今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・加入道山、大室山、畦ヶ丸

2009年01月28日 | 山登りの記録 2009
平成21年1月25日(日)
加入道山1,418.4m 、前大室1,543m、大室山1,587.6m、水晶沢ノ頭1,278m、
シャガクチ丸1,191m、バン木ノ頭1,174m、モロクボ沢ノ頭1,190m、畦ヶ丸1,292.6m

 年初、御正体山に登った時、朝陽でシルエットになっていた大室山と加入道山。大室山は大きくて目立つ山で、一昨年に登った桧洞丸からも一番に目に付いた。その大室山と、ずっと昔から登りたいと思っていて未登だった畦ヶ丸を今回登ることにした。丹沢は大学の頃に沢を登ったり、ボッカ訓練したり、ただ何となくテント泊したりと何度も訪れたが、登ったピークはほとんど無い(記憶が無い…)。一昨年、久しぶりに登って、桧洞丸や蛭ヶ岳のピークに立ったのだった。

 お正月に御正体山に遠征したばかりで、また道志村に向かう。どこか遠い山に登ると、そこから見えた山を次に登りたくなってしまう。それでまた、登りたい山がどんどん増えていく…登りたくて、登れない山は増える一方です。

 道志村は遠い。埼玉・東京・神奈川を抜けて、山梨入りだ。東京方面を経由すると距離の割には時間が掛かってしまう。御正体山の時は5時間強。今回もR16の通過で時間が掛かり、御正体山登山口の山伏峠より、ほんの少し手前の登山口である道志の湯に5時間近くを要した。道志の湯臨時駐車場には他に車が一台、主は既に入山しているのか、人は乗っていない。周辺はうっすらと雪に覆われている。

 土曜日は、天気予報では晴れの予報だったが、雲が多くすっきりしない日だった。冬型が強まる?という割には快晴には程遠かった。山沿いは少し積雪があったようだ。幸い星空が広がって、日曜は晴天の予報。今度こそ当たりそうだ。気温は-5℃で、前回の浅間隠周辺登山の時に-12℃だったのに比べれば暖かい?くらいだ。アラームを6時半にしてシュラフに潜った。

 アラームが鳴る前に目が覚めた。でも、もうあと5分で鳴るところ。外は薄明るい程度で周囲の山はすっきりと見えている。快晴だ。パンを食べて、支度をし、7時丁度に出発。駐車場の直ぐ先に加入道山方面(白石峠)への登山口があった。良く踏まれた登山道を辿ると、シカの食害を避けるために張り巡らされた柵に囲まれた道になる。ここは山梨県道志村だが、横浜市水道局の看板が立っている。水源林と言うことで、神奈川県横浜市がこの辺りの森林を管理しているようだ。そういえば、奥秩父辺りでも、山梨なのに東京都水道局が管理している所が沢山ある。何と言っても、水利権は強いな…川の水利権は最下流の自治体が原則的に持っている。

 横浜市が管理してるからか、横浜市の野外施設が登山口付近を流れる室久保川の上流にあるし、この辺りの植林に横浜の区名プレートが付いているのも、各区で分担して植林しているのだろうか?シカが入れないようになった門扉が付けられた工作物が2カ所にあった。雪は10㌢程で、ここも乾いた雪で快適に登れる。今回も、前回に続いてノースフェースの靴。

 植林帯を抜けると、尾根にからんで登るようになる。南に室久保川源流の神奈川県境にある大界木山や、西には菰釣山とその肩越しに富士山が見えてくる。御正体山の時に大きく一日中見えていた富士山だが、ここからも充分大きく見える。真っ白で、雪が更に増えているようだ。

 雑木から杉の林になり、所々から展望が得られる。御正体山と富士山が並んで見えてくる。御正体山は、やはりこの辺りの山の中では大きくて存在感がある。もちろん、富士山には比べられないが…。御正体山の北には南アルプスの銀嶺が並んでいた。全く素晴らしいお天気で、風もなく暖かく感じた。今日は、こんなに素晴らしい快晴で展望も最高だが、残念ながら展望の良い山頂の予定は無かった。

