Some People never Know

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マタネ!(ポール・マッカートニー東京公演所感)

2013-11-30 17:50:38 | music

ついに迎えた11月18日、
朝から何事も大事が起きませんようにと祈ったかいあってか無事業務終了し開場へ向かう。

場内を流れるウィングスメドレーが[temporay secretary]に変わり場内がざわつき出す。そう、この曲が終わったらライブ開始なのをみんなすでに知っているというわけだ。

情報が早いのって善し悪しだなと思う。

そしてついにポール登場、過去の来日のように
舞台下からせり上がってきたりスクリーン越しに巨大な影が映し出されたりせずに普通に歩いて登場。

そしてライブは「Eight Days a Week」で始まった。今まででもっともリラックスしたオープニングだろう。
当時の最新アルバムの1曲目である「Figure of eight」でスタートし、ビートルズの曲を演奏する前にわざわざ「ようこそ60年代へ」」と語っていた初来日の時から比べるとずいぶん変わったものである。

肩の力が抜けていてポールはとても楽しそうだ。

ニューアルバムの楽曲も全体から浮くことなくよい感じで溶け込んでいた。
今回のライブはビートルズ、ウィングス、ソロとすべてのキャリアがポールの中で
ようやく均等になったのではないかと思えるようなバランスの良さが感じられた。

ただ、ライブの時はそう思ったのだがいまセットリストを眺めてみるとソロやウィングスナンバーはいつも通り全体の3分の1程度でそれほど多いわけではない。それでも偏りを感じなかったのはポール自身がどの曲に対しても均等な意識で接していたからではないだろうか。

そして、今年リイシューされた1976年のツアーのライブ盤である[Wings Over America]に収録されている28曲中11曲が今回演奏されたというのもその印象に一役買っているかもしれない。
同アルバムに収録されているビートルズナンバーは今回全曲演奏されているし、なによりアンコールの[Hi,Hi,Hi]であのアルバムを思い描いたのはたぶん僕だけではないだろう。

そんなバランスの良さ、リラックスした雰囲気のライブは本当に楽しかった。
そう、今回はただただ楽しかったのだ。恥ずかしながら2002年の時は[Maybe I'm amazed]で泣いてしまったのだが、今回はこの曲と[Another Day]
でちょっとジワっと来たものの泣いてしまうまでには至らなかった。

前回は10年以上勤めた会社を退職した翌年だったこともあり、その前の来日(1993年)時と大きく変わった自分を取り巻く環境を思い出しながら9年前と変わらぬポールの歌声に涙した。

今回はそれから11年、涙するには十分な年月が経っていてやっぱり自分を取り巻く環境は大きく変わっているのにただ楽しかったのはなぜなのだろうか。

心が強靱になったのか感受性が衰えたのかはよくわからないが、
きっと泣いてしまうだろうと思っていただけに少し残念な気がした。

何の根拠もないけれどなんで泣けなかったかは次回のライブではっきりわかるような気がするので勝手なお願いで
恐縮だがぜひまた来日してもらいたい。

今回のライブは周りが「最後のライブ」と勝手に認識して盛り上がっていた感があるが、ポール自信はそんなことは一言も言っていないどころか「マタネ!」と言って去って行ったので
なんとなく2年後ぐらいにサクッとまた来てしまうのを期待したいところだ。

最終日は母を連れて行ったのだが[Live and Let Die]で爆発があることをはっきり伝えなかったことにかなり文句は言われたものの初ポールをかなり楽しんでいたようだった。

「今日は最終日だから特別なの?」そう僕に尋ねた母の言葉が今回のライブの素晴らしさを最もよく表しているかもしれない。

ライブは3日とも素晴らしく、どの日が特別ということはなかったというかどの日も特別だった。
そして1日しか行かなかった人たちは母のように自分が見に行った日を特別と思っているのは間違いないだろう。

かつてブルーススプリングスティーンが「僕は同じ曲を何百回も演奏しているが観客にとってはそれが生涯ただ一度のライブかもしれない。だからいつも僕は全力でプレイしているんだ」という趣旨のことを語っていたが、
今回のポールは見事にそれを体言したプロフェッショナルなライブを見せてくれたと思う。

ただ、母に「うん、最終日が一番よかったよ」と言っておけばけばいいものを「いや、初日も同じだったよ」と言ってがっかりさせてしまった僕はプロフェッショナルな息子とはいえないのでありました。


2013/11/26 のツイート

2013-11-27 05:58:34 | Twitter



奥田民生のニューアルバム、タイトルとジャケットが今ひとつだったのであまり期待しないで聴いたのだがゴメンナサイ予想に反して捨て曲なしの素晴らしいアルバムだった。聴いたあととてもライブを見たくなったがポールよりチケット取るのが大変なのが困りものである #blog