酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

「究極のメニュー」「至高のメニュー」そして「酔漢のメニュー」その三 鯨

2013-03-15 09:57:56 | 藤沢便り
「鮎川町」という地名がやはり自分には馴染があります。
「石巻市」と合併しそうした背景ではありますが、そこは昔の「宮城人」ですので・・・。
鮎川へはよくその堤防に釣りに行きました。
親父の投げ釣りに便乗していたのですが、丁度、5月のはじめごろから鰈の大型が寄って来ます。
それを狙います。
酔漢は、ここで38cmの「マコガレイ」を釣りあげました。
その堤防は、先の震災で倒壊しております。堤防の突端にあった灯台は、絶好の「風よけ」。
そこでのお昼は、本当に楽しみでした。
堤防の付け根に、大きく「マルハ」と看板のある体育館のような建物がありました。
その建物は、岸壁に繋がっていて、常に「キャッチャーボート」が停泊してました。
「かつお船」と「キャッチャーボート」は、ずんぐりむっくりのマグロ船よりかははるかに「恰好よく」見えました。

鮎川は捕鯨の町として発展致します。
人口は昭和30年代には1万4千人を越えます。
「くじらの町」として、近海捕鯨の基地として発展いたしました。
水産業が県の大きな基幹産業である「宮城県」ですが、「大洋漁業」(当時)関連の企業も数多く、「大洋球団」は必ず宮城球場で主催ゲームを行いました。
今、語っております「おいしんぼ」では、「くじら」の特集を過去、掲載しております。
今回は、単に「鯨料理」の紹介ですが、「宮城県」は「鯨料理」の種類の多い事では、他県と違った「鯨文化」がございます。
この「くだまき」は食としての「捕鯨」を取り上げるものであり、「捕鯨賛成」「捕鯨反対」を論点とするものではございません。
ですが、どうしても、「その問題を避けては通れない」これは事実です。
酔漢、はっきり申し上げまして「鯨、くいてぇ派」です。そこを捉えれば「商業捕鯨再開派」ではあるのです。

本題に戻します。
美味しんぼでは「宮城の鯨料理」が掲載されております。
まずは、そこをご覧ください。

ここに紹介されております「つちくじら」ですが、本当に小型のクジラです。
この鯨、酔漢も食べた事はありますが、「刺身」にするには、ちょっと筋っぽくて、(部位に寄るのかもしれませんが)加工して食べる、あるいは調理して食べる類の種という認識があります。ですから、この部分でも「つちくじらのたれ干し」が紹介されております。
この場面でもあるのですが「鯨ジャーキー」といった風味です。
そして、数々の料理が紹介されております。

ここに出されております「はすかわ」です。
これは、宮城県にいらした方でも、案外食べた経験はないのかな。
丁度、部位的には「下あご」の皮の部分。
あっさりした風味と食感は独特です。酢醤油で頂きます。

このように、山岡はじめ東西新聞社(「究極のメニュー編集チーム」)一向は、鮎川で「鯨料理」の取材を行っております。
酔漢に取りましても、思い出のある料理が紹介されております。
学校給食の定番「鯨の竜田揚げ」は、これは僕等の世代であれば、思い出のメニューでした。

「酔漢さんのお勧め鯨料理は何?」と聞かれましたら・・・・。
もう、思い出中の思い出。そしてもう生きている間には二度と口に入らないもの。
ですから、申し上げますと「イワシクジラの尾の身の刺身」。これに尽きます!
イワシクジラ自体はわずかではありますが「調査捕鯨対称種」ではあるのですが、その殆どが関西方面へ出荷されておりますので、こちらで食べることは難しいのです。
しかも、その「尾の身」であれば、「松坂牛」に匹敵する高価な食材。
庶民どころか、タイミングさえ合いませんと、食べる機会の非常にまれなところです。
小学校時分は、この「イワシクジラ」が通常に流通してましたので、簡単に食べる事が出来ました。
これは、本当に思い出のある刺身です。

写真は、「尾の身」ではありませんが、「イワシクジラの赤身」です。
「赤身」であってもこれだけ「霜降り状態」です。
クジラの脂肪は、牛肉よりかは、「マグロ」など「魚類」に近い形態で、牛肉が約50度近くで溶ける温度のところ、マグロよりかはやや高めの「40度」でもってとろけます。
口の中でとろける速さは「マグロのトロ」の部分には敵いませんが(トロがおいしいとか、そういう意味ではなくて・・・比較として)口の中でとろけるわけです。
(牛肉の刺身は、だから無理がある。とくに、よく霜降り肉を刺身に使う料亭がテレビで映ったりしますが、旨い訳はない!まぁ、牛刺身であれば、肩の柔らかい部位を使って、赤身のところであればまだ解るのですが。霜降り絶対と思っている方が多いのも事実だったりいたします。)それに近い脂肪のとろけ方なのです。
生姜醤油で頂きたいところです。ニンニクもいいと思うのですが、酔漢的には、生姜だけがいいわけです。

酔漢にとりまして、やはり「鯨料理」は思い出が深いのです。
ばあちゃんが作ってくれた「鯨の味噌漬け焼き」これは、弁当に入れてもらいました。
「鯨のベーコン」は、これは料理の中では少しチーパーとはなりますが、今では懐かしい味と映ります。

料理の話しが続きますが、冒頭の写真を再度ご紹介させて頂きます。
「石巻 日日新聞(ひび新聞)」に連載されました「丹治道彦さん」による「酔漢の妄語」(よっぱらいのくだまき)からのものです。
丹治さんは「捕鯨の話し」を掲載させておられました。
実は、「商業捕鯨再開運動」にも参加しておりまして、「東京海洋大学 佐々木先生」とも交流がございました。
各地で行われる、調査捕鯨の数字、その活動報告など、参画しておられたのです。
本人の動機はいたって酔漢と同様「鯨がくいてぇ」なのです。
一部を更にご紹介いたします。


