夜の翼

オーディオ、音楽、車、ケータイなど好きなことを気ままに綴るブログです。

結局HD6XXになりました(その2)

2023-03-22 04:44:44 | オーディオ

○エージング専用音源

ゼンハイザーのヘッドフォンはエージングに時間はかかるが、エージングでの音の変化が大きい傾向があるので、100時間必要とも200時間必要ともいわれるエージングの後にどう変わるのか楽しみではある。

これまでは手持ちの音源をループで流し続けてエージングをかけていたが、エージングを短時間で終わらせることができる専用の音源があることが分かったので、それを使ってみよう。

Chord&Majorというイヤフォンメーカーのサイトで公開されている。

30分ほどの音源で、内容はスイープシグナルが中心となっている。

これを3周ほど鳴らして音の変化を確かめてみたところ、たった1時間半ほどしか鳴らしていないにもかかわらず、相当の変化が感じられる。

まずは高音の抜けがすっかりよくなり、「こもった音」とは感じられないレベルまでなった。

もちろんハッキリクッキリ煌びやかな高音になったわけではく、絶妙に丸みを帯びた柔らかい高音といえばいいだろうか、そんな音になった。

低音も大きく変化して、潰れがちだった低音の輪郭がハッキリしてきて、低音楽器の音が重なるパートでも、それなりに分離して聞こえるようになった。

中域は専用のドライバーでも組んでいるのかと思うほど、さらに聞き心地のよい音になっている。

全体としては少々暗めの音ながら、絶妙に丸みを帯び、聞いていて嫌な感じはまるでない。

解像感という点では今ひとつだが、オーディオマニアが喜ぶような過剰な解像感がないだけで、むしろ「音」の細かいところが気にならないので「音楽」に集中できる。

ボーカルのサ行は全く気にならず、その声を堪能できる。

解像感はそれほどではないが、なぜか今まで気がつかなかった背景音(例えばライブ音源での観客のざわめきの違い)が聞こえてきたりする。

「油絵のような音」、そう表現されることが多いHD650の音になってきた。

ハイレゾの高音質録音音源には向いていないが、古い音源なら殊更アラを際立たせず、その美味しいこところだけを聴かせてくれるので、むしろこちらのほうがよい。

音楽のジャンルでいえば、女性ボーカルを聴くにはピッタリだ。

低音楽器のあまり入っていないアコースティックな音源にも向いている。

苦手なのは、ベースとドラムがドカドカうるさいメタル(!)みたいな音楽だろうか。

 

ここまでは数多くあるHD650のレビューどおりといった感じだ。

エージング時短用音源の効果が大きかったので、他にないかと探したらYou Tubeに帯域別のエージング音源があるのを見つけた。

全帯域版もあるのだが、高域、中域、低域と帯域専用の音源が用意されている。

特に高域用と低域用には通常の音楽音源には入っていないような、可聴域を超える超高域やほぼ振動に近い極低域がたっぷり入っているとのことなので、ヘッドフォンの振動板の慣らしには効果があるのではと思い、30分ほどのこれらの音源をまた3周ほど鳴らしてみた。

 

○HD6XXの変貌

その効果はテキメン。

HD6XXは世間一般にいわれているような音の傾向のヘッドフォンではなくなってしまった。

まず、高音の抜けが劇的に改善し、こもり感は全くなくなり、すっきりの伸びた高音になった。

これに伴い、音の解像感が格段にアップ。

ZEN CAN Signature 6XXと相性が悪いのでADI-2に接続したATH-A2000Zと比較してみたが、音の解像感でATH-A2000Zに負けていない。ほぼ同等の解像感になっている。

ただ、音の解像感の方向性が異なっていて、ATH-A2000Zは顕微鏡的というか楽器個々の細かい音を拾う感じなのに対し、HD6XXは音が重なっている場合の奥行きの違いが分かりやすく、空間的な解像感に優れている。

音場の広がりは密閉式としてはATH-A2000Zも広い方だが、開放型のHD6XXにはかなわない。特に横方向の広がりを感じる。

問題の低音は、量感が多いのは変わりがないが音の輪郭がかなりハッキリしてきた。

ベースとドラムの音が重なるようなパートでも、音がかなり分離して聞こえる。

音がハッキリ出るようになったからか、ボーカル帯域の聞き心地の良さはほんの少し後退したように感じるが、サ行がきつくなったりはしていない。

 

