今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・高薙山

2008年10月31日 | 山登りの記録 2008
平成20年10月28日(火)
高薙山2,180.7m

 4月に於呂倶羅山経由で登ろうと思ってリタイアした高薙山だが、その後遠征が多くて登り損ねていたら、もう秋も終盤すっかり日も短くなった。新調したコンデジの試写をしたいから、できれば晴天が望ましい。なかなか取れなかった休暇が沢山余っているし、この際だから、わざわざ平日に登らなくても人に会うことなんか無さそうな山だけど、天気予報の栃木県北部快晴の予報が出たことでもある。28日に休暇を取って登ることにした。

 日も短いこの時期では於呂倶羅山経由は厳しいから、今回は栃木の山紀行さんの記録他を参考に、北東尾根からのピストンとした。於呂倶羅山は前回登っているし、アップダウンと薮こぎは最少で行ける楽チンコース?を選んだ。

 月曜の夜に家を出る。2時間ちょっとで登山口まで行ける山だ。季節外れの雷も収まり、日光に入ると満天の星空だった。戦場ヶ原の光徳入口から山王林道に入り、旧西沢金山寺跡が登山口。かつて金山があった頃は、こんな山奥に沢山人が住み、寺まであったというのだから驚きだ。今のこの状態からは想像も付かないが…。西沢金山寺跡の駐車スペースに車を停めて冬用のシュラフに潜った。外の気温は5℃。この時期としてはまだ少し高めだろうか?

 5時半に目覚めるが、まだ真っ暗。再びシュラフに潜って6時に起きた。明るくなると、周囲は紅葉して彩りも鮮やか。薄暗い雲が空を覆い、お天気は余り良くない。パンを食べ、支度を済ませると6時半に車を後にした。西沢金山寺跡の向かいの尾根が登り口のようで、赤テープが付いていた。膝丈の笹で、登るのに支障はない。いきなりの急登でぐんぐん高度を上げていく。しばらくは不明瞭な踏跡だったが、尾根が細まると古い作業道を横切り、しっかりした踏跡になった。テープも沢山あって迷うような事もない。振り返ると、太郎山が背後に高く見えてきた。しかし、その太郎山や隣の山王帽子山の上部は薄黒い雲に隠れている。遠くに見えている川俣湖の向こうは晴れ間も見えるが、全体としては雲に覆われていて余りパットしないお天気だった。

 一段と急になってしばらくあえぐと、低い笹は無くなりコメツガが出てくる。樹間から高薙山が見えてくる。高薙山本峰手前の峻峰が印象的だ。傾斜がゆるんで、再び笹が膝丈程の上りを行くと、平坦な笹のない1,753mピークに7時47分に着いた。三角点ではない標石がある。ここからルートは南西に向きを変える。

 笹の緩斜面を下ると、ダケカンバが美しい鞍部に出て、行く手高く高薙山が形良い。幾分青空も見えるが、北西から黒い雲が押し寄せているから回復する兆しは今のところ無い。ダケカンバの笹原は平坦でルートもはっきりしないが、東寄りに尾根を進むと、またうるさいくらい赤テープや黄テープが頻繁に出てくる。こんな調子で、地図もGPSも不要なくらい歩きやすいルートだった。今のところ薮も問題なく、普通に歩ける。

 笹原は鹿の遊び場のようで、糞が沢山見られた。今回は鹿の姿を見なかったが、秋の奥山にふさわしい鹿の遠音はずっと行き帰りで聞こえていた。

 笹原を過ぎていよいよ高薙山の登りとなる。尾根は痩せて傾斜もきつくなった。左手(東側)が大きく崩壊している薙の縁に出る。高薙山の名前の由来になっている薙(崩壊斜面)は、この山の東側に幾筋も切れ込みを見せ、山王林道からは見事な峻峰となって聳える姿が印象的だ。

 高薙山が一番立派に見えるのは、やはり山王林道の展望所付近だろう。薙の縁からは、黒木に混じってまばらに落葉松の黄葉が彩る秋色の山肌に、その山王林道が蛇行して山王峠に上っているのが見下ろせる。林道の上に太郎山が大きく、右手に山王帽子山と於呂倶羅山が連なっていた。それらの山の上には黒い雲が低く垂れ込め、この辺りから細かいさらさらした雪が落ちてきた。

