乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

仮名手本胸之鏡 下 14 二丁裏 三丁表

2020年07月24日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 下 14 二丁裏 三丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_02946/he13_02946_0054/he13_02946_0054.html

仮名手本胸之鏡 下

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 下 14 二丁裏 三丁表

 

下 一丁裏 上

やけのゝきゞす、よるのつるてう

るひ ちゝとひでさへしさぬ

ものハ なし、

しかる

をおや

のみ

にて

子を

かさ

する

これ

 

ぎりにせめらるゝ

なり、そのくるしみ

いかばかりならん

 

「こなせがかたなをふり

 あげたところハ、こなみが

 いのちハまことにかぜのまへの

 ともしびのごとくなり

 

刀を振り上げる鬼の頭に ぎり

なんとぎりハかれまいが

ぎり/″\むすめをころ

せやひ

 

風神のような鬼

油壺には 

鬼は油壺の灯火に大風を吹きかける

 

女の着物に 

女は刀を持ち、刀を持つ鬼と戦っている。

 

  「おやの身で

   なんとかたなが

   あてらりやう

   あゝ、くるしや

        /\

 

泣き崩れる女

   おん

   あい

親の帯は、泣き崩れる女(娘)に繋がっている。

娘が親に引かれているような状態

親の着物は、波文様

袖に 本 (親の名は本ぞう)の文字

 

下 三丁表 下 

    本ぞう、子ゆへの

    やみにまよひて

    おん、あいにひか

    るゝ

鏡に写る画

家に中では祈る女に、刀で切りつける女

外戸口で虚無僧に扮した男が、家の中をのぞいている

 

鏡の下には 

     おや の おん の かゞみ

    親の恩の鏡

 

下 三丁表 下

    ほんぞうが子ゆへのやみに

    まよひて、おん、あいにひる

    るゝところあたりも、おゝつ

    ゑのざとうのごとし

 

   「かゝるおやのおんをしらぬ

    子ハとり、けだものにもおとるべし

    これらがよきおやのおんのおんぞ、こと

                    なり

 

 

仮名手本胸之鏡 下 14 二丁裏 三丁表

 

 

下 一丁裏 上

やけのの きぎす、夜の鶴、鳥

類 父とひでさえしさぬ

ものは 無し、

しかる

を親

のみ

にて

子を

かさ

する

 

義理に責めらるる

也、其苦しみ

如何ばかりならん

 

「こなせが刀を振り

 上げたところは、こなみが

 命は誠に風の前の

 灯火の如く也

 

刀を振り上げる鬼の頭に ぎり

なんと義理が枯れまいが

ぎりぎり娘を殺

せやい

 

風神のような鬼

油壺には 

鬼は油壺の灯火に大風を吹きかける

 

女の着物に 

女は刀を持ち、刀を持つ鬼と戦っている。

 

  「親の身で

   なんと刀が

   当てらりょう

   ああ、苦しや

        苦しや

 

泣き崩れる女

   恩

   愛

親の帯は、泣き崩れる女(娘)に繋がっている。

娘が親に引かれているような状態

親の着物は、波文様

袖に 本 (親の名は本ぞう)の文字

 

下 三丁表 下 

    本蔵、子故の

    闇に迷いて

    恩、愛に引か

    るる

鏡に写る画

家に中では祈る女に、刀で切りつける女

外戸口で虚無僧に扮した男が、家の中をのぞいている

 

鏡の下には 

     おや の おん の かゞみ

    親の恩の鏡

 

下 三丁表 下

    本蔵が子故の闇に

    迷いて、恩、愛にひる

    るる所辺りも、大杖

    の座頭の如し

 

   「かかる親の恩を知らぬ

    子は鳥、獣にも劣るべし

    これらが良き親の恩のおんぞ、こと

                   也

 

 

こなせ(固有名詞)、こなみ(固有名詞) 

「こなせが刀を振り

 上げたところは、こなみが

 命は誠に風の前の

 灯火の如く也

 →父親の着物が波文様なのは、娘の名によるものか、、、

ざとう 座頭

 1盲人の琵琶(びわ)法師の位。勾当(こうとう)の下。

 2頭髪をそった盲人で、琵琶・三味線(しゃみせん)をひいて語り物を語ったり、あんま・はり等を業としたりした者。

 

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とって!?も大切。今日も良い日を過ごさせていただいた。

2020年07月23日 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

  

 長年、そう、長年すぎるくらい使っているビタクラフトの

ミルクパンの大きい方の取っ手が、壊れてしまった。

 コロナウイルスの影響でデパートに行くことは、ちと怖い。

 仕方がないので、ビタクラフトで検索すると、

鍋が古すぎて、とってのデザインが少々変わっている。

 

 次に、少し消えかけた鍋ナンバーを入力すると、

 新しいデザインの取っ手でよかったのだが、

「只今、品切れ中」

とあり、予約も何もできない状態。

 

 途方にくれた乱鳥は無い知恵 絞り、購入デパートに電話をしてみた。

 電話の向こうでは、たいそう丁寧な方が優しく受け答えして下さった。

「代引きでも、お受けいたします。」

と。

 神だ!其の方、神だと感じた。

 齢を重ねるにつれ、人様のご親切が身にしみる。

 今日も良い日を過ごさせていただいた。

 

 

 ご来場、誠にありがとうございます。

 心より、感謝申し上げます。  乱鳥合掌

 

 

 

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仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

2020年07月22日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_02946/he13_02946_0054/he13_02946_0054.html

仮名手本胸之鏡 下

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

 

下 一丁表

これハうすから

でたまことにて

ちとこじつけなり

 

下 一丁表右に立つ臼をつく女

臼から 扇を持った男 まこと

 

