レスリング除外危機の背景 ロンドン五輪で人気低く/ロビー活動も行わず(産経新聞) - goo ニュース
レスリングが五輪種目から除外される可能性が出た問題で国内では一気に
‘メダルが減る’的な騒ぎになったのだが、個人的にはレスリングは陸上・水泳・
体操と並んで五輪種目から外してはならない種目だと考えている。
前回も記したようにレスリングという競技は世界各国の伝統格闘技の要素を
活かしやすいという側面を持ち、実際に日本も相撲や柔道のテクニックを活か
して活躍していたのを見ても分かるだろう。
そして何よりも外せないのがプロとして成立してない点である。
第1回アテネ大会からの正式種目であるレスリングの場合はフィギュアスケート
と同様ショーレスリングであるプロレスというジャンルはあるものの、競技レス
リングとしてのプロがないのが実情でアマレスとプロレスとは似て非なるものと
いうのが一目見ても分かるだろう。
これはシャツやヘッドギア着用で3分3R制のアマチュアボクシングとトランクス
のみ着用で世界戦は3分12Rのプロボクシングと同じだし、共に試合ぶりはプロ
と比べて地味だから興行としては厳しいものがある。
反対にプロと ほぼ同じルールで行われるボールゲームは競技団体主催のW杯
や世界選手権での優勝が五輪の金メダル以上に価値がある種目もあり、特に
サッカーなどヨーロッパの国々からすれば五輪など歯牙にかけられてないものの
観客動員が多く期待できるという理由で正式種目から外れてないのが実情だ。
つまりプロと ほぼ同じルールで行われる競技はプロ化が進んだ今、もはや競技
団体主催のW杯や世界選手権でも十分やっていけるので五輪種目から外れても
ダメージはないのに対しレスリングやボクシングのようにプロと全くルールが違う
競技の場合 五輪種目から外れると大変な事になるだろう。
これが かつての柔道のように宗主国である国が金メダルを独占するなら文句
も出るだろうが、レスリングの場合は他の競技では今ひとつ聞かないグルジア、
エストニア、アゼルバイジャンらの旧ソ連勢やアルメニアやインドなどの国も
メダルを取れている稀有な種目でもある。
更に試合方式などの変更も時代に合わせて頻繁に行われているし運営方式も
92バルセロナまでの数日間かけて行い‘2敗したら失格’というシステムから
96アトランタではオールトーナメントになり、00シドニーからは1階級ごとの
参加枠が20ヶ国に減らされて柔道同様ワンデートーナメントになるなど肥大化
への対策をしっかりやっている実績の方を見るべきではないかと思うのだ。