オクトシティー正直村

おかしいな?変だな?と思った事を綴った駄文

仮想通貨の不思議

2018年03月09日 | Weblog
仮想通貨が世間で騒がれている。

 基本的には仮想通貨といえども「通貨」なのだろう。ただ、先鋭で先進なためにまだ未熟で不完全な通貨であるために問題を起こしているのが実態だと思う。「仮想通貨」と言うとあまりに先進的過ぎて理解ができないという人が多い。しかし、あくまで「通貨」であるという観点から理解すれば解りやすのではないかと思っている。最新のデジタル技術とネットワーク技術を駆使した難解な仕組みはいろいろとあるのだろうが、それらの技術はあくまで理想的な通貨を実現するための道具にしか過ぎない。やっていることは我々人類が昔からなじみのある「通貨」と何ら変わらないと思う。
 
仮想通貨は何が違うのか?

 まず、物理的な物としての「通貨」が存在しないことである。コンピュータネットワーク上のディジタル通貨としてソフトウェアのプログラムで実現した仮想の通貨なのである。通常、通貨には兌換紙幣と不換紙幣がある。兌換紙幣は正貨(金貨、銀貨のことで、名目価値は素材価値と完全に一致する)と引き換えるとができる。不換紙幣は正貨と交換できない。また通貨には政府紙幣と銀行紙幣がある。通常通貨は兌換紙幣、不換紙幣(手形、銀行券、小切手預金通貨など)を含めすべての信用貨幣のことを言う。信用貨幣と言う如く、流通通貨は国家レベルの国力と権威と信用の裏付けがないと実現しないものである。

この常識を打ち破ったのが「仮想通貨」である。

 国家(土地、人民、政府)を必要とせず全世界レベルで通用する通貨の実現が可能なのである。しかし、その根本的な仕組みはこれまでの「通貨」をソフトウェアプログラムでシミュレートしたものに過ぎない。ただし、完全な不換紙幣で、紙幣そのものも存在しない。だから仮想通貨なのである。昔の兌換紙幣の時代の金貨、銀貨などをプログラム上に作り上げて、これを基に仮想通貨を流通させているのである。大本の金貨、銀貨を作り出すためには多大の労力を必要とする。昔で言えば金鉱脈や銀鉱脈を見つけ出して採掘して、掘り出した金や銀で金貨や銀貨を製造する。これが本来の金本位制の通貨である。

仮想通貨も金や銀に相当するそれこそ仮想の通貨がある。

 その金や銀を手に入れるには多大の労力(コンピュータ資源)を必要とする。そしてこれを達成(採掘)したものが仮想通貨として登録される。採掘した者には金や銀を売るのと同じように労力に応じた仮想通貨が与えられる。しくみ的には採掘(マイニング)した分だけ仮想通貨が登録され、マイニングした人には相当の仮想通貨が与えられる。仕組みそのものは仮想ではあるが昔の金本位制そのものを実現したもののような気がする。かえって現在の不換紙幣(今ではほとんどが不換紙幣)よりも信用できるかもしれない。たとえば、日本の通貨である円は、日本国の信用が失墜したらただの紙屑同然になる可能性がある。

先鋭、先進である仮想通貨ではあるが、

 まだ実験的な要素があり、不完全でもあり全面的な信用を得るには至っていない。そのために、あちこちで問題を起こしているが、仮想通貨の考え方そのものが悪いわけではなく、その全体システムの仕組みに問題があるのである。まだ本格稼働していないと言うこともできる。その証拠のひとつとして本来であれば「通貨」であるはずの仮想通貨が投機の対象になっていることである。たとえば、日本円が投機の対象となり急激にしかも大幅に乱高下するような事態になれば通貨の役目が果たせないだろう。なぜか、世界にダブついている投機資産が仮想通貨に流入して本来の価値が損なわれている。

金融庁が調査にかかっているが、

 何か本来の通貨としての意味を取り違えている気がする。と言うか、特殊なものとしての「仮想通貨」にしてしまっているため、我々一般市民に非常に判りにくい説明になっている。例えば、580億円相当の仮想通貨(NEM)が流出したということは、はっきり言うと大掛かりな銀行強盗があったことに等しいと思う。その犯人と強奪された通貨の行方を徹底的に捜査し見つけることが重要だと思う。ただ、これがディジタル空間の仮想の中にあるだけなのである。その痕跡と証拠はディジタル空間の中に残されている。NEMに関する取引を凍結すれば犯人は盗んだ仮想通貨を取り出すことはできない。

仮想通貨はその取引を完全に記録している。

 だから、銀行強盗があってもその通貨の行方を追跡できるし、強奪された通貨には印がついており、正常な通貨と識別ができる。だから、その強奪された通貨が利用されたり他の通貨に交換されない限り流通できない。かえって現用の通貨よりも機能的には優れていると言える。日本で1968年府中市で起こった3億円強奪事件はいまだに解決していないし、その現金の動きを追跡することは不可能に近い。現在も同じであろう。ただし、NEMは全世界に流通しており、管理できない闇のネットもあり完全に閉じ込めることは不可能なようである。これも今後の改善すべき課題であろう。

金融庁の調査結果を見てみると、

 「経営企画部長が顧客の仮想通貨を私的に流用」とかがある。これは銀行で言うと、担当者が個人の口座を書き換えてお金を引き出していたことに等しい。これは、仮想通貨の仕組みが悪いのではなく、これを運用する人が悪いのであり、窃盗でもある。「資金洗浄の疑いがある取引があったのに再発防止策を検証しなかった」とあるが、果たして、日本円による資金洗浄に対して日本国はどの程度の再発防止策を行っているのだろう。仮想通貨は少なくとも取引の記録はすべて残っているので資金洗浄の痕跡も検証できる。それをしなかったのはやはり仮想通貨を運用する担当者の不備であるが、金融庁が指摘できるのかは疑問でもある。

いずれにしても、

 仮想通貨は発展途上にあると言えるし、そのシステムそのものもこれを運用する側にもこれを利用する側にもこれを監督指導し規制する側にも改善すべき点はたくさんある。もっと大切なことは、現在我々が使用している「通貨」そのものの問題点をたくさん提示している。未来の「通貨」は画期的に変わるのだろう。今のように商品流通の媒介物としてまた決済の手段として用いられ、価値尺度を計るものとして用いられている通貨が、将来的には信用そのものを測る手段として国境を越えた万人に共通の公平・公正・平等な通貨を目指して発展してゆくのであろう。

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