由良助は手紙を読む、その手紙を、縁の下に隠れて、

盗み読む斧九太夫(おのくだゆう)の画が写る鏡の下

          かゞみ

      のべ鏡

 

うそからでたまことで

なすれバなハとげぬとハ

 むべなるかな、よの中にハ

      うそから

      でたうそ

      おほし

      まこと

      ある人ハ

       すけ

       なき

       もの

       なり

 

「わたしとちつとの

 うち、ざひしよにおらん

 でたとや、ばゞんつれて

 と、むぎつきかたも、

 すこしハおぼへて

   いやんす

 

 鏡の中の画
 由良助は手紙を読む、その手紙を、縁の下に隠れて、盗み読む斧九太夫(おのくだゆう)。
 
 
 大星力弥(おおぼしりきや)が、亡君・塩冶判官(えんやはんがん)の妻・顔世御前(かおよごぜん)からの手紙を持って来る。手紙を読む。
 と、そこへ塩冶判官の家老、家老・斧九太夫(おのくだゆう)が来る。九太夫は高師直と通じている。
 由良助に仇討ちの意思があるか確かめようとした。
 
 由良助が去り、師直の家来・鷺坂坂内(さぎさかばんない)がくる。
 由良助に仇討ちの意思なしとしる。
 九太夫は更に手紙が気になり、縁の下に隠れる。
 
 由良助は顔世御前の手紙を読む。
 縁の下では九太夫がそれを透かし読み、落ちた端切れを懐に隠す。
 
 二階には寺岡平右衛門の妹であり早野勘平(はやのかんぺい)の妻の、遊女おかるが。
 その手紙を覗き見していた。
 おかるが簪(かんざし)を落とし、覗かれていたことに気づいた由良助も気づき、手紙を閉じて
   はっつ!
   ↑
 此処、見せ場の一つ!^^!
 
 由良助、おかるを口封じに殺すしかないと決意。
 おかるに遊郭から請け出そうと申し出、金を払ってくるから待っているよう言って去るが、云々。
 
 あぁあ〜、
 芝居が見たい!!!

 

仮名手本胸之鏡 下 13 一丁表

 

下 一丁表

これは臼から

出た誠にて

ちとこじ付け也

 

下 一丁表右に立つ臼をつく女

臼から 扇を持った男 まこと

 

由良助は手紙を読む、その手紙を、縁の下に隠れて、

盗み読む斧九太夫(おのくだゆう)の画が写る鏡の下

          かゞみ

      のべ鏡

 

嘘から出た誠で

なすれば、名は遂げぬとは

 むべなる哉、世の中には

      嘘から

      出た嘘

      多し

      誠

      有る人は

       少

       なき

       物

       也

 

「私とちっとの

 内、在所に居(お)らん

 出たとや、婆ん連れて

 と、麦つき方も、

 少しは覚えて

   いやんす

 

 

これハうすから

でたまことにて

ちとこじつけなり

 臼から出た誠 → 嘘から出た誠

 

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仮名手本胸之鏡 中読了^^v  仮名手本胸之鏡五丁裏 12 六丁表

2020年07月22日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 中 12 五丁裏 六丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 12 五丁裏 六丁表

 

中 五丁裏上  

さけハ人をよハ

しむる

ものなれども

こゝろさだ

まりたる

人をよハしむる

こと、あたわず

いろハ人をま

よハしむるもの

なれども、一心の

ゞしき人をまよハ

しむる事あたハず

 

中 五丁裏右 本心の着物をきて立つ男の手から、

座る男二人に火売り投げられた球は

       

       

 

中 五丁裏下

「大ぼしハ、酒といろ

 とをもつて、かたきの

 めつぶしに うち

 かたきのまなこをくらます、

 

「大ぼしハ

 ちうぎのほん

 しんをばちやんと

 ふところへおさ

 めて、人にみす

 ること

   なし

 

鏡の中の画(大星は人中から酒を飲んで阿呆で怠惰を装い、周りの動きを探っている)の下

    人のかゞみ

 

中 五丁裏下

ばんない

「いやはや、とんときち

 がいのようで、ござるはへと

 いふが、すなわち、めつぶしを

 うたれたるゆへなり、

 

 

鏡の中の画

大星は人中から酒を飲んで阿呆で怠惰を装い、周りの動きを探っている。

 

仮名手本胸之鏡 中 12 五丁裏 六丁表

 

中 五丁裏上  

酒は人を酔わ

しむる

物なれども

心定

まりたる

人を酔わしむる

事、与わず

色は人を迷わしむるもの

なれども、一心の

正しき人を迷わ

しむるしむる事あたはず

 

中 五丁裏右 本心の着物をきて立つ男の手から、

座る男二人に火売り投げられた球は

       

       

 

中 五丁裏下

「大星は、酒と色

 とをもつて、仇の

 めつぶしに 打ち

 仇のまなこをくらます、

 

「大星は

 忠義の本

 心をば、ちやんと

 懐へ納

 めて、人に見す

 る事

   無し、

 

鏡の中の画(大星は人中から酒を飲んで阿呆で怠惰を装い、周りの動きを探っている)の下

    人のかゞみ

 

中 五丁裏下

伴内

「いやはや、とんと気狂い(きち

 がい)の様で ござるはへ,と

 言うが、すなわち、めつぶしを

 打れたるゆへなり、

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中読了^^v

 

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仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

2020年07月21日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

 

中 四丁裏上  

しゆじんに

ちうをつくし

おやにこうを

つくし

おつとこ

に、ていせつ

をなすハ

人のみち、

女のまもる

べきみち也

かんへいがつま

おかるがごときハ

ちうぎ、ていせつの

こゝろハ 一ツにて、しゆ

人のため、おつとの

ためにみをうるハ

うらざを二ツにわり

たるがごとし

 

