キングコング対ゴジラ完全版を見た日

　85年の昨日はビデオで初めてキングコング対ゴジラの完全
版を見た日である。
　62年に東宝創立30周年記念映画として製作されたキングコ
ング対ゴジラだったが、私が子供の頃から見ていたのは70年
に東宝チャンピオン祭版として製作された短縮版だ。
　‘アタックNo１’と‘巨人の星’のアニメと3本立てで上映
されていたので短縮せざるをえなかったようだが、TV放送版は
仕方ないとして83年にゴジラオールナイトで上映された作品ま
で短縮版だったのだ。　
　聞くところによると62年の完全版のフィルムが紛失し、音源
しかないなどという残念な話が流れていた。
　実際84年当時ビデオ化された54ゴジラや怪獣大戦争は短縮版
が出回っていたのだ。
　ところが84年の1月にレンタルビデオ屋に行くと‘幻の完全
版ついにビデオ化’と書かれたキングコング対ゴジラのビデオ
のポスターが貼られていた。
　そして4月29日に小倉の寮に住んでいた友人宅でレンタルして
見たのだ。
　驚いた事にOPでキングコングとゴジラの戦いが入っておらず
クレジットのみ、しかもOPにかかる‘巨大なる魔神’の歌が途
中で切れているのである。
　そしていきなり‘世界脅威シリーズ’のタイトルが出てくる
はずが前フリがあってから、ゴジラが北極海の氷山から復活す
るとこれまでは一旦違う場面だったのが、いきなり北方領土の
ソ連軍基地を襲撃するなど短縮版しか見てなかった私にとって
違和感がある事だらけだった。
　面白いのがカットされていた部分の画質が悪かった事、確かに
気にはなるが‘ここの部分がカットされていたのか’と分るので
それなりに納得できた。
　ただ感じるのが東宝のような大会社がどうしてオリジナルフ
ィルムを紛失したかである。短縮版が出回るのは仕方ないにし
ても東宝特撮映画史上最も観客動員した作品のオリジナルフィル
ムの管理もしっかりできてなかったとは・・・と失望した事を
覚えている。