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ポール来日公演雑記その3(4/25武道館本編)

2017-05-16 23:42:55 | music
さて、いよいよ本編である。
ポールは武道館公演において「スペシャルな曲をやる」みたいなことを言っていたがなんたって初日なので東京ドーム公演が
終わらなければなにがスペシャルだったかがわからないというメディア泣かせな状況だが個人的にはそれはどうでもいいことである。

そしてポール登場、もちろん場内は大歓声。
スクリーンがないから肉眼で見るしかないがまあまあ見えるし双眼鏡で見ればまったく問題はない。

1曲目は「ハードデイズナイト」、いまのツアーの通常セトリなのでそれほどの驚きはない。
ビリー・ジョエルが以前ライブでやったのを聞いた覚えがあるけれどやっぱり本家はいいね。
ポールの声は若干辛そうな気もするがアップテンポな曲なのでそれほど目立たないしなにより
2年ぶりのポールなのでそんなことを気にしている場合でもない。

そして2曲目はジェット。
前回の武道館ではやらなかった曲。
もはや演奏曲というより目玉アトラクションと化している「死ぬのは奴等だ」を除けば武道館で聴くはじめてのウィングスの
ヒットシングルである。実を言えばこの時点でかなり満足した。

前回武道館ではおそらくは80年公演のオープニングだったであろう「ガット・トゥ・ゲット・ユー・イン・トゥ・マイ・ライフ」
を聴いたときもなかなかにグッと来たがやっぱりウィングスのヒットシングルは別格である。
本当はこの曲はポールが左手、リンダが右手を掲げて「ジェット!」のコールをしてくれなくちゃいけない曲なんだけれどそれはもうかなわない。
そんなことを考えながらこの曲を聴いていたらちょと目が潤んだ。



そして「ドライブ・マイ・カー」、いきなり緞帳が落ちてはじまった93年公演のオープニングを飾った曲だ。
この曲を日本で演奏するのはその時以来なので実に24年ぶりである。
これもなかなかに涙腺を刺激してくれる選曲。

続けてこちらは日本初披露の「ジュニアズ・ファーム」。
アウトゼアツアーの時も当初はセトリに入っていたが来日直前にリリースされた「New]からの曲と差し替えられてしまったので
まさに待望の1曲だった。

ここまでは実に完璧なセトリでここでライブが終わってもかまわないとうぐらいに満足していた。

ここで個人的にはわりと完結してしまったためかいままでは気にならなかったいろんなことが気になり出した。

席は少々遠いものの肉眼でポールが十分見える距離なのだが3列前の細身の男(たぶん)が帽子を被っているので結構邪魔になる。
さらに時々カメラを頭上に掲げるのでそのときはつま先立ちにならないと見えない。
厚底サンダルを履いてこなかったことをかなり後悔した。※冗談です。持ってません。
しかもそいつは掲げたカメラをなかなか下ろさない。
「インディアンポーカーやってるんじゃないんだからさっさと下ろせよバカヤロウ」と内心思っていたがいかんせん3列前なので声も手も届かない。
ポールがセンターにいるときはこいつのせいでかなりイライラさせられた。

アリーナ席は段差がないのでこれがあるんだよな。
まあ仕方ないんだろうけどさ。

ポールがピアノ前に座っている時は特にストレスなく楽しめるのでまあいいかということで観賞していたところでメイビーアイムアメイズドである。
オーバーアメリカからシングルカットされるまでは隠れた名曲扱いだったこの曲もいまやすっかり定番の人気曲であるとともに
近年はその日のポールの調子をはかる測定器みたいな役割も果たしている。

そして今回はどうだろう?

・・・良くない。
声はひっくり返り気味だしシャウトしてようやく高音を絞り出している感じでかなり苦しそうだ。
聴きながら早くバックコーラス始まってくれと願ってしまった。この曲がここまで良くないのははじめてかもしれない。

いつもならこの曲を歌いながら調子が上がっていくのだが最後まで苦しそうなまま1曲が終わってしまった。

「おいおい大丈夫かよ。」と物凄く心配になってしまったがそんな思いはブラックバードで決定的になる。
やっぱり高音苦しいなと思っていたら演奏を失敗してやり直していた。
でも観客はそこからは演奏終了までやんやの喝采大拍手だ。

これが以前ポールがインタビューで答えていた「みんな失敗すると喜ぶんだよね。」というやつか、まさか実体験することになるとは思わなかった。
アットホームでとても楽しくて大ファンばかりの武道館ならではの得がたい体験だったことに異論はない。
でもこれは僕の見たかったポールではないというのもまた事実。