 ダケカンバの笹原付近を通過した時に、少しだけ広がった青空はすっかり消え、陰鬱な空からは細かい雪が足元の笹に降り積もりだした。栃木県北部快晴の予報とは裏腹に、空全体が雪雲に覆われていくのだった。みるみる視界は悪くなり、太郎山や川俣湖等の遠景が降雪のベールでぼんやりとしてくる。残念ながら、この分ではもう展望など期待できそうもない。

 気温はそれ程低くないから、笹の雪は直ぐに融け、濡れた笹がスパッツやズボンを濡らし始めるのだ。薙を過ぎると、笹は少なくなって気にならなくなったが、岩が混じりだした急峻なヤセ尾根になると、ついにシャクナゲ薮が行く手を塞ぐようになった。背丈を超えるシャクナゲは密藪を作ってなかなか手強い登りになってきた。

 赤テープや黄テープのマーキングは切れ間無くあって、RFも不要だが、尾根筋を直登するのは不可能な箇所もあり、ルートは概ね西側を巻き気味に行く。高薙本峰手前のピラミダルな前衛峰までは、西側を巻き気味、そこから本峰までは東側を巻き気味にシャクナゲ薮を通過する。2カ所程猛烈な激薮があったが、距離も短く、さほど困難な登りではなかった。しかし、帰りに温泉で風呂に入ったら脚に2カ所、腕に2カ所キズができていた。

 前衛峰からはそこそこの展望があるが、残念ながらこの天気ではほとんど眺めはない。東の奥鬼怒方面は黒木にまだらな黄葉が素敵だが、鬼怒沼山や黒岩山等、見たい山は雲が垂れ込めて見えない。一旦少し下って、かなりの急傾斜を登り、最後はシャクナゲを東側からがさがさかき分けていきなり山頂の小平地に飛び出した。高薙山頂10時30分着。登りだして丁度4時間かかった。標高差や距離の割には時間が掛かるなあ。

 高薙山頂はシラビソ・コメツガ・ダケカンバとシャクナゲに囲まれた樹林の中の狭い一角だった。中央に二等三角点があり、シラビソやダケカンバの幹に4枚の山頂名板がぶらさがっていた。山部さんのと栃木の山紀行さんのものはお馴染み。後の2つは見かけないものだった。

 細かい雪は降ったり止んだりしているが、気温が低くないから積もることはない。でも、そのお陰でどこも濡れていて腰を降ろす所もない。ビニールを倒木に敷いてその上に腰掛け、早速湯を沸かしカップラーメンを作った。ヒトケもない奥山だが、崩壊した林道を工事するパワーショベルの音や林道を走る車の音が意外に大きく、興を削ぐ。お天気も良くないから、一度リタイアし、再度挑戦の宿題の山に登った割には満足度は低かった。栃木の山の中では難易度が高い山ということだが、今回登った北東尾根からだとそれ程でもない。マーキングは有りすぎるくらいだし、ひどい薮はあるにしろ、激薮はほんの少しだった。
 南に続く稜線の踏跡は赤テープではなく、赤ペンが着いていた。こちらの方が薮はひどいという事らしい。

 晴れ予報で、晴天を期待してきたから気分もいまいち。うらめしげに小雪が舞う空を見上げるのだった。

 11時8分に山頂を後に帰路につく。下りの方が薮こぎは楽だが、ややもすると方向を見失ってしまう危険もある。良い調子で下りすぎて、2回ほど方向を誤って軌道修正。稜線は一本道だが、視界がない急な尾根を薮こぎすると、どこでも同じように見えてしまう。

 帰りはのんびり下る。13時丁度に薙の縁に出て一休み。雪は止んで、しかしまだ晴れてはこないが、太郎山や於呂倶羅山は良く見えるようになった。山王林道は紅葉のハイシーズンとあって、平日とはいえ通行量も多く、豆粒のように見える車がひっきりなしに通過している。その車の音やオートバイの音が山峡にこだましているのだった。

