酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

ロイヤルの経緯

2008-10-07 13:22:53 | スコッチウィスキーの話
「ワインが無くなったっちゃ。んで、おやじのキャビネットでも覗いて来るか」
と、主が席を立ちました。
「もう、こんな時間だべ。まだ飲むのかや」
「酔漢、まぁ奴のこったから酒でも持ってくんでねぇか」と丹治さん。
あんのじょう、その先輩は、一つの仰々しいウィスキーを手に、再び現れたのでした。
「こいず、呑むべ」
「なにっしゃこいず」
「噂にきく『ロイヤルサリュート』だっちゃ」
「ロイヤル・サリュート?」
「んだ、シーバスリーガルの最高峰だべ」と本人。
ウィスキーは父が、好きだったものですが、酔漢自身も見るのも初めてでした。
「シーバス・リーガル」は知っておりましたが、それも「18年」が最高。普段は12年ものしか知りませんでした。
青色の磁器に入った、本当に高級そうなお酒です。
「あけんのすか?」
「瓶に入っていても、この酒は浮かばれない!呑むぞ!」と本人。
3人してニート(=ストレート)で頂きました。
「旨い!」共通意見。
「本当にうめぇっちゃ!やっぱり高級だけの事はある」
「一本数万円はすんでねぇか」
ブッツーーーーーー。(吹きだしかけた酔漢の図)
「本当すか?数万円すか?」
日頃、角でも贅沢なこの頃(大学生に成り立て)強烈な印象を与えてくれました。
翌日、徹夜で呑んだくれて、早朝の仙石線車中。
「酔漢。話かけるな」と一言言ったまま寝込んでしまった丹治氏でございます。

さて、「シーバスリーガル」でございます。
今まで、多くの蒸留所やブレンディッドのお話をしましたが、「兄弟で会社を興す」というのが、結構ございます。このお酒も兄弟が主役でした。
1801年スペイサイドのはずれ、アバティーンという町。ジョン・シーバスが「お酒と食料品」の店を起こします。
「ここの酒はシングルモルトがうめぇけんど、俺好みでねぇおんなや」と常日頃思っておりました。この頃はスペイサイドやハイランドでは、シングルモルトの蒸留所があちこちに出来てはおりましたが、酒税法や禁酒法のからみもございまして、出来の方が、少し落ちている頃だったわけです。
「おめぇもこっちさぁ来て、おらいば手伝ってけねえぇすか」
と弟君を誘います。ジェームズ・シーバス君です。
「あんちゃん。俺もやっからっしゃ」と事業に参加。
会社の名前も「シーバス・ブラザーズ」にいたします。
彼らは理想のブレンディッドを作り出すためにスペイサイドの蒸留所をあちこち探し回っております。
「あんちゃん、やっぱしこのモルトは外せネェべ」
「んだ、俺もそう思うっちゃ」
出合ったシングルモルトは「ストラスアイラ」です。
一度、このお酒の事は語っております。スペイサイドで最も古い蒸留所です。
1843年当時のイギリス女王「ヴィクトリア」が、このお店でお酒を購入しました。
それがお気に入りとなりました女王は、「シーバス・ブラザース社」に対して、「ロイヤル・ウォラント」を授けます。
はて?ここで一つ面白い事実がございます。ヴィクトリア女王が購入しました「バルモラル城」はハイランドにございました。すぐ近くには「ロッホナガー蒸留所」がございます。これも一度語りましたが、この蒸留所の創設者「ジョン・ベグ」さんがヴィクトリア女王にお手紙を書き、蒸留所へ案内した、お話は有名なのですが
(これにより「ロッホナガー」は王室御用達となり「ロイヤル・ロッホナガー」と名乗ります)この話が1845年。お酒がらみで冠を付けられましたのが「シーバス」が最初だったのです。
ですが、独自のブレンドを販売するも、中々ヒットはいたしません。
独自のブレンディッドが、評判を得るのにはこれから30年近く経った頃でした。
1871年「グレンディー」というブレンディッドウィスキーを発売します。
これが当たります。
それから更に20年後「シーバス・リーガル12年」が1891年に誕生します。
この12年がこのお酒の特徴でした。
やはり、使われております核モルトは「ストラスアイラ」
この蒸留所のこだわりが「12年」なのでした。
「『ストラスアイラ』とおんなし、12年熟成のモルトをブレンドすっちゃ」
でした。
このこだわりが、アメリカで評判になります。(禁酒法の後です)
「ストラスアイラ」というフルーティーなまろやかさを特徴とするお酒と、「ザ・グレンリベット」という硬水を使った切れ味抜群のお酒を見事に調和させております。特に、「ストラスアイラ」は、核モルトとして、絶対に欠かす事ができません。蒸留所毎買い取ってしまいました。
思い出されましたでしょうか「ストラスアイラの水のお話」です。
「ブル-ム・ヒル池の妖精」の話。そうそう妖精が旅人を、「池に引きずりこむ」のです。「旅人がストラスアイラの隠し味?」との噂がございます。ですからこの「シーバスリーガル」も実は「・・・・・」かもしれません。
「シーバスを越えるのはシーバスだけ」このCM懐かしいですよね。