中 四丁裏上 右戸口から、おかるの母

中 四丁裏上 真ん中に、柱で鼻を打つ、鼻血の出たおかるの手には

   

   

中 四丁裏上〜五丁表 おかるを見てたつ男

 

中 四丁裏下

   「いかにあきら

    めても、さす

    が、出る

    おつと

      の

    わかれを

    かなしと

    て、きハあ

        れ

 

   「どばついて

    けづしやんな

 

中 五丁表上 鏡の下の文字

     ていじよのか

   貞女之鏡

 

中 五丁表上 鏡の下の文字 

   はんじの事、二ツなから

   まつさき事ハできがた

   きものなれども、それも

   思ひをつくしみをすつる

   ときハ忠貞(ちうてい)まつたく

   なさすなり、此きやう

   げんハまことに、ていちよ

   のからみあり

 

仮名手本胸之鏡 中 11 四丁裏 五丁表

 

中 四丁裏上  

主人に

忠を尽くし

親に孝を

尽くし

夫・子

に、定説

をなすは

人の道、

女の守る

べき道也、

勘平が妻

おかるがごときは

忠義、定説の

心は 一つにて、主

人の為、夫の

為に身を売るは

裏座を二つに割り

たるが如し

 

中 四丁裏上 右戸口から、おかるの母

中 四丁裏上 真ん中に、柱で鼻を打つ、鼻血の出たおかるの手には

   

   

中 四丁裏上〜五丁表 おかるを見てたつ男

 

中 四丁裏下

   「いかにあきら

    めても、さす

    が、出る

    夫

     の

    別れを

    悲しと

    て、極め

        れ

 

   「どばついて

    けづしやんな

 

中 五丁表上 鏡の下の文字

     ていじよのか

   貞女之鏡

 

中 五丁表上 鏡の下の文字 

   判事の事、二つながら

   松崎事はでき難

   き物なれども、それも

   思いを尽くしみを捨つる

   時は忠貞、全く

   なさす也、此狂

   言は誠に、貞女

   の絡みあり

 

けづ

 (いけづ、か? 京都弁 意地悪)

 

 

 

 

 

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仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

2020年07月20日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

 

中 三丁裏上  

あくをなすときハ

てんとうさま、たち

まちわざわひを

くだしなふこと

いつわりならす

さるによりて

てんとう さま

あくにんをほう

ぼさんがためてん

のみちのすぐなる

つりざほのさきへ

いんゑんのいとをつけ

与兵衛をつりばり

こし しまの

さいふをゑさ

とし、かん

平がてつ

ぷう、玉

をおもり

とし----------右男の垂れる釣り糸に「し」が続く画

さた九郎

 

 

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人

 釣竿の先には、金の入った巾着が釣り上げられている。

 「こゝまで

  ござれ、此かね

  しんじよ

    

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人の

 釣り上げた巾着の金を取ろうとする、海に中の男

 「うをハ悪さある事を

  しつて、はりある

  ことを

  しじず

  さた九郎

  ハ、五十 

  両

   の

 中 四丁表下

  かねあること

  をしつて、まへに

  てつぼうある

  ことをしら

  ず、人 

   じや、

  みな

  かゝの

  ごと

  し

 

 鏡に中には、定九郎がまさにおかるの父を殺すところ。

 此の後、お軽の身受けの金、五十両を盗む。

    鏡の下 

       あくのむかふかゞみ

       悪報鏡

 

中 四丁表下

  せんをなせバ

  天さいはいを

  くだし、なひ

  あくをなせば

  天わざわひを

  くだしいふ

  みなこれ此かゞみ

  にうつる、きやう

  げんのごとし

 

 

仮名手本胸之鏡 中 10 三丁裏 四丁表

 

 

中 三丁裏上  

悪をなす時は

天道様、たち

まち災いを

下しなう事、

偽りならず

去るに依りて

天道様

悪人をほう

ぼさんがため、天

の道のすぐなる

釣竿の先へ

因縁の糸を付け

与兵衛を釣り針

こし 嶋の

財布を餌

とし、寛

平が鉄

を重り

とし----------右男の垂れる釣り糸に「し」が続く画

定九郎

 

 

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人

 釣竿の先には、金の入った巾着が釣り上げられている。

 「ここまで

  ござれ、此金

  しんじよ(しんぜよう)

    

 中 三丁裏右中 岩に座り、釣竿を垂れる観音のような人の

 釣り上げた巾着の金を取ろうとする、海に中の男

 「魚(うお)は悪さある事を

  知って、はりある

  事を

  信じず(しじず)

  定九郎

  ハ、五十 

  両

   の

 中 四丁表下

  金ある事

  を知って、前に

  鉄砲ある

  事を知ら

  ず、人 

   じゃ、

  皆

  かかの

  如

  し

 

 鏡に中には、定九郎がまさにおかるの父を殺すところ。

 此の後、お軽の身受けの金、五十両を盗む。

    鏡の下 

       あくのむかふかゞみ

       悪報鏡

 

中 四丁表下

  せんをなせば

  天災は、いを

  下し、内

  悪をなせば

  天、災いを

  下し、いう

  皆これ此 鏡

  に写る、狂

  言の如し

てつぼう

 鉄砲

 歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』では、二つ玉の場面。

 芝居では二度。鉄砲を放つ音がする。

 鉄砲の打ち手は、寛平。

 勘平はイノシシを追うのだが、一発目は外れ、二発目は金を奪った定九郎にあたる。

 此の後、家に運ばれた定九郎の懐から嶋の財布が出てき、勘平は義理の父親を殺めたと勘違いし、自害。

 妻のおかるは身を売り、回り回った因果。

 なんとも切ない場面である。

 

