循環型社会って何!

国の廃棄物政策やごみ処理新技術の危うさを考えるブログ-津川敬

確実に悪くなる日本

2012年09月15日 | その他
◆言い訳も大概にしろ
「オスプレイ墜落事故は経験の浅い副操縦士による人的ミス―――」
どこかで聞いたようなセリフだが、先月(8月)29、30日、森本敏防衛大臣が沖縄、山口両県を訪れ、知事らにオスプレイの試験飛行を要請した際の弁明である。むろんアメリカ国防省見解のオウム返しにすぎない。
 両知事が返事を渋ったことはいうまでもないが、オスプレイ墜落事故は現に今年4月以降、アメリカフロリダ州やモロッコでも起きている。この時の状況を沖縄タイムス(9月9日付)が複数の海兵隊員の話として「エンジンからの出火」とスクープした。
 いまでも思い出すことだが、焼却炉や溶融施設が爆発事故を起こすたび、プラントメーカーは必ず「これは人為的ミスで、システムの根幹に係る事故ではない」と強弁していた。 一介のプラントメーカーも国を代表する大臣閣下も、言い訳のレベルは驚くほど似通っている。だが人的ミスで爆発するような機械や装置を、ふつう欠陥製品と呼ぶ。
 似通っているといえば森本閣下は「識者、国会議員も同乗させてオスプレイの安全性を体感させたい」とも記者団にしゃべっている。 かつて清掃工場をつくるとき、行政側が地域の有力者を懐柔する手段として他市の真新しい清掃工場へ連れて行き、あとで供応した手口とそっくりである。

◆みごとなダマし打ち
 折しも「野田佳彦が圧勝する」だの「石原伸晃と石破茂が自民党代表選の本命」だとか愚にもつかぬ情報をテレビも新聞も長時間・長文にわたってタレ流している。
 だが野田佳彦は「増税しない」の公約を平気で破り、もともと増税に色気のあった自民党総裁・谷垣禎一にスリ寄って「近いうち解散」をエサに同法案をマンマと成立させた男である。法案が成立するや、口をぬぐって「12月には訪ロ」と宣言し、在任中に補正予算を成立させたいとまでいった。もはや解散なんてどこ吹く風の話だ。
 谷垣一派は「みごとにダマされた」と切歯扼腕、地団駄踏んだが、すべてはあとの祭りであった。衆議院と違い参議院の問責は単なる通過儀礼で何の効力もない。しかし通常の神経を持つ人間なら忸怩(じくじ)たる思いで首でも吊りかねない筈だ。
 ダマされた谷垣もアホの極みだが、お可哀そうにというほかはない。なぜなら野田のやったことは谷垣というより我々への強烈な裏切りだからだ。
 最低の野田とは逆に自民の株はわずかながら上がっている。性根の卑しいマスコミ(特にNHKを筆頭に在京の基幹テレビ局)は連日自民の立候補者を呼び集め、太鼓持ちのようなコメンテーターどもを使って彼らのいい分を引き出していた。総選挙になれば自民の勝ちがわかっているからである。それにしても自らポンコツ車と卑下しながら安倍晋太郎までが名乗りを上げている。マスコミも卑しければ千載一遇で総理の座が欲しい候補者連中も卑しい。なかでも石原伸晃は自分の手で谷垣を引きずり下ろしたクセに「谷垣総理が進めた政策や路線を実現することが自分の使命」などとホザいていた。

