ken君
暑い日が続いていますが、お元気ですか。町のみんなも元気で過ごしていますか。
わたしは元気です。文化祭ももうすぐで、また、実行委員長になってしまいました。
スローガンやら、記念講演やら、掲示物やらやることだらけです。でも、これが終わったら受験勉強に専念(勇ましいでしょ?)です。だから、「叫ばぬは存在せぬに等しい」なんて大仰な看板をでっかく張り出して、呼びかけています。
この役をやってて一つ、いいことがありました。実行委員の後輩にとっても素敵な女の子がいて、先日はその子のうちで、残った展示物を作りました。学校が開いていない日で、他の委員はおさぼりだったのに、その子だけが「うちでやりませんか」と言ってくれたのです。その子のおうちは、古くから続くおしょうゆやさんです。味噌のような醤油のような香りが立ち込め、大きな樽がたくさんありました。展示物を作っているととその子のお父さんがお饅頭やら、ケーキやらを持ってきてくれました。帰りには試作のお醤油もくれました。父とは違い、まあるいお父さんでした。
わたしは転校した学校で、うちのことを誰にも話していません。わたしの高校には、あの町の子も2人来ています。会うとどきどきします。2人はわたしのことも父のことも知っているんだろうけど、知らない振りをしていてくれます。わたしはいつまで、嘘をつき続けるのかな、隠し続けるのかな。こうやってうちのことを書いているのも、Ken君があの時のことを知っているから、隠しようもないからです。あの町を出てからの数年間、日記以外でうちのことを書いたり、話したりすることはありませんでした。今日が初めてです。今もまだ言えないでいるということは、わたしが許していないということなのかもしれません。関係のないところで生きている振りをしていることこそが、許せていないことの証拠のような気がします。
後輩のところから帰り、うちで試作のお醤油の袋を開けてみると、後輩の手書きの河童(後輩は絵も上手です。なぜか河童の兄妹が卵を抱いている絵でした)がラベルに描いてあるビンが入っていました。「たまごかけごはんのたれ」なのだそうです。たまごかけごはん専用なんて面白いでしょ?後輩と、お父さんがニコニコしながら、「食べて感想聞かせてね」って、どこか似ている顔で、どこか似ている声でわたしにくれました。
幸せに育った子って本当に心根が優しいのねって思いました。心のどこかで許せていないわたしは、どうやっても太刀打ちできないなあって思いました。辛いことを乗り越えれば立派な大人になるなんてうそです。心の中のまっすぐなものが失われてしまいます。うちで卵ご飯を一人で食べながら、ぼろぼろぼろぼろ泣けました。
誰にも話せないので、ごめんね。Ken君にこうやって、手紙を書いてしまいました。
いつも、粗雑で、どんどんやってるわたしなので、ちょっとおかしいですよね。
投函するかどうかは明日の朝、決めます。だから、今日は、ちょっとだけ、ごめんね。 usato
TB BLOG STATION 17歳の手紙
今日もまた螺旋上昇世界に冠たる「たまごごはん」?
以上の記事を参考に創作させていただきました。kenさん、あきちゃん、ありがとうございました。
暑い日が続いていますが、お元気ですか。町のみんなも元気で過ごしていますか。
わたしは元気です。文化祭ももうすぐで、また、実行委員長になってしまいました。
スローガンやら、記念講演やら、掲示物やらやることだらけです。でも、これが終わったら受験勉強に専念(勇ましいでしょ?)です。だから、「叫ばぬは存在せぬに等しい」なんて大仰な看板をでっかく張り出して、呼びかけています。
この役をやってて一つ、いいことがありました。実行委員の後輩にとっても素敵な女の子がいて、先日はその子のうちで、残った展示物を作りました。学校が開いていない日で、他の委員はおさぼりだったのに、その子だけが「うちでやりませんか」と言ってくれたのです。その子のおうちは、古くから続くおしょうゆやさんです。味噌のような醤油のような香りが立ち込め、大きな樽がたくさんありました。展示物を作っているととその子のお父さんがお饅頭やら、ケーキやらを持ってきてくれました。帰りには試作のお醤油もくれました。父とは違い、まあるいお父さんでした。
わたしは転校した学校で、うちのことを誰にも話していません。わたしの高校には、あの町の子も2人来ています。会うとどきどきします。2人はわたしのことも父のことも知っているんだろうけど、知らない振りをしていてくれます。わたしはいつまで、嘘をつき続けるのかな、隠し続けるのかな。こうやってうちのことを書いているのも、Ken君があの時のことを知っているから、隠しようもないからです。あの町を出てからの数年間、日記以外でうちのことを書いたり、話したりすることはありませんでした。今日が初めてです。今もまだ言えないでいるということは、わたしが許していないということなのかもしれません。関係のないところで生きている振りをしていることこそが、許せていないことの証拠のような気がします。
後輩のところから帰り、うちで試作のお醤油の袋を開けてみると、後輩の手書きの河童(後輩は絵も上手です。なぜか河童の兄妹が卵を抱いている絵でした)がラベルに描いてあるビンが入っていました。「たまごかけごはんのたれ」なのだそうです。たまごかけごはん専用なんて面白いでしょ?後輩と、お父さんがニコニコしながら、「食べて感想聞かせてね」って、どこか似ている顔で、どこか似ている声でわたしにくれました。
幸せに育った子って本当に心根が優しいのねって思いました。心のどこかで許せていないわたしは、どうやっても太刀打ちできないなあって思いました。辛いことを乗り越えれば立派な大人になるなんてうそです。心の中のまっすぐなものが失われてしまいます。うちで卵ご飯を一人で食べながら、ぼろぼろぼろぼろ泣けました。
誰にも話せないので、ごめんね。Ken君にこうやって、手紙を書いてしまいました。
いつも、粗雑で、どんどんやってるわたしなので、ちょっとおかしいですよね。
投函するかどうかは明日の朝、決めます。だから、今日は、ちょっとだけ、ごめんね。 usato
TB BLOG STATION 17歳の手紙
今日もまた螺旋上昇世界に冠たる「たまごごはん」?
以上の記事を参考に創作させていただきました。kenさん、あきちゃん、ありがとうございました。