東大和市ハミングホール。去年に続いてここが初レコーディングの会場となった。しかもアーティストも栗友会の女声のメンバーで同じ。まだ二年なのに恒例化しているような気がしてくる。指揮者の横山琢哉さんは昨年秋にイタリアはボローニャで行われた国際合唱指揮者コンクールで二位に輝いた。夏以来お会いしていなかったので、新年のご挨拶と一緒に受賞のお祝いを述べる。ピアノは浅井道子さん(フツーはみっちゃんと呼ばせていただいている)。この人には何というか「場」の空気を作るチカラみたいなものがあって、いつも録音のたびに大きなチカラを感じる。もちろん昨日も。フツーは何回かテイクを重ねると新鮮さがなくなるものであるが、そういう意味における「音の劣化」がない。むしろその心地よい緊張感が増し、本当にジーンと痺れてくる。今日もまた十数時間後にはその感覚を味わうことができる、本当に幸せなことだ。行き帰りの電車の中で沢木耕太郎さんの「敗れざる者たち」(文春文庫)を読む。かつて野球をやっていた時、一度この眼で見たいと思いながら、叶わなかった大打者 榎本喜八の苦悩を書いた「さらば宝石」にグイグイと引き込まれる。今は悲運のマラソンランナー円谷幸吉を描いた「長距離ランナーの遺言」を読み進めている。正月ドキュメンタリー映画に染まったこともあり、しばらくはノンフィクションの森を歩いてみようと思う。