夜の翼

オーディオ、音楽、車、ケータイなど好きなことを気ままに綴るブログです。

CDレビュー「Laughter In The Rain The Best Of NEIL SEDAKA 1974-1980」

2011-02-26 02:03:47 | 音楽
ブログを始めるにあたりメインコンテンツにしようと思っていたCDレビューですが、
ようやく第一弾です。(もちろんこの間もCDは買ってますが)
しかも、なぜかニール・セダカになってしまった…

なぜこのCDを買ったかというと、だいぶ話はさかのぼります。
高校生になってステレオコンポを買ってもらい、
レコード、CDが聴けるようにはなったものの、ソフトを大量に買えるわけでもないので
FM放送というのは相変わらず重要な音楽ソースだったわけです。
それでよく聴いていたのが、NHK-FMで平日午後4時くらいからやっていた「軽音楽をあなたに」という番組です。
パーソナリティが日替わりで、洋楽を新旧取り混ぜてオンエアーしていました。
時は1980年台半ば。MTV全盛の時代です。
中学生のときから洋楽を聴くようにはなっていましたが、
どうもその頃流行の80年代の音楽は今ひとつ好きになれなくて、
70年代のものの方が好みだったので、それを中心に聴いていました。
とある日その番組で70年代のポップスの特集があり、
エアチェック(死語)したわけですが、その中で特に印象に残ったのが
カーペンターズの「ソリティア」でした。
カーペンターズ自体はすでに知っていましたし、
その日放送された曲の多くは有名な曲が中心だったので大体知っている曲でしたが、
初めて聴いたこの曲。聴き終わったあとの深い余韻は今でも忘れません。
今でもカーペンターズの数ある曲の中で一番好きかもしれません。

それでその日の放送の最後にパーソナリティが
「カーペンターズにも曲を提供し、素晴らしいメロディを作る人」として触れていたのが
そうニール・セダカだったのです。

実は、カーペンターズの曲がかかる前にニール・セダカの「Laughter In The Rain」と
「Breaking Up Is Hard To Do」がかかっていたのですが、
歌手名を聞き逃していたのです。
エアチェックはしていたので、この後にかかったカーペンターズの曲とともに愛聴していました。
とてもキレイなメロディなんだけれど、うきうきするようなポップ感がしっかりある。
まさか「Breaking Up Is Hard To Do」が日本でもよく知られた「悲しき慕情」の
セルフカバーだなんて気づくわけがない(アレンジが全く違う)。
さらに大好きが「ソリティア」の作曲がニール・セダカだというのを知ったのは
ほんとにだいぶ後のことでした。

それで今頃になってニール・セダカのCDを買おうと思ったのは、
やはりカーペンターズの40周年記念のベスト盤を買ったのがキッカケでした。
ニール・セダカは1950年代から活躍しているのですが、
50年代のオールディーズには興味がなかったので、
彼の70年代の曲を集めたベスト盤を今回購入したわけです。

で、そのCDのジャケット写真です。


なんといっていいものやら。
しかし、収録されている曲はいいですね。
これこそアメリカンポップの王道といった感じです。
からっと明るく乾いた感じ。
アレンジは70年代ということを考えてもちょっと古臭いところがあるかな。
しかし曲、メロディは素晴らしいものがあります。
メロディーメーカーとしてのニール・セダカの才能は疑う余地がないですね。
20曲が収められていますが、やはり前述の「Laughter In The Rain」と
「Breaking Up Is Hard To Do」は珠玉のメロディといって差し支えないでしょう。
エバーグリーン、永遠の緑、そういった言葉がピッタリと当てはまります。
20年以上前FMから流れてきた曲をカセットテープに録音して繰り返し聴いていた曲を
今CDからパソコンにリッピングしてUSB-DACを介して聴いている。
なんとも不思議な感覚になりますが、曲を聴いたときの感情はあの日のまま。
音楽の素晴らしいところです。
そしてカーペンターズのカバーで有名になった「Solitaire」のオリジナルを始めて聴きました。
やはりいい曲ですが、この曲についてはカーペンターズの方がよいと思います。
リチャードのアレンジセンス、そしてなんといってもカレンのボーカリストとしての才能を
改めて思い知らされる感じです。