 もう、間もなく稜線に出る、と言うところで崩壊したガレを20~30㍍ばかり横切るのだが、そこは積雪の踏跡が凍結して非常に悪い。滑ったら、そのまま下の沢に滑落してしまいそうだ。今日は、ここと、加入道山と前大室の鞍部付近が凍結してやや悪かった。この2カ所はアイゼンを付けても良いかなと思ったが…他は必要なし。間もなく稜線に出た。稜線には方面標識が立っていた。そのまま、申し訳程度雪が残る登りを少しで加入道山に9時17分に着いた。

 加入道山山頂は雪の小平地だが、樹林で展望はない。南側にある避難小屋には、泊まったと思われる2,3人の姿が見えた。ベンチとテーブル、真新しい標識等があり三等三角点が雪の中から頭を出していた。展望もなく、人が居る山頂に長居は無用。今日の予定は、これから大室山をピストンして畦ヶ丸までの縦走だから、そこそこ長丁場なので直ぐに出発した。

 しばらく緩く雪の稜線を進む。行く手の大室山まで1時間と言うことだが、雪もあるからもう少し掛かりそうだ。この稜線は、山梨県と神奈川県の県境になっている。神奈川県側はずっとシカ避けネットが張り巡らされているが、山梨県側には無い。真下に道志の集落が見え、R413を走る車が良く見えた。遙かに奥多摩や奥秩父の山並みがくっきりと浮かび、遠く八ヶ岳まで見通しが良い。残念ながら、これら北面がすっきりと見渡せる展望スポットは無かった。

 前大室まで一度大きく下って上り返す。南の神奈川方面は、所々から遮る事のない眺めが得られた。南に遠く箱根の山と相模湾が見える。西には畦ヶ丸から、遠く愛鷹の山々が青く、その右手に大きく富士山と御正体山があり、更に西北には一列に南アルプスの銀嶺の大パノラマ。転じて東は、大室山の向こうに檜洞丸と蛭が岳が懐かしかった。稜線にはブナの巨木も見られ、なかなか素晴らしい樹林をめでながらのプロムナードが続く。

 加入道山と前大室の鞍部の上り下りは、やや痩せて北面にルートがあるから踏跡が凍結して滑りやすい。このルートは概ね土留めの杭と、土砂流失予防のために土嚢が積んであるが、この土嚢が凍結して一番滑りやすいのだった。大分おっかなびっくりの5人程の一団を抜いて、しかし結構大室山までは遠いのだった。雪の稜線は積雪も30㌢ほどで、快適なコースだが、2段になった大室山の登りはきつかった。前大室を下り、犬越路分岐を過ぎて最後の登りから振り返る富士山は、また殊の外素晴らしい。今年は年初から富士山の眺めが最高だ。風呂屋の看板?みたいだ。

 大分予定時間をオーバーして、10時52分に大室山山頂に着いた。大室山も加入道山と同じく、樹林の中で展望は全くない。ここの方がやや閉塞感があり、折角登った山頂ながら、やや落胆。山頂には一人年配のハイカーさんが休んでいた。写真を撮って、休まず犬越路分岐まで戻り、そこで休憩した。

 犬越路分岐で休憩していたら、はぐれたらしい猟犬を引き連れて?途中で抜いてきた一団とすれ違う。この犬は愛想が良く、誰にでも尻尾を振って付いて行くようだ。この後どうしたろうか?

 パンを食べ、10分程休憩して出発し、加入道山まで引き返す。夫婦連れや、小学生くらいの子供を連れた親子とすれ違う。他にも数人、加入道山まではすれ違う人も少なくない。12時45分に加入道山に戻ってきた。予定の時間を大分オーバーしている。やや、日が長くなったものの、畦ヶ丸まで縦走するのは微妙な時間になってしまった。もう、加入道山にも人影はなく、静寂な山頂は午後の陽が傾いてきた。12時54分に加入道山を下り始める。

 道志の湯方面に下る分岐付近で、手にアイゼンをぶら下げた単独の若い女性とすれ違った。この日会った最後の人だ。ここからは、あまり高低差の無い稜線を辿る。シャガクチ丸と書かれた小ピークまでは雪も消えがちで、ぬかった泥道が混じる。すっかりヒトケもない静寂そのものの山になった。加入道山や大室山辺りの整備されすぎた公園の舗道のような道と違って、アセビやスズタケが被り気味のところもあり、ぼく的には好ましい道だ。14時19分にバン木ノ頭を通過。傾いてきた陽は、富士山の肩付近まで下がってきた。