 

 

 

 

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仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

2020年07月20日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

 

中 二丁裏上  

とかく人ハ心にくろしやうぞくを

きせ、はぢをしのばざれバ、忠臣(ちうし)」の

ろうにおさめたる大功(たいこう)とたから

ものハゑがたし、むせう向きの

みじかき人ハ、いつしやう大(たい)

功(こう)ハさてぞかし

 

中 二丁表中央 算盤を持ってたつ男の言葉

黒装束の顔に  

    胸に 大功

 

「かうはぢを

 しのんでハたれ

 ことさとら

 れることでハ

 ねへ、大ぐわん

 じやう しゆハ

 まだゞ/″\、うつた

 

中 二丁表中央 右下の座る男

    手ぬぐいに  の文字

 

  なるほど

  うらぎが

  みしかく

  てハ、てぬ

  ぐひにも

  ならぬ

 

中 二丁裏中央 左下の座る男

    手ぬぐいに  の文字

 

中 三丁表中央 左下の座る男

   い

   きとくしる

   きもみし

   かうこざる

 

中 三丁表中央 丸鏡の下

    たいこうのかゞみ

    大功の鏡

 

  はぢをしのひ

  いかりをこしへて

  大功をたつる人ハ

  此心のみにうつるきやう

  げんのごとし

仮名手本胸之鏡 中 9 二丁裏 三丁表

 

中 二丁裏上  

とかく人は心に黒装束を

着せ、恥を忍ばれざれば、忠臣(ちゅうしん)の

楼に納めたる大功(たいこう)と 宝

物は、得難し、むしょう向きの

短かき人は、一生 大(たい)

功(こう)は、さてぞかし

 

中 二丁表中央 算盤を持ってたつ男の言葉

黒装束の顔に  

    胸に 大功

 

「こう 恥を

 忍んでは、誰、

 事悟ら

 れる事では

 ねへ、大勘

 定 しゅうは

 まだだ、まだだ、売った(打った)

 

中 二丁表中央 右下の座る男

    手ぬぐいに  の文字

 

  なるほど

  裏着が

  短く

  ては、手ぬ

  ぐひにも

  ならぬ

 

中 二丁裏中央 左下の座る男

    手ぬぐいに  の文字

 

中 三丁表中央 左下の座る男

   い

   きとくしる

   気(着)も短

   こうこざる

 

中 三丁表中央 丸鏡の下

    たいこうのかゞみ

    大功の鏡

 

  恥を忍び

  怒りを越し経て

  大功を達つる人は

  此心の身に写る狂

  言の如し

くろしやうぞく

 黒装束

 

 

 

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仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

2020年07月19日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

 

中 一丁裏上  

たんりよこうをなさずとハ

むべなるかな、あとさきのかん

べんなくはらのたつまゝに

ことをやぶる人ハ、わが心の

     つるぎをもつて

     わがあしにていへをふみ

     つぶし、つまや子に

     なげきを

かけ、けらい、めしつかひ

にハ、ひしよくに

はなれしめ

なんぎをさする

こと、みなこれ

一人のたんりよ

しりおこるなり   

中 一丁裏上 真ん中家を左足で抑え、刀を持ってたつ男

その左に刀男の腹を持って振り返る男

という頭の白生き物をきて去る左上の男

 

中 二丁表中右

 「さむさにむかつて

  きもの はな

  するとハ

  なんたる

  いんぐわだ

 

中 一丁裏上 右女の目から

     泪

     泪

 

中 一丁裏右下

 「にようぼうの

  目より、なみだの

  たま はしりいづる

 「わがあしにて、わが

  いへをふみつぶす

 

中 一丁裏右下座る男が、二丁表ご飯頭の男に声をかける

 「しよく

  にはなれて

  □すがら

  何にしやう

丸鏡の中の絵

仮名手本忠臣蔵 塩谷判官(えんやはんがん)切腹の場

仮名手本胸之鏡 中 8 一丁裏 二丁表

 

中 一丁裏上  

たんりょうこうをなさずとは

むべなる哉、後先の勘

弁無く、原野たちままに

事を破る人は、我が心の

     劔を持って

     我が足にて家を踏み

     潰し、妻や子に

     嘆きを

掛け、家来、召使

には、被食に

離れしめ

難儀をさする

事、皆これ

一人の胆力

知りおこる也   

中 一丁裏上 真ん中家を左足で抑え、刀を持ってたつ男

その左に刀男の腹を持って振り返る男

という頭の白生き物をきて去る左上の男

 

中 二丁表中右

 「寒さに向かって

  着物 離

  するとは

  なんたる

  因果だ

 

中 一丁裏上 右女の目から

     泪

     泪

 

中 一丁裏右下

 「女房の

  目より、涙の

  玉 は知り出(いず)る

 「我が足にて、我が

  家を踏み潰す

 

中 一丁裏右下座る男が、二丁表ご飯頭の男に声をかける

 「食

  に離れて

  □すがら

  何にしよう

仮名手本忠臣蔵 塩谷判官(えんやはんがん)切腹の場

(文化デジタルライブラリー https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc21/himotoku/d4/2a.html)

 上使は、石堂右馬丞(いしどううまのじょう)と、高師直 (こうのもろのう)と懇意の薬師寺次郎左衛門(やくしじじろうざえもん)。塩谷判官(えんやはんがん)は切腹、領地は没収との上意が申し渡されます。判官は既に覚悟を決めており、死装束を整えていました。切腹の支度が粛々と進みます。切腹の座についた判官は、一目だけでも大星由良助(おおぼしゆらのすけ)に会いたいと到着を待ちわびますが、もはや猶予は許されません。ついに、刀を腹に突き立てます。

