夜の翼

オーディオ、音楽、車、ケータイなど好きなことを気ままに綴るブログです。

10 BABYMETAL BUDOKAN DOOMSDAY-Ⅵ(その2)

2021-10-17 09:07:38 | ライブ
骨のアナウンスが始まった。
東京ドームを思い出すな。
注意事項の説明とウェーブヘドバンとチュートリアルだ。
声を出せない、一緒に歌えない、そんなことは分かり切った話だが、ライブの直前に改めて言われると、
ライブの間ぐらいは忘れてしまいたいコロナ禍という現実を改めて突きつけられたような感じで、ライブで非日常を感じたいのに白けてしまう。
「家に帰るまでが10 BABYMETAL BUDOKAN」とか「寄り道、ダメ、ゼッタイ」とかライブの前に言われるとは、何ともやりきれない。

骨のアナウンスが終わると短い紙芝居、そして武道館にマシンガンのような爆音が響き渡る。
比較的狭い会場だが音量は通常ベース。耳が音量で飽和し、聴き取りにくい。
これが噂の「シン・BABYMETAL DEATH」か。
基本的にスラッシュメタルなオリジナルBMDに比較すると、現代的というかインダストリアル仕上がり。オリジナルのBMDより激しく感じる。
円筒形のディスプレイにはこれまでのライブがモノロームで映し出される。
サブリミナル的なほんの一瞬の映像が連続して流れる。
武道館、ウェンブリー、東京ドーム、フォーラム、幕張…
ダークサイドになってから封印されていたBMDがこんな形で復活するとは。
この封印までもが解かれたということは、オリジナルのBMDが復活するのは新しいメンバーでも入ったときか。たぶんないとは思うが。

この武道館公演のセットリストは、「10 BABYMETAL BUDOKAN」に収録されている10曲を基本に、OP+2曲という構成らしい。
これまでOPは「IN THE NAME OF」だったが、ⅤとⅥは「シン・BABYMETAL DEATH」に変わった。
そしてその他の2曲はVと変わらないとすれば、あの曲とあの曲だ。

IDZ、ギミチョコ、ドキモとライブ定番の曲が続く。
武道館も6公演目ということもあり、SU-METALに力みは感じられない。
伸びやかに、楽しげに歌ってくれる。
ただ、噂に聞いていたとおり武道館の音響はよくない。
大音量のラウドなバンドには向いていない。
アリーナの面積に比べて高さのあり、スタンドの傾斜がきついホールは、低音が残響し、音の分離が悪くなる。
傾斜のきついSSAのスタンド中段よりもよくない印象だ。
フロアレベルに違い1階ならばまた違ったのかもしれない。
そうしてみると、やはり横浜アリーナはスタンドの傾斜が緩やかな分音がいいようだ。

神バンドは一は固定されているが、曲によって向きが変わる。
最初観客側を向いていたが、いつの間にかステージ側を向いていた。
ギターとベースはくるっと振り向けばいいが、ドラムはそうはいかない。
ドラムセットが載っている台ごと180度回転するようになっていたようだ。
ボーカルの姿が見えると見えないとでは、神バンドも演奏が違ってくるだろう。

ステージ演出は、幕張の進化系。
バースデイケーキ型のステージの側面までLEDディスプレイになっているのは幕張と変わらないが、
ステージが全面ディスプレイになっているのは、上から見下ろす武道館ではより効果的な演出が可能となっている。
武道館の高さを生かして、ムービングライトを上で向けステージが柱に囲まれているように見えるライティングも、東京ドームからの進化を感じる。

紙芝居が始まった。
最初の武道館の時の紙芝居風の今や懐かしい感じの紙芝居だ。
九段下ならぬ十段下、武道館ならぬブドウ館。子ギツネたちの奇妙なダンス。
間違いない。今日も「おねだり」だ。
Black BABYMETALの曲をMOAMETALがソロで歌うのは、緊急事態のLEGEND-Sを除いでなかったはずだ。
センターステージの中央でMOAMETALが歌い踊り、その周囲を4人の子ギツネたちが踊る。
骨パーカーにフードをかぶり、赤と黒のスカートという昔懐かしい衣装で子ギツネたちが踊る。
ディスプレイにもほとんどうつらないし、フードにマスクなのでほとんどその表情は窺えない。
ただ、小柄なMOAMETALよりさらに小柄な子ギツネがいたのは間違いない。
この子ギツネたちは、この年で閉校となるさくら学院の生徒たちということになっている。
今年のさくら学院の在校生は8人。4人ずつ2日に分けて出れば計算は合う。
さくら学院以外の子も混じっていたという噂もあるが、確かめようもない。
この武道館で「おねだり」を今年閉校となるさくら学院の在校生を共演するというのは、どんな気持ちなのだろう。
おそらく語られることのないMOAMETALの気持ちは想像するしかない。
この子ギツネたちがさくら学院の在校生だとすれば、「伝説の先輩」のライブ、しかも武道館という場で共演するというのは、彼女たちにとってどんな意味があったのか。
それこそOTFGK。

