イバラノツルヒコの華麗なる生活

ボンソワール、今夜も僕と素敵な話をしよう

ソフトクリーム

2005-07-17 21:10:44 | Weblog


駅前でバスを待っていたら、向こう側の駅前広場みたいなところで、サラリーマン風の中年男性が一心にソフトクリームを食べているのを見つけた。営業中なんだろうか、休日なのにちゃんとネクタイもして、営業マンにはクールビズも関係ないのかな、大変そうだな、と普段なら思うところなんだけど、その男性がなんだかソフトクリームに集中している感じがたいそうほほえましくて、僕もなんだか食べたくなってしまった。

ソフトクリームって、ほかのお菓子と違って、買ったらすぐに食べないといけないから、外出したとき、しかも母親がゆるしてくれたときしか食べられないもの、っていうイメージがある。だからいまだに、出先でふと食べたいと思ってソフトクリームを買って食べるとき、それができる自分が妙に嬉しかったりする。もしかするとあの男性もそんな気持ちかもしれないなあ。僕も今ソフトクリームを買って、あのおじさんの横で食べながら、おいしいですよね、これが大人の醍醐味ですかね、なんて話せたらきっとすごく楽しいと思うけど、僕はバスを待っているし、そもそもそんなことを本当にしちゃったら間違いなく怪しい人物だと思って警戒されるに決まっているから、せめて帰りにコンビニでソフトクリーム型のアイスを買って帰ろうかな、…と思って買ってきたのだった。これをアップしたら食べようと思ってるんだ。


めろめろ

2005-07-16 18:18:48 | Weblog


皆元気?僕はこの週末も実家に帰って来ている。今回の目的は、「おはぎ」に会うってことだ。おはぎは最近うちで飼いはじめた豆柴の子犬(ちなみにメスだった)で、念願かなって大喜びの妹の華子からは、毎日のように携帯の写真つきメールが届いている。もっとも僕は携帯を持っていないのでパソコンのモニタでみることになるんだけど。

僕がおはぎに会うのは、駅ビルのペットショップでガラス越しの対面をして以来だ。帰宅早々、華子が自慢げに抱えてきたんだけど、それがもう本当にかわいいので僕はすっかり参ってしまった。この前見たときには耳が寝ていた気がするけど、今はもうちょこんと立っていて、前よりなんだか目もくりくりしている。まだ外に連れ出したりはできないらしいけど、散歩できるようになったら楽しいだろうなあ。でも、今のいかにも子犬子犬した感じもたまらないけど。


音楽

2005-07-15 18:09:13 | Weblog


蒸し暑くて何もする気が起きないので、一番暑い昼下がりに床にごろごろしながら久々に音楽を聴いていた。僕のCDラックには、多分普通の学生が聴くようなのがあんまり入っていない。クラシックとか、もっと前の、古楽器の演奏とか、歌謡曲といっても大正時代のやつとか、そんなのがとりとめもなく何枚か積まれている。じゃあ最近の曲を全然聴かないかというとそうでもなくて、そういうのはレンタルしたり友達から借りたりしているので残らないんだ。

唯一の例外は、僕が一番初めに買ったやつで、まだ中学生になる前くらいに、小型犬の名前のグループの曲でドラマの主題歌につかわれてヒットした(ヘンな書き方だけど検索よけだよ)、そのCDが一枚だけある。

音楽は、特にそれがヒット曲だったりすると、その曲をきくと当時自分がやっていたことやその時いた場所、感じていた気持ちまでまざまざと思い浮かんでくるのがとても不思議な気がする。たとえばその最初に買ったCDを聴くと、当時一番仲の良かった友達とやったあれこれのこととか、そのとき一緒に見た風景とか、そんなものが空気の温度まで一緒に思い出されてなんだか切ないような気持ちになってしまう。

以前誰かに、人間の記憶っていうのは脳に必ず保存されているけど、大抵は思い出すことができないだけ、というような話をきいたことがあるけれど、もし全ての記憶が僕らの引き出しの中にしまいこまれているとしたら、音楽はその引き出しを開ける鍵みたいなものになるのかもしれないなあ。