 そこへ由良助が駆け付けました。判官は苦しい息の下、「無念」と伝えこと切れました。由良助の手には、判官が形見と告げた腹切り刀。由良助は、判官の最期の言葉を噛みしめます。

判官の亡骸は、泣き崩れる顔世御前(かおよごぜん)と家臣達に付き添われ、葬送のため菩提寺光明寺へ向かいました。

 

 

 

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仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

2020年07月19日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 中

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

 

中 一丁表上  

うつくしき女、ひとたび

わらへバ、くにをかたむけ、

しろをかたむくるとハ、うべ

なるかな、うつくしき

女のゑくぼ

より

わら

いづる

ときハ、たち

まち わざわひを

いだす、此かゞみにうるるやう

    りんのご

      とし

 

      中 一丁表中 立ち姿の女出た言葉

      こうおかしくてハ

    どのようなわざわひを

    引き出だそうもしれぬ

    おゝさ そこだ/\/\

 

鑑の絵の下

        かゞみ車を引く女二人と車(リアカー)

    けいその鑑

 

車を引く女二人と車(リアカー)

     

     

      車の荷台  

 

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 中 7 一丁表

 

中 一丁表上  

美しき女、一度(ひとたび)

笑えば、国を傾け、

城を傾くるとは、うべ

なるかな、美しき

女のえくぼ

より

出づる

時は、たち

まち災いを

出だす、此鑑に写るよう

    りんの如し

 

      中 一丁表中 立ち姿の女出た言葉

      こうおかしくては

    どのような災いを

    引き出だそうもしれぬ

    おおさ 、そこだ、そこだ、

 

鑑の絵の下

        かがみ車を引く女二人と車(手引き車)

    けいその鑑

 

車を引く女二人と車(手引き車)

     

     

      車の荷台  

 

 

 

うべ 諾 宜(うべ)

 [副]《平安時代以降は「むべ」と表記されることが多い》肯定する気持ちを表す。

 なるほど。いかにも。むべ。

此鑑に写るよう りんの如し

 この鑑に写るよう りんの如し

 ようりん ×

 氷輪(ひょうりん)氷のように冷たく輝いている月。冷たくさえた月。 ×

 

 様 「りん」の如し

「りん」

リン酸(phosphoric acid)はリンのオキソ酸の一種で、化学式は H3PO4 の無機 酸である。オルトリン酸(orthophosphoric acid)ともよばれる。

リンは、生体中のさまざまな化合物を構成しており、生物にとって不可欠な元素で ある。リン酸カルシウムは骨 歯をつくる。リンそのものもDNAなどの遺伝物質を つくるのに欠かせない。そして生体内のエネルギー源としてはたらくATPもリン酸 の化合物である。ATPのエネルギーを使うことで、私達の筋肉は動いている。

リン化合物の出発原料はリン鉱石であり、リン鉱石(phosphate ore)は、リン酸塩 鉱物を主成分とした鉱石である。リン鉱石は、その成因によって、無機質と有機質リ ン鉱石とに分けられる。無機質リン鉱石は、マグマ 火成岩の生成、活動によってで きる鉱物であり、代表的な鉱物にリン灰石(アパタイト)がある。その主成分は、リン 酸三カルシウム(Ca3P2O8)で、化学組成は 3Ca3P2O8・Ca(Cl,F)2 である。有機質リン鉱石 は、魚類 脊椎動物の遺骸が海底で堆積し、地殻の変動・隆起により陸化してリン灰 土(phosphorite)となったものをいう。

 

けいその鑑 

 ケイ素 

 ケイ素は、「珪素」「硅素」「シリコン」とも呼ばれる物質で、岩石や土壌の主成分として酸素に次いで2番目に多く自然界に存在しています。

 その中でも、無色透明で六角柱状の美しい結晶したものを水晶(クリスタル)と呼びます。

 クリスタルシャワーは、天然水晶を2,000℃で8 時間加熱し、ガス化してケイ素の結晶を作りケイ素成分を99.9%抽出しました。

 

 

 

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映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」

2020年07月19日 | 映画

 

以前にも楽しんだ映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」をみる。

話は覚えていたが、楽しくて大笑い。

話すの展開がアップテンポで、どんでんがえしに次ぐどんでんがえしに次ぐどんでんがえし

うまい役者の勢ぞろいで、見ている側は、嬉しくてたまらない。

 

江口洋介と竹内結子 のやり取りは、「ランチの女王」を幾度となくあたくしにとっては、歌舞伎でいうならば考玉で、見ている側の唇がデレリと垂れ下がる。

江口のしてやられたりの、男の悪の美学ような溢れる笑い笑いは魅了的。

また竹内結子の、男前なトーンから入る台詞の言い回しは、見ている側を虜にする。

 

ラスト、江口のしてやられた500億のブルーダイヤをより精密に作る宝石技師は、小栗旬。

またまたこの作品でも、重要の締めの部分で、小栗旬が出演。

なりきりに彼は、さんしょはピリリと辛いと言った役柄を、何の迷いもなく、違和感なくやり遂げられていた。

うまい!!!

 

2回目ではあるが、楽しい時間を過ごさせていただいた。

映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」、この作品は、私は好きだな!!!

