高尾へゴー

不幸な出来事がひっきりなしに起き、どうしようもない不安感ばかりが漂う現代の暮らしの中で、目に見えぬ偉大な力や「神霊のお導き」のようなものに頼りたくなぅてしまう人が最近どんどん増えているのを感じる。特定の宗教には興味などなくても占い好きの人はますます多くなり、朝のテレビでは平然と本日のおとめ座の運勢は・・・などとやっている始末。昔はあんな占いコーナーなんてあり得なかったが。そして心霊系の番組は常に視聴率がすこぶる良いというのが現状である。私自身といえばテレビの人間、細木などは言うに及ばず心霊系の人間はまったく信じていないが、自分の直感だけにはひどくこだわっている。実際、以前やっていた音楽系の仕事も現在の投資関連の仕事も自分の直感一つだけで渡り歩いてきたようなものなのである。

その直感がこの数ヶ月は特に冴えているのである。もちろんいい方に作用しているのだが、これは普段の生活の中でも精神面で以前と大きく違う。なにせやることなすことすべて上手くいくのだから痛快なのである。仕事上の取引は円滑に進み、街に買い物に出かければ掘出し物を破格値でゲット。一人で散歩中に話し相手が欲しいとなれば偶然にバッタリと昔の友人と出あうなど・・・。日々うれしい出来事が延々と続くのである。なにか特別なことをしたのかといえば、食事を以前よりさらに気をつけて野菜多く肉魚を減らしたことと、ランニングの距離を増やしたことくらいであろうか。お酒はしっかり毎晩飲んでいるし、それ以外は特に変わったことはしていないし、それにしても気味悪いくらい調子のいい最近である。

そういえば一ヶ月前くらいから高尾山にハマっているのである。確か高尾山は日本有数のパワースポット。私は昼から夕方にかけて好き勝手に山の中を散策しまくるのであるが、もしかしたらそれが影響しているのかもしれない。高尾山、陣場山中を無目的にガンガン歩いていると気がつけば周囲に誰もいないことがよくある。考えてみれば、周囲何キロかに誰もいない状況というのは、都会暮らしの中ではあり得ない状況である。山道をガンガン歩くとなぜか覚醒してくるのは気のせいだろうか。鬱蒼と生い茂る木々が光の加減でとても輝いて見えたり、おどろおどろしく感じられたり、やさしさが溢れ出ていると思えたり、神秘的に怪しく映ったりと、ただただ歩きながらも心の中ではいろんな感情が次々といろんな顔を出してくるのである。その心の動きを写真に収める行為もモチロン忘れない。

一人になって自分自身を見つめるというのはこういう事だったっけと考えたり、全く予期しない想像がふくらんだりするのを楽しみながら自己流山歩きは延々と続くのだが、二時間に一度くらいの割合で休息もとる。休憩中はゆっくりと気になる大木を仰ぎ見たり、なぜか魅力的な力強い巨木にギュッと抱きついたりし始めるのである私であるが、なぜ木に抱きつくのは意味不明。武満徹みたいだが。
そんな私の山での一人遊びなのだが、あまり一人状態が長いとさすがの私も不安になってくる。何時間か歩いてやっと人の気配がしたり、人と出会ったりするとガラにもなくホッとするものである。この自己流山遊びは今後、場所やヴァリエーションを変えてどんどんハマっていきそうな予感がするのである。登山関連は気になるグッズもたくさんあり、勉強のし甲斐もある。そしてこの山遊びが直観力をみがくのにとてもいいんじゃないかと感じた次第なのだ。また近日中にも人が少ない時期を狙って高尾へゴーである。