お~、咲いてるやん・・・
お仏壇を処分されたいとおっしゃる。
関東から故郷に帰られました。
奥さんを亡くされた後、大切に御荘厳されたであろうお仏壇。
「何でですか?」
「仏さまも位牌も全部娘に預けて帰りました。ただ、箱だけを持って帰ったのですがこれを置いておっても後々娘に迷惑をかけてしまうので今のうちに処分しておこうと思いまして・・・」
「折角、お仏壇があるのなら阿弥陀さまをお掛けして手を合わされたら如何ですか?」
「いや~、やっぱり後が気になるので・・・」
「そうですか・・・」
懸命にお話しするも頑なな思いはなかなか解けず・・・
残念です・・・
コイツの力不足で大切な空間を無くしてしまいました。
御法話でお話しさせていただいたのですが、
「たとえ仏壇が無くなろうともお念仏を大切に胸に生かさせていただきましょう!辛くなったらお寺にお参り下さい!」
本堂にお飾りさせていただいていたユリ・・・
午前中のそのご縁をいただく時にはしっかりと閉じていました。
御昼も・・・
夕方の御荘厳の時・・・
モヤ~っといろんな事を考えながら下ばかり向いて掃除をしていました。
あれがどうの・・・
これがどうの・・・
しょうもないことばかり考えながら・・・
フッと見上げた時・・・
ユリが、白菊の中で優しく咲いていました。
「お~、咲いてるやん!」って独り言。
以前、恩師の法話で聞かせていただいた良寛さんの話を通してお味わいされた「月愛」・・・
放蕩息子の馬ノ助は良寛の涙で生き方が変わるのです。
そっと寄り添い涙してくれる温もりに・・・
まるでお月さんがず~っと寄り添ってくれるようなおはたらき。
優しく咲くユリの輝きに「フ~」っと力を抜くコイツがいたことです。
そしてまた・・・
「よっしゃ!」って気合一発。
耳にたこができるほど聞きました。
これからもっと聞くでしょうね。
「ご自身の後生は気にならないのですか?」
と...。
今晩
22才の青年のお通夜
お念仏よりため息の出るご縁。
また泣きながらの
不十分なお取り次ぎ。
子供より先に死ぬとは限らないんですけどね。
「いや~、そうもいきません・・・」
仏さまのことって重荷にされてしまうことがあります。
何でかな~・・・
奥様の御縁を通しこの前に座られたんでしょ?
オジサンの涙を受けとめてくれた場所だったんでしょ?
「大切なのは分かっているんです!でも、やっぱり娘に迷惑をかけたくないので・・・」
「そうですか・・・」としか言いようがなくて辛かったです。
ご自身の後生・・・問題にされません。
大きな病をされると死を感じていくんでしょうけど、気にされるのは後生ではなく、死後の後始末のこと。
大切なところはスル―されてしまいます。
その通りでしたね・・・
娘さんより先に死ぬとは限りませんもんね。
死してもなお会える世界があることを今生に命ある限り手を合わさせていただきながら慶び合いたいですよね・・・
お念仏、申させていただきましょう!