 

【監督】
田中亮

【脚本】
古沢良太

【音楽】
fox capture plan

【主題歌】
Official髭男dism「Pretender」(ポニーキャニオン/ラストラム・ミュージックエンタテインメント)

長澤まさみ 東出昌大 小手伸也 / 小日向文世
織田梨沙 瀧川英次 Michael Keida / 前田敦子 佐津川愛美 岡田義徳 桜井ユキ
生瀬勝久 山口紗弥加 / 小池徹平 佐藤隆太 吉瀬美智子 石黒賢
竹内結子 三浦春馬 江口洋介 小栗旬

 

 

 

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仮名手本胸之鏡 上 読了^^v  7  五丁裏

2020年07月18日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 上 読了^^v  7  五丁裏

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 7  五丁裏

 

 

五丁裏上 立ち姿の女出た言葉  

「はやのかんぺい、わかげのあやまり

 といへるハ、うべなるかな、わかきとき

 けつきさだまらず、いまはむる事

 たとへちうぎの心ある人もいろに

 まよえば、たちまちこいのふちに

 はまりて、その身をほろ

 ぼす、あゝ、つゝしむべし

 

五丁裏中

「たとへみにちうぎをいだい

 ても、このふちへはまり

 てハ、いゝぢはなひぞ

 

立つ男に、硯(離縁状)を渡す、座る女を写す

   迷いのかゞみ

   迷之鏡

 

鏡忠義を重んじ、女から逃げる男  忠義

「こいのふちへ、くびたけ

 はまつてハ、どぶもうかみ

 あがることがならぬ

    かなしや/\

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 7  五丁裏

右画 

 女 おかる

 男 勘平

仮名手本胸之鏡 上 7  五丁裏

 

五丁裏上 立ち姿の女出た言葉  

「はやの勘平、若気の誤り

 と言えるは、諾(うべ)なる哉、若き時

 血気定まらず、いまわむる事

 たとへ忠義の心ある人も色に

 迷えば、たちまち恋の淵に

 はまりて、その身を滅

 ぼす、ああ、慎むべし

 

五丁裏中

「例え身に忠義を抱い

 ても、この淵へはまり

 ては、いいぢは無いぞ

 

立つ男に、硯(離縁状)を渡す、座る女を写す

   迷いのかゞみ

   迷之鏡

 

鏡忠義を重んじ、女から逃げる男  忠義

「恋の淵へ、首たけ

 はまつては、溝(どぶ)も浮かび

 上がる事がならぬ

    悲しや悲しや

 

 

 

うべ 諾 宜(うべ)

 [副]《平安時代以降は「むべ」と表記されることが多い》肯定する気持ちを表す。

 なるほど。いかにも。むべ。

 

 

 

 

仮名手本胸之鏡 上 読了

仮名手本胸之鏡 上 中 下

 

 

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今日は、本来なら祇園祭巡行の予定でした・・・・・(2019年巡行と、宵山の祇園祭 綾傘鉾 棒振り囃子)

2020年07月17日 | 神社仏閣・祭り

 写真は2013年7月17日 綾傘鉾 棒踊り 

 

 

 コロナの影響で、祇園祭の巡行は中止された。

 幼い頃、毎年父に連れたれて楽しんだ、祇園祭。

 

 綾傘鉾の棒振り踊りも、その所作は厄払いと言われている。

 棒にせよ杖にせよ、これらには魔力があると柳田國男氏が記されている。

 

 祇園祭  長刀鉾の音曲は、若干能楽のカケリ部分に似ているような気がしないでもない。

 慣れ親しんだリズムに合わせて体を動かし、ユーチューブを楽しんでいた。

 

 

 綾傘鉾 棒振り囃子 2019年7月17日naponapo111様からお借りしました、ありがとうございます。

 

 祇園祭 綾傘鉾 棒振り囃子 (2019/7/16)  

 【聞いて学べる京都セミナー】(5) 「祇園祭 前祭山鉾巡行&神幸祭」

 2019/7/17をお借りしました。ありがとうございます。

 

   

 

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仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

2020年07月17日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

 

 

 四丁裏上 立ち姿の女の持つ「堪忍」の袋(画)から出た言葉

      堪 忍

四丁裏上

人のいつしやう、まもる

べきものハ、かんにんの

二字なり、ものにかん

にんををせざれバ、ばんじ

につけて、そのみにわざ

わひ、おほしたとへバ

わがみ一てふのいかりに

のりて、かんにんぶくろを

きり、人をあやめるハわが心に

じやねんのてがはへて、

わがみをがいすがごとし、

ゆへにかんにんの忍(にん)の

しハ心のうへに

やいばと

いふもんじ

をかく

なり

かへす

/″\も

やぶるまじ

きハかん

にんの

なり

      堪 忍 は逃げていく 

 

 

    四丁裏上 「堪忍」の袋を持つ立ち姿の女の言葉(画)

   「これハいかな

    こと、かんにん

    ぶくろのをが

    きれました、   

 

  四丁裏中 に喉を掻っ切られ、立ちすくんだ男の言葉

 「かんにんふく

  ろのをが

  きれけれバ

  いまゝでみを

  まもりたる、かん

  にんども、いづくけか

  たちたる

 

      四丁裏中 心に喉を掻っ切られる男は錨(いかり)に乗って立ちすくんでいる

    いかりに

    のつてハ

    こゝろの

    おちつかぬ

    ものじや

    あゝめが

    まふ/\

 

 

五丁表 吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる姿を写す鏡の文字

     は   の かゞみ

     破忍之鏡

  

 

    五丁表下

    かんにん袋をきりて

    いへをうしなひ、みをほろ

    ぼすこと、此かゞみにうつす

    きやうげんのごとし

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

右画 四丁裏

   歌舞伎『義経千本桜』「渡海屋」

   平知盛 (碇知盛(いかりとももり))を思い浮かべる^^

左画 五丁表 (鏡の中)

   歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』三段目松の廊下事件

   吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる^^

    かんにん袋をきりて

    いへをうしなひ、みをほろ

    ぼすこと、此かゞみにうつす

    きやうげんのごとし

 

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

 

 

