとグシャグシャ・ドロドロの迷宮・魔宮を期待してしまいましたが、元々音楽的には完成されている魔界の住人「谷山浩子」に別世界は存在しません。シアトリカルで外連味タップリのローリーのサポートは意外なほど秀逸でした。これは2枚目のアルバムですので1枚目も当然聞いてみたい物ですが、3匹目・4匹目のドジョウは間違いなく太くて旨そうなドジョウだと思いますよ、まだまだネタはありますので期待しましょう。





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