様々なHD650のレビューを見てきたが、その中に「適切なアンプでしっかり駆動させて、適切なエージングを施せば、一般的にいわれているような「ウォームな音」ではなく高解像度の音になる。」というものがあったのを記憶している。

環境を整えたら、まさにそのような音に変化してきた。

正直ここまで大きな変化を感じるとは思っておらず、聞き心地という点ではわずかに後退する結果になってしまったので、少々やり過ぎてしまった感はある。

 

「スピーカーと違ってエッジのないヘッドフォンのエージングなんてただのブラシーボ効果」とか意見もあるが、短期間でこの変化を体感してしまうと、頭でっかちの意見に耳を傾ける必要はないのかな。

オーディオ的な意味での「音の違い」というのは、計測などで客観的に違いが分かるもの以外の部分も多く、どうしても水掛け論になりがちだ。

エージングに関してもこれに当てはまるが、某ヘッドフォンメーカーのウェブサイトでも、エージングによる音の変化(主によい方向での)はあるとの見解が示されている。

まあ、最終的には自分の判断。

エージングに関しては費用がかかるわけでもないので、試して損はないというより、試したみた方がいいというのを改めて感じた。

 

HD650そのものではないが、モノとしてはほぼ同等といわれるHD6XXでこれだけのパフォーマンスが出るならコストパフォーマンスは抜群だと思う。

この状態の音を聴けば、HD6XXのオリジナルであるHD650が「名機」と称されるのも納得がいく。

若干低音が過多で音の作りとしては古い感じはするが、ここまでくればほぼジャンルを選ばないオールラウンダー。

側圧が強いと言われるが、実はATH-A2000Zの方が側圧が強いので、装着感でHD6XXが上回っている。

ATH-A2000Zはハイレゾでバリバリの高音質音源とかオーディオ的に聴きたい音源にその用途が限定され、今後の出番はかなり少なくなりそうだ。

また、長年愛用してきたHD595は、装着感以外は全てHD6XXが上回っているので、リビングの映像システムの方に隠居することになるだろう。

 

ここまで来ると、アンバランスではなくバランス接続の音も聴いてみたくなるという欲求を抑えられなくなる。

本当はもう少し先にしようと思っていたリケーブルだが、たまたまポイント還元が多かったので、思い切って買ってしまった。

HD6XXを購入する前からリケーブルの候補はリサーチしていた。

HD650用でアンプ側が4.4mmの5極バランス端子というヘッドフォンケーブルはそれほど選択肢が多くなく、結局は手堅くORBのケーブルにした。

 

バランス接続とアンバランス接続では音の傾向がかなり異なるとの評判。

アンバランス接続の方がいいという意見も一定数見受けられるが、やはりバランス接続の方がいいという意見の方が多い。

果たして自分に向いているのはどっちだ?


結局HD6XXになりました(その1)

2023-03-13 04:44:44 | オーディオ

○悩ましいZEN CAN Signature 6XXの相棒

新しいヘッドフォンを導入する前提でiFi-AUDIOのヘッドフォンアンプZEN CAN Signature 6XXを購入してしまったが、手持ちのヘッドフォン、オーディオテクニカATH-A2000Zとどうも相性が悪く、ADI-2 DACに直接つないだ方がいいようなので、せっかく買ったZEN CAN Signature 6XXは休止中。

 

新しいヘッドフォンを購入すればいいのだが、これがなかなか決まらない。

ゼンハイザーの開放型というのは決まっているのだが、HD6XXにするか、HD650か、はたまたHD660Sにするかで迷っていた。

ヘッドフォンアンプがHD6XXなのだから、輸入代行品のHD6XXを購入しようと思ったのだが、これがHD650の国内正規品とあまり価格差がない。

HD650でもよいのだが、そうなると新しいHD660Sも気になる。

ただ、手持ちでATH-A2000Zがある以上、比較的現代的キャラクターのHD660Sというのもどうか。

そんなふうに迷っていたら、さらに新型のHD660S2が発売されてしまった。

HD660Sの方は終売になるようだ。

HD660Sは低音不足という意見が多かったので、低音を増してHD650寄りのバランスになったようだ。

インピーダンスも150オームからHD650と同じ300オームになっている。

未だに人気のあるHD650の現代版という感じだが、発売されたばかりで値段が高い。

バランスケーブルも付属しているのだが、アンプ側のプラグ形状が異なるのでZEN CAN Signature 6XXには使えない。

 

