プロ化に対処できない日本柔道界の首脳陣

 4月29日に開催された天皇杯柔道で世界ランキングで22位までに入っている
男子
100㌔超級の上川大樹・高橋和彦・鈴木桂司の3人は上川と高橋がベスト
8で敗退。


 唯一ベスト4に残った鈴木も敗れただけでなく右肩鎖関節脱臼の重傷を負って
5月
12・13日に行われた全日本選抜体重別選手権の出場は辛うじて果たした
ものの当然
ながら初戦敗退しロンドン五輪の代表から落選した。

 結局 上川が消去法ともいえる形で選出されたのだが、この2大会で覇気のない
戦い
ぶりを見た限りでは本番のロンドンではメダルどころか1勝すらおぼつかない
状況に追い込まれる
結果になっている。

 ご存知のように北京五輪終了後に柔道界はプロ化に着手。

 各大会ごとにポイント制を設定して男子は世界ランキング22位以内の選手で
なければ各国の代表になれないというシステムに変わったのだが、どうやら日本
の柔道界はプロ化に対応できてないとしか言いようがない。


 特に北京五輪終了後に代表監督に就任した篠原信一監督は試合後のコメントを
聞くと精神論しか聞こえてこないのが気になっていたが、具体的な代表強化計画
というのが見えて来ないのだ。


 日本の柔道は‘ヤワラの道’という位置付けで発展させていた いわゆる修行
スポーツの面が強かった。


 だから試合に勝つ事と同時に猛稽古を積んで鍛えるという2つの価値観を
持っていたのだが、事実上プロ化が進んだ欧米では試合に勝つ事が第一で試合
の積み重ねで強くしていこうという発想の違いがある。


 プロ化すると好むと好まざるに拘らず試合数が爆発的に増えるわけで、これ
まで通りの練習量をこなしながら試合に出場すれば猛練習の疲れからコンディ
ション不良で体力に勝る外国人相手に勝てるわけがない。


 しかも一昨年9月に東京で行われた世界選手権の無差別級で世界王者の
テディ・リネールに奇跡的に勝って優勝した上川大樹や、初めて世界王者に
なった穴井隆将が世界ランキングとは関係ないアジア大会に出場したのには驚く
より呆れてしまった。


 例えばフランスあたりだとリネールは12月に行われるグランドスラム東京大会
には出場してない。


 これは世界ランキング1位さえ確保しておけばいいわけで、どんな試合にも出場
する必要はないという事だろうしリネールの試合過多から来る負担の軽減と他の
選手達にもチャンスを与えて層を厚くしようという発想だろう。


 ところが世界ランキングポイントとは関係ない大会にまで上川や穴井らを出場
させるだけでなく代表合宿での猛稽古を積めば、その疲労からケガも増えてベスト
コンディションで戦えずに控え選手との差までが顕著になってしまう。


 それが顕著になったのが先日の全日本選手権で準優勝だった石井竜太は世界
ランキングに入ってないため5月の体重別選手権で優勝しても出場資格がなかった。


 世界ランキングに入っている3人と石井の試合ぶりを比べれば勢いなどが石井の
方にあるにも拘らず代表にすらなられないというのも もったいない話で、一時‘少数
精鋭で行く’と言っていた篠原監督の方針が裏目に出た形だ。


 たしかに現場で戦う選手達の不甲斐なさは目に余るがプロ化に対応できてない
首脳陣こそ最大の元凶だし、ロンドン五輪前の結果に拘らず更迭されるべきだろう。



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