 樹林越しに遠く見える檜洞丸や、背後の加入道山・大室山は高くどんどん離れて行く。富士山や御正体山も午後の陽にやや霞み始める。バン木ノ頭辺りから、まだ行く手のモロクボ沢ノ頭や畦ヶ丸は、幾つもの小さなコブを越えて遠い。この付近から再び積雪も多くなり、30㌢前後になる。雪の踏跡も一つしか見られないから、冬はこの稜線を辿る人も少ないのだろう。

 14時46分にモロクボ沢ノ頭にようやく到着した。ここから、やや痩せた尾根を直ぐそこに近づいた畦ヶ丸に向かう。もう、大室山は遙か彼方に遠く、こちらからは突き立ったピラミダルな山容でなかなか見事。15時6分に畦ヶ丸避難小屋着。小屋の中はきれいに片づけられていて気持ちが良い。最後の上り下りを少しで、15時12分にようやく待望の畦ヶ丸山頂着。

 畦ヶ丸の山頂も名前の由来であるアセビの木他、ブナやカエデの高木に囲まれて眺めは無い。土台まで露出した三角点標石や、『畦ヶ丸白石峠補修記念碑』と刻まれた昭和38年に作られた石積みのモニュメント、真新しいベンチとテーブル、幾つかの標識があった。小広い山頂は静かで、とても好ましい雰囲気だった。

 『畦ヶ丸』という変わった名前の山を知ったのは、山登りを始めたばかりの30年以上前だった。当時のヤマケイに「怪峰畦ヶ丸」という一文が載っていて、その名前と共に、まるで妖怪でも棲む深山というイメージでぼくのインデックスに記憶されていた。だから、その山が今はすっかり東海自然歩道のコース上にある、気軽なハイキングの山になっていることは知っていても、憧れの奥深い山という始めのイメージはそのままなのだった。今、こうして登った畦ヶ丸の山頂は、しかしぼくのそんな勝手なイメージを決して裏切らなかった。静寂で、丹沢の中では主脈から離れた奥深い孤峰という、大事に持っていた思いこみを満たしてくれるに充分な雰囲気を持っていた。だから、その整備されたベンチに腰掛けながらカップ蕎麦をすするぼくは、他に誰も居ない畦ヶ丸にすっかり満足だったのだ。冬場としてはそこそこロングコースだったけど、こうして一番の目的の山にまで来られて幸福だった。

 予定の山は登れたが、大分時間も押してきた。15時36分に畦ヶ丸を辞し、モロクボ沢ノ頭まで引き返す。大室山も赤く見えるようになった。富士山もシルエットだ。

 モロクボ沢ノ頭に15時55分に戻り、ここから城ヶ尾峠と指す稜線を進む。雪の下りを一度下りきって、振り返る畦ヶ丸はもう高い、なかなか秘峰?(そんな訳無いけど…)の貫禄だ。小さな上下をして忘路峠(犬峠)と小さなプレートが付けられた鞍部から、微かに一つだけ大分前に付けられた踏跡が下っていた。その鞍部から、下の横浜市のキャンプ施設まで破線コースが下っている。広い一面の雪の緩斜面をざくざく下っていく。赤黄テープが点々と付いているし、ずっと前の先行者の足跡があるから迷うこともないが、歩きやすい雪面はとても気分がよい。北面の沢筋だから、積雪は40㌢以上あるが比較的固く締まって快適。

 どんどん沢を下り、一度細尾根に上り返して、隣の沢に移って下る。杉林が出ると、間もなく『畦ヶ丸→』とか『野外活動センター』と書かれた黄色い小さな標識が現れ、水流のある沢に降りた。そのまま進んで、ひっそりしたキャンプ施設を過ぎて林道に出た。陽も沈んで薄暗くなってきた林道を気分良く道志の湯に向けて下る。

 途中、道志村のガイドマップに載っていた伝説の自然奇勝『的様(まとさま)』を見た。これは5,6㍍程の滝の落ち口手前の水流岩盤に的の様な不思議な同心円の文様があるというもの。ひっそりした山の滝は薄暗くなってきて、的様はどうにか見えた。全く不思議な物で、これを水神とした、いにしえの里人の気持ちも分かるような気がするのだった。神仏の信仰心は全くないが、この雰囲気にこの不思議な文様は、ぼくにも何か伝わるものがあるのだった。思わず的様を拝んでしまった?