 四丁裏上 立ち姿の女の持つ「堪忍」の袋(画)から出た言葉

      堪 忍

四丁裏上

人の一生、守る

べきものは、堪忍の

二字なり、ものに堪

を押せざれば、万事

に付けて、その身に災い

多し、例えば

我が身一丁の錨(いかり)に

乗り手、堪忍袋を

切り、人を殺(あや)めるは、我が心に

邪念の手が生えて、

我が身を害すが如し、

故に堪忍の忍(にん)の

忍(し)は心の上に

刃と

云う文字

を書く

也、

返す

返すも

破るまじ

気は堪

なり

      堪 忍 は逃げていく 

 

 

    四丁裏上 「堪忍」の袋を持つ立ち姿の女の言葉(画)

   「これはいかな

    事、堪忍

    袋の尾が

    切れました、   

 

  四丁裏中 心に喉を掻っ切られ、立ちすくんだ男の言葉

 「堪忍袋

  の尾が

  切れければ

  今まで身を

  守りたる、堪

  忍ども、何處けか、

  たちたる

 

      四丁裏中 心に喉を掻っ切られる男は錨(いかり)に乗って立ちすくんでいる

    錨(いかり)に

    乗っては

    心の

    落ち付かぬ

    ものじや、

    あゝ、目が

    まうまう

 

 

五丁表 吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる姿を写す鏡の文字

     は (にん)  の かがみ

     破忍之鏡

  

 

    五丁表下

    堪忍袋を切りて

    家を失い、身を滅

    ぼす事、此鏡に写す

    狂言の如し

 

錨(画 いかり)

 怒り

破忍

 忍を破る

堪忍

 1 怒りを抑えて、人の過ちを許すこと。勘弁。「悪かった、堪忍してくれ」

 2 肉体的な痛みや苦しい境遇などをじっとこらえること。我慢すること。忍耐。

「且 (かつ) 力を尽し且―して時節を待つ可きなり」 福沢諭吉『学問の進め』

 

 

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仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

2020年07月17日 | 疫病:疱瘡心得草 他

仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

三丁裏上

人のつゝしぶべきハ、よくのかハなり、

人おほくハ、よくのためにみをうし

のうなり、きん/″\ハたれも

ほしがる

ものにて

たつとき

ものなれ

ども、また

きん/″\の

ために

わきに

ひおこり、

人をかいする

こと、すくなからず、

みにあたわぬよくを

かハくなはだハくはだなは、だあるく

「いかにどぶにんそうなる

 ものも、かねのいくわう

 にてハ、たちまち わらふ

「いひつなりなるものへ

 うつしてみるときハ

いかほど、ぶにんそうなる

 ものもかねのいくわう

 にてハ、たちまちわらふ、

「いひつなりなものへ

 うつしてみるときハ

 いうほどみにくき

 おとこもいろおとこに

 みゆる、これみな、かねに

 まよふ人、ごくろなり

   

 

 三丁裏中

 ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう

   ゐくりやう 画:小判人間(異形) ゐくりやう

 ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう ゐくりやう

 

 

   画:婆様  笑い

    わたくしがむすめ

    でござります

    とうぞ

    おめかけ

    られて

    くだ

    さり

    ませ

 

四丁表上

男女   徳差万左衛門

  奉公人

 

  四丁表下

  晋(しん)の魯嚢(ろほう)が銭神論(せんしんろん)に

  ぜにハあやふきをもやすからしむべし、

  心するもいかさ表むべしといへること

  あり、うべなるかな、きん/″\をもつて

  人をまどわし、いちめいにおよぶ

  べきわざハ、ひもしりぞくること

  此かゞみにうつすきやうげんの

  ごとし、人のりよくにまよふ

  こと、こゝをもつてさとるべし、

 

四丁表下 丸(鏡)の中に、役人と力持つものの利権、癒着の画の題

   りよくのかゞみ

   利欲の鏡

   

仮名手本胸之鏡 上 5  三丁裏 四丁表

三丁裏上

人の慎むべきは、欲の皮也、

人多くは、欲の為に身を失し

のう也、金銀は誰も

欲しがる

物にて

尊き

物なれ

ども、又

金銀の

為に

脇に

引き起こり、

人を回する

事、少なからず、

身にあたわぬ欲を

かわくはだはくはだなは、怠く

「如何にどぶ人相なる

 者も、金のいくおう

 にては、たちまち 笑う

「言いつなりなるものへ

 写してみる時は

 如何程、ぶにんそうなる

 者も金のいくおう

 にては、たちまち笑う、

「言いつなりな者へ

 写してみる時は

 言う程見にくき

 男も色男に

 見ゆる、これ皆、金に

 迷う人、ご苦労なり

   

 

 三丁裏中

   幾両   幾両   幾両   幾両

   幾両    画:小判人間(異形)  幾両

   幾両   幾両   幾両   幾両

 

 

   画:婆様  笑い

    私が娘

    でございます、

    とうぞ

    お目かけ(妾)

    られて

    下

    さり

    ませ

 

四丁表上

男女   徳差万左衛門

  奉公人

 

  四丁表下

  晋(しん)の魯嚢(ろほう)が銭神論(せんしんろん)に

  銭は危きをもやすからしむべし、

  心するもいかさしむべしと言える事

  有り、うべなる哉、金銀を以って

  人を惑わし、一命に及ぶ

  べき技は、ひもしりぞくる事

  此鏡に写す狂言の

  如し、人の利欲に迷う

  事、ここを以って悟るべし、

 

四丁表下 丸(鏡)の中に、役人と力持つものの利権、癒着の画の題

   りよくのかがみ

   利欲の鏡

   

 

