WBCが行なわれる度にアメリカでの試合で日本のホームランが
減っている現状を痛感させられるのだが、中田翔だけでなくホーク
スの柳田悠岐のブレイクにより日本人の大砲を育成しなければとい
う機運が窺えるようになりジャイアンツもドラフト1位で即戦力投
手ではなく高校生の強打者・岡本和真を獲得した。
和製大砲を育成するには時間と首脳陣のガマンが必要になる反面、
一旦育てばチームの強さは安定するだけにガマンする価値はあると
思う。
参考になるのは長嶋茂雄が松井秀喜を4番に育て上げたプロセスで
松井はチームの優勝が厳しくなった1年目の8月下旬から一軍に定着
し7番を打つと、2年目にFAで落合博満を獲得して4番に据え松井
をその前の3番として起用しクリーンアップの経験を積ませたのだ。
日本では3番は内川聖一のような‘長打力は無いが安打製造機の
ような巧打者タイプ'をセオリーにしているが、MLBではチームで
1番ホームランの多い打者という位置付けになっている。
ホームラン打者は当たれば大きいものの安定感に欠ける傾向があ
るのだが足の速い1・2番が塁にいれば盗塁されないために投手は速
球系が増えるし、4番以降が勝負強いタイプならばランナーを溜める
のを嫌がってボール球で勝負しづらい。
つまり3番はランナーを置いても速球がストライクゾーンに来る
確率が高くなるし、自分が打てなくても後ろの打者が打てばいい事
から責任感を感じずに済む打順だ。
実は現役時代868本のホームランを放った王貞治は多くを3番で
打っているし、ラルフ・ブライアントや秋山幸二なども3番を打って
いるのだからホームラン打者を3番に置くのは日本でも決して珍しい
事ではない。
こうしてみると3番というのは将来の大砲を育てるのに最適な打順
だしホークスも柳田を将来の4番にしたいのなら3番・柳田、4番・李
大浩、5番・内川というクリーンアップも面白いのではないかと思うの
だ。