 道志の湯臨時駐車場に17時27分着。どうにか暗くならない時刻に戻ってこられた。道志の湯は先日の御正体山の帰りに寄ったばかりだが、前回よりは客も少なくゆっくりと浸かれた。疲労度こそ大したことは無かったが、この時期としてはなかなかのロングコースを周回できてとても満足。湯に浸かる気分も上々だった。

 帰りは高尾で食事をすませ、帰路についたが、やはり5時間近く掛かって遅いご帰還となったのだった。

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4 コメント

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遠い山 (重鎮)
2009-01-28 23:16:05
う~~~~ん遠いですね。
私が住んでいる西上州からはとんと遠い山です。
しかし、前にも書きましたがブルーガイドのなかの都心の山は憧れました。
丹沢の畦ヶ丸なんてのは名前からして、私も興味をもちました。
この時期のロングコースは大変だったと思いました。
ところで、畦が丸の避難小屋はまだあるのでしょうか。
この時期に、この辺の小屋を泊まりながら歩いてみたいという願望がありますね。

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畦ヶ丸避難小屋 (あさぎまだら)
2009-01-28 23:35:55
遠いですね。高速嫌い?なので一般道だと東京経由はホントにきびしいですね。距離の割に時間が掛かって…。
ところで、記録にも書いてありますが、畦ヶ丸の避難小屋はとてもきれいです。使っている方々のマナーの良さが感じられます。充分利用できますよ。ぼくも泊まりたいと思いました。
加入道山の避難小屋も同じ様ですが、こっちの方が少し疲れていますかね。

いずれにしても、丹沢・奥多摩・奥秩父の解放小屋は総じてきれいに使われていて気持ちが良いです。関心します。上信越周辺の避難小屋はどちらかというと余り泊まりたくない所が多いのとは対照的です。地元の人間としては少し心苦しいですね。
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大室山と大群山 (ノラ)
2009-01-30 22:03:32
あさぎまだらさん 重鎮さん こんばんは。大群山がいつ大室山になったかですが,私が持っている,S61年のエアリマップ丹沢は大室山です。1983年発行の浅野孝一著「中高年の山歩き」によると大群山。1985年5月発行のアルペンガイド「東京周辺の山」も大群山です。とすると,1986年あたりでしょうか。
群馬在住のお二方には丹沢は遠いでしょうね。
私が住んでる千葉県北西部からでも下道なら4時間,高速を使っても3時間半はかかります。
電車とバスで行っても3時間半です。東京を通り抜けるのに時間がかかるのです,あまり近くはありません。それで,最近は東京の西側には行かなくなったのです。どうせ同じ時間をかけるなら,より静かな所を行きたい気持になりませんか。
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大群山 (あさぎまだら)
2009-01-30 22:56:56
ノラさんこんばんは。
そうですね。わざわざ人が多い山に時間を掛けていくのは物好きですね。でも、遠くの山には憧れがあります。多分重鎮さんも同じだと思います。
ぼくが山に登り始めた頃は、今のように自由にどこでも行けなかったですから、ガイドブックに載っている遠くの山は、地元の山とはまた違う魅力があります。丹沢や道志辺りからは、富士山もびっくりするくらい大きく見えます。それも新鮮で魅力的ですね。

本来は大群山と呼ぶのが正解らしいです。オオムレの『ムレ』は『マル』と同じく朝鮮語由来で、山のことを指すらしいです。ですから『オオムレ』とは「大きな山」という意味なんでしょうね。確かに大室山は大きくて目を惹きます。地元では大群山の方が馴染んでいたようですが、地理院の地形図が『大室山』と標記したので、今はこちらが主流になっているようです。どうも、大室山というと、伊豆にある他の山を連想してしまいますが…或いは他の山でもあるように、地元呼称に改める事もあるかもしれませんね。もちろん、地元の要望があればですが…。
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