昨日はすみだトリフォニーホールでシリーズ
「ロシア・ピアニズムの継承者たち」の第6回、リリヤ・ジルベルシュタインを聴いてきた。今回も前回の2月に引き続き
ジローさんをお誘いしての鑑賞だ。完治してない風邪を引きずりながらの鑑賞となったけど、結果はもう言葉がでないくらい素晴らしかった。
1部 ムソルグスキー「展覧会の絵」ソロ
2部 ストラヴィンスキー「火の鳥」
チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」
ヴァシリス・クリストプロス指揮、新日本フィルハーモニーによる「火の鳥」を挟んでの有名曲が並んだ極めつけとでも言えるステージ。普段の日常でもこの曲名に触れることはあると思う。そして、よく知られたというフレームでその曲に接することも少なくないはず。そんなバイアスが知らないうちに身についてるからなのか、あっと言う間の演奏だった。そんな印象とともに、実はよく知っているという認識にも関わらず、今回が最後まで通して聴いたのが初めてという有様。それほどに近いようできちんと触れていなかったのだ。たとえば、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番でいえば第1楽章の途中までといった具合である。
リリヤの強烈無比なテクニックは言うに及ばず、それは「展覧会の絵」でノックアウト、その技巧のもとに支えられた力強くもダイナミックな演奏が、遅れてきたリスナーにとってまるで神々しいまでの響きに溢れ興奮の連続となる。しかも、この日のリスニングポジションが普段のセンター寄りではなく、中央向かって右側寄りのステージに近いところで、これまでの印象がガラッと変わるほどの硬質な楽器の響きもさらに興奮を誘ったかもしれない。
遅れたリスナーは一夜明けても興奮が冷めない。リリヤのピアノとロシア作曲家のピアノ作品、それを現代に奏でるステージ。この3つがとてもいいカタチですべてを出し切ったかのような、素晴らしい企画ではなかっただろうか。