カラオケで

2005-07-14 18:58:50 | Weblog


昨日幹部ミーティングの後、部室にたまっていた1,2年生をつれて食事にいくことにした。夏休みだけど、寮生や一人暮らしの子が多いので、学校にいくとたいてい誰かが部室にいたりする。大して広い部屋でもないし、なんとなくいつも雑然としている部屋なのに(時々吉岡さんがヒステリーをおこしかけながら掃除している)それがかえって居心地いいのかもしれない。

食事をした後、1年生の女の子たちがカラオケに行きたい!と騒ぎ出したので、たまにはいいかってことで駅前のボックスに行った。今年の1年生ってなんだか不思議で、飲み会とかにはあんまりでないんだけど部室にはいつもいるし、なぜか歌とかカラオケは大好きだ。歌とカラオケ、ってわざわざ別にしたのは、別に音源がなくてもいつも部室で歌い始めちゃうから。部活といえば飲み会だろうという思考の神埼は、「なんだろうねこの子達」と不思議そうにしているけど、特になにか不和が生じているわけでもない。

さてそこで僕としてはちょっとびっくりする事があった。
なにしろ普段からなにかっていうと歌っている1年生なので、ほとんどマイクは彼らに譲っていたんだけど、浅香さんって子が僕の知らないアニメの歌みたいなのを歌いだした。彼女は多分今年の1年生のうち、もっとも僕にとって不可解な子で、「不可解度」を数値化するなら、ヒメカちゃんを10とした場合、彼女は13くらいだ。いつも女の子たちと何か囀っているんだけど、普通の声よりオクターブくらい高い感じで早口だし、一箇所にじっとしていることがあまりない。アニメと、あとなんだかいうバンドが好きだっていうのを誰かから聞いたことがあるので、この選曲も、ああ、彼女らしいなと思って聴いていたんだけど。いたんだけど、その歌いっぷりがすごかった。なんていうか、全身全霊で歌ってます!って感じで、特にその心底楽しそうな笑顔を見ていたら、なんだか僕は不覚にもドキドキしてしまった。今まで「不思議」がすべてを上回ってて、かわいいとか感じる暇がなかったんだけど、この時ばかりはキラキラマークと効果音がついてるくらいにかわいく見えたから驚いた。

やっぱり笑顔ってすごい力があるんだなあと思っていると、今度は辻さんが歌いはじめた。辻さんは、多分1年生の中で一番しっかりしていて、すでに吉岡さんたちは幹部候補として目をつけている。なんでもそつなくこなすタイプだから、歌もきっとそんな感じなんだろうな、と思っていると、第一声で思いっきり予想がはずれた。有体にいうと、彼女は歌が下手だったんだ。
それなのに、というかそれだから、なのか、彼女が歌い始めたとたんにまたしても僕は心臓のあたりに何か直撃をくらってしまった。乙女的に表現すると「胸キュン」ってやつ。なんで?と思うけど、彼女が歌を苦手だっていう事実と、ひたむきに歌っている姿があいまって、すごくかわいく見えた。

普段こんなことってめったにないので、ちょっとお酒が入っていたせいかなあ、とも思うけど、人間の感性って意外とアテにならないっていうか、ささいなきっかけで変わっちゃうんだなあと思った夜だった。




小さい話

2005-07-13 11:05:40 | Weblog


わざわざ自分からばらすような話じゃないんだけど、やっぱり書いておこう。
昨日行った古本屋で、すごく好きな画家の作品集をみつけた。最近じゃみかけないような豪華本だ。表紙は傷んでいるけど、中はきれいだし、僕が好きな作品はほとんど網羅している。

値段をみると、内容の割には安いけど、古本としては高いというか、買えないわけじゃないけど正直今の僕には痛い。バイト代が出たら買ってもいい、というかかなり欲しいんだけど。

でも今買わないと、なくなっちゃうってこともあるし。どうしようと迷いながら、その店のなかをうろうろしてずいぶん時間が経ってしまった。

それで結局、僕はその日買うのをあきらめたんだけど、その画集を本棚の真ん中から、すみのほうに移してみたりした。うん、わかってるよ、われながらせこいとは思うんだけど。お金が入ったら必ず買いに行くから、それまでちゃんとあそこで僕を待っていてくれますように。


正子さん

2005-07-12 21:15:45 | Weblog


今日は都心の古書店街まで出ることにした。レポート作成にもう少し本を買い足したほうがよさそうだったから。僕は古本屋を偏愛しているので、いくとまる1日がつぶれてしまう。