ますます悩ましいな、と思ってHD6XXの価格も改めて確認してみた。

概ね以前調べたときと同程度だったが、Amazonのマーケートプレイスに出品している店でかなり安い店を発見。

ATH-A2000Zを持っていなければたぶんHD660S2にしたところだが、ATH-A2000Zとの併用だし、買ってしまったアンプはZEN CAN Signature 6XXだし、中身はHD650とほぼ同じだというし、この価格ならということで、ある意味当初の予定どおりHD6XXにすることにした。

安い店での在庫が残り少なかったのと、最近切り替えたクレジットカードを使うとさらに割引になるので、このタイミングで購入となった。

 

○結局はHD6XXに落ち着く

そんなことでHD6XXは我が家にやってきた。

到着したHD6XXは、専用のハードケースに入っていたので箱が大きい。

質感はほとんど期待していなかったが、質素な感じはするがそれほど安っぽい感じはしない。

手持ちのHD595と同じくらいの見た目のレベル。

 

HD595と同じく耳当ての部分はベロア素材になっている。

ヘッドバンドの長さは調整できるが、HD595とは異なり黒の金属プレートが直に見えるタイプ。

新品だからかもしれないが、少々動きが硬く調整するのにちょっと手間取る。

 

実物を見て思い出したが、付属しているケーブルは1.2mのアンバランス接続6.3mmフォンプラグのみ。

パソコンデスク前側のHD595付属ヘッドフォンハンガーに掛けてみると絶妙に短く、ZEN CAN Signature 6XXに接続した状態だと、パソコンデスクのキーボードを置く棚の下側にケーブルを通してちょうどぐらいだった。

 

いよいよ初音出しである。

使用する機器の構成は次のとおり。

PC:オリオスペックcanarino fils5(電源:EL SOUND Improved DC12V5A)

USBカード:JCAT USB Card FEMTO(外部電源:iFi Audio iPower)

USB-LANアダプター:バッファロー LUA4-U3-AGTE-BK

LANケーブル:DELA HA-C1AE05

Diretta Target:オリオスペックDiretta Target PC2(電源:iFi Audio iPurifierDC2)

USBケーブル:Acoustic Revive R-AU1-PL

USB DAC:RME ADI-2 DAC(電源:WonderPure WP-906PS)

HEADPHONE AMP:ifi Audio ZEN CAN Signature 6XX(電源:iFi Audio iPowerⅡ)

プレーヤーソフトはもちろんJPLAY。

 

ZEN CAN Signature 6XXの設定だが、とりあえずゲインは0db、HD6XX用のイコライザーはONにする。

XAPACEと呼ばれている音場補正処理はOFFにした。

 

さすがにゲインが0dbだとボリュームをフルにして丁度いい具合。

出てきた音は、一言で言うと「こもった音」。

高音がかなり詰まった感じで抜けが悪い。

低音の量感はあるものの、音の輪郭が曖昧でまさにぼやけた感じになっている。

おお、まさにHD650に対するネガティブな評価そのものの音じゃないか。

不思議なことにボーカルの帯域は、他の帯域の影響を受けず、クッキリ聞こえる。

ただ相対的なものなのかもしれないが、この帯域だけ抜けがよく聞こえる。

この時点でHD595との差が出ている。

高音は詰まった感じはそれほどないが、マスキングされた感じで抜けがよくない。

音場も広くはなく、ドライバーの周りに音が張り付きがちである。

 

ゼンハイザーのヘッドフォンに限らず、鳴らし始めのヘッドフォンの音はこんな感じになることが多いが、ゼンハイザーのヘッドフォンはその傾向がより強いかもしれない。

HD595の鳴らし始めもこんな感じだった。

 

さて、ここからは鳴らし込み、エージングにとりかかる。


qobuzサービスイン(予定)

2023-03-12 04:44:44 | 音楽

○リッピングトラブル

昨年デスクトップ周りを整理して、かなりすっきりして落ち着いてしまったこともあり、CDリッピングがなかなか進まない。

そのリッピングだが、まだ全てのCDの非圧縮FLAC化は終わっていないものの、既にエラーが発生してリッピングが終了できなかったCDが5枚もある。

10年ほど前、手持ちをCDをExcat Audio CDでWAV化したときは、CCCD仕様のCD以外は全てリッピングができていたのに、その時リッピングできていたCDにエラーが発生している。

