
昨夜はすみだトリフォニーホールでブルーノ・レオナルド・ゲルバー「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全曲演奏会」を聴いてきた。2夜連続に渡る濃密なコンサートであり、3月にあったゲルハルト・オピッツのベートーヴェン:ピアノ協奏曲全曲演奏会に続くものである。幸いにも前者のステージに接することができ、お二人の演奏スタイルの違いが鮮明に浮かんできた。むろん、演奏者の資質を感じとるまえに、いやそんなレベルではないのだが、僕の場合は作曲家の世界を広く感じることが第一になるだろう。
昨夜の演目がピアノ協奏曲第1番、第5番「皇帝」だったことが良かったのか、より鮮明にベートーヴェンの作品に触れる感触を得たと思う。と同時に、演奏者に与えるであろう絶対的なまでの存在感、そして作品の大きさがあるからこそ、ベルバーの芳醇にして滑らかなタッチが作品の華麗さを深く誘っていたように感じたのだ。この感触はとても大きなもので、僕のなかにクラシック音楽のうま味を与えてくれたのだ。