■DirettaとJPLAYは相性が悪い
使い始めたのはJPLAYの方が先だった。
PCオーディオ用のプレーヤーソフトとしてJPLAY(Classic)を使っていた。
JPLAYは永久バージョンアップ保証という触れ込みであったが、
ネットワークオーディオ対応版はJPLAY Femtoという別なアプリケーションソフトになってしまったので、別途購入することになった。
他のソフトも試してみたが、自分の環境ではJPLAYに勝るものはなく、扱いづらさを感じながらも使い続けていた。
その後、Direttaを導入。
導入したDiretta Targetは、専用機ではなくミニPCを使った汎用プラットフォームシステムだが、それでもその効果は絶大だった。
JPLAY+Direttaの音は非常に鮮度が高く、ダイレクトな音で、アップサンプリング系の人工的な音が苦手な自分には最適だった。
しかし、この組み合わせには重大な欠点がある。
このJPLAYとDiretta、動作目的が似ている(動作時のPC負荷低減・平準化ということか)ため、リソースの競合が発生する。
自分の環境では、Diretta側のPreset Profile項目で「Fix High」を選ぶと、一応音は出るものの、
PCが半分フリーズしたような状態になり、Windows上の操作が非常に緩慢になる。
回避策は、「Fix High」を「Fix Low」にすること、つまりデータの転送速度を下げるしかない。
この状態ではDiretta本来のパフォーマンスが発揮できていない。
そこで、JPLAY Femtoをあきらめて他のソフトに乗り換えることを考えたが、なかなかいいものがなく、
Diretta本来のパフォーマンスが発揮できていないという不本意な状況だが、やむを得ずJPLAY Femto使ってきた。
■TuneBrowser
この点はずっと気になっており、何とか解消したいと思っていた。
さて、Qobuzのサービスインを控え、その準備をしていたが、やはりこの相性問題がネックになる可能性があることが分かってきた。
まずは,ハイレゾストリーミングサービスを利用するのにDirettaを使うことが最優先(可能であれば)。
この際、JPLAY Femtoの代替を考えておく必要がある。
以前検討したのは、Audirvana。
これは、JPLAY Femtoと音の方向性は異なるものの、なかなかいい音がする。
しかしこのソフト、再生時のPC負荷が比較的高く、PC使用時の消費電力を上げたくない自分としてはちょっと使いにくい。
そうするとJRiverかと思っていたところ、TuneBrowserという国産ソフトを知った。
もう正式版がリリースされて10年以上たつようだが、聞いたことがなかった。
音楽管理ソフトの性格が強いが、プレーヤーとしても優秀らしい。
シェアウェアだが、試用版もある。
まずは、Direttaとの相性を確認する必要があるので、使ってみた。
インストールは簡単そのもの。
音楽管理ソフトらしく、管理対象のフォルダのファイルの読み込みにしばらく時間がかかったが、一旦読み込んでしまえば、非常に快適に使える。
設定は簡単で、出力先となる「デバイス」から「ASIO:OLIOSPEC Diretta」を選べばいい。
Bit Perfectのレベルも切り替えられる。
Bit Perfectのレベルを上げると、音の鮮度が上がる傾向だ。
さて、Direttaとの組み合わせで出てきた音は、JPLAYほどのダイレクト感はないが、かなりいい感じだ。
Audirvanaに感じた美音系の印象はなく、素直な音の傾向だ。
Direttaの設定がJPLAYの時のままだったので、Preset Profileの項目でを「Fix Low」から「Fix High」に切り替える。
ついにDirettaの本領発揮。
音の空気感が如実に伝わってくる。
いろいろなソースを聴いてみたが、Hiromiの「Alive」を聴いたときに違いを大きく感じた。
ダイレクトさを失わずに、空気感が増して、楽器の音が生々しい。
にもかかわらずボーカルのサ行がきつくなるとかの副作用もなく、聴き心地のよさは保たれている。
これならJPLAYとの組み合わせと比較しても遜色がない。
音の響き、ニュアンスの繊細さなど、JPLAYとの組み合わせを上回っているところもある。
しかも、OpenHome対応でネットワークプレイヤーにもなるらしい。
しかし、これがうまくいかない。
TuneBrowserでOpenHome機能をONにして、コントロールアプリにfidata Music Appを使ったが、サーバーもレンダラーも表示されない。
DNLA対応のJPLAY Femtoサーバー・レンダラーと併用しているのが悪いのか、原因がよくわからない。
TuneBrowserの設定で「外部のUPnP Rendererでの再生を有効にする」を「Yes」にすると、
TuneBrowserのサーバー・レンダラーとも表示されるようになったが、サーバとレンダラーをTuneBrowserにすると、アプリ自体が落ちてしまう。
何度やっても結果は同じなので、ネットワーク経由での操作はあきらめようと思った。
しかし、いつも使っているAndroidスマホではなく、iPadにもfidata Music Appをインストールしてあるの思い出し、そちらで試してみた。
こちらのiPadOS版では難なくサーバー、レンダラーとも「TuneBrowser Server」、「TuneBrowser Player」として認識されたされた。
レンダラーとして認識された「TuneBrowser Player」には、しっかりと「OpenHome」と表示されている。
もちろんfidata Music Appからの操作で再生もできたが、PC上でTuneBrowserを起動しておかないと、
fidata Music Appにサーバーもレンダラーも表示されないことに気づいた。
JPLAY Femtoの方は、PCを起動しておくだけで(そもそもこちらはPC上に再生ソフトを持っていないが)fidata Music Appから使うことができる。
原因はよくわからないが、一応TuneBrowserがネットワーク対応であることは確認できた。
これでようやく音質、機能とも愛用したJPLAYの代替になるものを見つけることができた。
不安があるとすれば、TuneBrowserが個人が開発しているソフトで、いつ開発が止まるか分からないというところだ。
当面PCオーディオとしては、この体制で行けそうだ。