リッピングソフトをdbpowerampにしたことも原因かもしれないが、エラーが出たCDは80年代の古いCDが多いので、経年劣化と考えるのが妥当だろう。

リッピングはできないが、CDプレーヤーでは再生できるので全く使えないということではないのだが、CDプレーヤーの強力なエラー訂正機能が証明されてしまった形だ。

 

○今後の音源をどうするか

こういう状況になってしまうと、今後入手する音源をどうしようか考えてしまう。

CDクオリティ以上の音質で劣化しないものとなると、CDのみしか入手できないタイトルは別として、ハイレゾ音源をファイルで入手するという方法ぐらいしかない。

邦楽を含めたハイレゾ音源の入手先というと、e-onkyo musicか。

CDの代替であれば、むやみに容量が大きくなるDSD音源でなくとも、96kHz/24bitのflacでも十分。

PCM系の場合はサンプリング周波数が96kHzとそれ以上の差はそれほど感じることはないが、量子化ビット数の16bitと24bitの差は大きい。

本当はDSDの音が好きなのだが、ファイルも含めて環境をかなり整えないとDSDの良さ、あのふわっとした柔らかい空気感のような感じは出せないと思う。

入手のしやすさも含めて、96kHz/24bitのflacをデフォルトして、これはと思う優秀録音盤をDSDで入手するというのがいいかもしれない。

 

○ついに日本でハイレゾストリーミングサービス開始か

そんなことを考えていたところに、qobuzサービスインのニュースである。

qobuzを運営しているフランスの会社がe-onkyo musicを買収したのは知っていたので、日本でもハイレゾストリーミングサービスが利用できるようになるかと思っていたが、ようやくといったところだ。

ハイレゾストリーミングサービスといえばTIDALの方がメジャーだが、こちらは中々日本で正式にサービスが開始されない上、ハイレゾといってもMQA形式が主体のようで、FLAC形式が主体のqobuzの方が個人で気には好ましい。

 

しかもe-onkyo musicを買収したこともあるのか、邦楽を含めた9000万曲を利用できるようになるらしい。

洋楽ばかり聴く人にとっては、利用料金が安い国経由でTIDALを利用する手もあるのかもしれないが、それではあまり魅力を感じない。

邦楽を含めたハイレゾストリーミングサービスなら、音源の確保の点も考えると十分検討に値する。

 

○音楽を聴くスタイルが根本的に変わる

あとは利用料金次第だが、よく言われるように月額でCD1枚分ぐらいの料金ならその利便性を考えると、ハイレゾストリーミングサービスを導入しない手はない。

これまでのずっと続いてきたほぼフィジカルのみの音楽ソースがガラッと変わることになる。

自分の場合は、

・基本はハイレゾストリーミング

・CDのみしかない音源はCDで購入し、すぐにリッピング

・これぞと思う音源はDSD音源を購入

といったハイレゾストリーミング主体の聴き方になりそうだ。

 

ロッシー音源であることにこだわらなければ、それこそ音楽ストリーミングサービスはたくさんあるが、問題はその音質。

聴き放題とはいえ、今更ロッシー音源主体に戻せるわけがない。

 

○未知の音楽の道標

TIDALやqobuzのようなハイレゾストリーミングサービスが魅力的なのは、音質だけではなく、自分が興味のありそうな音楽を提供してくれる可能性があるという点だ。

TIDALやqobuzもROONと連携させることにより、ROON独自の高音質転送技術RAATが使えると同時に、ROONの膨大な音楽情報データベースを用いた極めて強力なライブラリ機能が利用できる。

タネが分かっている手品を見せられているようで新しい音楽にすっかり興味を失っていた自分にBABYMETALの曲を聞かせてくれたのはYou Tubeのおすすめ機能だったな。

考えてみれば、レコードやCDが買えるようになるまでの音楽ソースはFM放送だった。

FM雑誌を隅から隅まで読んで、雑誌で紹介されている音楽を直接聞くことができたらいいのにと思っていたのは、遠い昔。

いまやインターネットさえあればYou Tubeだけでもそれに近い環境が手に入る。

 

「何気ない興味を次なる音楽との出会いに結び付ける」

今の自分は知らないが自分が求めている音楽、それを教えてくれる環境をROON+qobuzは提供してくれるのだろうか。

すっかり中年になった自分を未知の音楽へ導く道標。

そんなものがあるのなら、数十年音楽とともにあった自分には文字どおり「福音」となるだろう。

この秋が待ち遠しい。