店も閉まり始めたので、そろそろ帰ろうと駅にもどりかけると、なんとそこに秀虎らしき人影をみつけた。しかもOL然とした女性と一緒に。思わず物陰から、ってなにも隠れなくてもいいんだけど、でも物陰からのぞくと、それは僕も会ったことのある正子さんだってことがわかった。

正子さんは秀虎のお姉さんだ。
それならと声をかけようとした僕に、正子さんのほうが先に気づいた。わあとかきゃあとかいいながら走りよってきて、「久しぶりね、元気?相変わらず弟が迷惑かけているんでしょう」と手を握らんばかりの勢いで話しかけてくる。思わずつられて「ええ本当に」と正直に言いそうになったけど、後ろから秀虎がものすごい目付きでプレッシャーをかけてくるし、こういうものは持ちつもたれつってこともあるので、「いやそんなことないですよ」と大人しくこたえておいた。

この人に会ったのは1年生のときの学園祭で、僕や阪田君や、当時秀虎とよくつるんでいた連中に、「不肖の弟をよろしく」といいながら食事をおごってくれたのだった。後になって、美人のお姉さんに愛されていいなあ、とここぞとばかりに秀虎をからかったときに、やつがなんともいえない顔で「俺より暴力的だぞあの女」と呟いていたんだけど。

さて、もう帰るなら車で送ってあげる、といわれて、ずいぶん大回りになるからいいですと固辞したんだけれど、結局乗せてもらうことになってしまった。正子さんのであるらしいミニバンに、秀虎の運転で。ミニバンの後ろには大きな箱がいくつも積まれていて、どうも家具とかそんな感じだ。二人の会話によると、会社帰りに注文していた家具を引き取って、部屋で組立作業という一連の仕事をするのに秀虎が運転手兼作業員として呼び出されたようだった。文句を言う秀虎に、タダでとは言ってないでしょ、と正子さんが言い返したりして、結局仲のいい兄弟なんだなと思っていた僕は、次の瞬間に見てしまった。
「大体25にもなってこういうのを弟にさせんなよな。その性格だから、お」という秀虎の言葉が終わらないうちに、それは見事な早業で、運転中の彼の向こう脛をヒールでしたたかに蹴りつけた正子さんを。

うわ痛っ、と見ている僕がいいそうになったけど、それきり二人の会話はとまってしまって、一瞬の静寂の後、正子さんの
「おなかすかない?ごはん食べてく?」という明るい声が、何事もなかったように車内に響いた。

なんだか、秀虎ってこうやって育ってきたんだなと思ったら、多少の迷惑には目をつぶってやってもいいやと思った僕だった。

お祝い

2005-07-11 21:54:02 | Weblog


蒸し暑いけど皆元気?僕は今朝起きたら何故か床の上だった。そうならないようにわざわざテーブルの上で本を読んでいたのに、いつの間に移動したのか自分でも謎だ。

さて今日はバイトの日だったので図書館に行くと、僕に例の家庭教師代理を頼んできた志郎さんと一緒になった。家庭教師が終わったときに電話で報告はしておいたんだけど、おかげで助かったからメシでもどう、と言ってもらった。それはもちろん有難いし、なにしろ考えてみたら土日はろくなものを食べていなかったので、お言葉に甘えることにしたんだけど、割のいい仕事を紹介してもらって助かったのはむしろ僕のほうでもある。そう言うと、志郎さんは上機嫌で「いいって、おかげでこの期間に内定もでたしさ」とかえしてきた。ええー、良かったですね、おめでとうございます、と僕が思わず大きな声を出したので、他のバイト仲間が「え、なになに」と集まってきた。

そういうわけで、急遽「志郎さんの内定を祝う会」が行われることになり、といっても普通に食事して皆でおめでとうを言うってことだけど、志郎さんと渡辺さん、それに早川さん(以前僕に「ポエムとか書きそうだ」っていった子だ)と僕で学校のそばのイタリヤ料理屋に行くことにした。

志郎さんの就職活動話をききながら、来年は僕らもこれをやるんだなあとか、でも正直いまひとつ実感がわかないなあとか、久々のちゃんとしたごはんはおいしいなあとか、我ながら暢気なことを考えていた僕だけど、もう来年になったらこの人はいなくて、社会人になるんだと思ったら、自分の残りの夏休みが急に貴重に思えてもきたのだった。

