岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「詩人の聲」:2014年4月(2)

2014年04月29日 23時59分59秒 | 短歌の周辺
天童大人プロデュース 「詩人の聲」 2014年4月(2)


5、柴田友理(4月19日 於 カシュカシュダール)


 柴田の聲を聴くのは何度目だろう、毎回進展がある。今回はどういう進展があるのかと期待して行った。短編8篇、長編(16部構成)、短編7編という構成だった。声が明確になり、磨きがかかってきた。言葉の無駄もなくなり、長さも程よくなってきた。長編は、単独の短編詩を16篇再構成したもの。
 
 全部で短編詩が31篇と考えていいだろう。筑豊弁を消化して、ある種の懐かしさが出て来た。かみしめるように一篇一篇を読み、リズムが心地よい。

 と思いきや、後半の短編7篇にさしかかって、違和感が感じられた。「聲」は出ている。なぜだか理由が分からなかったが、懇親会でハッキリした。旧作を読んだのだ。

 聲に載せられるということと、作品の完成度は、必ずしも一致しないのだろう。今後はその辺りを自分で吟味していくのが、柴田の課題だろう。


6、神泉薫(4月27日 於 Hispanica 溜池山王)

 第40回公演。神泉の聲は、安心して聞いていられる。聲、リズム、作風が安定し、ブレが全くない。春夏を感じさせるアンソロジーが、今回のテーマだった。そのテーマが鮮明に伝わってくる作品群だった。

 ピュアな抒情、やわらかい語調、聲は決して大きくないが、言葉のシャワーが心地よく響く。春から夏への、生命力が感じられる作品群だった。

 神泉は、中村恵美の名で、第8回中原中也賞を受賞している。第一詩集『火よ!』である。いずれ書評に書こうと考えているが、第一詩集では、言葉を「鞭」のように鋭く使っている。切れ味が鋭い。だが、当日読まれた作品と、最新詩集は、毛筆の連綿文字のように、しなやかに言葉を使っている。

 聲を撃つなかで作風が変わって来たのだろう。初めて神泉の「聲」を聴いたとき、「新しい詩境に達してきた」と彼女は言ったが、このあたりの事を言っているのだろう。

 神泉はつい最近、福音館「こどものとも」シリーズで『ふわふわ ふー』という絵本を出したが、第一詩集の語感では、絵本にならない。今の作風は、子どもにやさしく語りかけるようなものだ。

 懇親会は、開場近くのコンビニの店頭で行った。40回の公演の記念である。


 このプロジェクトの日程は、

 URL :http://projetlavoixdespoete.jimdo.com/ をご覧ください。



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