
シブヤのタワーで待望のピンクフロイド、リマスター盤を買う。全14タイトルをまとめて、といきたいところ、それはそれで懐具合寂しくノリの一気買いは無理であった。しかも全14タイトルすべて輸入盤がそろっていなかったのである。「原子心母」「狂気」の2枚を買う。何年振りになるのか。感動の再会である。当時、中坊のころ、その「プログレッシブ」ロックという言葉の響きに洗脳された原体験から比すると、これはもう完全にポップな作品であることが少なくとも僕の脳内で上書きされたのだ。もちろんスケール感とか緻密な構成とか、それこそプログレッシブなのだけど演奏はいい具合でポップなところが実に新鮮に響く。とくにロングセラーで知られる「狂気」にその色合いが強い。「原子心母」も同様に、あの頃に聴いた印象とはがらりと変わるほどだ。まぁ、それにしても今回の中坊からのブランクは如何なものかと自問するものの、手元にあるリマスター盤からは紛れもなくプログレな響きとロックなノリが泉の如く現れればそれだけで満足するのであった。