うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

白状

2007年09月11日 | ことばを巡る色色
少し前のことになるけれど、懐かしくも本物の人が二人この世を去ってしまった。訃報を聞いて、あの時代を思い出し、幾つかのニュースに乗る、二人の古いフイルムを見て、あの人たちの価値を再認識した。
その一人、山口小夜子さん。
私は、2年前にオリベアワードのレセプションで彼女とお話をした。遠い昔に女神のように思っていた人は、時代を超えてそこにいた。フォークロアでシノワな洋服を着、ぽっくりのような靴を履いていた。今はもう、そういうものを身につける人は少ないのに、彼女はそうでしかありえないという風にそれらを身に纏っていた。閉じているわけではなく、高慢でなく、見下すわけでなく、だのに無駄な言葉を寄せ付けない、「孤高」ということなのだろう。私よりはずいぶん年上であるはずなのに、どこか、幼女のようである。彼女は変わらず、「山口小夜子」であり続ける不思議。
あなたは何を忘れてしまってそこにいるの、さあ白状しなさい、といわれているような横顔。その人がいなくなってしまったのは、辛いことだ。
コメント (2)
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