そしてキャプテン&テニールの「Love Will Keep Us Together」もニール・セダカの曲だったのをこのCD初めて知りました。

ライナーノーツにはニール・セダカのコメントとこのCDが1994年に発売されたときにビルボード誌に掲載された解説が載っていましたが、
1950年代の終わりから1960年代の初めにかけて成功を収めたニール・セダカが
ビートルズを初めとする「ブリティッシュ・インベーション」によってすっかり忘れ去られた存在であったのですが、彼の1970年代の復活の立役者がイギリス人であるエルトン・ジョンであったというのは皮肉なものを感じます。
実際1970年代にアメリカで出されたニール・セダカのレコードのほとんどは、エルトン・ジョンが興したロケット・レコードから発売されています。

そしてもうひとつ思うことは、メロディの時代は1970年代で終わってしまったのかなということです。
天衣無縫に書いた曲が名曲として誉めそやされた時代は、もう終わってしまったというようなことを言っていたのは、来生たかおだったでしょうか。
よいメロディが出来たと思っても、それは数十年前に誰かがとっくに発表した曲であることがでてきて、そうならないようにするためには、あえてコードやテンポを変えたりする必要がある。
現在は、ほとんどパソコン上で曲を作るようなので、こういったことはとてもやりやすくなっているのかもしれませんが、むしろパソコンがないと職業としての作曲家というのは成り立たなくなっているのでしょう。
メロディ限界論といわれて久しいですが、ニール・セダカの曲が、無理にこねくり回した感じが微塵もなく、純粋に美しいメロディと屈託のない明るさを持っているので、
そんなことを思ってしまい、少々寂しい気分になってしまいました。

そういえばグラミー賞直前特集ということで、WowWowで洋楽のライブを特集していたのですが、その中にエルトン・ジョンとレオン・ラッセルのジョイントコンサートが放送されていました。
エルトン・ジョンのアメリカでのコンサートでレオン・ラッセルと競演するという形式でしたが、レオン・ラッセルを紹介するエルトン・ジョンのMCの中で、エルビス・コステロの番組で忘れ去られた作曲家を聞かれたエルトンがA・アックルズ、ローラ・ニーロとともに名前を挙げたのがレオン・ラッセルでした。
エルトンはレオン・ラッセルと「The Union」というアルバムを作っていたのですね。


レオン・ラッセルといえば、カーペンターズつながりで、これまた名曲の「Superstar」を作曲した人です。

ニール・セダカのときといい、「達人は達人を知る」ということなのでしょうか。


DSDディスク(その2)

2011-02-05 17:01:02 | オーディオ
準フリーソフトAutoGateを使ってWAVから変換して作成したDSDファイルは、
正直期待はずれというか、WaveFilePlayerを使って聴くWAVと大きく違わないです。
若干天井が高くなったような印象があり、DSDらしさは感じるのですが。
よくよく考えてみるとこれって
PCM44.1kHz16bit→DSD2.6MHz→PCM96kHz16bit(?)というかなり無駄なことをしています。
試しにAutoGateでWAVを再生してみると、WaveFilePlayerにはかなり差をつけられている感じです。
CDからリッピングして作ったWAVを変換したのがよくなかったのかなと思い立ち、
CDからリッピングして直接DSDファイルを作って見ることにしました。
サンプリング周波数は、先ほどの倍5.6MHzにしてみました。
そうすると、これはさすがに違いが出てきます。
試聴に使ったのは、Philip Koutev National Folk Ensembleの「Bulgarian PolyphonyⅠ」です。