だハるく

 怠く

かわくはだはくはだなは、

 、、、

どぶ人相

 どぶ(排水のために設けたみぞなどで、汚れた水がとかく淀(よど)みがちな(小さい)流れ。)

 人相

 ① 人の容貌。 「 -の悪い男」
 ② 顔面に表れた、その人の性質や運命。また、それによってその人の運命・吉凶などをうらなうこと。 「 -を見る」 「相人にてよく-するおぼえありき/愚管 5」
 ③ 近世、遊里で客のふところ具合をうらなうこと。 「一もの前やふたもの前おくれたとて-することはねえ/洒落本・玉の幉」
 
ゐくりやう(幾両)
 
 いくら?と、問うている。
 
晋(しん)
 ①周代の侯国 前1106〜前376
 ②六朝時代の統一王朝
 ③五代の王朝の一国 936〜946
山西が中心。周の武王の孫,燮 (しよう) のとき晋と称した。前7世紀後半,文公が春秋の五覇のひとりに数えられたが,権臣の韓・魏・趙 (ちよう) (三晋)に滅ぼされた。
西晋(265〜316)と東晋(317〜420)からなる。西晋は三国の魏の権臣司馬炎(武帝)が魏を滅ぼして建てた国。ついで呉を滅ぼして天下を統一(280),洛陽に都し,占田法を施行するなど治績があがったが,八王の乱と五胡の侵入によって衰え,匈奴 (きようど) の劉曜 (りゆうよう) に滅ぼされた。東晋は一族の司馬睿 (しばえい) (元帝)が江南に移り,建業 (けんぎよう) (現在の南京)に建てた国。淝水 (ひすい) の戦い(383)で前秦の苻堅 (ふけん) を破って江南を確保し,華北から移住してきた貴族と土着の豪族の上に政権の基礎をおき,流民の処置にからんで土断法をしいた。貴族文化が栄え清談が流行したが,宋の劉裕 (りゆうゆう) に滅ぼされた。
通称後晋 (こうしん) または石晋 (せきしん) 。石敬瑭 (せきけいとう) が遼 (りよう) の助けをかりて建国。遼に滅ぼされた。
 
魯嚢(ろほう)
〔魯褒ろほうが「銭神論」を著して「人が孔方(=銭)に親しむさまは、まるで兄に親しむのと同じようだ」といったという「晋書魯褒伝」の記事より〕
 銭ぜにの異名。孔方。
 
銭神論(せんしんろん)
 中国,西晋の風刺文学。魯褒の著。司空公子,き母先生という架空の人物の問答を通じて,銭がこの世のなかで万能であることを皮肉な調子で述べたもの。
 
 
 

 

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仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

2020年07月16日 | 山東京傳

仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

二丁裏上

いうほどはらのたつことにても

とくとあとさきをかんべんし

こゝろときハたいていの

なるものなり、はら

のたつまゝにふんべつ

もなく、ことをはる

らへバ、のちにうならず、

くやむことあり、

 

   二丁裏下

  「たちへバはらのたつときハ、わがむねのうちより短(たん)

   鬼(き)といふ おに あらわれいでゝ、わるさをかいせんと

   す、そのとき  けたいのうちに ちうぎな

   るものありて、むねのう

   ちより  正気(しようき)

   大人(たいじん)

   といふ

   ひろき

   こゝろをいだし

   りやうけんして

   いふけんをもち

   て、かの短気(たんき)

   をおひ

   しり

   ぞ

   く

   しる

   ものな

   くんば

   はなはだ

   あやう

   き

   なり

 

   三丁表

  「それハ大きな

   たんきたるむらざや、

   人のあたまをうたじ

   つくしとハ

    あやまり/\

   

二丁裏上 画 立つ男と座る男

正気(しようき)

  大心(たいしん)

    鬼(たんき)

 

   三丁表

   短気之鏡(たんきのかゞみ)

 

   たんきなる人、けらいの

   よきりやうけんにて

   あやふきをのがるゝ事

   此かゞみにうつす、きやう

   けんのごとし、たんきハ

   そんきといふ事、ちがい

   なし

   

仮名手本胸之鏡 上 4  二丁裏 三丁表

 

二丁裏上

言う程 腹の立つ事にても

とくと後先を勘弁し

心時は大抵の

成るもの也、

の立つままに分別

も無く、事をはる

らえば、後に唸らず、

悔やむ事有り、

 

   二丁裏下

  「例えば腹の立つ時は、我が胸の内より短気(短鬼たんき)

   と云う鬼 現れ出で、悪さをかいせんと

   す、その時  懈怠の内に 忠義な

   る物有りて、胸の内

   より  正気(しようき)

   大人(たいじん)

   と云う

   広き

   心を出だし

   了見して

   有権を持ち

   て、かの短気(たんき)

   を追い、

   尻

   退

   く、

   知る

   物 無

   くんば、

   甚だ

   危う

   き

   也

 

   三丁表

  「それは大きな

   短気たる むら鞘、

   人の頭を打タジ、

   尽くしとは

    あやまり/\

   

二丁裏上 画 立つ男と座る男

正気(しようき)

  大心(たいしん)

    鬼(たんき)

 

   三丁表

   短気之鏡(たんきのかゞみ)

 

   短気なる人、家来の

   良き了見にて

   危うきを逃るる

   此鏡に写す 鏡

   剣の如し、短気は

   損気と云う事、違い

   無し

   

 

鬼(たんき)

 短気

けたい 懈怠懈怠

  1. 《近世ごろまでは「けだい」》なまけること。おこたること。怠惰。「懈怠の心が生じる」

  1. 仏語。善行を修めるのに積極的でない心の状態。精進 (しょうじん) に対していう。

ちうぎ

 忠義

りやうけん

 了見

 

 

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