宇良、技と執念 アクロバットな個性全開で2勝目
大相撲夏場所4日目の今日、十両の取り組みで新十両の宇良が天
空海相手に下手投げで勝った一番は面白いものだった。
天空海の懐に入った宇良が投げの打ち合いになった時に自らが頭
から倒れる形の下手投げで勝ったのだが、通常通りに投げを打ち合
えば同体か下手の宇良の方が押し潰される形で負けになるのだから
凄い発想の投げが決まったわけだ。
今場所から十両に昇進した宇良は小兵という事で話題になり居反
りを使うなど工夫した取り口が注目されていた中で、自ら先に転が
る投げというのは同じ小兵で技のデパートといわれた舞の海ですら
使った事がないものだ。
この下手投げの発想は柔道マンガの柔道一直線で主役・一条直也
の必殺技・地獄車の原理ではないかと思う。
地獄車は突進してくる敵の手足に自らの手足を絡みつかせ動きを
封じると後方に回転する事により、相手の懐に潜り込んでいるから
ダメージは全て敵が負い自らは無傷という理論だった。
ただし実際には押し潰されるだけという形ではあるものの体が小
さい者が懐に入り自分を軸に回転すると相手の方が先に手を付く。
ボクシングで背の低い選手が長身の選手相手に懐に入ってフック
を打ち合えば、回転半径の小さな背の低い選手の方が先に当るという
のも地獄車的な理論なのだろう。
ただボクシングのフックの打ち合いは横回転だが宇良が今回実践
した懐に入って自ら頭から倒れるというのは縦回転で、これは‘投
げの打ち合いの場合は顔から落ちるべし'という相撲界の常識はある
ものの それ以上の事をやった事になり他の力士だと理屈は分かっ
ていても実演するには かなりの勇気を要するものだから宇良の凄
さが分かるし人気が出るはずだ。