オクトシティー正直村

おかしいな?変だな?と思った事を綴った駄文

キリスト降誕

2019年05月05日 | Weblog
私はノルディックウォークが好きである。

 ノルディックスキーのストックを使って近傍の田んぼ道を10Kmくらい歩いている。四季折々の景色が楽しめるし、動物や植物の出会いも楽しみである。里山あり、畑あり、貯水池あり、農業用水ありなどなどで、結構楽しめるし、日々新しい発見がある。通りがかりの人達とも挨拶を交わして時には世間話にも花が咲く。今日も午前中に行ってきて、ハンカチの花が咲いているのを見つけて鑑賞してきたばかりである。

この前、道端の側溝でモグラを見つけた。

 春先であちこちにモグラ塚ができているが、山際から出てきたモグラが誤って側溝に落ちたようだ。側溝から「シャワシャワシャワシャワ」と音がしているので、何かと覗いてみると、モグラが水面を一生懸命泳いでいる。這い上がろうとしているのだろうが、コンクリの壁で登れない。高速に前足で水を掻きながら泳いでいる。モグラって泳げたっけ?なんて思いながら見ていたが、モグラにとっては一大事であるようだ。

山際の土手からひょっこり顔を出した拍子に水路に落ちたようである。

 考えてみると、側溝はモグラの世界を分断している。モグラにとっては迷惑な話である。仕方ないので、ノルディックのストックを差し出して助けようとしたが、なかなかうまくいかない。最後はコンクリート壁に沿って斜めに差し出してその上をよじ登って土手側に到達した。土を見つけるや否やその中に穴を掘ってもぐりこんでどこかへ消えた。いや、その前に私の方をチラッと見て「ありがとう」という仕草をしたように見えた。

私は一つの命を救ったのである。

 途絶えてしまうはずだった命をつないだのである。彼はこの後どれだけの子孫を残しその子孫はどれほど繁栄するのだろうと思った。たぶん、水の中でも生き残って、幸運にも私に助けられる強運の持ち主だから、しぶとく生き残るのであろう。未来のかなたで人類が滅亡してもしかしてモグラが天下を取ったら彼の子孫が繁栄するかもしれない。その時は私が救世主であり、人間でいうところのキリストさんである。

そんな馬鹿なことを考えながらまんざらでもない快感に酔っている。

 自分の起こした些細なことが未来永劫の彼方でどのような影響を及ぼしているのか知る由もないが、確かに影響を及ぼしているのである。足元の一匹の蟻を踏み潰したことで別の世界が始まっているかもしれない。いちいちそんなことを考えていたのでは生きていけないが、時にはそんなことも考えてみる必要があるのではないか。自分がちっぽけな取るに足らない存在に見えた時、その自分を無限大の未来へ無限大の空間へ発散させた時、その影響は測り知れないものとなる。

自分の存在感を確かなものにすべきである。

 刹那に生きるから、無限小へ発散させるから自分の存在がおろそかになるし不安になる。未来は大きく広がっているし、世界は宇宙は限りなく広いのである。そしてどこへでも行こうと思えば行けるし、やろうと思えば何でもやれるのである。ただし、無限大の先にどのような影響があるのかを考えながら今を生きる事になる。少なくとも私がモグラを救ってやったのはとてもいいことであったようだ。

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