若松武史の訃報を知る。
ふと思い出して、今週、「エンジェルダスト」を検索したばかりだ。若松は、あの映画の中で、ぼそぼそと聞き取りづらくセリフを語る洗脳者だった。
「エンジェルダスト」は恐ろしい映画だ。どれもこれもが、しばらく後に起こるオウム真理教を思わせるものだったからだ。どんな偶然があれば、先に起こるであろう事件を暗示するようなものが作れてしまうのか。遠くのトライアングルを共鳴させる時代の振動があったのか。村上龍氏の「インザミソスープ」と猟奇事件、「エクスタシー」と角川春樹。1990年代の、穏やかならざる空気。地面に横倒しになった高速道路。神戸の映像はなかなか届かない。地下鉄の駅の救護テント。あの日は底冷えのする朝だった。中学生から事情を聞いているというテロップ。サティアンと呼ばれる建物に入っていく機動隊。籠のカナリア。東電ОL。翻弄される日本。罪なき人に対する、有罪であると思い込む人による妄想の私刑。
ふと思い出して、今週、「エンジェルダスト」を検索したばかりだ。若松は、あの映画の中で、ぼそぼそと聞き取りづらくセリフを語る洗脳者だった。
「エンジェルダスト」は恐ろしい映画だ。どれもこれもが、しばらく後に起こるオウム真理教を思わせるものだったからだ。どんな偶然があれば、先に起こるであろう事件を暗示するようなものが作れてしまうのか。遠くのトライアングルを共鳴させる時代の振動があったのか。村上龍氏の「インザミソスープ」と猟奇事件、「エクスタシー」と角川春樹。1990年代の、穏やかならざる空気。地面に横倒しになった高速道路。神戸の映像はなかなか届かない。地下鉄の駅の救護テント。あの日は底冷えのする朝だった。中学生から事情を聞いているというテロップ。サティアンと呼ばれる建物に入っていく機動隊。籠のカナリア。東電ОL。翻弄される日本。罪なき人に対する、有罪であると思い込む人による妄想の私刑。
あれから四半世紀が過ぎた。妄想の人は覚めず。私にとっては前世紀末であるが、誰かにとっては今も続く時でもあることを忘れてはならない。