◆自分だけトクする男
 ところで私事にわたるが、野田佳彦についてはある鮮烈な記憶がある。それは2009年3月29日に執行された千葉知事選でのことだ。その直前、当時の民主党代表・小沢一郎の第一公設秘書・大久保隆規氏が東京地検特捜部から逮捕されるという事件が起きている。 準大手ゼネコン「西松建設」から政治団体をトンネルに小沢一郎の政治資金管理団体「陸山会」へ事実上の企業献金を続けていたとの容疑である。特捜部は同法違反容疑で大久保氏を逮捕。同年3月3日、同法違反(虚偽記載等)の容疑で起訴した。民主党全体に時ならぬ逆風が吹いた。県知事選はそんな中で行われた。
 民主党は吉田平・前いすみ鉄道社長(49歳)を擁立。自公側は本籍自民党なのに、厚かましくも「完全無所属」を僭称する森田健作なる二流タレントを担ぎ出した。
 面子からいっても民主党は負けられない。負けるにしても票差をあまり引き離されたくないと幹部・役員ら総出で主要駅前に立ち、必死で「吉田支持」を呼び掛けた。
 その日、JR総武線船橋駅前に6、7人の民主党主要メンバーが声を枯らし、ビラを配り、通行人を説得していた。
 だがたった一人、「俺は役目で顔を出しているだけ。そんな下賤な仕事(ビラ配り)なんぞできるか」といわんばかりの表情でボーっと突っ立っているデブがいた。色事師・細野豪志などに比べ、それまで存在感の薄かった野田だが、その時、「この男は自分がトクすることしかやらない人間」なんだ、と直感した。“横着”という語感がぴったりするたたずまいだった。まさに政治テクニックだけを教える「松下政経塾」の第一期生だけのことはある。この男は国会を目指すため、連日船橋のどこかの駅前で朝夕演説を欠かさなかったという。まさに「自分のタメになること以外はやらない」男の面目躍如たるものがある。
 もうひとつ驚いたのは2011年8月29日、菅直人退陣を受けて施行された代表選挙に出馬したことである。この時は投票前に行われた、いわゆる「ドジョウ演説」でジョークや相田みつをの詩を交えつつ、政治に「夢、志、人情」を取り戻すことを訴えた。第1回目の投票で海江田の143票に次ぐ102票を獲得。過半数を獲得した候補がいなかったため決選投票となり、小沢への批判票を集めた野田が215票を獲得して177票の海江田を逆転、第9代民主党代表に選出されたのである。
2009年の「野田式他人事スタイル」を知っている者としては何時か、どこかでたいへんなペテンが行われるのではないか、という危惧とかなりの嫌悪感を覚えた。そして危惧はみごとに的中した。

◆便所のカレンダー
 ところで、ブログを何度か続けようと思いながら、毎日考え込んでいた。理由は2つ。ひとつは昨年6月ごろ、ある文章に出会ったことである。それは開沼博氏という方の対談記録(毎日新聞)で、氏は福島県生まれ。東京大学大学院博士課程在学中の社会学者だがすでに「フクシマ論」という優れた著作で毎日出版文化賞をとっている。特に氏の論旨の次の部分に衝撃を受けた。
(1)原発問題の本は反対派を軸に地元を“被害者”として描くものが多かった。
(2)しかし中央が地方を不幸だと「上から目線」で語る姿勢が問題を解決から遠ざける要因のひとつではないか。
(3)ムラの人たちは原発で一時潤い、「豊かな生活」を手にいれた。だが1990年代には原発に依存する以外の道を失っていた。
 原発が「安全」であるかのように振る舞って維持される地域の「幸せ」―――。それが本物の幸福か。
 こうしたトーンで対談記録はまだまだつづくが、まさにショックだった。
 もうひとつ、ブログを続けられなかった理由は2年ほど前から腰部脊柱管狭窄症なる疾患に罹り、長い歩行が困難になったことである。特に致命的だったのは東北の被災地へ行かれなかったことで、現地での実感と取材なしには何を語ることもできない。そんな人間にブログなんかでエラそうなことがいえるのか。
 以上は実にみっともない言い訳である。森本閣下を笑えるか。しかし「使用済み核燃料プール、数年で満杯」「コンクリで埋めても放射能漏れる」「ついにベビーフードからセシウム」「状況によってすばやくいい方を変える独裁者指向の橋下」「石原慎太郎都知事のパフォーマンスで尖閣が一触即発」「南海トラフ巨大地震は2030年代に」「憲法改正支持65%」などなど、日を追って日本は確実に悪くなる一方である。余命の締め切り時間ま近かな自分は自分のできる範囲でやはりモノをいうべきだろう、と考えた。今日から逐次「ひとりごと」の形で余生の白紙を埋めることとする(やや上から目線かな)。

 話は違うが、佐高信氏がうまいことをいっていた。「野田が代表選演説で庶民的をアピールしたいのか、盛んに引用した相田みつおは便所のカレンダーだ。為政者にとって(庶民の不満を沈静化するのに)彼ほど都合のいい男はない」。
 なるほど、同感。





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