特に、上記の記事には「こんな背景もあったのか」というもの。
丹治さんは、「日本外交の失敗がその背景にある」と論じておられます。
この史実は、ハッキリさせておきたいところです。
そして、反捕鯨団体に対しては、こう反論を述べておられます。



昨年、6月。帰塩。
必ず立ち寄ります「丹治邸」。
その日は、互いの料理を持ち寄って「一杯やろう!」との企画です。
酔漢が用意いたしましたのは、「ミンク鯨の赤身」でした。
塩竈市内、ちょうど「おさんこ茶屋」より少し手前にございますお魚屋さん「松野」。
仕出しも行っている、腕のいいお魚屋さんです。
夕方にもなりますと、店頭でお魚を焼いているところが見られます。
前日に電話「酔漢だけんど、今塩竈さいんだけんどっしゃ。鯨あるすか?」
「昨日、ミンク入ったのっしゃ。んで取り置きしておぐからっしゃ」
と、ミンクのブロックを購入しました。
半分は刺身を誂えて、もう半分は・・・・・。
実は、刺身にしておいしいイワシ鯨とは違って、ミンクは、少し手を加えますと、本当においしく化けるお肉なんです。
その調理法とは!
「酔漢のメニュー」としてご紹介いたします。
鯨だけは、ワイン(特に赤)にあう食材だと確信できました。







コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3.11 思い | トップ | 金平糖 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
牛のように豚のように殺してもいい いいのよ 我一塊の肉塊なり (ある友人)
2013-03-16 11:27:31
鯨に関する懐かしい思い出はほとんど共有できますね。私にとってお袋の味はまさに鯨の竜田揚げです。肝油ドロップも思い出します。

欧米人の思想の根底には根強いキリスト教文化があり、聖書の中で神から人に与えられた家畜は、日本人が思うように同じ動物とは考えないようです。捕鯨禁止の政治的背景(日本の牛肉輸入を増加させるためとか)はよく言われる事ですが、それよりも根本的に聖書に関わる解釈が含まれてしまうと、欧米人(特に米国人)は急に保守的になってしまう点を運動家は利用している。2007年のギャラップ調査でアメリカ人の74~86%は程度の差はあれ進化論に否定的だという結果が出ているそうです(とはいえ日本人の多くも適者生存と弱肉強食の意味の違いを勘違いしていたり、進化論=ダーヴィズム=絶対的事実と思い込んでいたりするので笑えないかも)。つまり牛は家畜として神から与えられた食糧であり、鯨は人間と同じく神が創りし動物だから殺してはいけないと肯定する土壌があるという事です。まあ丹治さんが指摘する通り、突っ込みどころ満載の考え方ですが、信仰は正しいか否かではなく、信じるか否かですからね。それについてどう反論しても徒労に終わる事が多い。そもそも科学の発展さえ神の存在を証明するためにあったわけですから、彼らの中で矛盾はないのでしょう。

水産資源の均衡については丹治さんが書いている通り、「人間の手が加えられた自然の生態系は、人間の手を加えなければ維持できぬ」のは間違いありません。人の手が入っていた環境は人の営みも含めて自然であって、それを外してしまうと均衡が崩れる。前に酔漢さんは熊の出没について書いておりましたが、里山に人の手が入らなくなった事も原因のひとつなのは間違いありません。鯨についても日本はもちろんイヌイットなど昔から捕鯨を行っている民族は獲るべきだと思います。もちろんしっかりとした根拠のある資源管理に基づいての話ですが。

まあ「賢い動物だから」という選択がかつての優生学的な人種差別と同じ理屈になりうるという丹治さんの懸念は正しいと思いますが、あえて反論しておくと「人間は鯨と違って愚かな動物だからそもそも差別をしたがる」というのを前提とすれば成り立ちませんね(笑)もちろん下手なブラックジョークのつもりです。はい。

いずれにせよ、ある年代までの宮城県沿岸部の人にとって、鯨料理は確かにソウルフードと言えます。調理法はどうあれ酔漢さんの選択にまずは一票いれましょう。
返信する
文化 (ひー)
2013-03-18 21:16:10
得てして、ヨーロッパ人は、アジア人を見下していますからね。
自国の文化が、全て正しいと思うわけですね。
オーストリアの居酒屋では、カンガルーの肉がメニューにあります。

昔は、鯨ばかりよく食べたものだ!
と言うと、おじさんの家はお金持ちだったんですね。
と、若者は答えます。

よく買い物をするスーパーには鯨肉が、ならんでいます。なかなか手が出ません。
昔の鯨とは、ちょっと違うような?
石巻の同僚は、「あいづは、イルカだっちゃ!」と言います。つまり小さい型の鯨のことを総称しているのでしょう。
確か、沖縄の名護では、毎年湾に迷いこむイルカを食べていたそうです。
イルカが捕れない年の市長は落選するとか聞きました。
昔の話しですが。
返信する
ある友人君へ (酔漢です)
2013-03-21 08:39:46
一票ありがとう。
鯨料理はやはり思い出がありますね。
給食もしかりでした。
丹治さんへのコメントも御礼。
彼が読んだら「大笑い」してると思うよ!
返信する
ひーさんへ (酔漢です)
2013-03-21 08:41:58
「つちくじら」かなって思ってました。
体型はイルカに似ています。「鯨ジャーキー」は本編で紹介してますが、刺身ではあまりおいしいとは思いませんね。
「昔は良く食べた」
今の世代には分からない食材なのでしょうね。
残念です。
返信する

コメントを投稿

藤沢便り」カテゴリの最新記事