中学生のYUIMETALとMOAMETALが歌うのを前提とした歌詞を22歳になって、すっかり美しい女性になったMOAMETALが歌うと、
それは小悪魔なんてものはすっかり通り越して、サキュバスですよ。
気がつかないうちに魂を完全に抜かれてしまいます。
ちょっと見てはいけないものを見てしまった気になる。

ただ、曲中に子ギツネたち一人一人のそばに寄って歌う姿は本当にうれしそうで、
MOAMETALというよりは、さくら学院4代目生徒会長の菊地最愛そのものだったかもしれない。
もあさんのさくら学院愛は深かったからね。

BABYMETALらしくない、スペシャル大出血サービスの演目が終わり、再び紙芝居が始まる。
紅の戦士の紙芝居。これもまた昔風の紙芝居だ。
「この世に光を取り戻すため再び紅の戦士が聖地BUDOKANに舞い降りる」

紅月も久しぶりだ。最後はDark Side Carnivalのときか。
アヴェンジャーズ体制になってから演奏されたSU-METALのソロ曲は「Kagerou」だけだった。

いつものイントロからのSU-METALの歌には、力みは感じられない。
久しぶりの紅月マント姿のSU-METALが朗々と歌い始める。
やはりこれだよ。この感じだよ。この感じを味わいたくてBABYMETALのライブに行くんだ。
マントは赤くなく、10 BABYMEYALのイメージカラーの黒と金だ。

間奏になった。本来ならばギターの神の見せ場だが、離れたポジションでは背中合わせのツインギターは望むべくもない。
その代わりに、マスクを着けたマッスル姐さんズ登場。
マスク以外、ヘッドギアも衣装もダークサイド仕様のままのようだ。
さすがに動きのキレが尋常ではない。回し蹴り4連発も見れた。
これを再び、しかも武道館で見られるとは。
本当にこの武道館公演は、BABYMETALの10年間、そのライブの総決算なんだな。

再びSU-METALが歌い始める。
そして、暗転。SEの歓声と拍手だけが聞こえてくる。
次のSU-METALの声を、まさに固唾を飲んで待つ。
ピアノとストリングスをバックにゆっくりとSU-METALが歌い始める。
LEGEND1999で披露された紅月のUnfinishedバージョン。
映像で見るたびにうっとりとする瞬間。
その瞬間がこの武道館でリアルに訪れた。
ほんの一節、そこからは一気にスピードアップ。
このコントラスト、本当にたまらない。
武道館の音響が悪かろうが関係ない。
この瞬間のためにこの場所に来た。

そこからは、ライブ鉄板の曲が続く。
楽しいはずのライブだが、なんだか苦しい。
マスクを三重に着けているせいではない。
そして、ほかの会場に比べれば物理的にはずっと近いはずのステージが遠く感じる。
力いっぱい拍手、手拍子はしている。
事前の練習どおりウェーブヘドバンもやった。
ただ、声が出せない。それが苦しい。
RoRのイントロは、大声で歌いたい。
幕張では大声で歌った。
いくらSEで歓声が付け足されていても、それこそまがい物だ。
我々は「声を失った」のだ。
たったそれだけのことで、BABYMETALのライブがすっかり違うものに感じてしまう。
ライブ中もコロナのことが時折頭をよぎる。
感染症の心配などせずに、大声で歌って、モッシュして、純粋にライブが楽しめるようになるのはいつになるんだ?

いつの間にかエンディングを迎えていた。
いつものように最後のC&R。
SU-METALの「We are?」へのレスポンスは自分の声ではなくSEの「BABYMETAL」。
自分で応えなくてC&Rに何の意味がある?
銅鑼と特効花火でいつものようにライブは終了した。

今回のライブは規制退場となっていた。
指定された座席順に会場を後にする。
階段を降りるとすっかり外は暗くなっている。
開場を離れがたいメイトさんたちは、夜の武道館をバックに写真を撮ったしているが、早く帰れとスタッフの拡声器の声がうるさい。

東京駅まで戻り、夕食にしようと思ったがほとんどの店がもう閉まっている。
なんとか開いていた店で食事。
それほど混んではいなかったが、店自体が狭いので落ち着いて、安心して食事をするという感じではなかった。
食事を終えると早々に席を立ち、新幹線で帰途についた。

ライブ自体は過去最高だったと思う。
舞台装置、照明演出、東京ドームの時とは格段の差があり、会場の大きさは違うが、幕張よりさらにレベルアップした印象が残る。
神バンドの演奏も盤石。日本での演奏が少なかったISAO神と大神とのコンビもばっちりだった。
ただ、今までになく演者との距離を感じてしまったライブだった。
ライブで声を出せないのがこんなに苦しく、辛いなんて。
一番ライブの難しい時期にライブをやってくれたBABYMETALの関係者には本当に感謝したい。
ただ、次こそは、心おきなくライブを楽しみたい。
もう今年はライブはないだろう。
次は、4thアルバムを聴けるのかな。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