苦戦

2005-07-10 02:39:59 | Weblog


ああ、今日はちょっとまとまった言葉にならないかも。休みに入ってのんびりしすぎて、サボっていたことにいよいよ着手しはじめたから。2学期のあたまにはゼミのレポート発表があるんだけど、なんとなく後回しにしちゃっていた。

僕が担当する本は、日本語で書いてあるだけましだと思うけど、やっぱり小説みたいには読めなくて、集中するまでにも軽く1時間くらいかかってしまう。なんていうか、1行読んで次の行を読むと、もう前の行を忘れちゃうって感じ。脳みそが本のかたちに沿っていくのに1時間、って感じだから、電車の中とか寝る前にちょっと、なんて読み方はぜんぜん意味がないし、そうするといきおい腰をすえて一日がかりってことになるから、なんとなく億劫になってしまう。

確かに、ずっと読んでいるうちに、だんだん意識が書き手のレベルにひきあげられていく(もちろん全然遠いんだけどさ)感じになってきて、突然目の前に落雷とか、一条の光がさしたように、意識がぱあっと開いたようになって、一瞬何かすごい世界が見えたような気がすると、ものすごく感動するんだけど。そうなってくると俄然眠気もふっとんでしまうんだけれど、なにしろそこに至るまでがんばれるかどうかが正念場だ。

本っていうのは、…って続けると長くなっちゃいそうだから今日はこのへんで。もう少し読まなくちゃね。覚えていたらまた書くよ。

センセイの言葉

2005-07-09 10:17:27 | Weblog


ボンジュール、皆元気?
昨日は家庭教師代理の最後の日だったんだ。2週間なんてあっという間だよね。ようやく「教え子」の沙織ちゃんとも慣れてきたので、ちょっと寂しいような気もする。

それで、今日はこれでおしまい、ってところで沙織ちゃんが「あのねえ」っていいながら、いつも使っているノートを僕に差し出してきた。「これに何か書いて?」って。

うわあ、それってなんだか教育実習生なんかがよくやらされてるのと同じだろうか。一応センセイなんだから、なんかちょっとそれらしいことを書かなきゃいけないかなあ。一瞬の間にものすごくいろんな事が頭の中を駆け巡ったけど、動揺を顔に出さないようにしてなんとかメッセージっぽいことを書いてみた。

え、なんて書いたかって?

…それは内緒だよ。

魔法使いとケーキやさんと

2005-07-08 12:26:25 | Weblog


僕が覚えている一番最初の「なりたかったもの」は、子供向けの本に出てくる主人公だったと思う。魔法使いの見習いの少年が、いろんな冒険をしていくっていうやつ。魔法がつかえるってことよりも、ドラゴンに乗ったり、いろんな仲間に助けられるとか、そういうのが良かったんだろうな。

次に夢見たのは、ケーキやさん。僕は甘いものが大好きだったから(…今も好きだけど)、ケーキやさんになれば毎日おいしいケーキが食べられる!って思ったわけ。でもそのことを言ったら、だれか友達に「でもケーキやさんはつくったら売るんだから、ケーキは食べられないんじゃない」って言われて、その夢はあっけなく壊れてしまった。どっちかっていうと、お菓子の家に住みたいとか、そういうほうが理想に近かったかも。(でもこの前、ケーキ屋でバイトしている女の子が「売れ残りのケーキをもらって帰るから太っちゃって」とか言っていた。そう考えると当時の僕は、ちょっと夢をあきらめるのがはやすぎたかもしれない。)

もう少し大きくなると、今度はマンガ家がいいなあって思うようになった。何しろ夢見がちで、結構気が多い僕としては、それを作品の上で表現してしまえば夢がかなったようなものだから、一番いいような気がしたんだ。小説家でもいいわけだけど、当時はマンガが面白いと思っていたし、その影響で絵を描くのも好きだったしね。でも結局、あきっぽすぎて、ひとつのストーリーを終わりまで考える前にどんどんほかのものに興味がうつちゃうから、これも無理だなあって思った。

ああ、それからもうひとつあった。「はやく大人になりたいなあ」って思ってたんだっけ。これだけは、なんとなく達成されたのかもしれないけれど、当時思っていた「大人」っていうのとはだいぶ違うみたいだ。夢見ていたような大人になるには、まだずいぶんかかってしまいそう。