乱鳥の書きなぐり

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かじわらへいざん ほまれのいしきり

2006年04月30日 | 歌舞伎



    
     かじわらへいざん ほまれのいしきり  


          (ツルオカハチマン社頭の場)
            
                



           ソメゴロウ カロク 

           2006/04/* 昼の部 misono座







 この演目も以前舞台で観たことがある。

 上からのつり花の木瓜の花が印象的。





 【あらすじ走り書】

 かじわらへいざん(ソメゴロウ)が名刀の目利きをするが、大庭(カロク)と俣野五郎(キサブロウ)が、
「(人の)二つ切りを・・・」
という申し出。

 生憎在任は一人。二人切りは不可能。

 商談がまとまらずにいると、金策の困る刀職人かが、
「自分を試し切りのもう一人に。」
と、申し出る。

 二人を重ね、かじわらがスパッ!

 刀職人は切らず、罪人だけを切ると、た大庭、俣野は怒って帰ってしまう。



 一方かじわらはその名刀にほれ込み、自分が買うと申し出るが、職人気質の男は、
『不出来な刀・・』と嘆き悲しむ。

 「刀は名刀。」
と、かじわらは 刀職人を切らずに神社の石製の手水八をスパッツ!と二つに切ってしまう。




 適度な緊張と喜劇性と人情を兼ね合わせた演目で、かなり面白い。
 






 【感想】


 ソメゴロウの熱演は心地よかった。

 どういうわけか終始一貫して、この演目においては彼はご機嫌が良かった。

 九月の『ヨシツネセンボン桜』に比べて、彼の演技はますますうまくなっていた。

 彼は『カンジンチョウ感想』でも書いたが、古典カブキがよく合う人だ。

 もう少し声が大きくなれば、言うことはない。

 

 ソメゴロウさんは、演じておられるときは昔の三十歳台のコウシロウ(当時ソメゴロウ)の表情の匂いがする好青年。

 迫力と品があり、古典カブキを演じる彼は魅力的に映る。

 今後も見守っていきたいと思う。




 この演目で印象深かったのはキサブロウ。

 特にキサブロウ演じる俣野ゴロウは腹が立つほど、憎らしい。

 若手としては、名演技由縁であろう。

 目の使い方や形が絶えず決まっていて、カッコが良い。

 カブキを見ているという満足感がます役柄と演じてだ。

 まさしく
「かっこいい~~」
のである。

 彼の声は鍛えられた役者声。

 すずのように響き渡り、心地よくさせてくれる。

 これで、もう少し低音が安定すれば、かなりの実力派となるであろう。

 若手の中で、彼のうまさはカブキの知らない私でさえも、なんとなく理解ができる。

 今後も注目したい。



 カロクさんはさすがに大ベテラン。

 安心してみていられた。

 うまい!



 刀職人の娘役である高麗ゾウも今回頑張っておられた。

 ただ、花道から出てこられた一言は、声が裏返ってしまう。

 会場のあちこちで笑い声が・・・・

 誠にお気の毒であった。

 彼も懸命に演じられ、観ていて気持ちが良かった。

 芝居も後半に差し掛かった頃には落ち付きをり戻され、台詞は安定。

 その口調はヒデタロウさんの調べに共通。

『あれ、この人は将来どんな役者さんになられるのだろう・・・・』
と、期待の念を抱いてしまう・・・・そんなステキな役者さん。







 総合的に考えて、この芝居も面白かった。



『カブキを観た』という満足感を味わえる舞台だったことに感謝。

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