仙石線が本塩釜へ到着いたします。
丹治氏、爆睡してます。
「先輩、そろそろ塩釜だっちゃ。おきてけさいん!」
「あれ?もう塩釜かや・・・あ・たま  いてぇ」
「俺もっしゃ」
「夕べは呑みすぎたなや」
「でも、あの酒はうめかったっちゃ」
「『ロイヤル・サリュート』あれ21年だべ。戴冠式の空砲と同じ数だべさ。名前も
おんなしだっちゃ」
この人の凄いところです。酒の熟成年数と王礼砲の数と連想させるのでした。
「おもせぇなや。やっぱりそうなんだべか」
「俺もしゃねぇ。んでも、『ロイヤル』って着いてんだべ。あながち違うともいえねぇんでねぇか」
この時、そんな裏づけを取ろうなんて思ってませんでしたが。
シーバスリーガルの物の本の中で。
「『ロイヤル・サリュート21年』現エリザベス2世の載冠を記念して作られ、その時の王礼砲(=ロイヤル・サリュート)の数にちなんで21年熟成の原酒をブレンドしたもの」とございました。
それにしましても、イギリス王室はお酒の好きな方が多いですね。先のヴィクトリア女王の得意な呑み方を再度ご紹介。
フランスから贈られました高級ワイン。
「呑んだ気がしない」と言いましては「ロイヤル・ロッホナガー」を少し加えて味を変えて呑んでおりました・・・・とさ!

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15 コメント

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感謝するよ (丹治)
2008-10-07 16:30:50
「話しかけるな」で終らせておいてくれて、感謝するよ(あの一件、出したら承知しねど)。

ロイヤル・サリュートも二十一発の皇礼砲もしってました。あれは国際儀礼で決ってるそうですね。敬意を表する相手の格式によって何発発射するかまで。

礼砲は武装解除の表明。昔の大砲は一発ぶっ放すと次の装塡までに時間がかかるから、空砲を撃つことが「害意はありません」という意思表示になるのだそうです。海上自衛隊の練習艦「かしま」にも礼砲用の大砲が備えてあるそうですよ。

本をただせば敬礼に握手、カッターボートの敬礼である「櫂立て」まで、すべて「害意はありません」の表明だとか。

ロイヤル・サリュート21がエリザベス女王の戴冠式を記念して作られ、礼砲21発に因んで21年熟成させたものとは、初めて知りました。フィーレン・ダンク!

それにしてもそんな凄い酒を、あんな勿体ない飲み方したんだなぁ・・・なんてバチ当りな。
若気の至りとしか言いようがありません。ホント、勿体ないことしたよ。

もう一回でいいから飲みたいなあ・・・のめるかなあ・・・無理なんじゃないかなあ・・・でもまた飲みたい!!!
芸術品ですから・・ (酔漢です )
2008-10-07 18:16:51
丹治様へ
平にご容赦!でも、許していただける範疇でしたか。(ホッ!)
そうですね、でも、お酒の素性を知っていたらあの時は楽しめなかったかのかも。
単純に「旨い!」って呑めました。これも至福の時間。意外に「旨い酒」との出会いってこんなものかもしれません。
一杯数万円。紙コップですよ。
幸せなのか不幸なのか・・・
出会いってそんなまのかも・・・ (ぐずら)
2008-10-08 00:24:25
お晩でございます。
オラにもそんな出会いがありました。ものは県内産の日本酒でしたが、
時は昭和の終わる頃、所は中江の酒店「いずみや」の2階でのこと・・・
いずみやの主人けんちゃんは、オラの職場の先輩の同級生で某県立茶畑高校出身、オヤジさんが早く亡くなったために当時30そこそこで家業の酒屋を継いでおりましたが、不肖ぐずらにとっては元イラストレーター&仙台にブルースマンを呼ぶ会」代表でブルース及びブラックミュージック評論家、且つSPレコード収集家としてだけ理解しておりました。
ところがある夜、いずみや2階に上がりこみ、けんちゃんがアメリカのオークションから個人輸入して梱包もといていない千枚ではきかないレコードの山から、これかけて、あれ聞かせて、とやりながら商売モノのお酒を飲ませてもらっていると、
「いやぁ~、このごろ県内の酒蔵の酒がいいんだでば! 今、いぢばん気にいってんのが、こいづなんだをん♪」と言って飲ませてくれたのが、「日高見」の「しぼりたて」だったんだでば!!!
この一件から宮城県内産地酒に目覚めたぐずらだったのっしゃ♪
その後のけんちゃんは、その筋では超有名なブルースコメンテイターの顔を維持しつつ、県内の有意の酒蔵や酒房と協力して旨い酒を提供することに邁進しております。
(IT不自由者のけんちゃんの手書ブログ「いずみやのおやぢ」をみでけさいん)
仙石線は哀愁列車だ (クロンシュタット)
2008-10-08 06:13:19
川内高校からのの帰宅時、泥酔した私は、仙台の仙石線ホーム奥にあったWCで倒れたことがあります。
汲み取り時代の「大」の便器にまたがったまま、ケツ丸出しで、つっぷして小一時間。
駅員さんがドアをノックし、終電を知らせてくれましたので、なんとか乗車できましたが、車内では私の周辺に、ぽっかり空いた空間が・・・
○○と○○にまみれた私を乗せ、哀愁の仙石線最終列車は、ゲボ駅、いや下馬駅へ~。