 濡れた笹で、ズボンやスパッツはびっしょり。1,753mピークから下り始めると、ようやく晴れてきた。今更…です。林道に降り立つ最後の急傾斜の笹尾根で、樹林越しに青空を背景にした太郎山や女峰山がさわやかだった。丁度この付近が紅葉の盛り、金色に輝く落葉松や紅葉の紅色に、しみじみと秋の深まりが味わえるのだった。14時36分に林道に降り立った。

 帰りは湯元温泉の奥日光高原ホテルで入浴。ちょっと時間が遅くなってしまったから、到着したばかりの宿泊客でお風呂は混んでいた。あまり広くない浴場と浴槽だったが、露天風呂から眺める紅葉は最高です。ここは硫黄の温泉で、出た後も身体が硫黄の臭いでいかにも温泉に入ったという気分だった。山は今一つながら、最後の温泉で満足でした。しかし、平日とはいえ、行楽客の帰りの時刻にかちあって、渋滞したいろは坂を通過するのに1時間もかかり、近場の割には家に着くのがそこそこの時間になってしまった。

 春にリタイアした高薙山は、案外容易にこうして登れましたが、やっぱりお天気が良かった方が印象も良かったかな?新調したコンデジのテストも中途半端だったから…。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
北東尾根はテープがそんなにあるのですか (ノラ)
2008-10-31 21:21:59
あさぎまだらさん こんばんは。
山部さんと烏が森さんと登った時の北東尾根は踏み跡はないし,テープも古いのが少しあったのみでルーファンもそこそこ楽しめたのです。このルートは山部さんが目をつけて,周回できたのです。一度紹介されて,テープがつきだしたら,数年のうちに踏み跡もつくのですね。
南尾根は難易度が高いと思います。あれを地図と磁石だけで下れるのは達人だろうと思います。私達は3人とGPSで降りました。それでも何度か迷ってます。
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地図なしでもOKでしょう (あさぎまだら)
2008-10-31 23:03:43
ノラさんこんばんわ。
やはり最近はヒトケのない山が静かなブーム?なんでしょうか。ネットで紹介されているから歩く人は増えているようです。テープ類も3種類くらい見られました。テープを拾っていけばルートファインディングは要らないと思います。稜線に乗る手前のダケカンバ林付近と、前衛峰のシャクナゲ薮付近が一部不明瞭なくらいです。
ぼくが5月に登った明神ヶ岳も、金剛ゾネルートはもはや一般登山コースに近いモノでした。

ちょっと寂しい気もしますよね。静かで、手つかずの山が少なくなっていくのは。南尾根や於呂倶羅山経由のコースはアプローチのせいでまだ静かでしょうね。
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デジカメ (重鎮)
2008-10-31 23:44:21
今回、載っているのはパナでしょうか?
ずいぶん雰囲気が違うものですね。

私はR6、R7と持っていますが、まだまだ現役です。
もう4回くらい壊れています。
今度壊れたら、やはり別のメーカーにしようと思っています。
しかし、コンデジもずいぶんと大きくなったものが出てきました。G10とかLX3なんて大きいですね。

この時期の日光の混雑は大変ですね。
山より疲れます。


ノラさんお久しぶり!!!
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「パナ」デビュー? (あさぎまだら)
2008-11-01 00:16:03
重鎮さん今晩は。
今回のはご指摘の通りパナです。
1200万画素ですが、800万で撮りました。
高精細で真面目な画ですね。色気が無いという気もします。あくまでも記録用でしょう…かね。
バッテリー持ちがイマイチなのがちょっと不満です。
フラッシュをたかなくても300枚くらいで限界の様です。今までリコー愛用でしたから、リコーのカメラがいかにバッテリー持ちがいいか分かります。
リコーのカメラはとても愛着が湧くモノとしての魅力があります。パナは実用本位?といったそっけない感じがしますね。
リコーがもう少しメカ的に信頼できるモノを作ってくれたら…と思います。また、懲りずにリコーに戻りそうな予感もあります。
優等生のパナ君は少し面白みが少ない。
しかしこのFX100が吐き出す画は実にシビアなもので、デジイチに迫るものがあります。記録としては優秀だと思います。画像ソフトでレタッチしても補正がほとんど要りません。その点はリコーとは随分違いますね。電池持ちと、動作が緩慢なのがやや不満です。
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