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エース依存症に未来はない

 今から30年前の今頃の時期にジャイアンツとカープの試合で、
槙原寛巳と大野豊や川口和久が凄まじい投げ合いをし0-0で進み
8回か9回に1イニングだけ得点が入って決まるという展開が度々
見られた。

 実際に当時の槙原と大野や川口の投球内容は素晴らしく当時の四
コママンガで、やくみつるがどちらかが先制すると審判がゲームセ
ットを宣言し取られたチームの監督の抗議に対し‘だってもう点は
入らないでしょう’と言うオチに妙に納得したものだった。

 また当時の報知新聞の記者コラムでは‘レジー・スミスは野球の
醍醐味は8-7だと言っていたが、こういう緊迫の投げ合いの面白
さが分からないのかと反論したくなる’という記事もあった。

 一方ロンドンで先日ボストン-NYヤンキース戦が初めて行われ
G1が17-13で互いに1イニング6点のビッグイニングが2イニング
づつあったし、G2も12-8でボストンが4点づつ取ったのに 対し
NYヤンキースは一挙9点を挙げるなど2試合とも凄まじい乱打戦と
なったのだ。

 ロンドン五輪のメインスタジアムを使って行われた2試合は大観
衆が集まって大いに盛り上がったようで、MLB関係者も‘ロンドン
シリーズは野球の魅力が詰まった素晴らしい内容で大成功だった’
とコメントしたらしい。

 これが先ほどの報知新聞の記者や昔ながらのプロ野球OB達なら
‘締まりのない大味な恥ずかしい試合’と酷評していたと思うので、
両国の野球に対する考え方の違いが如実に現れている。

 高校野球を筆頭にトーナメント戦を中心に行ってきた日本野球は
先発投手ありきで、先発投手に気分よく投げてもらうという考えが
主流だったため極論すれば‘投手を含めた守りが全て’的な価値観で
見られていた。

 だから大量点が入るというのは打撃が凄いのではなく投手がだら
しないという見方が主流で‘ルーズベルト大統領が野球の最も面白い
スコアは8-7’という意見は無視されていたようだ。

 ただし鈴木啓示ではないが‘投手は生身なのに打者はマシーンなど
で、その気になればいつでも練習ができるから投手は大変’というよ
うに最新のテクノロジーは投手よりも打者の方がレベルアップしや
すくなっているのが現状だ。  

 だからレベルが上がると打撃力が投手力を凌駕する事になるので
以前なら先発投手が完投するのは当たり前だったのが、今では分業
制に舵を切らないと失点が増えていくのは必然だろう。

 MLBが凄いのはそういった流れに気付き分業制や球数制限という
対策を立てている事で、第2次大戦で大鑑巨砲主義から航空機を中
心にした戦い方に切り替えたのを髣髴させる。

 一方未だに‘先発するからには完投するのがエース’と村田兆治の
ような旧世代のOB達が言うならまだしも、平成世代のOB達が言う
のは理解に苦しむしエース依存症の根が深いと実感する。

 エース依存システムは大鑑巨砲主義と同じで長期的には分業制に
勝ち目はないしケガ人を続出させる原因にもなるだけでなく周囲の
レベルも下げるのだから結果的に損失の方が多いわけで、最近では
日本でも採用されなくなっているのも当然だし首脳陣も賢くなって
いるという事ではないか。

 それを嘆いたり批判する者は、時代の流れが分かってないという
証明だろう。

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