憧れのスーパースターから温かく見守られる偶像へと変わった瞬間だった。
同い年のブライアン・ウィルソンと同じ存在になった瞬間だった。

行ったことがない人のために説明すると現在のブライアン・ウィルソンのボーカルは大抵頼りないしそもそも本来の自分のパートを歌わないケースも多い。
でもブライアンの信望者である高い技量を持ったバンドメンバー達のバックアップというか全面支援、
そしてなによりファンの温かい声援で毎回素晴らしいライブとなっている。
ファンはブライアンが演奏しようがしまいがキーボードの前に座っているだけで大満足なのだ。
手でも振ってくれようもんなら大歓声だ。
あのブライアンが目の前にいるだけで感動を呼ぶ。
それはとても凄いことで僕も毎回感動させられている。
パフォーマンスではなくその存在自体で感動を呼ぶアーティストに昇華しているのだ。

さすがにポールはまだその域に達してはいないけれどこれからそうなっていくような予感がしてしまい、
それはそれで素晴らしいことなんだと思いつつもかなり複雑な想いを抱きながらアコギをつま弾くポールを見ていたのでありました。

さて、当然ながらそんなことを考えている人にまったくかまうことはなくライヴは続く。

もうすっかりポール頑張れモードになっていてハラハラしながら見ていたのだがやっぱり高音が辛そうだった「ヒアトゥデイ」
以外はなんとか無難にこなしている。
アップテンポでバックの厚い曲は粗も目立たないしいい感じだ。

そんななかではあるけれど久しぶりに聴いたエブリナイトはやっぱり嬉しかった。
この曲も2002年以来か。
こういう歌いやすくていい曲沢山あるんだからそういうライブもできるのに意地でもしないのがポールがポールたる所以なのだろう。


ここまでで武道館スペシャルと言えそうなのは「ニホンハツコウカイ」と言っていた「彼氏になりたい」あたりだろうか。
まあ前回の「アナザーガール」よりは好きかな。

ということでライブも大詰めとなりいよいよ「死ぬのは奴らだ!」が始まった。
ここまでくればもう出来云々は関係ない。
武道館という特別な空間でポールとの時間をただ楽しめばいい。

恒例の爆音はさすがアリーナだけあってデカかった。
前回は二階席まで熱風が吹いてきてスゲエと思ったが今回は爆発音そのものが耳をふさぎたくなるほどの音量だった。
最前列の人たちに「耳ふさいでください」との事前案内があったという話も頷ける。

正直言えば曲自体はあんまり面白くないんだがもうこの曲がセットリストから外れることはないんだろうな。ひそかにポール自信は楽だしね。




そしてヘイ・ジュード、さあみんなで歌おうと思ったら突然目の前が真っ暗になった。
なにが起きたのかと思ったらそこらじゅうで「NA]のペラペラな紙が掲げられていて思いきり視界が遮られていてポールどこ?の状態だ。
あのペラ紙はファンクラブがチケット購入者に「ヘイジュード大合唱時に掲げましょう」と送付したものだがとにかくペラペラなので両手で持つしかなく、思いきり後ろの視界を遮ってしまう困りものアイテムなのだ。そしてなにが一番困るって僕もファンクラブでチケットを買ったので視界前方をこのペラ紙が埋め尽くしているのである。



前回有償で販売していたものはもっとしっかりした作りだったので片手で持てたからこうはならなかったのに今回はタダな分だけできが悪い。
武道館のステージはドームに比べて低いからこれやられると見えないんだよ。

まあブツブツ言ってもしょうがないのであきらめてヘイジュード歌いましたけどね。

そんなこんなで武道館公演は終了。



感想を一言で言えというならばとても楽しかった。
また次回があるならチケット価格に文句言いながらも行くと思う。

でも今日の楽しさは場内にいた全員がポールの大ファンだったからこそ生まれたものだということがどうしても引っ掛かる。
どんな出来だろうと温かく見守る人達だったんだから一体感も味わえるしそれは素敵な体験になるだろう。

ポールはもうそういう存在になってしまったのだろうか?
まだ早いんじゃないのか?

楽しかったなら素直にそう感じていればいいじゃないと言われれば全くその通りなのだがどうしてもそんなことを考えずにはいられなかった武道館公演でありました。


----------------[ポール来日公演雑記その4]に続く



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