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治してみせよう
SLE
※SLEとはステキなレディーがなるエレガントな病気である。

夏目漱石「こころ」

2006-02-27 23:15:14 | ☆本☆
【あらすじ】
「先生と私」
 私は偶然出会った先生に何か惹かれるものを感じ懇意となった。たびたび先生の宅に遊びにいくようになり、奥さんとも親しくなった。しかし先生には秘密がある。毎月誰かの墓参りに行くのだが、詳細を尋ねても先生は何も答えない。奥さんも何も知らないという。また、先生は自分を含め人間というものを信じない人だった。それは過去に何かあってのことだ。それと先生の毎月行う墓参りに関係があるのかどうか私は思いあぐねていた。
「両親と私」
 私の父は慢性の腎臓病を患っていた。それが悪化し、私は実家へ帰ることとなった。実家では大学卒業しても就職しない私に母が先生に就職先を斡旋してもらえないか手紙を書くことを提案する。父の生きている間に就職を決めてほしかったのだ。私は仕方なしに先生に手紙を書くも、なかなか返事はこなかった。父の病状は明治天皇崩御をきっかけにさらに悪くなっていき、昏睡状態にまでなった。そんな中、先生から「会いたいから東京にこれないか」という電報がくる。父の状態を考えると東京にいくことのできない私は断りの電報と手紙を先生の元へ送る。すると、非常に長い手紙が届く。私はその手紙の最後の「この手紙があなたの手に落ちるころには、私はもうこの世にはいないでしょう」という言葉に思わず家を飛び出し、東京行きの列車に飛び乗った。
「先生と遺書」
 先生から私宛ての手紙。先生の過去が打ち明けられている。
 先生は両親を若いときに亡くし、伯父に育てられた。しかし実は伯父は先生をだましていたことを知り、人間不信となる。
 また、先生は下宿させてもらっているところの奥さんとお嬢さんと懇意になり、お嬢さんに淡い恋心を抱いていた。
 ある日、子ども時代からの友人Kを自分の下宿に住まわすことにした。Kははじめは無愛想だったが、だんだん奥さんやお嬢さんとも親しくなっていった。先生はそんなKに嫉妬心を抱くようになった。そんな時、Kからのお嬢さんへの恋の相談を受ける。先生はいたく動揺し、自分の気持ちをKに打ち明けようか迷うが結局できなかった。先生が最終的にとった手段は自分が先に結婚の申し込みをすることだった。そして、奥さんに「お嬢さんをぼくにください」と言い、承諾を受ける。Kは奥さんからそのことを聞き、通常の態度でそれを受け止め、自殺した。先生に対する責めなどは一切なく死んでいった。
 先生は自分がKを殺したという罪悪感にさいなまれながら今まで生きてきた。お嬢さんは自分の妻となったが、彼女にもこのことは打ち明けられない。そしてとうとう自殺する決心をしたのだった。

【情報】
『こころ』は、夏目漱石の代表的な小説。1914年(大正3年)4月20日から8月11日まで朝日新聞で『心 先生の遺書』として連載され、後に『こゝろ』に改題された。連載終了後、岩波書店より刊行された。

登場人物「私」と「先生」を軸に話は進み、人間の自我について探求する。

2005年現在、新潮文庫(新潮社)収録の夏目漱石作品で最大のベストセラーである。岩波文庫(岩波書店)収録の夏目漱石作品では第2位の売上。

【所感】
 人間のエゴイズムを描いた作品。この物語は三人の自殺する人間が登場するが、自殺の原因を明確には記述せず、読者に解釈の余裕を与えている。また人間の心理描写の見事な作品であるところも読者にいろいろ想像させ作品の中に引き込んでいく要因のひとつだ。人間の自我についてありのままを描いているので、読者の年齢層としては他作品に比べ、少し限定される。内容については賛否両論なのは否めない。登場人物それぞれの自我が描写されているため、どの人物に焦点をあててこの作品をとらえるかでもかなり違った見方のできる作品である。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
名作ですね。 (mucchi)
2006-02-28 10:34:19
もう一度読み返したいわ。この時代の作家て、暗い内容の作品を多く残してるね。自身も自死を選んだ人もいるし。今の若い人たちも、早いうちにこういう作品を読んで、生の意味を深く考える機会をもてば、死に急がないのではないかな。
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夏目漱石って (ucho)
2006-03-02 18:40:46
勝手なイメージでそんなに暗くない人だと思ってたんですが、自殺や裏切りが作品によくでてきますね。

なんだか漱石自身も精神的に結構病んでいたみたいですね。

作家とか哲学者は自殺する人が多いですよねー★

自分の存在を深く追求しすぎてわけがわかんなくなっちゃうんでしょうか……。

頭よすぎも問題ですね。

あーアホでよかったと思う今日このごろ
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