ってこんな話は、仙石線に、たんまりこびりついていますよねー。
あれ、話題を合わせろって?
そうですね (丹治)
2008-10-08 09:20:26
確かに旨い酒を「旨いっ」って思って飲めるのが一番の幸せなのかもしれません。

高校生の時分に親に隠れて飲んだ○光裏のトンちゃん屋の二級酒が「旨い」。有難みも碌すっぽ分んないで飲んだ高級スコッチが「旨い」・・・色んな「旨い」があっていいんだと思います。

酒についての知識が増えてくると、とかく名前だけで飲んでしまうようになるものです。でもそれじゃあ・・・

白状しますと、日本海側某県の「幻の銘酒」。確かに「旨い」とは思いましたが、「あんなに大騒ぎするほど旨いんだべが」って思ったのもまた事実です。

要は「時分の口に合うか合わないか」。そんな酒を探して、小生の酒遍歴は今日も続くのであります。

銘酒の幻 (クロンシュタット)
2008-10-09 06:14:31
ところで。
酔漢さんの話題にのめりこんでいるうちに、最近酒量が増えているような・・・

丹治さん
>日本海側某県の「幻の銘酒」
確か、空き瓶にも値段が付いていますよね。
飲み屋さんが、安酒を入れて、ゴニョゴニョ・・・
○光裏といえば、某左翼書店の話題に以前触れておられましたが、あそこで購入した○核派の機関紙で、弁当箱を包んでいる川内高校の友人がおりました。
あの書店では、茶畑高校の友人にも、時々出くわしていましたよ。
・・・て、どーゆー交友関係だったのでしょうね。
遅くなりました。 (ひー)
2008-10-09 08:32:03
ロイヤルと聞いて、あっ、あの青と赤(エンジ)色の瓶!
あれは21年のような記憶……何本か飲んだ事があります。それとも18年でした?
似たようなボトルだったかなぁ~
18年はラベルが豪華になってたヤツかな?
なんか、記憶が飛んでます。
いづれにせよ陶磁器で出来たあのボトルを奮発して買った記憶があります。
曖昧なコメントですみません。
出会いはいつも (酔漢です )
2008-10-09 23:55:05
ぐずら様へ
「いづみや」まで登場しました。
本当にいい出会いをされていらっしゃる。
・・・・・・まいった・・・・
お酒も人も一期一会。
タイミングですよね。
「今も昔もこの酒呑めば味はよし」
さうら君のお酒を飲む度、このフレーズが頭を駆け巡ります。
さうら君のお酒(これはよーーく後存知だと思います)と、のべやま先輩のお酒(白石の銘酒です。お名前はお聞きだと存じます)と、いとう君のお酒(中新田の、これも銘酒)と。
伝統の宮城のお酒の味をしっかり守っていると思います。
いいなぁ、宮城は酒もうめぇおんなや!
丸光裏は (酔漢です )
2008-10-09 23:59:38
クロンシュタット様へ
喫茶店の奥n本屋さんは芝居の脚本が充実しておりましたので、大量注文しました。また、落語の本も多数ございました。
その通りの名掛丁通り側に「まんみ」がありまして、「麻婆らーめん」を良く食べてました。
やはり自分の味では (酔漢です )
2008-10-10 00:05:31
丹治様へ
人から薦められて構えて呑んだ酒って「印象薄いです」(酔漢自身)
ですから、あの時、「一杯数十万円ダゾ」と脅されて呑んでいたら「白州」も「山崎」も原酒の味が記憶に残っていなかったかも知れません
人間こんなものなんだろうなぁーー。
紙コップ事件は、弊社で語り草になっております。
旨い酒を探すのですか?
是非、ご一緒させてください。

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