月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

気合一発

2012年09月07日 20時30分16秒 | 仏々相念(住職日記)

お~、咲いてるやん・・・

 

お仏壇を処分されたいとおっしゃる。

関東から故郷に帰られました。

奥さんを亡くされた後、大切に御荘厳されたであろうお仏壇。

 

「何でですか?」

「仏さまも位牌も全部娘に預けて帰りました。ただ、箱だけを持って帰ったのですがこれを置いておっても後々娘に迷惑をかけてしまうので今のうちに処分しておこうと思いまして・・・」

「折角、お仏壇があるのなら阿弥陀さまをお掛けして手を合わされたら如何ですか?」

「いや~、やっぱり後が気になるので・・・」

「そうですか・・・」

懸命にお話しするも頑なな思いはなかなか解けず・・・

 

残念です・・・

コイツの力不足で大切な空間を無くしてしまいました。

御法話でお話しさせていただいたのですが、

「たとえ仏壇が無くなろうともお念仏を大切に胸に生かさせていただきましょう!辛くなったらお寺にお参り下さい!」

 

本堂にお飾りさせていただいていたユリ・・・

午前中のそのご縁をいただく時にはしっかりと閉じていました。

御昼も・・・

 

夕方の御荘厳の時・・・

モヤ~っといろんな事を考えながら下ばかり向いて掃除をしていました。

あれがどうの・・・

これがどうの・・・

しょうもないことばかり考えながら・・・

 

フッと見上げた時・・・

ユリが、白菊の中で優しく咲いていました。

「お~、咲いてるやん!」って独り言。

 

以前、恩師の法話で聞かせていただいた良寛さんの話を通してお味わいされた「月愛」・・・

放蕩息子の馬ノ助は良寛の涙で生き方が変わるのです。

そっと寄り添い涙してくれる温もりに・・・

まるでお月さんがず~っと寄り添ってくれるようなおはたらき。

 

優しく咲くユリの輝きに「フ~」っと力を抜くコイツがいたことです。

そしてまた・・・

 

「よっしゃ!」って気合一発。