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国の廃棄物政策やごみ処理新技術の危うさを考えるブログ-津川敬

自治体は焼却施設建設に疲れ果てた?

2008年12月06日 | 廃棄物政策
 ブログ「東京23区のごみ問題を考える」に清掃工場に関する最新情報が紹介されている。長崎県で「ごみ焼却施設・住民の反対で白紙撤回」、京都市で「南部クリーンセンター第二工場・建替え延期」、長野県で「ごみ焼却施設建設地・2候補地を断念」などである。
 ダイオキシン対策という錦の御旗が華やかにひるがえっていた頃は、どこの行政も住民が泣こうがわめこうが「町じゅうにごみが溢れかえったらどうする」との恫喝一下、必要手続きだけを平然と進めてきたのである。
 しかし景気後退も手伝ってごみが減り、人口も減少傾向に向かうという状況の中、行政側にもう荒っぽくことを進める気力もなくなったようだ。つまり10年以上も前から進めてきた「補助金(交付金)をエサに国内プラントメーカーの市場を拡大する」この国の廃棄物政策にどこの自治体も疲れ果ててしまったのである。4年前、国庫補助制度から交付金方式に変ったという事情もある。国庫補助時代は1年で建設の結論を出す必要があったが、交付金には5年の猶予がある。そこで自治体にも少し考える余裕が出たということだが、いずれにしても泣く子と財政難には勝てない。
 そんな中、島根県松江市では今月(12月)に入り、時代錯誤も甚だしい新日鉄のシャフト炉の着工に入った。導入を決めたのは4年ほど前だが、その時点でトンあたり2万3,000円程度だったコークス(他の燃料では代替がきかない)がいまや12万円の声もあがっている。今回の金融パニックでも中国は鉄鋼による国づくりをやめようとしないし、原料炭(コークスの原料)の輸出も制限しているからである。
 そこでいま日本国内の23ヶ所ほどで動いているシャフト炉導入自治体は真っ青になっている。いまになって松江市はことの成り行きに臍(ほぞ)を噛んでいることだろう。小泉八雲の第二のふるさとはいま、まっしぐらに文字通りの焦熱地獄への道を突き進んでいる。


《ゴミ焼却施設:長与、時津町が共同建設 候補地周辺の住民反対で白紙撤回 /長崎
                          毎日新聞 - 2008/12/06
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20081205ddlk42040592000c.html
◇「計画再考し対応を検討」
 長与町の葉山友昭町長は4日、同町内で建設を計画しているごみ焼却施設について、当初の建設候補地を白紙撤回すると町議会特別委員会で明らかにした。新たな建設候補地は未定。施設は、時津町と共同建設の予定だが、候補地周辺住民の反対運動などから撤回に踏み切った。葉山町長は「候補地は一から再考するが、施設の建設自体を止めるわけではない」と語った。【下原知広】
 両町は08年10月、可燃ごみなどの共同処理のため、一部事務組合を設立し、長与町に焼却施設、時津町にリサイクル施設を建設する計画。長与町では08年度中に建設候補地を提供し、11年度中に組合による施設完成を目指している。
 長与町では町議会内に07年11月、特別委員会を設けて焼却施設の建設候補地を協議。今年9月に葉山町長は、同町の長与浄化センターの敷地の一部と隣接する県の港湾用地の計約4800平方メートルを候補地とすることを提案し、それを基に協議を進めていた。
 しかし、候補地近くに体育館、運動公園などがあったことから、周辺住民らが反対運動を展開。一部自治会は10月、約1200人の署名と共に陳情書を町と町議会に提出。11月には葉山町長に反対決議文を出し、さらに12月には別自治会も陳情を始めた。特別委員会が開かれた4日朝も約120人がプラカードなどを持ち、抗議していた。葉山町長は「(白紙撤回は)苦渋の決断だが、町民の思いを大切にしたいと思った」と語った。
〔長崎版〕》

《京都市南部クリーンセンター 第2工場建て替え延期、財政難で
                          京都新聞 - 2008/12/06
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008120500183&genre=A2&area=K00
 京都市の門川大作市長は5日の市議会普通決算特別委員会で、来年度からの建て替え工事を計画していた南部クリーンセンター第2工場(伏見区横大路)について、財政難などを理由に着工を2年先送りし、停止予定だった東部クリーンセンター(伏見区石田)を改修して対応する方針を明らかにした。
 南部第2工場は1975年に完成。ごみ焼却施設の耐用年限とされる20年を過ぎて老朽化が進み、昨年3月から建て替えに備えて休止している。建て替えは来年度着工し、2013年度に新工場を稼働させる計画で、約400億円の建設費を見込んでいた。
 ところが、市財政が来年度から3年間で964億円もの財源不足に直面し、新たに大型施設を建設するのが困難になった。
 一方、東部クリーンセンターは1980年完成で、すでに大規模改修して寿命を延ばしており、南部第2工場の建て替えに合わせて12年度に稼働を止める計画だった。
 新たな南部第2工場の稼働開始は16年度の見通しで、東部は再改修して15年度まで使用する。門川市長は「財政が極めて厳しい中、施設をできるだけ長持ちさせ、行財政改革にも資するよう対応したい」と述べた》。

《長野・ごみ焼却施設建設地:須坂市長、2候補地を断念 処分場計画振り出し /長野
 長野市など11市町村でつくる長野広域連合が計画するゴミの最終処分場建設問題で、須坂市の三木正夫市長はは2日、候補地に挙がっていた同市米子地区2カ所での建設を断念した、と発表した。これに伴い、03年から続く広域連合内の新ゴミ最終処分場建設計画は振り出しに戻った。
 三木市長は(1)清掃センターを30年間受け入れてきた(2)候補地裏手に米子不動尊があり、精神的に抵抗がある--などを理由に挙げた上で「『絶対反対』という住民の強い意思を真摯(しんし)に受け止める」と述べた。代替候補地については「全市民の課題として、受け入れ先を探りたい」と語った。
 広域連合地域内の新ゴミ最終処分場施設は03年12月、須高地域への建設を決定。05年5月に25カ所、同年7月に7カ所に候補地を絞り、同年12月に米子地区内2カ所が有力候補となったが、住民らの反発の声が出ていた。
 三木市長は「安全面での問題は特にない。最新技術をアピールし全国のモデル施設にしたい」と強調した。
 市は今後、清掃センターを処分場として活用できないか検討すると同時に、これまで候補地として挙がった地域を再調査する方針。
 広域連合では他に、長野市内と更埴地区(千曲市、坂城町)の2カ所に焼却施設の新設を予定する。【大島英吾】     毎日新聞 2008年12月3日 地方版》

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