かなり古い録音ですが、録音自体はかなり良いです。愛聴盤です。
一番の違いは、音の響き方。
音が残響音を残してすーっと消えていく感じが極めて自然です。
単純にプレーヤー側でアップサンプリングしたものだと、
このあたりが不自然になることが多いのですが、これは全くといっていいほど感じません。
あとは、ひとつひとつの音(この場合は声ですが)の分離感が高いです。
音のエッジが立った解像度感ではなく、ごく自然に音がほぐれた感じがして
やわらかい質感になります。
このへんは、SACDを聴いたときに感じる印象と共通ですね。
そしていままでCDで聴いたときに感じてきた若干の暗さみたいなものがなくなり、
明るく感じるのです。
これはこのCDをだいぶ聴いていますが、初めての印象です。

PCMのハイサンプリング音源を何度か聞いたことがありますが、
サンプリング周波数が上がると、音が「鮮明」「明瞭」になるという印象を強く受けます。
これがSACDの場合だと、音が「自然」になるという印象です。
どちらが聞き疲れしないかといえば、もちろんSACDのほうなのですが、
聴いた感じのインパクト、鮮烈さではPCMの方でしょうか。
今回のDSDの音は、そういった印象を再確認することとなりました。
音がとても自然になるのですが、聴きようによっては素直になりすぎて
インパクトに欠ける印象を持つ人も少なくないのではと思います。

このCD場合、ホールでの演奏をペアマイク一発録りしたものなので、
差が出ましたが、通常のポピュラー系の音源のように
スタジオでのマルチトラック録音を2チャンネル落とし込んだものでは
その際はかなり小さくなります。
しかのそのファイル容量は、2.6MHzの倍、アルバム1枚で5GBを優に超えます。

さて、AutoGateを使ってCDからDSDファイルを作れるようになったのはよいのですが、
PC保存されたこのファイルをPCMに変換しないで直接アナログ変換して聞く方法は今のところありません。
DSDフィルターを搭載した単体DACは売ってないですからね。たぶん。
現状では、このファイルをDVDに焼き、DSDディスクを作成して、
ソニーのSACDプレーヤー(あとPS3も)で聴くしかありません。
対応しているSACDプレーヤーは、SCD-XA5400ESとSCD-XE800だけ。

SCD-XA5400Eのほうは、TA-DA5400ESというソニーのAVアンプと
HDMIケーブルで接続すれば、スーパーオーディオCDのDSD信号を
ダイレクトに出力することができるってことは知っていましたが、
DSDディスクのことは全然知らなかったですね。

手持ちのCDがほぼDVD-R代だけで「ほぼ」SACD化できるというのは、
とても魅力的です。
実際SCD-XA5400ESで直接CDを聴くよりも、
同じCDをDSDディスク化してSCD-XE800で聴いた方が圧倒的に音がよいという報告もあり、大変興味を惹かれます。
(ちなみにSCD-XE800とSCD-XA5400ESの価格差は約4倍。通常ではまずありえない。)

CDが登場して約30年。CDが販売数でLPを追い越してから25年。
音楽配信がメジャーになりつつある現在でも、安定的にたくさんの曲を高音質で
聴こうと思ったら、その条件を満たすのはやはりパッケージCDしかありません。
この状況はしばらく続くことでしょう。
(パッケージ化されず、配信のみで提供される楽曲も増えつつありますが、
その多くが圧縮音源のみの提供で、失望させられることが多いです。)
ということになると、いまのうちにSCD-XA5400ESを入手しておくというのは
かなり有力な選択肢になりそうです(少なくとも自分の場合は)。
実際にCDとの音の違いを自分で検証してみてということが前提にはなりますが。

AutoGateがフリーで使えるうちに、CDをすべてDSDファイル化してHDDに保存して、
特によく聴くものをDSDディスク化して聴く。
HDDの大容量化と現在のDVD-Rの価格を考えれば、かなり安価に実現できそうです。

しかし、SCD-XE800とSCD-XA5400ESとの音質の差が価格差ほどなければ、
DSDディスクの使用をメインにして、SCD-XE800とDA-200と一緒に買うというのも
魅力的だなー、と考えたりもして。

しかし、SCD-XA5400ESと同じクラスのSACDプレーヤーでCDを再生した音より
同じCDをDSDディスク化したものをSCD-XE800で聴いた方が音がよいなんてあるんだろうか?